BARカジャナカロカ

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鑑賞してから読む 生?ョ範義 展 THE ILLUSTRATOR 1月6日 (土) 〜 2月4日 (日) 上野の森美術館で開催 - Name: 薄っぺらいニワカファンの幻魔大戦バガボンド No.1552 - 2018/01/07(Sun) 12:47:07
17.11.12(日) 筒井康隆自作を語る#4 〜筒井康隆コレクション完結記念〜
に行ってみたのですが、区の会館に開場前から人が結構並んでいて
筒井康隆が来るだけでこんなに人が来るのかとびっくりしました。
私は関西大倉高校出身で、筒井康隆が春日丘高校出身と同じ大阪第二学区なので
郷土の偉人なのですが、失礼ながら、こんなにこの方を支持なさっている方が多いとは知りませんでした。

「日下三蔵の昭和SF&ミステリ秘宝館 平井和正編」は数えられるくらいしか人が来ず、平井和正も筒井康隆も似たようなものだろうと思っていましたが
違うのだという事を理解しました。

さて、とうとう、東京 上野にやってきた生?ョ範義 展
1月6日に朝7時半に上野の森美術館に行ってみたら誰も並んでいませんでした。
駅地下の喫茶店やパン屋を梯子して時間をつぶして9時に行ってみたら
10人か20人くらい並んでいました。待っていたらどんどん人来ます。
開場前には200人ほど並んでいました。

開場後、のんの解説ナレーションを聞きながら、順番に鑑賞していきました。

私も頑張って#ohraiのハッシュタグでTweetし、黄金の犬という映画のイラストのポストカードを最後にもらいました。

物販の売店が凄く混んでいて、買い物を終わらせるのに1時間くらい掛かりました。
商品を選んで会計のレジ前に並ぶのだけで45分くらい並んでいました。(あれ、どうにかならないですかね。)

1月6日は次のものを購入しました。
宮崎での展覧会図録の、PART?U・?V・拾遺集のBOXセット
神話
狼の紋章
狼の怨歌
ベガ(立像)塗装済み \45,000(税込み価格 \4,8600)

http://radiko.jp/#!/ts/TBS/20180106230000
なんか大盛況のようです。新宿5丁目のLiveWireに来た人たちは
泉谷あゆみ遭遇後の方向についていけた人たちでした。

生?ョ範義展でベガの立像の前で写真を撮っている人たちや
物販でウルフガイを購入している人たちが
1980年代に幻魔大戦を2000万部のベストセラーに押し上げた人たちなのですね。

明日のトークイベントにまた行きます。
自分の好きなものが人口に膾炙するのはなんか嬉しいですね。
この人たちが幻魔大戦の続きを読みたくなって、幻魔大戦 Rebirthを買ったり、Web連載の応援ボタンを押しまくれば、
私の読みたかった結末が読める日が来るのでしょうか。


Perfumeじゃないっ! - Name: 薄っぺらいニワカファンの幻魔大戦バガボンド No.1553 - 2018/01/21(Sun) 21:09:59
なんか生?ョ範義展に行った人のTweetを眺めていると、Perfumeっぽい絵とか「perfumeのクリアファイル」とつぶやきがあるので
画像ファイルを見てみると、「平井和正の幻魔宇宙?U」の付録ポスター「時を継ぐ者たち」でした。

https://twitter.com/Lovot_sm/status/954729304654360576
https://twitter.com/MAEDA_Usotaro/status/954552543283048448
https://twitter.com/zelkova_hill46/status/954680976415760385

平井和正の幻魔宇宙?Uは1983年に発行された雑誌なので、当たり前ですが、この年にPerfumeがいるわけではありません。
ボブカットが一人いて、長髪が2人の美女三人組というのが、この絵を知らない人にとってはPerfumeとダブって見えたのだと思います。

では、この3人は誰なのでしょうか。

七月鏡一先生説

https://twitter.com/JULY_MIRROR/status/954819547894185985
昔からこの絵に描かれてるのは誰なんだろう?と思ってますが、上から「東三千子」「杉村優里」「ソル王女」かなあ。

夏が好き師匠説
https://twitter.com/lovesummerI/status/954866829582729216
上から「ムーンライト(お時)」「杉村優里」「クロノス」かなあ。

そうです。リアルタイムのファンたちでさえ、誰かが言えないのです。

ただ、真ん中が杉村優里というのは一致する見解のようです。
真ん中の女性は、長髪で背が高く、肩もがっちりしていて、錫杖を両手に持っています。

では、一番上の女性は東三千子なのでしょうか。ムーンライトなのでしょうか。

一番下の女性はソル王女なのでしょうか。クロノスなのでしょうか。


何か資料はないかと幻魔宇宙を眺めてみると「平井和正の幻魔宇宙」(?T)時代別宇宙図の左隅(27P)に
次のような記載があります。
-------------------------------------------ココカラ---------------------------------------------------------------------
 「新幻魔大戦」におけるエド2000年で滅亡しかけた地球とは別の歴史をもつ地球を生み出す為、
そして真の救世主を生み出す為にタイムリープするお時、
彼女の為にお守りとしてベアトリス王女が思念をこらして作った釵が"ベアトリスの釵"である。
この釵を身に付けたお時は寛永年間に飛び、新しい超能力者の家系を生み出す。
"ベアトリスの釵"の守護により魔人正雪を打ち倒したお時は、ムーンライトと名を変え、
「真幻魔大戦」の東丈の前に現れる。
 映画「太陽の戦士」の監督風間亜土を訪ねた丈は、亜土に瓜二つの女性お蘭と出会う。
お蘭も又、"ベアトリスの釵"の所持者であった。お蘭からお守りとして釵を受けとった丈ではあるが、
その釵を杉村優里に渡してしまう。"ベアトリスの釵"を身につけた優里もタイムリープして7世紀の日本へ飛んだのである。
-------------------------------------------ココマデ---------------------------------------------------------------------
「平井和正の幻魔宇宙?U」P119 ドキュメント・ファイル2 ベアトリスの釵は時空を超えて・・・
-------------------------------------------ココカラ---------------------------------------------------------------------
東丈の心にはてしなくも深い安らぎを与えてくれる
お蘭!
美しい女性が東丈に託した銀釵は暗闇に潜む大魔王の如きものから東丈を守った。
・・・それは
"ベアトリスの釵"!だった。
プリンセス・ルナの愛娘・ベアトリス王女が
エドの街でお時に手渡した神秘の霊物が、
三四0年の時をへだてて、いま東丈の手に!
だが、彼はその身を守るべき
貴重な"力"を
杉村優里のもとに残して去った・・・・・・
だが、優里もまたベアトリスの釵を手にしたまま七世紀の日本―
白皙の美青年、役小角の時へと飛んだ。
"時を継ぐ者たち"の手から手へと、
平打ちの銀釵は稀有の運命を背負うかのごとく、移動してとどまるところを知らない。
いまもまた、ベアトリスの銀釵はどこかの世界で、超能力者の戦士たちを、
宇宙の暗黒の支配者"幻魔"の手から守りつづけているにちがいない。
-------------------------------------------ココマデ---------------------------------------------------------------------

SFアドベンチャー編集部としては、杉村優里の"時を継ぐ者"という役割は風間蘭から引き継がれた可能性があります。
そうすると、一番下の女性はソル王女でもなくクロノスでもなく風間蘭という可能性があります。
消去法としてソル王女は黒髪でないはずです。クロノスは時空を超える宿命や能力を背負っていましたが、
それはムーンライト(お時)から引き継がれた役割ではありませんでした。

同様に東三千子もハルマゲドンの少女で様々な世界を転々としますが、
それは別のパラレルワールドの少女のころの東三千子です。
またその東三千子はベアトリスの釵を引き継がれてお時の役割を担っていたわけではありません。
そう考えると一番上の女性はムーンライトだと考えるのが妥当な気がします。

このような理由により、私の考えとしては、
上から「ムーンライト(お時)」「杉村優里」「風間蘭」かなあ。


ビッグ3・座談会 GENMA-WARSはまだ終わらない いや、いまこそ戦いの火ぶたは切って落とされるのだ。 - Name: 薄っぺらいニワカファンの幻魔大戦バガボンド No.1551 - 2018/01/04(Thu) 23:33:45
1979年8月発売のアニメージュ増刊 リュウVol2.に掲載された座談会。
なんか平井マニアからするとリュウにこういうネタが載ったことがあるというの死角のようです。
https://twitter.com/hexagonminer/status/947468263587430401

私、通っていた古本屋にリュウが結構置いてあったので
買えるだけ買って読みましたが、幻魔大戦にここまでクローズアップしたのは
この号だけだった気がします。
徐々に人気が下がり、安彦良和のアリオンを売り出すように変わっていきます。
ただ、何かの号でサイボーグ・ブルースのコミカライズを見かけたような気がしましたが、
なんか中途半端にコミカライズしてみた感じの企画に終わっていたように思います。

ちなみに、この座談会の内容は、
e文庫 真幻魔大戦2巻の巻末に収録されていますので、
ご興味のある方はKindleなどの電子文書端末でそちらをご参照ください。


幻魔大戦Rebirthの元ネタ紹介(6) - Name: 薄っぺらいニワカファンの幻魔大戦バガボンド No.1549 - 2017/12/31(Sun) 21:30:49
ハンドルネームを幻魔大戦ジプシーから幻魔大戦バガボンドに変えたいと思います。

2017年1月15日の新宿5丁目LiveWireのトークライブ「日下三蔵の昭和SF&ミステリ秘宝館 平井和正編 Part.1」にシレッと参加しました。
休憩時間になって七月鏡一先生が次のような告知を仰ったように記憶しています。
「来月からの幻魔大戦Rebirthは犬の帝国をやります。真幻魔大戦第三部で描かれなかった部分を描きます。」
私はえぇっとなりました。
真幻魔大戦第三部は、確か高校生の時に読みましたが(確か1994年頃かな梅田の淳久堂に行ってみたらあの頃はまだ徳間文庫の真幻魔大戦がたまたま置いてあって買えました)、
結末が知りたくて最後の方を読んでみたら、やはり中途半端な感じで終わっている。。。
残念な気持ちになってザザ読みして終わらせていました。

「えっ、あの続きやんの?でも、描かれざるところだから、クロノス達が破滅世界に来る前に東丈がやってきてしまったという話かもしれない・・・」

そして2017年2月12日「日下三蔵の昭和SF&ミステリ秘宝館 平井和正編 Part.2」、
私はもしかしたらGから始まる某宗教団体に勧誘されるかもしれないとドキドキしながら(本当に思っていました・・・)
勇気を振り絞って懇親会に参加しました。
参加したら、宗教臭い話は一切なく昔のイベントは懐かしかったねとか、なんかSF作家の内輪の愚痴ばかりを聞かされ、
特に感動するような話はなく、平井和正にハマってしまって抜け出せないまま大人になってしまった濃い大人たちの昔話の飲み会でした。
愚痴話ばかりを聞いていて、なんか、日本SFって斜陽なのかなーみたいに思いながら話を聞いていました。

ただ話の途中で七月鏡一先生がiPad AirのKidleに保存している生頼範義画伯の画集の一つの絵を皆に見せてくれました。
それはSFアドベンチャー増刊号 平井和正の幻魔宇宙?Wの表紙の絵でした。
「真幻魔大戦第三部のラストシーンの絵だと思うんだけど、月が2つあるんだよねぇ。これってどういうことなんだろう?」
雑誌の表紙の絵は上空の2つの月がムックの表紙に収まることができなかったため、私はこれを聞かされるまで上空に月があることさえ知りませんでした
(なんか同じタイミングで小太りでない革ジャンを着てメガネを掛けたお兄さんが左隅の犬の頭に何かコメントをなされた気がしましたが、
私はその絵をちゃんと見ていなかったのでピンとは来ていませんでした)。

ただ実際の黄金の獣神のラストは、ヘフスイと対峙している黄金の獣神に戦艦が大口径の火球弾を発射し、
黄金の獣神が咆哮を上げながら火球弾をはじこうとしている最中に、洞窟基地(超古代文明の遺跡)の蔵している磁場が外部に溢れだし、
キールが犬人族帝国の内外には存在しない異世界に遭遇するというシーンで終わっています。

足元の犬の生首はラストの方で黄金の獣神に八つ裂きされたメルダイな気がするし(ネットを見ているとヘフスイだという説もあり)、
クロノスの脈を診ているジョージ・ドナーは生頼画伯によくある拡大解釈だとして、
戦艦の背後の上空に浮かぶ2つの月は何なのでしょうか?生頼画伯の拡大解釈なのでしょうか。
それとも平井和正の未発表原稿を生頼画伯が読んでいてそれをベースに描かれたものなのでしょうか。

真幻魔大戦第三部 破滅世界という1984頃の幻魔大戦ファンの垂涎の結末が待ち受ける舞台に、Rebirthの東丈は来てしまったのです。

第31話 東丈の消失

https://twitter.com/JULY_MIRROR/status/824661007674990594
>三千子お姉さんはどこに行ってしまったのだろうか。なぜ卓と入れ替わっていたのだろうか。まだ、その謎が解き明かされていないことには何か意味があるのかな?
意味はありますが、明かされるのはもっと先です。


P32. 2コマ目
氷河戦士ガイスラッガーのソロン号
https://twitter.com/sousai_h/status/851815668613693444
https://twitter.com/sousai_h/status/851834573189136384

第32話 幻魔領域?T
P66
「破壊王」という言葉。幻魔大戦に出てくる用語。真幻魔大戦第三部ではダツラが自分が破壊王になると言い出したり、なんか無印幻魔大戦第二部ハルマゲドンで高鳥慶輔が言い出したりします。
ちなみに早瀬マサト先生は、ハカイダーのボディの鎧を着せて破壊王と名乗らせていたので、一瞬、人造人間キカイダーのサブローをデザインソースにするべきだっただろうとかいう思いが頭をよぎったらしいです。

https://twitter.com/hayasemasato/status/835733472895348737
ギルガメッシュじゃなくてサブロウをデザインソースにすべきだったかw

第33話 幻魔領域?U

ウサギ人間ルシイ : 真幻魔大戦第三部に登場するラチルのオマージュ
鹿人間ダルス : 真幻魔大戦第三部に登場するゾードのオマージュ

犬人兵 : 石ノ森章太郎のドッグワールドという作品のオマージュ

P81.1コマ目のルシイのセリフ
覚えておいて みんながあなたを嫌うのには、それなりの理由があるの・・・

その理由って何?!

リグルス艦長:真幻魔大戦第三部に登場するヘフスイのオマージュ

第34話 幻魔領域?V

P.114
山猫人グアランディール:真幻魔大戦第三部に登場するゴーゴルドウのオマージュ

P132.1コマ目
この世界の"救世主"の伝説だ!

真幻魔大戦第三部には犬人族に伝わる東方の救世主エスカルの伝説が存在し、エスカル教というものも存在します。
真幻魔大戦第三部に登場するダズンが進行するのがエスカル教です。

第35話 幻魔領域?W
P138.1コマ目
狼のシルエットが戦艦を崖の上から見下ろしている。ナルはまだこの世界に居残っているのか・・・

P145
知らない星座をみて少なくとも違う時代に来ていると悟るのは、真幻魔大戦第三部でそういうシーンがあり、それのオマージュです。

P158-160
ビルの窓ガラスに映るドク・タイガー
仮面ライダーアマゾンのコミカライズ版で、山本大介を追跡する十面鬼ゴルゴスがビルの窓ガラスに映るシーンのオマージュ

第36話 幻魔領域?X
P195-P196
( ゚∀゚) ドゥルッドゥー ドゥルッドゥー (゚∀゚ )
( ゚∀゚) ドゥルッドゥー ダッダッダラー (゚Д゚*)
( ゚∀゚) ドゥルッドゥー ドゥルッドゥー (゚∀゚ )
( ゚∀゚) ドゥルッドゥー ダッダッダラー (゚Д゚*)


私の記憶が曖昧で申し訳ありませんが、1990年代ってまだどこかの本屋に行くと売れ残りの平井和正の文庫本が置いてあったりした気がします。
大学生の時、梅田の紀伊国屋で早川文庫のウルフガイを見て「フーン、早川文庫版なんてのもあるんだ」思ったような記憶がありますが、
もしかしたら何かの勘違い―空脳だったのかもしれません。

ただ、1月6日に上野の森美術館に行くと買えるんですよね、今ではもう買えなくなったものを、
2017年2月12日「日下三蔵の昭和SF&ミステリ秘宝館 平井和正編 Part.2」で日下三蔵さんが仰っていた雪解けを目撃できるんですよね。


Re: 幻魔大戦Rebirthの元ネタ紹介(6) - Name: 薄っぺらいニワカファンの幻魔大戦バガボンド No.1550 - 2018/01/02(Tue) 12:26:27
気になる「幻魔宇宙」4の表紙 1993.02.26
カナメ師匠が25年も前に触れられているネタだったのですね。
私、Rebirth7巻の内容には触れないつもりだったのですが、「ナルはまだこの世界に居残っているのか・・・」
というのは、Rebirthの幻魔領域編が幻魔宇宙?Wの表紙の後だとわかったうえでないと出てこない文言ですね。


久保陽子が「幻魔」を変えた! 〜真幻魔大戦「スリーピング・ビューティー」 - Name: カナメ No.1545 - 2017/12/23(Sat) 21:56:42
久保陽子も犬神明もアダルトが先! ……これを書いてから、ずいぶんと時間が経ってしまいましたが、ようやっと『真幻魔大戦』(以下「真」)では「スリーピング・ビューティー」、『幻魔大戦』(以下「無印」)では3巻までを読み終えました。初出を以下に列記しておきます。例によっておかもとさんのヒライストライブラリーを参考にさせていただきました。毎度お世話になっております。

◇ビッグ・プロローグ
 SFアドベンチャー1979年8月号
◇サディスティック・サイキック・タイガー
 SFアドベンチャー1979年10月号

◇スーパー・バロック・プリンセス
 SFアドベンチャー1979年12月号
◆幻魔大戦 1 幻魔宇宙
 野性時代1979年12月号

◇ザ・ESPファミリー
 SFアドベンチャー1980年2月号
◆幻魔大戦 2 超戦士
 野性時代1980年2月号

◇スリーピング・ビューティー
 SFアドベンチャー1980年4月号
◆幻魔大戦 3 最初の戦闘
 野性時代1980年4月号

「スリーピング・ビューティー」で久保陽子が全幻魔シリーズを通じて初登場します。同じ頃、無印では、ニューヨークで幻魔との戦いを繰り広げていました。
ワタシはこのことを以前に人づてに知ったのですが、驚きましたね。GENKENメンバーって、みんな無印で生まれたもの。それが大人になって、真に再登場したものと、もう頭から思い込んでいましたから。
事実はそうではなく、真で生まれた久保陽子というキャラ、東丈の高校時代からの同窓生という設定を無印に反映することで、無印ワールドは漫画版『幻魔大戦』(以下「漫画版」)とは大きく軌道を変えた、というのがそもそもの順序だったのです。

余談ですが、それ以前に無印に“クェーサー”を持ち込むことで、ザメディとの戦闘以後の展開は漫画版から一変します。そう、無印はなにも、4巻から急に変わったわけではないのです。
真の存在が、無印を変えた――。これは皮肉というか、面白いですね。漫画版の「やり直し」が真だった、そもそもは。で、真が小説で、その話の起点が漫画のままじゃあアレだから、小説にしようと。それが『デスハンター』を小説化して『死霊狩り』にしたようなストレートなノベライズだったら、話はシンプルだった。ところが、小説の無印は質・量ともに真すら凌ぐ存在感をもった物語として、独自の成長を遂げてゆく。そのきっかけが、真の要素を持ち込んだ云わば化学反応にあったのですから。

でも、こればっかりはオンタイムで掲載誌を読んでなくてよかったと、ちょっと胸をなでおろしています。だってもう完全に、無印での久保陽子のその後をカンニングするようなものじゃないですか。あの当時、掲載誌を出た順に読んだ読者は、無印に久保陽子が登場したとき、どういう気持ちを抱いたのでしょうね。そんな人にもし会えたら、ぜひお伺いしてみたいものです。

もうあからさまと云っていい久保陽子の好意に気付かない青年・東丈の鈍感ぶりは犯罪レベルです。三千子姉さん、叱ってください。もちろん、自分に都合の良い関係を維持するために、無意識に気付かないフリをしているだけなのですが。
東丈を前にしているだけで、連鎖的にヘマをやらかしてしまう。なんとも可愛らしい、いいコなのですよ。ただただ、恋した相手が悪かった。もっと普通の男を好きになっていれば、幸せな家庭を持ち、幸せな人生を送れるはずだったのですが。
東丈のような特別な人間を自分だけのものにしようとした愚かさ、分不相応。そう云ってしまえば、それまでです。けれども、そうした成り行き、関係、ポジションそのものが、彼女のになう役割でもあります。それはおそらく、作者にさえはかり知れぬものなのでしょう。彼女もまた平凡な人間なんかでは決してありません。その存在の大きさは、井沢郁江すら凌ぐものです。
云ってしまえば、彼女が無印を漫画版から変えた。――「妄想幻魔大戦」といった造語に見られる世間的「幻魔大戦」のイメージ――(無印)幻魔大戦を幻魔大戦たらしめたのが、久保陽子だと云っても過言ではありません。

東丈を慕う可憐な娘は、やがて彼を呪う魔女へと変貌してゆく。怖い怖い女の妄執。しかし、この問題は(ワタシの記憶が正しければ)後期ゆるふわひらりんの第三次幻魔大戦でもついに触れることはありませんでした。そのことそのものが、久保陽子問題の難しさ、闇の深さを物語っているように思えてなりません。


Re: 久保陽子が「幻魔」を変えた! 〜真幻魔大戦「スリーピング・ビューティー」 - Name: DONDEN No.1547 - 2017/12/29(Fri) 19:06:13
この件で一点指摘しておきますと、旧デジタル版の『幻魔大戦』4巻コメントに、以下のものがあります。

東丈が中学生時代に、三島由紀夫ばりの習作を書いた、ということから真幻魔大戦においての青年作家東丈が存在することになった。才能はどの程度あったのか、定かではない。たぶんカルト作家ではなかっただろうか。

これを読むと実際の執筆での初登場は、無印が先の可能性もあるのではないでしょうか。
ただ4巻の久保陽子の諸々の描写(家系的にヤバ目な能力持ちで母親は某宗教団体所属など)の詳細さからすると、これは登場の後先云々というより、最初から“魔女化”して対峙する構想があって幻魔宇宙に投入された人物だったのでは、とも思います。
その辺は4巻限りの“トンカチの郁江”という井沢郁江のあだ名が、後から読み返すと少々浮いた印象なのと対称的です。

あと“魔女のカルマ”について新幻魔大戦のシルヴァーナとの関連を匂わせたことも、どこかの後書き(全集か?)で書いていたような覚えもあるのですが…


Re: 久保陽子が「幻魔」を変えた! 〜真幻魔大戦「スリーピング・ビューティー」 - Name: カナメ No.1548 - 2017/12/31(Sun) 13:56:47
>おかもとさん
トリオ・ザ・ヨーコさんですね。なんかヨーコさんにうらみでもあったんでしょうかね。

>DONDENさん
貴重なご指摘、ありがとうございます!
実際の執筆時期は闇の中だと思っていたのですが、こういう明確な根拠は気持ちがいいですね。
ワタシも旧版の電子書籍を確かめました。いい子ぶってあんなことを云いましたが、やはり新版電子書籍であとがき+コメントコンプリートをやめたことについては、e文庫のなかのひとにおうらみ申し上げたい。

久保陽子が『真幻魔大戦』にも再登場することで、安堵した読者も多いようですが、ここでも彼女は淫霊幻魔に捕らえられてしまう。
『幻魔大戦 第三集』(徳間書店) 東丈の失踪 あとがきIII


ちょうど帰省してまして、蔵書を読み返していましたら、こんな記述も見つけました。
無印幻魔大戦4巻パートの執筆が、真幻魔大戦・青年東丈の登場に先行していたとすると、“クェーサー”も“ジョン・カトー”も無印幻魔大戦発である可能性が高そうです。
そうなると、無印幻魔大戦がザメディ戦以降、ああいう舵を切ったのは、まさに言霊使いとしての直観とでも云うほかなそうですなあ。


あとがきコンプリートをやめた理由について考えてみる - Name: カナメ No.1544 - 2017/12/17(Sun) 01:04:43
狼の怨歌かレクイエムか
 読者からしばしば質問が寄せられ、「怨歌」は「おんか」と読むのか、それとも「えんか」と読むのか教えて欲しいと頼まれますが、実は「レクイエム」なのです。
 とにかく最初は『狼の怨歌』にはレクイエムとルビがしっかり振られておりました。それが何の手違いか、実際に本になった時、ルビが脱落してしまっていたのです。ですから、『狼の紋章』の最初の版、ハヤカワ文庫版では「紋章」にエンブレムとルビが付いています。後の版では削られてしまいましたが、当時の作者の構想では、エンブレム、レクイエムと題名に凝ったつもりだったのです。
〈1985年10月 徳間書店版あとがき〉


はっ、と気が付いて、e文庫が以前に販売していたeブック『狼の怨歌』を開いたらありましたよ。
残念ながら、現在購入可能な電子書籍には収録されていません。ワタシら病的マニアに云わせれば、全部載っけりゃいいんだよ、てなもんですが、e文庫の中のひとの意図を推し量れば、これからはじめて平井和正の作品に触れる読者とか、より広いマーケットを視野に入れてのことかもしれません。
なにしろ、トクマノベルズ版のあとがきがヤバすぎる(笑)。もちろん、そういうところも込みで平井和正だということは、ワタシはよくわきまえておりますが、そういう読者ばかりではないですからね。

出版社を替え、さらに判型を替えた新刊本に書き下ろされるあとがきは、その作品のあとがきを逸脱して、すでに読んでいるのに、買っているのに、それでも付き合ってくれる読者に対するサービスの意味合いが濃い。その極めつけが、電撃文庫版『月光魔術團』に収録されたリアル犬神明インタビューで、もはや作品とは――犬神明つながりというわずかな接点を除き――なんの関係もない。当然、現行の電子書籍にも収録されていません。事情を知らない読者がみたら、なんじゃこりゃですよ。
あとがきも作品の一部、と考えるなら、あまり書かれた年代が小説とはへだたっているそれは、違和感をもたらすかもしれません。そういったところの考慮、配慮なんだろうなと憶測することで、自らの不満をなだめることにします。

マニアはその時代に出た本を頑張って手に入れるなり、大事に持っておけということでしょう。それでも、そうした平井和正の非・小説のエッセイ、あとがき、雑文をまとめてeブックにしてほしいと願っています。ワタシは小説や原作漫画だけを愉しむタイプの読者にはなれない。人生もひっくるめて作品というタイプのアーティストはいて、平井和正はその典型のひとりだと思っています。平井和正のそういうところをスルーするなんて、なんて勿体ないと思う。矢沢永吉のレコードだけ聴いてるようなもんですよ。

で、話が後ろ前になりました。これを書くことになった、そもそものきっかけは、狼の怨歌【レクイエム】[新版]が早川書房から出るからです。狼の紋章【エンブレム】〔新版〕とともに1月6日開催の生?ョ範義展でも先行販売されるそうですよ。
http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013792/


破滅世界に月はあるのか - Name: 細かいことが気になる幻魔大戦ジプシー No.1541 - 2017/08/27(Sun) 23:06:37
ふと気になりました。
真幻魔大戦第三部の破滅世界に月はあるのでしょうか。
PDF化した真幻魔大戦を検索したところ、
次のような表現が見つかりました。

真幻魔大戦(徳間文庫版)15不死身の戦士
ラチル 1 126P
-------------------------------------ココカラ-----------------------------------
「この世界は、わたしたちの出てきた世界とどんな関係があるの?時間的にいって未来?それとも過去?」
「僕にはわからない。全く見慣れない世界だということは確かだ。クロノス、君は気付いたかい?
星が……星座が全く見慣れない姿をしているんだ。僕は天文少年じゃなかったから、確かなことはいえないが、
少くとも僕が知っている星座は全然ない。ここが北半球なのか南半球なのか、それすらもわからない……」
ドナーの指摘につられて、クロノスは頭上の夜空を仰いだ。月のない暗い夜空には、おびただしい星群が瞬いているが、ドナーのいった通りであった。
-------------------------------------ココマデ-----------------------------------

確かに月という天体があるという描写は出てきませんでした。
しかし、

真幻魔大戦(徳間文庫版)16犬の帝国
犬の法廷 2 96P
-------------------------------------ココカラ-----------------------------------
ゾードは至って低姿勢だった。卑屈な表情が体全体にべったりと脂のように樛み出している。
「いとの月、第三の岩の日の夜、ビダブャ村の西南一セクに、この三人の"異種"が現われました……」
鹿人間は無感動な声音で証言した。
-------------------------------------ココマデ-----------------------------------


真幻魔大戦(徳間文庫版)17幻魔書
非常警報 10 246P
-------------------------------------ココカラ-----------------------------------
猫又のやつばらは、先月へフスイが蹴散らしたばかりではないか。
-------------------------------------ココマデ-----------------------------------


真幻魔大戦(徳間文庫版)18黄金の獣神
魔神目覚める 2 65P
-------------------------------------ココカラ-----------------------------------
月に一度は敵兵を切り刻まないと、血が頭のてつぺんに集まって焦げ臭くなるんだといってた。
-------------------------------------ココマデ-----------------------------------

暦としての月の単位はあるようです。
神話前夜の章にも妊娠むつき(6か月)でランのお腹の赤ん坊(ダー)をジンが引き出してしまったというセリフがあります。

1年は太陽の動きでわかるとして、月という天体がないのに、どうやって一月を数えることができるのでしょうか。
まあ、確かにミリミリと泥臭く日の入りと日の出を数えれば、一月経ったとかわかることはわかります。
犬の帝国は高度な文明を持っているようなので少なくともわかるのかもしれません。

うーん、しかし、8月25日に配信された幻魔大戦Rebirth 第38話 「幻魔領域?Z」のラストには驚かされました。


Re: 破滅世界に月はあるのか - Name: みずうみ No.1542 - 2017/08/29(Tue) 01:46:32
無粋な突っ込みを一つ。
破滅世界の連中って我々が知ってる言語を話しているのでしょうか?
「月」って書いてありますけど、平井先生が適当に訳してるだけかもしれませんよ(邪悪な笑)。

この間のRebirthのラストについては、平井先生もあれをねらって第三部を書いてたという説を見たことがあります(そこまで行き着きませんでしたが)。


Re: 破滅世界に月はあるのか - Name: 幻魔大戦ジプシー No.1543 - 2017/10/12(Thu) 01:34:37
ごめんなさい。私が間違っていました。7巻収録のエピソードもあと3話みたいですが、年を越すと新章突入ですかね(来年のことを言うと鬼が笑うと言いますが)。
せめて、真幻魔大戦第三部のラストの続きのダイジェストとか、もうちょっと込み入った結末を読みたいです。


安彦先生が描くんなら「クラッシャージョウ THE ORIGIN」になるんでしょうけどね。 〜クラジョウ&幻魔リツイート - Name: カナメ No.1540 - 2017/08/26(Sat) 20:12:16
> 七月鏡一 @JULY_MIRROR
> REBIRTHか。「クラッシャージョウ」もREBIRTHなのか。もう日本SF-REBIRTH協会を設立するしかないのか。

https://twitter.com/JULY_MIRROR/status/900869714099937280
クラジョウもREBIRTH。サイボーグにお姫様、チビガキ、そしてジョウ。メンバー構成はまさに幻魔大戦と兄弟だ。

『幻魔大戦』を読み直している。究極の軍人に、究極のお嬢様(お姫様)、究極の悪ガキに、究極の中二病! 地球を護るエスパー戦団のガタガタぶりが面白すぎる。クラッシャージョウの四人組もメンバー構成は似ているが、これに比べれば遥かに仲良しグループだ。

エスパー戦団の不和はとりもなおさず、地球人類の不和の雛型でもある。けれど、そこから出発するからこそ、能力をなくしたルーナ姫が故国へ帰るジェットを、空飛ぶ丈とベガとその背に乗ったサンボが見送るシーンは涙が出るほど感動的だ。ああ、平井和正の文筆でこのシーンを読みたい!
(初出 Twitter 一部改稿しました。)


お前はまだゲンマを知らない〜第二次幻魔大戦再読の旅・準備運動 - Name: カナメ No.1534 - 2017/08/11(Fri) 09:28:10
告白すると「A5のステーキ」という言葉を初めて耳にしたとき「デカいな」と思ってしまいました。いや、サイズじゃないから。犬神明(アダルト)ならペロリと平らげるどころか、「できればA4にしてくれ」とか云いそうですが。同じような勘違いで、夏目漱石の『三四郎』を「コイツはいつになったら柔道をやるんだ?」と思いながら読んでいたことも。いや、姿三四郎じゃないから。ていうか、『姿三四郎』も小説だし。小説に小説の原作は、普通ないから。

身を切った恥ずかしエピソードを枕にしたのは、小説のノベライズ、すなわち小説を小説としてリライトすることについて考えてみたかったからです。栗本薫亡き後も「グイン・サーガ」の続編が書き継がれてのいるように、もし才能豊かな作家が小説『幻魔大戦』――いわゆる無印幻魔を小説としてリライトするなら、1〜3巻のコミック版展開を抜きにして、はじめからGENKENストーリーとして書いてほしい、そんな願望を抱いています。

小説『幻魔大戦』に1〜3巻は不要と云ったことがあります( 1 , 2 )。その理由の一つは、シリーズにはコミック版が存在し、多宇宙のひとつとして認められているからです。
小説『幻魔大戦』はコミック版の小説化を企図して執筆が始まりました。新幻魔の世界を起点に生まれ、真幻魔とデュオをなし、そして滅びた「もう一方の世界」として。それがそもそもの青写真でした。しかし、物語は当初の構想・軌道を外れ、コミック版とは似ても似つかない様相を呈することになります。“小説版”ではなく、“別の物語”になってしまった。結果論ですが、ならば最初からGENKENストーリーでよかったはずなのです。

そのほうが物語として、ずっとスリリングだったでしょう。想像してみてください。物語に幻魔が登場せず、東丈が超絶PKを発動することもなく、ひたすら地道に幻魔の脅威を説く活動に従事している、そんな小説を。
「口ではうまいこと云ってるが、コイツは本当に超能力者なのか?」
「幻魔なんて本当にいるのか?」
作中のGENKEN会員同様、そんな疑念を読者も抱かざるを得ないとしたら? 発言や立ち振る舞いから感じ取れる人格だけで、田崎宏や平山圭子のように、東丈を信じることができるのか? 宗教団体小説としては、そのほうがずっとミステリアスです。
読者は神の目線で、真実を知っています。幻魔は実在し、地球に尖兵が送り込まれていることを。東丈が空を飛び、山をも動かす超絶サイキックであることを。それはコミック版展開があるからです。だからこそ不要であるどころか、かえって邪魔であるとさえワタシは思うのです。それが理由の二つ目です。

コミック版展開に軸足をおいて4巻以降を読めば、地味で辛気臭く、おれが読みたいのはこんな話じゃない、ということになるでしょう。逆に4巻以降に軸足をおいて1〜3巻を振り返ると、こんなマンガみたいな(事実そうだったのだから仕方ないのですが)パートいらないよな、ということになります。つまるところ、両者は性質として全く別の作品なのです。
性質的に全く別の作品が、ひとつの作品として無理くりくっついたキメラになってしまっているところが、小説『幻魔大戦』の異様さであり不幸です。

これは本当に同じ小説なのかと思わずにはいられない、まるで「トリコ」が「クッキングパパ」に替わってしまったかのような大転換! アダルト・ヤング両ウルフガイでも、同じような質的シフトはありました。しかし、アダルトでは執筆のさなかに作者自身の人生観の変化があり、ヤングでは執筆時期に懸隔がありました。同じ精神的ステージにあって、連続して書いた小説がこれほどに変貌を遂げた例は、平井和正史でも小説『幻魔大戦』をおいてありません。

3巻までと4巻以降がいかに小説として互いに異物であるか。それはたとえばこんな想像をすれば明らかです。

■もしもシリーズ もしもGENKENにベガがいたら――?

――平山ビルGENKEN事務局
圭子「大変ですっ、郁江さんが暴力団に連れていかれました!」
ベガ「私がいこう」

――塚田組事務所
暴力団員A「なんだ、テメェは?」
暴力団員B「CENSOREDぞ、コラァ!」
ベガ「空間干渉波!!!」

――こうして塚田組は壊滅した。
郁江「ダメだこりゃ」


GENKENストーリーの物語空間は、それこそ「サザエさん」並みに≪日常≫そのもので、ベガのような非現実の存在を受け付けません。これは幻魔シリーズ全体を見渡すと異色です。
「無印」と称されることが示すように、小説『幻魔大戦』はシリーズの元祖であり、本家です。おそらく、何の注釈もなく「幻魔大戦」と告げられたとき思い浮かべるのは、小説『幻魔大戦』であるはずです。たとえば、「妄想幻魔大戦」といった造語に込められた「幻魔大戦」のニュアンスは、おどろおどろしくもドキュメンタリー感に満ちた、小説『幻魔大戦』のそれに違いありません。しかし、その大きなウェイトと占めるGENKENストーリーこそ、実は毛色の違う異分子なのです。

それどころか、これほどに日常的フレームに収まった作品は、平井和正作品全体を見渡しても類を見ません。人の感情の襞をビビッドに描く大衆小説的作風で、SF界から異端視される作家ではありますが、そのくせ、純然たる非SF作品を書いたことは数えるほどしかありません。GENKENストーリーは設定さえなければ、ほとんど宗教教団の内幕を描いた非SFです。なにしろ4巻以降、人死にの一件も起きてはいないのです。人類の存亡を懸けたハルマゲドン・ストーリーであるにも関わらず。

先程1〜3巻は不要と云いましたが、それはワタシの真意としては正確ではありません。やはりコミック幻魔の小説版はほしい。というか読みたい。小説『新幻魔大戦』は劇画ノベル『新幻魔大戦』の原作小説そのものですが、小説『幻魔大戦』もコミック『幻魔大戦』の原作小説をそのまま上梓すればよかったのではないか。そのうえで、それとはまた別の作品としてGENKENストーリーがあれば、とてもスッキリするのにと思うのですけどね。ワタシは平井和正ほど大らかな性格ではないので、どうもそういうところは、のどに刺さった魚の小骨のように気になってならず、そんな埒もない夢想、妄想をふくらませずにはいられないのです。

タイトルも変える。「お前はまだゲンマを知らない」というのは冗談ですが、それこそはじめから「ハルマゲドン」でもいい。
極論を云えば、幻魔大戦でなくてもいい。そんな設定すら要らない。心清らかにして高い理想を抱く若者たちが、集い、頑張り、ぶつかり合い、別れ、そして堕落してゆく。そんな宗教根性青春ストーリーでいい。
さすがに、そこまでいってしまったら「ほかをあたってくれよ」ってことになりますね。自己の抱える文学的悩みをストレートに「文学」にはせず、SFという形式によって客体化して語ってきたのは、平井和正の作家性のまさに根本に関わる部分でしょうから。

とまれ、百弁は一読にしかず。かねてより予告していましたが、(小説)『幻魔大戦』と『真幻魔大戦』を発表順に読んでいきます。GENKENストーリーはことさら幻魔シリーズの一部として語られる必要性はなかったのか、それとも真幻魔とリンクし、相照らし合うからこその味わい、必然性が十二分にあるのか、確かめることもできるでしょう。
『幻魔大戦』『ハルマゲドン』全20巻+全3巻、『真幻魔大戦』全15巻、『ハルマゲドンの少女』全3巻、アダルトウルフ再読の旅よりも遥かに長い道のりになりそうですが、これからはじまる第二次幻魔大戦再読の旅に気長にお付き合いください。


Re: お前はまだゲンマを知らない〜第二次幻魔大戦再読の旅・序走 - Name: 名無しの平井ファン No.1535 - 2017/08/12(Sat) 02:16:47
無印は通して5回は読んでいるのですが、4巻以降誰も死んでいないというのは意外な指摘でした。確かに怪我人や病人はいても死人は出てませんね。平井和正にとって通常運行といえる「真幻魔」で飛鳥編以降どんどん死体の山が出来上がっていくのと対照的です。


Re: お前はまだゲンマを知らない〜第二次幻魔大戦再読の旅・序走 - Name: ニワカ平井和正読者の幻魔大戦ジプシー No.1536 - 2017/08/12(Sat) 12:14:41
私は確か1990年頃に角川映画をテレビでみてコミック版の1巻を読んで1992年にコミック版の2巻1993年に新幻魔大戦(徳間アニメージュコミック)2巻を読みました。
1993年の11月の祝日前に本屋に置いてあった緑の背表紙の幻魔大戦17,18巻を買うまでずっと、緑の背表紙の本はコミック版幻魔大戦の原作小説なのだと思い込んでいました。
秋田コミック2巻分の内容は、流石に20巻分の内容がすべて書かれていないだろうから、小説には月が落ち着てきた後の話が読めるのだろうと予想していました。
その期待を抱えて、17巻を読んだ時の違和感(杉村由紀が江頭に襲われるという真や砲台山にリンクするシーン),
18巻を読んだ時の更なる違和感(話が全然進まない・・・)。
もしタイムリープができるならば、昔の自分に幻魔大戦Rebirthを持っていてあげて、「おまえそれ読まんでええから、こっち読むほうがええで」と教えてあげたいです。
その後色々調べていくうちに改竄事件で干されて活躍の場を得るのに苦労した事とか、
某宗教団体のルーツに当たるらしいGLAの女教祖を信じてしまって自分の仕事そっちのけでゴーストライターまでやっていたことを知って、何かと合点がいくわけですが・・・

マーケティング的な観点で幻魔大戦の大きな欠点を挙げるとすると、後世の読者がシリーズをどの順番で読めばよいかが、タイトル見てわからないことなんですよね。。。

私1994年に隣の市の古本屋で徳間書店の漫画雑誌リュウVol2(e文庫の真幻魔大戦第2巻の後書き)とSFアドベンチャームック平井和正の幻魔宇宙を入手したり、
図書館でリム出版の平井和正全集などを読んだりして、
1971〜1974にどういう構想で新幻魔大戦(講談社の新幻魔大戦全2巻を購入すると幻魔大戦・抄がおまけで付いてくる)を書き、
1979年にそもそもどういうつもりで真幻魔大戦として幻魔大戦を再開したのか知る訳ですが、
その辺の話は今後、このサイトで触れられていくのだと思います。
あと幻魔大戦17,18巻を読んだ時の違和感の一つに、東丈の過去世が由井正雪という設定があります。
私は新幻魔大戦を読んで、「山本千之介が生まれ変わって東丈になるんだろうなぁ」と予想していたので、その辺ちょっと違和感ありましたが、
真で新幻魔大戦の主人公が本郷猛/ジョナサン・ジョースターのごとく先輩主人公として登場し東丈を導くのを読んで、
色々あって設定を変更したのかなと思いました。

私、前から思っているんですよ、幻魔大戦って、ちょっと評価というか知名度が低すぎると。仕方がないと言えば仕方がないのですが。
でも、石ノ森章太郎作品として振り返るとミュータントサブや怪人同盟などの石ノ森超能力者萬画の集大成になる作品です。
やはり石ノ森漫画としても幻魔大戦Rebirthはちゃんと完結させてほしいです。
来年の2018年1月6日 (土) 〜 2018年2月4日 (日)は東京・上野の森美術館で生?ョ範義 展が開催されるわけですが、
我々の世代で生?ョ範義の名前を知らなくても生?ョ範義の作品を知らない人はいないと思うから、
結構人が来て生?ョ範義の名前が再認識される良い機会になるのではないかと思います。
そのついでに幻魔大戦も再注目されて、アニメ化とかされるといいなーと思っている次第であります。
EDは切なさと希望を込めて歌える歌唱力の高いにDivaによる仮面ライダーBlackのエンディング主題歌 Long Long Ago, 20th Centuryで。


Re: お前はまだゲンマを知らない〜第二次幻魔大戦再読の旅・準備運動 - Name: カナメ No.1537 - 2017/08/17(Thu) 23:38:12
いまさらですが「序走」ってさむいなと思いましたので替えました。その前に元のタイトルでコメントがついちゃってるんでバレバレですけどね。
アニメ映画『幻魔大戦』を観たのは、小説全20巻をほぼ読み終えたあとでしたが、観る前から情報は耳に入ってきますので、いつになったらタオやアサンシは出てくるのかなと思いながら読んでいたと記憶しています。
それも生頼範義の表紙サギとも云える10巻を読み終えるまででしたけどね。その頃には、ああこれはこういう話なんだなと悟りというか、あきらめがついてしまいました。
ついでに云うと『黄金の少女』でも、似たような体験を味わいました。SFアドベンチャー誌での連載を読みながら「もうとっくに単行本一冊分は超えてるよな。いつまでこんな調子で続いていくのかな?」と毎月戸惑ってましたね。ええ、最後まであんな調子だったんですけどね。


Re: お前はまだゲンマを知らない〜第二次幻魔大戦再読の旅・準備運動 - Name: keep9 No.1539 - 2017/08/25(Fri) 08:23:10
ほんとにどうでもいい情報を書いておくと、昭和時代のフジテレビ日生ファミリースペシャルでアニメ「姿三四郎」をやったとき、脇役に「金之助くん」というオリジナルキャラが登場し、物語が全て終了した後に、「彼はこの後小説家になり、名作『三四郎』を書きました」なんてナレーションが流れました。実際に漱石の「三四郎」が「姿」ではなく「小川」であることを知ったのは中学3年生になってから……。


女神の時代リツイート - Name: カナメ No.1538 - 2017/08/18(Fri) 01:31:26
『高橋留美子の優しい世界』読了。天使時代の厳格プラトニズムに風穴を空けた“おもしろユートピア”という開眼。その後のボヘガラ、月光魔術團、アブダクション、そして第三次幻魔大戦に至る「ゆるふわひらりん」の萌芽がここにあった!
(初出 Twitter)


「ガマンできないマンガ」リツイート&あなただけにこっそり教える耳寄り情報 - Name: カナメ No.1533 - 2017/06/30(Fri) 01:44:12
モーニング今週発売号の『「ガマンできないマンガ」教えます!』は黒田硫黄氏による8マン! ある意味永久保存版。Kindle版も買っておこうかな。
https://twitter.com/tkaname/status/880360112463818752

以上はツイッターの再掲。
ここから先は、モーニングが店頭に並んでいる間は、ここでこっそりつぶやいておきます。
実はモーニング2017年31号のKindle版は、店頭販売されているものとは表紙が違います。
アマゾンに飛んでもらえればわかりますが、右の宇宙兄弟の表紙がKindle版、左のレベレーションの表紙が店頭販売の雑誌。
なぜ、こうなっているのか。それは山岸涼子の漫画がKindle版には収録されていないからなのですね。こういう電子版にはカットされている内容があるのって、スケベな袋とじグラビアがある男性雑誌だけじゃなかったんですね。タブレット端末を買ったら、電子版で購読しようかと思ってましたが、そうとばかりも云ってられませんね。気をつけなければ。

そして、このことで何が起きたかと云えば、山岸涼子のレベレーションの次に掲載されていた黒田硫黄の『「ガマンできないマンガ」教えます!』がKindle版の巻頭にポジショニングされ、アマゾンのなか見!検索やKindleの無料サンプルで、しっかり読めちゃうのですよ! さすが南無8マン大菩薩、持ってますねえ。

■モーニング 2017年31号 [2017年6月29日発売] [雑誌] Kindle版
https://www.amazon.co.jp/dp/B073B184CD/

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