| 今週は驚きました。いえ、驚いたというより衝撃でした。 それもストーリーに衝撃を受けた訳ではありません。扉絵の右下の文字を見て愕然としました。
−1994年10月連載開始以来11年。巨大活劇『蒼天航路』, 完結までこれより3回!−
た、たった3回...。今週除けばあと2回ということになります。
そ、それはいくら何でも早過ぎなんじゃないでしょうか!? だって今週まだ関羽は死んでないんですよ!来週も関羽の死が描かれるとなれば、「曹操の死」は、長くても1話半、短ければ1話でしか語られないということになります!! 「関羽の死」をこんなに時間をかけて延々とやっておいて、「主人公の死」に2話もかけないってのはどーなんでしょう!?それじゃ、関羽の死ばっかり目立って、主人公の死がしょぼくなりませんでしょうか!? そして主人公の死がしょぼくなれば、この蒼天航路という作品の終わり方自体がしょぼくなるということになります。そ、それだけは絶対避けて頂きたいです!!
蒼天航路の終了が近いことは、重々承知していました。大ファンである管理人は「終わって欲しくない」という気持ちは強いです。でも、今回の管理人の願いは「終わって欲しくない」という我侭からくるのではなく、「呆気ない終わり方はして欲しくない」という切望からきております。
「巨大活劇」である蒼天航路。無数の群雄が色とりどりに描かれ、それがこの巨大活劇を魅力的にしていたのは確かです。でも、やはり主人公は曹孟徳その人です。グランドフィナーレを迎えるに当たり、関羽の死の直後に「曹操の死」が1話程度で終わるってのは無いんじゃないでしょうか! それなりのエピソードを絡めて、エンディングに相応しい話が来なくては!!
講談社編集の方にも訴えたいです。単行本36巻で終わらせる為には、あと3話ぐらいが限度なのかもしれません。でも、こうなったら、35巻と36巻が各13話ぐらいになってもいいじゃないスか!! もし、定価540円が700円ぐらいになったって皆 絶対買いますって!!
では、狼狽しつつも、今週のレビュー開始させて頂きます。
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No.12551 - 2005/10/30(Sun) 23:55:15
| ☆ 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / TATSU@管理人 [関東] | | | | 【STORY】
阿幢は関羽の肩に喰らいついた。 同時に蒋欽の矛は、関羽の胴を斬り裂いた。
咆哮する関羽。 次の瞬間、関羽は驚くべき膂力で阿幢を持ち上げると、体ごと蒋欽に叩きつけた。 大地を震わせ3人の男は地面に激突した。
***************
呉兵達は呆然と事態を見守っていた。 やがて、関羽がゆっくりと体を起こした。その体には瀕死の阿幢が噛り付いていた。 蒋欽は絶命していた。阿幢の体を貫いた青龍刀は、蒋欽の背中に突き刺っていたのである。 「名は?」 関羽が静かに尋ねた。だが阿幢がその問いに答えることは無かった。
その時、戦場に呂蒙の本軍が到着した。 呂蒙は、潘璋軍が関羽を捕らえたことを知り、同時に眼前の惨状に息を呑んだ。
***************
関羽が、阿幢に喰らい付かれたまま立ち上がった。呉兵に動揺が走り、潘璋は弓兵に前に出るよう号令した。屹立する関羽。だが傷口からは鮮血が噴き出し、歩くことも侭ならなかった。
下馬した呂蒙は潘璋に労いの言葉をかけ、司令官として関羽と話をすべく歩を進めた。 呂蒙は考えていた。臣はいかなる場合でも主君の天下の道を逸れてはならず、関羽は自らの情意を抑え 孫呉との同盟の修復に努め、魏との戦を続けるべきであった。呂蒙は関羽を睨み独白した。
−それともたった一人で、我らを皆殺せると、馬鹿げた夢想でも抱いたか!−
呂蒙は腰の剣を抜いた。自分の天命を見誤り、道理を切り捨てた者と交わす言葉など無い、と呂蒙は考えを改めていた。孫皎の、蒋欽の、そして死んでいった数多(あまた)の兵士の報いを関羽は受けるべきであった。
剣を振り上げる呂蒙。その時、ふいに現れた孫権が 呂蒙を背後から抑えつけた。 「なんじゃ、この鼻血は?」 孫権は尋ねていた。呂蒙は鼻腔から大量の血を噴き出していたのである。呂蒙は自分の能力の無さを孫権に詫びた。“関羽にまだ折衝の余地あり”そう推し量っていたのは自分であり、その為、孫皎や蒋欽の命を失うこととなったと。 「いや、ようやった。 充分じゃ。」 孫権はそう答えると呂蒙の手から剣を取った。呉の主(あるじ)は廻りを見渡した。敵将を捕まえたにも拘わらず雰囲気は重苦しかった。
関羽にしがみ付いている男は誰なのか、と孫権は尋ねた。丁奉が慌てて阿幢の名を告げた。孫権は答えた。それは名ではあるまい、と。 阿幢はその場で“馬忠”と命名された。 褒美は特等じゃ。そう告げると孫権は、剣を片手に関羽に近づいた。
***************
「孫仲謀は、」 関羽が言葉を発した。 「ときに義を棄て、信を晦(くら)まし、また敵の王に忠を偽る。」 関羽の静かなる誹謗に、孫権が答えた。 「呉は、わが家(や)じゃ。」 呉(いえ)の為なら、天下の謗りや、歴史の汚名も厭わないのか、と関羽は問うた。孫権は答えた。呉に生きる者は皆、自分の親であり、子供であり、兄弟である。自分は皆を背負って天下に対していくのだ。と。 その言葉に、孫仲謀がどういう男であるか関羽は知った。
「皆皆よ。」 孫権は廻りの呉兵達に告げた。 「この剣とともに、」 呉の主は、関羽に向かい剣を振り上げた。 「心に入り込んだ関羽を斬れい!」
【REVIEW】
■獣ではなかった!
阿幢は関羽の肩に喰らいつき、蒋欽の一撃は関羽の馬の首を吹き飛ばしていました。
この“関羽の馬”。先週のレスでも話題になってましたが、かなり活躍してましたよね。 先週に遡って見てみますと、潘璋が関羽の一撃をギリギリでかわした直後に、潘璋の馬に頭突きして人馬ごと転倒させてました。次に関羽に阿幢が飛びつき身動きがとれなくなった時、棹立ちになって蒋欽の攻撃を避けようとしてました。 結果、身をを挺して関羽を守ったことになります。
凄いです。関羽が曹仁の前に現れた時から、かなり特徴的な馬だとは思いましたし、関羽と一緒に昼寝したりして人馬一体ぶりをみせてましたが、ここまで献身的とは思いませんでした。蒼天呂布が首切っちゃいましたから、三国志演義みたいに「呂布から赤兎を受け継いでいた。」って訳にはいかないですが、この馬は赤兎の血を引いていたり...それじゃ北方三国志か!
■うおおおお!
関羽は雄叫びとともに、阿幢の体を蒋欽に叩き付けました。これまた凄まじい攻撃です。一瞬、蒋欽は阿幢の体重に押し潰されて死んだのかと思いましたが、よく見ると阿幢の体を貫いていた青龍刀が、蒋欽の背中に突き刺さってました。蒋欽は串刺しになって死んだのですね。武がどうこう言ってた割には、やや呆気ない感もありますが、圧死よりマシかもしれません。ましてや夢の中で断頭されたままより遥かに華やかな死に様です。
■なんという惨状だ。
呂蒙が現れました。なんか“遅れて登場”って感じですが、考えてみれば呂蒙は総司令官ですから、後方(本営)にいるのは当然ですし、結果、遅れて着くのは止む無しなのかもしれません。いや寧ろ、当初計画通り「先陣は私がゆく。」なんて行動してたら、呂蒙は怒涛の関羽の攻撃に首斬られてたかもしれません。そういう意味では、孫皎は身を挺して呂蒙を守ったことになるのかも(管理人は孫皎贔屓ですから)。
■「その前に、司令官として関羽に話がある。」
何を話そうとしていたのでしょう? それは、将(司令官)として、敵将(敵司令官)に此度の合戦(戦略)について問うことでした。呂蒙のこの後の独白を意訳してみます。 『 司令官は、いかなる時にも国家の戦略から逸脱する事があってはいけない。つまり関羽は、個人的感情を抑え、呉との同盟の修復に当たり、魏との戦争を継続すべきではなかったのか? 』 つまり呂蒙は、“呉司令官”として、蜀の“荊州司令官”に、それを問いたかったのだと思います。 以前、管理人は<使者 書状を読上げてのち曰く>の章でこう書きました。
人の本拠を強奪しておきながら、抜け抜けとそのまま魏を攻め続けろと要求しています。普通であれば舐めるのもいい加減にしろ!と一蹴されるところです。ただこの要請の凄まじいところは、それを行なえば呉は関羽軍を支援する、即ち『蜀・呉の連合軍 VS 魏』という形勢は崩さないと約しているところです。
つまり、孫権は関羽に二者択一を迫っている事になります。このまま完全包囲され5,000の兵で65,000の兵と戦い、戦場に屍(しかばね)を晒すのか、或いは北に戻り、蜀呉同盟のもと呉軍の支援を受けつつ魏と戦闘を再開するのか...。 穿った見方をすれば、孫権は関羽軍の主目的は“北上する劉備本隊を支援するべく、できるだけ多くの魏軍を引き付けておく”ということを見抜いているのかもしれません。その観点からすれば、『 江陵で殲滅されてしまう 』 のか、『 呉の支援を受けて魏との戦闘を再開する 』 のか、どちらが劉備軍の北上を容易にするかは明白です。
この倣岸不遜な要求に、望楼の3人は沈黙していました。即座に「ふざけるな!」と拒絶しなかったのは、上記“二者択一”という状況が3人の頭を掠めたからかもしれません。 あまりにも人を食った要求ではあるが、現実的に考えれば真っ向拒否も出来ない。実に練った外交のようにも思えます。孫権サイドからすれば、関羽が要求を蹴れば、このまま殲滅し江陵・公安は完全掌握できます(ただし蜀を敵に回すというデメリットはありますが)。逆に関羽が要求を呑み、蜀呉同盟が修復できれば、自分の兵力を使用せずに荊州における魏の勢力を駆逐できます。
この策謀は誰が考えたんでしょう?管理人の個人的憶測を言わせて頂けば、呂蒙じゃないような気がするんですよね。あくまで呂蒙は関羽との正面対決を前提に軍を展開していた。ではこのような老獪にして欺瞞に満ちた外交を考えたのは誰か....蒼天張昭その人ではないでしょうか!?
はずれました。 張昭ではなく、やはり呂蒙でした。 これはちょっと意外でした。此度、怜悧なリアリストと判明した陸遜の考案した戦略ならばまだ分かるのですが、呂蒙の外交とは思いませんでした。更に次の呂蒙の独白を考えてみましょう。
■それとも、たった一人で我らを皆殺せると、ばかげた夢想を抱いたか!関羽!
呂蒙は関羽を睨み付けていました。ここですね。 呂蒙は、孫呉の要請が、関羽にとって許し難いものであることは重々承知していた。でも、それを拒否するということは、関羽に“勝算”があるという事でなくてはならず、もしそのような“勝算”が存在するとすれば「一人で呉兵を皆殺しにできる」というような馬鹿げた“夢想”しか有りえない。 司令官であれば、そのような選択をしてはいけない。いや、司令官としてそのような選択をすることがあってはならない。呂蒙はそう考えていたのではないでしょうか? 現実を考えれば、全兵士を預かる司令官はそのような選択を絶対しない。と。
呂蒙は以前、劉備に蜀を先取りされたことに対し、涙を溜めて孫権に告げていました。 「億の単位で周瑜殿に及ばぬ自分が、腹立たしくてなりませぬ。」 思うに、この時から呂蒙はずっと、「司令官はどうあるべきか」「司令官はどう行動すべきか」を己に問い、“最良の司令官”であるべく己を切磋してきたのではないでしょうか。
もう少し続けます。濡須での戦いの際も、潘璋が張昭にこう告げていました。 「愚直にも、夜ごと自らの眼で戦地を確かめて廻らねば気がすまず、布陣図ひとつ與地図ひとつを作るにも、いちいち書物と照らすため幾夜も費やせばなりません。 武技は未だ力任せのままで一向に洗練を見ず、あらゆる点で亡き周瑜殿には及びません。しかし、張昭殿。 例え呂蒙がいかなる愚策を描こうと、俺達は呂蒙と戦う。 この邪(よこしま)のない直向(ひたむき)さは、全幅の信と義を注ぎ込むに値する、我ら孫呉の司令官でござる。」
つまり呂蒙は“司令官”の職責を遂行するに対し、全身全霊を注ぎ込み、「司令官はどうあるべきか」「司令官はどう行動すべきか」「最良の司令官は何をすべきか。」を常に考え続けてきたのではないでしょうか。故に今回、およそ司令官とは思えぬ行動をとった関羽に、その事につき問いたかったのではないでしょうか。逆に言えば、その司令官の職責に対する 『 凄まじいまでの思い入れ 』 が呂蒙の誤算を生んだのかもしれません。
■貴様は朝日を浴びてはならぬ!
呂蒙が腰の剣を抜きながら独白していました。その前に、 「いや、己の天命を見誤り、道理を斬り捨てた者と交わす言葉はあるまい!」 と独白してましたから、関羽と会話を交わすのは止めたみたいです。
“己の天命を見誤り、道理を斬り捨てた者” 関羽の立場にたてば酷な言い方かもしれません。いや、関平が呂蒙の台詞を聞けば「勝手な事をほざくな!」と激昂するでしょう。でも、呂蒙の立場に立てばそうなるのかもしれません。 ――関羽軍は国境の食糧庫を強奪した。よって南郡の貸与は無効とし、公安・江陵は呉の領土に帰属する。関羽軍が引き続き魏との戦闘を続行するのであれば、同盟修復の意思ありとして、呉は後方より支援を行なう。
関羽サイドからすれば許し難い要請であるかもしれませんが、現実を考えれば、このまま寡兵の関羽軍が呉軍に突っ込めば全滅するのは明白です。どう転んでも南郡の奪還は不可能と判断すれば、ここは一旦、『 関羽軍の目的は、劉備軍の北上を容易にする為、できるだけ多くの魏軍を引きつけておく 』 という当初の大戦略に立ち返り、魏との戦闘を呉の協力を得て続行する。それが得策である。 それが「荊州司令官」としての関羽の立場である。「司令官」としてはそうせざるを得ない。いや、そうしなくてはならない。呂蒙はそう考えていたのではないでしょうか。
だが、関羽軍は圧倒的な兵力差にも拘わらず、孫呉の要求を拒否。呂蒙の予想に反して江陵奪還に向け南下を開始しました。結果、孫呉は甚大な被害を受け、同時に関羽軍も潰滅しました。それは呂蒙からすれば、おおいなる誤算であり、同時に、敵味方が出した大量の死傷者は、本来避け得たものでした。それが呂蒙には悔しく、また許し難いものであったのではないでしょうか。 貴様のせいで、孫皎や蒋欽はじめ数多の兵士が死に、同時に貴様の軍も潰滅した。貴様のCENSORED行為とも言える突撃で、死ぬ必要のない兵士が多数死んでいった。貴様は司令官失格だ。貴様の行為は天命を見誤り、道理を斬り捨てた行為だ。そう考え、呂蒙は関羽と言葉を交わすことを止めたのではないでしょうか。この呂蒙の憤怒が、鼻血を噴き出しながら関羽を斬り捨てようとした行為となって現れたのだと思います。
■「捕まえたというのに重苦しいのう。」
ふいに孫権が現れました。呂蒙本軍の後ろから、孫権及び親兵が追走していたのでしょうか? 鼻血を滴らせ、自分の読みの甘さを詫びる呂蒙に「いや、ようやった。充分じゃ。」と労(ねぎら)いの言葉をかけ、孫権は、呂蒙の刀を取り上げ、関羽に対峙します。
その時に、廻りの兵士たちを眺め、呟いたのが上記の台詞です。孫権、風格と余裕があります。他の呉兵が関羽の不死身ぶりに圧倒され、声を失っている時に、孫権だけ冷静かつ客観的です。確かに、多大の犠牲を払ったとは言え、あの関羽を捕らえた訳ですから、もっと誇って良いのかもしれません。主君である孫権は、自軍の兵士たちに誇りを取り戻させようとしていたのかもしれませんね。
■「それは名ではあるまい。知らんなら今、名づけい。」
丁奉が阿幢の名を告げた時に、孫権はこう答えました。何で阿幢というのが「名ではあるまい。」となるんでしょう? なんとその答えが欄外の「登場人物紹介」にありました。以下、転記します。
【阿幢(あとう)】「阿」とは愛称を表わす語。「幢」は子供、しもべを指す言葉で、少数民族の呼称でもある。
つまり、「阿」は「〜ちゃん」みたいなもんで、「阿幢」とは「少数民族ちゃん。」みたいな呼称だったんですね。確かにそれは名とは言えません。
慌てて丁奉は「ば、馬...」と阿幢の姓を考えますが、これは馬肉が好物だったからでしょうか。すかさず孫権が「馬忠」と名付けますが、これは「呉に忠実であった。」「忠義を以って関羽を捕らえた。」という意味合いが込められていたのでしょうかね。いずれにせよ「褒美は特等じゃ。」と孫権は告げてますから、「馬忠」という正式な姓名を付与するのも褒美の意味合いが込められていたのかもしれません。 なるほど、正史に2カ所しかない「馬忠」の記述に、欣太先生がイマジネーションを膨らませて、「阿幢」なる少数民族の名も無きキャラクターを誕生させたのですね。
阿幢、贈り名を「馬忠」...。無垢の心をもった獣人のように管理人は思えました。丁奉に操られた感も若干ありますが、これ以上の無駄な死者を出さずに戦闘を終了させたという点において、その死は意義あるものであったと思います。
■「孫仲謀は、ときに義を棄て、信を晦(くら)まし、また敵の王に忠を偽る。」 ■「呉は、わが家(や)じゃ。」 ■「呉(いえ)の為なら、天下の謗りや、歴史の汚名も厭わぬか。」 ■「呉に生きる者は皆、わが親 わが子 わが兄弟! わしは皆を背負うて天下に対する!」
呂蒙が交わすことを止めた関羽との会話ですが、孫権が交わしました。というか、関羽はこの会話を行なう為に、麦城から遥遥(はるばる)強行突破を図ってきたような気もしました。 とは言え、噛み合ってるような噛み合ってないような抽象的な会話でした。解釈は数多(あまた)あるでしょうが、例によって管理人なりに無理矢理意訳してみました。
「孫権という男は、蜀に対して、義を棄て 信を利用するような行為を行ない、また魏の王に対しても忠節を尽くすようなふりをしている。」 「それは全て、我が家とも言える呉の為じゃ。」 「呉の為なら、天下から謗(そし)られ、歴史に汚名を残しても構わないのか。」 「呉に棲む者は全て、わしの肉親のようなもんじゃ。わしは呉の民 全てを背負って天下に向かってゆくと決意している。誹謗を受け、汚名を残すことが、なんぼのもんじゃ。」
管理人には二人の会話がこう聞こえました。 この会話の後に、関羽は 『 孫権とは、こういう男か。』 と独白してました。関羽の顔に表情が無いので、どう思ったのか分かりません。 が、当初「孫仲謀に、義なく実なく心なし。およそ民の上に立つ者にあらず!いかな乱世であれ、この邪(よこしま)な所業を罷り通すこと、関雲長が許さぬ!」と激昂していたのに対し、今回はしごく冷静でした。それなりに感じる処があったのかもしれません。
■「皆皆よ。この剣とともに、心に入り込んだ関羽を斬れい!」
なんか昔、董卓が似たような台詞を言ってましたね。 「おまえの心の中に巣くった曹操は斬れたかっ。」 これは、曹操と戦った徐栄が、曹操を「論ずるに術(すべ)がござらん。」論評した時に、董卓が徐栄の兜を叩き斬って告げた台詞です。
比較するに、孫呉の兵士たちにとって、関羽の凄さというものは「論ずるに術がない」のかもしれません。羅刹と為って首を刈る関羽の姿は孫呉の兵士たちのトラウマとなり、不死身の武力を発揮した関羽を畏れること神の如し、なのかもしれません。
孫権は、兵士の心の中に巣くった関羽の幻影を、実物を斬ることによって消滅させようとしたんでしょうか。
■ふッ!
この最後の1コマがよく分かりませんでした。関羽は何をしたんでしょう。 首が太くなっているように見えますので、グッと息を止め、力を込めたんでしょうか?でも、何故そんな事したんでしょう? 馬忠の手を弾き飛ばす為でしょうか? それとも、いよいよ首を斬られそうになったので、その覚悟の意味で息を止めたんでしょうか? なかなか難解なシーンです。
関羽のこの「ふッ!」の意味は、来週になれば判明するんでしょうかね。
■『蒼天航路』 完結まであと2回!
うわ〜ん!! だからそんな事を、太字ゴシックで書くなって!!
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No.12552 - 2005/10/31(Mon) 00:20:46 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 嚠喨 [四国] | | | | 初めまして!嚠喨と申すものです!物凄く長い間ROMってました。 管理人さんご苦労様です。ホント。 それにしても・・・あぁーー!蒼天航路!ついにおわってしまうのですか!また編集者の法螺というわけではないのでしょうか!(笑) 思い起こせば自分が蒼天航路を知ったのは3年前、正直ここにいる 皆様と比べたら短い年月ですが、蒼天航路にかける思いは皆様と一緒です。 今まで蒼天航路のおかげで数え切れないほどの興奮と感動を味わってこれました。それがあと2回って・・なんか1つの夢が終幕する気分です。至純の夢というやつですか(笑) にしても、作品は上手くまとまるのでしょうか?曹操の死にたったの1回になってしまいそうです。せめて、ページ数を増やしてくれるのでしょうか。不安とドキドキでこの二週間どうすごせばいいのやら・・・ 呂蒙は、関羽は、劉備は、2回で足りるのでしょうか?(願わくはもっと続いて欲しいですが、かなわぬ要望でしょうね・・) 個人的には寥化(微妙に漢字違いますが)の生死も気になりマス。 ああーはやくモーニング発売して欲しいような、このまま時が止まって 欲しいような、嚠喨、今まで味わったことのない 究極の葛藤でございます。
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No.12554 - 2005/10/31(Mon) 01:05:22 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 10年の人 [関東] | | | | あと2回で終了、というのはゴンタ先生の意向なんでしょうか? それとも編集の都合なんでしょうか? 10年以上も続き、読者に支持される漫画だし、 読者に納得のいく説明をモーニング編集部はすべきでしょう。
まさに管理人さんのレビューでの、 「おまえの心の中に巣くった曹操は斬れたかっ。」 これは、曹操と戦った徐晃が、曹操を「論ずるに術(すべ)がござらん。」論評した時に、董卓が徐晃の兜を叩き斬って告げた台詞です。
これって、10年くらい前の連載の話です、 ここまで長い蒼天の最後が、竜頭蛇尾になってしまうのでは? (ちなみに徐晃→徐栄ですよ〜)
それとも、 ありえん! ありえんゆえに、蒼天なのか?
それとも、あと2話で、 誰もが納得の出来る、感動の最後が、あるというのか、蒼天よ!!
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No.12555 - 2005/10/31(Mon) 01:29:20 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 黄色い弾丸 [東北] | | | | ん〜、まさに関羽に引っ張られてしょうがなく続けた感が強いですね。 なんか、別の三国志マンガも今週無理矢理終わった感じでしたね。(チラッと立ち読みしただけなので題名は失念) 三国志を描いてはならない何かの圧力があったりして…(^^; とにかく、カウントダウンは何かの間違いであって欲しいですね! 関平、趙累の死に対する関羽の心情もたっぷり描いてほしいし、 関羽が死に際に何を思うか、どう死ぬのかも1話では足りません。(個人的に) 関羽の死を知った蜀の面々の心情、特に劉備の怒り。そして曹操の心情もじっくりと描いてほしいものです。 そして曹操の巨大な死!病死とはいえ1〜2話で済ませる話じゃないと思うのですが… などと愚痴ばっかりですが、クライマックスは最高の出来にして欲しいと願うばかりです。 頼む!あと3回じゃなくて、あと3巻の間違いであってくれ!w
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No.12556 - 2005/10/31(Mon) 01:52:01 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / クウガ [関東] | | | | 「青びょうたんの曹」の徐栄タン好きでした(はあと
残り2回っすか!?ウソだぁ〜、いくらなんでも無理ですがな よし、37巻は丸々一冊書き下ろしってことにしましょう!!
・・・そうとでも考えなきゃまさに「ありえん」ですよ・・・・(涙)
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No.12557 - 2005/10/31(Mon) 04:33:00 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / かっこえぇぇ・・ | | | | 初めまして。毎週レビューご苦労様です。 自分は衝撃のあまりコンビニにもかかわらず何回も何回も読み返してしまいました。 しかし最後のページ、まだ関さん反撃しそうな感じ・・・ ふつうならば「関さん死なない=蒼天終わらない」と思い、ハッピーな気分になるのですが、今回は曹操の最後がしょぼくなりそうな気がしてちょっとガッカリしました。自分は今の化物関さんより、その場で前転しちゃったり、「この膨れ上がり方は尋常じゃねえ」とか言っちゃう関さんが好きです(笑) 終わると知ってこんなに悲しい気持ちになる漫画は今までありませんでした。あらためて、こんな素晴らしい漫画を描いてくれたゴンタ先生に感謝したいとおもいます。
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No.12558 - 2005/10/31(Mon) 09:27:23 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / tohma | | | | 突然の事で動揺しています。 信じがたいし、どのように終わらせるのでしょう?想像つきません。
そしてカウントダウン3からって・・・・本当頼みますよ講談社さん。 失礼な言い方になりますが今回の発表はゴンタ先生の気まぐれでは無く、ケジメがついた上でのゴールなんでしょうか? 「納得がいく終わり方」なんて随分勝手な言い方ですが、そのような 終わり方になることを心から願っております。
つらいです
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No.12559 - 2005/10/31(Mon) 09:54:17 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 景勝 [中国] | | | | 初めまして、疑問考では一度書き込みさせてもらったのですが、 ここでの書き込みは初めてです、ヨロシクですmm
今週のモーニングは衝撃でした、蒼天が終わってしまうのはしょうがないことですが、まさか後3回、今週を除いて2回なんて信じられませんよ・・・何かの間違いであってほしいです;; あと2回だとしても、やはりこの漫画の主人公は曹操です、 僕はこの曹操にどれほど影響を受けたことか、計り知れないです。 関羽はここまでの活躍をしたのだから死に様は物凄いスケールで描かれると思っていますが、やはり曹操の死はそれ以上の、ナンバーワンの死であってほしいんです、それをあと2回でなんて、甚だ疑問です。 あ〜〜〜マジで間違いであってほしい、編集部が勝手に載せた事で あってほしい(失礼)! 99%そうだと思っていますが、曹操の死で終わるのかどうかもまだ 分かりませんが・・・
それから管理人さんのレビューを読み、呂蒙よ、涙が出てきたよ;; 周喩と照らし合わせて今まで頑張ってきたあなたの事を思うと、 色んな思いがめぐってきました(日本語おかしいですが) 今あなたと高校生活を送れたら絶対親友になれるよ。
最後のページ、僕もよく分からなかったです・・・なんか 「孫権、関羽の間合いに入る!」(立ち読みなので朧げですが) とか書いてたような・・・ 関羽が最後の攻撃で孫権を殺そうとするとか・・・? 関羽が立派に死ぬために気合を入れたとか・・・・? よく分かんないです>< 来週は、本当にあと2回だとしたら関羽が死ぬ可能性は 高いですよね。 どうせ見るんですが、・・・・見たくない、そこに踏み込みたくない。 あ〜立ち読みで泣いちゃうかもなぁ、趙累の時もやばかったですから。 ヤダなぁ、良い意味でも悪い意味でもヤダなぁ・・・
最後に管理人さんいつもお疲れ様です^^管理人さんのレビューが無かったら僕は呂蒙に対してこんなにも考えませんでした(笑 スイマセン。 レビューもあと少しかもしれませんね。 蒼天そのものと同じくらい毎週皆さんのレビュー楽しみにしています。 では長くなりました、ありがとうございました^^mm
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No.12561 - 2005/10/31(Mon) 19:18:42 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 関西人 [近畿] | | | | へっぷしん!! ・・・・どうも、最近風邪気味の関西人です。
朝、何気なく駅のホームの売店でモーニングを買って、蒼天のページを開いてびっくりしました。 あ、あと3回??? どうやってあと3回で終わらせるんですか?ベン玲麗との桃仙院とのお花見の約束は?曹操の死は?関羽の死は?夏候惇はどうするの?{曹操と同じ年に死亡しているから} と慌てました。 ですが、今週除いてあと2回なら、恐らく夏候惇は死なないでしょう。 関羽も来週そのまま死んでしまうかもしれません。 俺的には最終回は桃の花の下で郭嘉、じゅんいく、夏候淵、じゅんゆう、楽進、曹昂そして水晶などすでに亡くなった人たちと曹操が夢の中で酒を酌み交わし、「俺も死ぬのか・・・。」と言ってひっそりと死んでいくのかと期待していましたが、あと2回ならこれは無理でしょうね。 まあ俺の期待を良い意味で裏切った最終回にしてほしいです。
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No.12562 - 2005/10/31(Mon) 20:36:36 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / RUN [東北] | | | | あと三回・・・。こんなに長く見届けつづけた漫画は無かったですね。 自分の興味の幅を広げてくれた良い作品でした。って過去形で話してるよ!まだ終わってない!ああ、しかし今後どこで「天意」を語り合えばよいのか。蒼天よ、お前をまだ語り尽くしてない。
関羽もまた孫権に「天意」を問う。天意まで数メートル!それがと届くのか届かざるか・・・。
孫権自ら「天意」を問う必要があったのだろうか。漫画的には必須だが、ここはフィクションの域を越えていないだろう。史実では孫権が立ち会ったとは聞いていないし。「天下人」にそぐわない行動ではある。まだ関羽の戦闘力は失われてはいないのだ。安易に近付くべきでは無いと思える。曹操も烏丸の単于を自ら処刑したが、完全に戦闘力を奪ってから「天意」を語り処断した。非業の死を遂げた「孫家の血」がそうさせるのだろうか。
脱線のようだが、徳川家康は馬術、兵法、鉄砲術を免状を得るほどに熟達した人だったが、それの究理を雑兵の兵法として退けた。かつて将軍の兵法指南を選ぶのに、疋田某と柳生のうち家康は後者を選んだ。前者は巧者だが雑兵の兵法であり、「天下人や将」の兵法とは緊急の危機を回避する事であり、後は護衛の仕事であると断じた。
関羽は司令官としての判断を捨て、侠者として最後まで生きた。それが関羽の美しさではある。しかしそれがもたらした敵味方の犠牲は大きい。そうした憤りが孫権に天意を問う結果となったのか。しかし逆に皮肉にも関羽に孫権の天命に達する機を得ることになった。ああ、これがあと三回で描ききれるのだろうか!悲しみは大きいです。
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No.12563 - 2005/10/31(Mon) 21:25:22 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 貴広 [関東] | | | | ゴンタさんの声で 今年いっぱいでの連載完結宣言がなされてた 蒼天航路ですが、一月半を残しての有言実行でしたか><
ところで謎の最後の一コマなんですが (今週のモーニングは一日早い発売なので 議論が展開される間もないと 思うのですが)
青龍刀が意外な角度で突き出ていませんか?(恐る恐る) これが関さんの決意なのか!? T
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No.12564 - 2005/10/31(Mon) 22:33:09 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 潜伏者 [近畿] | | | | もう10年経ったのですねぇ。 いままでもモーニング誌上で数々の作品の最後を見続けてきましたが、次の連載枠のために急いで収束する作品が多かったような気がします。 そういう時って、好きな作品が一気に2・3作品完結しちゃうんですよね。 とりあえず、「極上、蒼天」とか「魏王 曹操」とか「ベン玲麗の蔵」とか「蒼色の波風」とか、違うタイトルで続くってサプライズはないのでしょうか…
「関羽の射程」ってことは、関羽が攻撃することが出来るってことですよね。あの気を貯めてる姿は、最後の攻撃をするって事だと読みました。となると、あと一話で関羽を終わらせるのは難しいかと…
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No.12565 - 2005/10/31(Mon) 22:56:42 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 頬衣 [関東] | | | | あと2回・・・ 思い返してみればHEAVENや地獄の家の最終回、どちらも「ここでおわっちゃうの?」って終わり方でした。それを考えると蒼天も不安で・・・
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No.12566 - 2005/11/01(Tue) 02:20:40 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 埴輪 [関東] | | | | はじめまして、埴輪と申します。 ずーーっと管理人様のレビュー、常連様の考察を楽しく読ませていただいておりました。正直、管理人様の小説を誰よりも多く読み直したとも思っています(笑) 毎回、毎回コメントしたいなぁと思っていたのですが、管理人様や常連の皆様のレベルの高い論議に入れずに涙していました。本当にいつも楽しませてもらっています。
では、私の拙い感想を述べさせて頂きます。 私は、蒼天の呉陣営の描き方はどうも軽い気がしてなりません。とは言っても他の三国志の漫画に比べれば全然マシだと思いますが、蒋欽や孫皎、魯粛などキャラが立っていた人物の死があまりにあっけない(涙) もう少しGONTA先生の才能を呉に注いでも罰はあたらないと思うのですが・・・・・・
呂蒙がでてきましたね。陸遜にこのままお株をとられてしまうかと思いましたが安心しましたw
でも、 孫皎の凄惨な死→関羽を動かしているのは孫家への恨み→呂蒙がそれに気づき全ての部隊を随道周辺に集める。 この描写は欲しかったなぁと単純に思いました。 司令官なので、前線に出てこないのは当然やと思いますが、呂蒙の苦悩なども描いてほしかったですね。
しかし、あと2回ですかぁ・・・ものすごく寂しい気がします。 高校生の頃スラムダンクが終わってしまった時以上の寂しさを感じています。思えばスラムダンクも終わりは唐突でした。 しかも巻末に「1部−完−」と書いてあったために、さまざまな憶測を呼んでいました。あれから10年いまだに2部を待ち続ける私がいます(笑) しかし蒼天航路は本当の意味で「1部−完−」であって欲しいと思います。充電期間を終えさらにパワーアップした蒼天航路が始まる事を願ってやみません。
余談ですが、「残りの2回は、どっちも1000頁以上になるんだよ」と夢の中で友達が言っていました。
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No.12568 - 2005/11/01(Tue) 09:43:52 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 仁 | | | | >「呉に棲む者は全て、わしの肉親のようなもんじゃ。わしは呉の民 全てを背負って天下に向かってゆくと決意している。誹謗を受け、汚名を残すことが、なんぼのもんじゃ。」
それに感激する呂蒙・潘璋・陸遜・丁奉たちの表情の素晴らしさ!
「ご主君ー!!」という声なき声が聞こえてくるようですよね。
まさに「孫呉三代最高至福の瞬間」というかで。
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No.12569 - 2005/11/01(Tue) 23:34:10 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 千折 [九州] | | | | 人生の愉しみが、またひとつ減ってしまうなあ・・・。 曹操の死まで描かれず、含みを持たせたような終わり方になるような気がします。
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No.12570 - 2005/11/01(Tue) 23:35:04 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 英英 [関東] | | | | 関さんの青龍刀が…、お、折れたぁっ!!
「関羽、ついに止まる。」の文字と相まって、いよいよ終焉を感じました。完結までのカウントダウンに心乱れて、内容を理解するのに時間がかかりましたよ。まったくよけいなことを… 去年の「年内完結」宣言を思えば、よく生きながらえたと言えましょうか。…終わらせられるとは思えないのですが…。
最初は呂蒙の言ってることがわからず、なぜ関さんが「朝日を浴びてはならぬ」とまで言われるかと、悲しくさえ感じました。 呂蒙の言い分は、“孫呉としては、強行外交の範ちゅうで終わらせるつもりだった”というように感じます。 4年前の魯粛・呂蒙の荊州侵攻の教訓をふまえてるんだなーとも感じました。 当時も曹操が漢中に軍を進めた時をねらって軍事行動を起こし、孫呉に有利に交渉が進むことを狙っていたように見えました。しかし、荊州にかまってる余裕がないはずの劉備が、関羽の加勢に成都から軍を率いてやって来ました。それは魯粛らには想定外だったのではないかと思います。南郡を取り戻すにはいたりませんでしたから。 だから今回は、成都に気づかれないよう速やかに侵攻し、援軍がこないよう長江の入り口を押さえたんだなあ。
これが外交であれば、先に孫皎を斬った関羽が責められるのは理屈としてわかる気がします。孫皎の「こっちの勧告は呑めんというこっちゃな!」という言葉からも“外交”を感じます。とりあえず無血開城なので、戦端は開かれてない…ってことで…(というのは無理があるでしょうか?外交じゃなく脅迫?いや、降伏勧告?) でも、孫呉は関羽の本拠を陥落させておきながら…ぬけぬけと…っ!という個人的な思いもあります。蜀―荊州関羽軍の情報伝達網だって封鎖してるし。 軍事行動を先に起こした孫呉の側が、「戦死した兵士の報いを受けろ」というのも勝手だなぁとか。 ただ、管理人様がおっしゃるように、避けられる戦い・避けられる死ではありました。潘濬も「南郡の民を慮って受諾するように」と叫びました。荊州戦の犠牲は、関羽の責任です。 (しかし、関羽が受諾すれば樊城戦が再開されるわけで、やっぱり犠牲は出ますよねえ…)
気になるのは、故・趙累おじさんの独白です。
「漢中王の一大戦略から逸れたまま、退路を探らぬ私は都督として失格!」
これを読むと、呂蒙の指摘を認めるような感じがします。 都督として失格なら、これを決定した司令官も失格でしょう。が、
「劉玄徳を戴く関羽殿の道は、至純にして永遠不滅!」
の言葉からは、関羽は劉玄徳の天下の道から全く逸れていないようにも思えます。 …錯覚でしょうか?(^^;
う〜ん…呂蒙が言う「ばかげた夢想」「天命を見誤り道理を切り捨てた」について、劉備サイドから見たいものです。 やっぱり、あと2回じゃ無理ですよね。
「あくまで劉備の臣として、その名を語るのか?」「蒼天を飛翔し続けろ」と魏王は仰せでしたが、呂蒙司令官の非難はそれと対照的に感じました。蒼天を飛翔する関羽を地面におろし、劉備の臣として・荊州司令官としての立場を問いただそうとしてました。 言葉を交わしても理解しあえなかったかもしれません。
関さんの愛馬、扉絵で首を刎ねられた場面でも、まだ蒋欽の馬を押さえ込んでます。 最期までご主人と戦いました…(;-;)
関さん自身も、結構な深手を負ってますね。 思えば、ホウ徳の矢を額に受けてからそんなに時は経ってないですよね?その時の傷も癒えぬまま、徐晃の李典棍を左の背中に。蒋欽のパワフルな矢を左肩に、阿幢の爪と牙(?)を右肩に、蒋欽の矛を右腰に。 阿幢をぶら下げて(?)、さらに前へ進む敵将・関羽! これは怖い…。 兵士の心に“関羽”が入り込むのもわかります。 数ヶ月前のモーニングの表紙が関羽でしたが、あのような最期を想像します。 今回、弓兵が前に出ていたのが気になりました。
「名は?」と尋ねる関さんに、阿幢を獣や兵器ではなく「(武心ある)人」として見てるんだな〜と感じました。関羽の武、“一撃目は必ず受ける”に該当する相手。 それでも阿幢は、怖い悪魔におびえながらも必死に噛み付いていて、返事をするどころじゃなくて、ただ「チリーン…チリーン…」と鈴の音だけが響いてるのが物悲しいです。なんか阿幢を抱きしめたくなりました。ちょっと爪が怖いですが…(汗)
今回、心和んだ場面; 孫呉のみんなは、ご主君のことが大好きなんだなあ(*^-^*) 孫権が関羽と対峙するとき、警戒した陸遜が弓を構えてましたが(様になってましたね♪)、ご主君の言葉で一瞬にして微笑んでました。ずるいです(笑)、陸遜かっこよすぎ!関平にやられた頬の傷までが彼の男ぶりを上げていて、悔しいです。 怜悧冷徹なリアリストから、またイメージが変わりました。
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No.12571 - 2005/11/02(Wed) 00:36:34 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / つね [関東] | | | | さすがに今回ばかりは蒼天航路も最終回を覚悟しなければならないでしょうね。しかし「年内完結」とうたわれたのは去年の今ころでしたっけ。1年も長引いたと思えば・・・あきらめられません。
1.関羽捕縛 2.司令官としての天命 3.呉の君主
関羽への同盟強要策は呂蒙でしたか。意外でしたね。私は、孫権>張昭>呂蒙の順で考えていましたから。呂蒙はいつの間にか武人ではなく司令官となってしまっていたのですね。それゆえに武人である関羽の行動を読み誤った、義兄もこの後、私情で軍を動かしますが・・・ それにしても「孫呉包囲網」の回を見ると蒋欽、潘璋、陸遜、誰も関羽が同盟に応じるとは思ってなかったようです。今にして思うと、呂蒙は自分が先陣に立つことで、関羽を直接、説得しようと思っていたのでは。「やはり関羽はまだ北への侵攻を諦めてはいない!」という呂蒙の思いに期待が込められてますね。
関羽と孫権の会話は、本来、それぞれの正義を語っているもので、どちらが勝者になる、というものでもないのですが、孫権の勝ちのように思います。これは関羽が自分の信念を相手に強いようとするものに対し、孫権は「自分は自分」といったスタンスなのだからやむをえません。
あと2話でどう終わらせるのやら。関羽に引きずられすぎの感あり。34巻オフレコにある「黄ヒゲがカヒノウをこてんぱんにしたようです」は言葉だけですか。 私も曹操、死なないまま終わるような気がしてきました。このさい、「蒼天航路Z」が始まっても私は許す。
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No.12572 - 2005/11/02(Wed) 01:02:57 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 刑道栄 | | | | いよいよ来てしまいましたねこの時が・・・
私も皆さん同様たったあと二回で曹操の最後を描き切れるのかといらぬ心配とは分かってはいるものの心配でしょうがなかったのですが、何回も読み直し過去の蒼天を読み返すうちに思ったのですが、「蒼天航路」 という作品は曹操猛徳という個人を描いた物ではなく 「曹操という時代」または「曹操という現象」 を描いているものじゃないんでしょうか? そう考えるとこの「関羽の死」というのはまさに「曹操の時代」の終焉ではないでしょうか?この事件を機に中華の表舞台は曹操・劉備等の群雄割拠の時代から生き抜いてきた物達から司馬イ・諸葛亮・陸遜といったニュージェネレーションたちにバトンタッチされていきます。
過去、孔明が <猛将と矛を交えて戦い、首を刎ねられ戦場の屍(しかばね)となる。天下人でありながら、曹操は自分のそういう死に様を肯定する人間であった。
と曹操を評していましたがこれはひょっとしたら欣太先生の意見で、この大作を終わらせるには曹操個人の死を描くより「曹操という時代」の終焉を描ききることが先生の中の「曹操という現象」を終了させることが出来ると感じたのではないでしょうか?だからこそ、その終焉の主役「関羽」をこれほどまでの長きに渡って描きその最後と共に物語を終結させるのではないかと思います。 かなり私見が強い考察になって申し訳ないです。
ただっここまで書いてもやっぱり終わるのは寂しいです!私としては続編よりも是非アニメ化を期する所、大です!OVAでも構わないんでどっかやってくれませんかね〜
追伸 管理人様 先週は転載していただきありがとうございました。ほんとお忙しい中大変申し訳ありません。蒼天もあとわずかですが最後まで本作同様楽しみにしていますので頑張ってください!
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No.12573 - 2005/11/02(Wed) 12:38:48 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 黒助 [関東] | | | | 関羽のあとは…と誰もが覚悟していたことではありましたが… うう… 気を落ち着けるためにまず今週の蒼天の感想書きます。
阿幢と丁奉: 関羽が名を聞きいたこと、孫権がとびきりの名を与えたこと、そのどちらも阿幢のがんばりを思うとぐっときます。が、なによりも丁奉が彼のために泣いていたこと、それが個人的には一番嬉しかったです。
呂蒙: 実ははじめは「呂蒙はあの外交で関羽に折衝の余地ありなんてこと考えてたんだ。それは確かに甘いよ!私の中の呂蒙はその程度ではなかったのに〜」と思ってました。 が、管理人様の考察はまさに目からうろこ! 周瑜の遺志を継ぎ、彼に追いつこうと必死で司令官の責務を考え続けたからこその誤算‐私の中の呂蒙像と見事に合致、蒼天呂蒙ファンの私を救ってくれました〜。感謝!!
関羽: 呂蒙が考えた通り、蜀の荊州司令官としてはあまりに愚かな今回の南進。思うに関羽はそんなことは百も承知で自らの命を懸けて孫権の所業を正しに行ったんじゃないでしょうか。 夏候淵を思い出してしまいました。 ‐自らの命を懸けて、劉備の天下に『理』無きを質そうとした夏候淵 ‐自らの命を懸けて、孫権の天下に『義』無きを正そうとした関羽 問おうとしたものは図らずも全く逆です。 しかし、その行動を愚かと知りながら敢えて決断できるのは両者がともに司令官のスケールを越えた者であったからでしょう。 というより一般的に愚か・過ちと解釈される行動をその魅力ゆえだと感じさせてくれるこの蒼天航路という作品が堪らなく好きです。くぅ(涙)。
孫権: このところずっと彼に注目をしてきた私にとって今回の彼の登場の仕方は「いよっ、待ってました!」とまさに理想の展開でした。そして彼と関羽の対話も劉備・夏候淵対談同様お互いの立つ位置の違いをはっきりとさせるものでした。 「呉はわが家じゃ」 思えば孫呉は天下への道のりにおいて謀略や恨みによって幾度も大切なものを失ってきました。それはまた孫権の人生そのものであり、父、兄、兄の親友であり敬愛する司令官…彼の人生は大切なものの喪失の連続であったといえます。 孫呉が何かを失う度に結束を強めていったように、誰かを失う度に孫権は「長年の悲願である天下‐それをあきらめるわけにはいかない。しかし、それだけで足りない。俺は孫呉の家族を守り抜く。そのためであればどんな手段もどんな誹謗も躊躇わない」との思いを強めていったんではないでしょうか。 彼の生き様を思うと今回の発言の重みを強く感じにはいられません。
乱世で覇を競う非情の戦いの中でも『侠』だけは守り通してきた関羽にとって、一見覇のためであれば守るべき道徳などないと考えているかのような孫権の行動は許すことができない所業に映ったことでしょう。 今回の関羽の「孫権とはこういう男か」との発言は彼もまた守るべき何かを抱えて戦っている者であると関羽が理解した瞬間を表しているように思いました。
それにしてもあと二回とは… でも確かにGONTA先生自身が仰っている通り最近の蒼天は曹操ではなく関羽に突き動かされてたものであったように思えます。 それに<都の際>の回での曹操の倒れっぷりはあまりに魏王らしいものでした。 ある意味、あの時点で曹操の関して描くべきことは既に描き切っているのかもしれません。
…と必死で理由を探してもやはりわりきれるものではありませんね。 やっぱり淋しいです!!!
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No.12574 - 2005/11/02(Wed) 21:10:06 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 仲完 [東海] | | | | えと、遅れました。 自分、呂蒙の独白には全然別の感想を持ってたから、ここでの管理人さんおよび皆様方の意見が妙に新鮮で。 まあ自分、関さんファンなのでその辺差し引いて見てほしいんですけど。あと無駄に長いですし。 呂蒙の独白ですが、どうにも言葉どおりに受け止められないんですよね。 「関羽……早く来てくれよ……でないと俺……身が持たんぞ」 自分はこの言葉から判断して、呂蒙は関羽との戦闘を望んでいたと考えます。 では、その上でなぜ今回の言葉となったか。 となると、まず思うのは荊州強奪は本当に呂蒙のしたい戦だったのか。 合肥での、10万で7000に負けるという大惨敗の傷をぬぐうこともできずに、合肥での呂蒙対魏は、一矢すら報いることができずに終わってるわけです。で、そのまま「おまえは今すぐ荊州に戻れ」ですから。 しかもその後、主君にやられたのが魏への臣従。さらに関羽北上戦では、裏で自分抜きでの合肥攻撃をやられながら、呂蒙には荊州攻めを命じる。 これでは露骨な話「呂蒙では魏には勝てん」と言われたようなものでしょう。 少なくとも、あまりいい気分がするとは思わない。 しかしその上で、呂蒙は関羽攻撃に万全の策を用いて戦っている。 そこへの心中の変化というのが、呂蒙の独白にあったのではないかと。 つうか「司令官とは」という言葉を使って自己を正当化してた、くらいに思ったりするわけで。 で、思っていた言葉をなぜ口にしなかったか。 天命を見誤り道理を切り捨てたものと語る言葉はない……本当にそうでしょうか。 天命。孫呉30年の歴史は言ってしまえば天命の見誤りの歴史です。 孫堅、孫策、周瑜と、生きていれば今頃呉の屋台骨を支えていた人たちは皆、生き急いだというか、生を惜しまず、天命に挑むような無茶な生き方をして早くに死んでいます。そして呂蒙自身も。 療養して陸遜に全てを任せればいいものを、なぜ血を流しながら策を練り続けたか。療養すれば生きながらえたかもしれず、生きながらえたほうが呉の国益にはかなうはずなのに。 天命を見誤ったものと語る言葉はないというのは、それはすなわち孫呉の先人の否定です。 そんなことが、本音であるはずがない。そう私は思います。 自分の意見です。呂蒙の独白は、全部まとめて自己の正当化と、関羽に対する一種の憧憬の裏返しにすぎない。こう思います。 自分の書いてるのは、正史とかほっといて、あくまで蒼天航路での話ですが。 呂蒙が私淑している周瑜は、あくまで主敵を曹操に置いていたわけです。魯粛もしかり。 だとすれば呂蒙も、対曹操が自身の戦の根底にあったはず。それを全部封印して関羽戦に全力を注ぐ。なぜなら「呉の司令官だから」。 ただそれだけを理由に、おそらくは夢も想いも全て捨てて、呉のために命を賭して関羽という(本来なら戦わなくてもよい)最強の敵に挑む。 ……では、注いだ後、どうする気だったんでしょうね? 呂蒙は関羽との決戦のころには、すでに死を覚悟していたと思います。 つまりは、呂蒙は曹魏には一度も勝利せずして死ぬわけです。 孫策、周瑜、魯粛と孫呉の基本戦略はあくまで対曹操であった、これが僕の基本認識であり、呂蒙にもその認識が受け継がれていたと思うのですが、一度方針が変えられた上に、再び曹魏と戦う時間はもはやない。 正直、ここで関さんに勝ったとしても無念は消えないんじゃないでしょうか。 その無念を吹き飛ばしたのが孫権の言葉。 「わしは皆を背負うて天下に対する」 つまりは、これは天下取り、対魏対曹、対中原の一歩である、と。呉はいまだ天下を捨ててはいない、と。 まあ、この辺は最初にも書いたんですが、自分が関さんファンなもので、関さん全肯定の上での解釈です。だから関さんへの否定という考えを脳内からまるっきり放り出してます。
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No.12575 - 2005/11/02(Wed) 22:14:37 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 鶏肋 [関東] | | | | 私もあのカウントダウンにショックで10秒ほど固まってしまいました。「完結まであと2回」とコピーが出るということは、もう原稿は完成していて編集部に届いてるのでしょうか? GONTA先生は連載終了して今ごろ羽のばしてたりして。
>よく見ると阿幢の体を貫いていた青龍刀が、蒋欽の背中に突き刺さって
そうだったのですね。私はてっきり押し潰されて死んだのかと思ってました。読み返してみたらそうでした。管理人様に感謝です。「潰されて死ぬなんて情けねー」と思ってましたが、もし関羽がわざとしてたなら、蒋欽は高度な攻撃方法で殺されたのですね。呉の猛将に合掌です。江南随一の矢は1本も当たりませんでしたが。
>司令官の職責に対する 『 凄まじいまでの思い入れ 』 が呂蒙の誤算を生んだ
呂蒙が自分勝手に怒っているように思えたのですが、レビューを読んで納得です。呂蒙は関羽のCENSORED行為に怒るとともに、自分の読みの甘さにも怒っていたのではないのでしょうか。
>「馬忠」という正式な姓名を付与するのも褒美の意味合いが込められていた
「阿幢」は名前ではなかったのかー。では、阿幢の村の子供たちも全員「阿幢」なんでしょうか? でも子供たちも馬忠を「阿幢」って読んでたから違うのでしょうね。顔が似ていたから兄弟か親戚なのかなあ。孫権の褒美はあの子たちが受けとるのでしょうか?
>この最後の1コマがよく分かりませんでした。
更にその前の「ずん」の意味も分かりませんでした。 阿幢がもう1回しがみついたのでしょうか?
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No.12576 - 2005/11/03(Thu) 04:34:48 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / ふみづき [近畿] | | | | こんにちは。遅ればせながらのカキコです。
>鶏肋さん 蒋欽の矢は前回でちゃんと関羽の左肩に当たってましたよ。 確かに、蒋欽の死に様は最強の武だなんだと言ってた割には少々呆気無かった感が無いでもないですが、彼が関羽の左肩と右わき腹の二箇所に傷を負わせたのは決して無駄では無かったと思います。 もし蒋欽が関羽に手傷を与えていなかったら、あるいは阿トウは、関羽に指一本触れられずに瞬殺されていたのではないでしょうか。
孫権が出てきた時、陸遜が隣の兵士の弓矢を拝借して身構えてましたけど、 「呉はわが家じゃ!」 「呉に生きるものはみなわが親わが子わが兄弟!」 「わしは皆を背負うて天下に対する!」 孫権のこの台詞を聞いたときに笑顔を浮かべて構えを解いてましたね。 このシーンを見たとき、「ああ、普段はクールな陸遜もやっぱり、自分もご主君・孫権に「孫呉ファミリー」の一員として受け入れられているというのが嬉しかったんだな」と思って、少し安心しました。 冷静で冷徹なだけの人じゃなくて良かったです。
あと、しょうもないことことでなんですが、今回、呂蒙の口髭を描き忘れられている箇所が何箇所かあったのが気になるのですが…。 これも単行本では修正されるのでしょうか。
というか、単行本の新刊はいつだ。
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No.12580 - 2005/11/04(Fri) 17:19:51 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 胡音 [関東] | | | | 久々に書き込みさせて頂きます。 冒頭の関羽を阿幢が捉えるシーン、”獣ではなかった”と関羽が気付いたと同時に”悪魔ではなかった”と阿幢も気付いた様に見受けられました。 あの一連の目の描写は様々な受け取り方が出来ますが、阿幢が強く目を閉じて振り払っていたのは恐怖感以上にこの一瞬に生じた戸惑いではないかなあ、と。 凶器と化した怪童も本来は純真無垢な童にすぎず、だからこそ曹操から”人の美しきもの、中華の精神”とまで謳われた関羽の崇高な精神性を一瞬にして感じ取ったのだと思い巡らしてます。 阿幢=馬忠の設定も巧みです。以前蒼天の物語構成について”数多の文献のサンプリング”という表現をされていた方がいらっしゃいましたが、歴史書や民話のわずか数行から創造力を働かせて魅力的な人物、ストーリーを組み立ててゆく作業を10年以上も続けるという事は並大抵の事ではないと想像されます。しかも題材が誰もが知る三国志となると尚更。曹操がゴンタ先生の様な才を知ったら間違いなく人材リストに載りそうです。(名誉なのか大迷惑なのか。) そんな事を考えながらも、司令官・呂蒙の真っ当な独白、戦略を超越してるだけでなく人間離れしている関羽、家発言で関さんの義憤モードから孫呉ファミリーモードへとゴリ押し転換する孫権等々、完結に向けての疾走感に浸っています。 呂蒙の対関羽への独白は至極当然なのに関羽に失格者の烙印は押せません。司令官である事以上の大儀を全うしようとした関羽だからこそ時代をも超越したのだから。
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No.12593 - 2005/11/06(Sun) 02:44:07 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 鳳卵 [東北] | | | | 既に次の回のレビューも掲載されているのに、今頃の書き込みで申し訳ありません。
この回はホント、最初から最後まで、“しっくりこない”回でした。
阿トウと関羽がもつれながら蒋欽の上に倒れて行ったあと、周りを取り囲んでいた将兵たちは、疑いもなく「関羽を捕らえた」「蒋欽は死んだ」と認識していたようですが…なぜ!?
縄をかけたわけでもなく、致命傷を負ったわけでもないのに、「関羽を捕らえた」と思うのは早計だし、それ以上に、なぜ誰も、蒋欽を助け出して手当てしてやろうとか思わなかったんでしょうか…不憫なヤツ…
で、呂蒙なんですが、言ってることがメチャクチャです。
>−それともたった一人で、我らを皆殺せると、馬鹿げた夢想でも抱いたか!− 関羽は別に、孫呉を自分ひとりで皆殺しにしようとしたわけではありません。江陵城内に向かっていたのであり、その目指すところは、再びの本拠地奪還でしょう。
江陵も公安も、さしたる戦があって陥落したわけではなく、元関羽軍の将兵が多数残っているわけで、それらを扇動すればまだ奪回の余地はあると考えたのでしょうか。 その成功確率は低いとはいえ、関羽は無駄に呉兵を殺そうとしてたわけではありません。だからこそ、隧道を進んでいたわけですしね。
仲完さんが指摘しているとおり、呉は十万の軍勢を率いながら、張遼率いる七千の魏軍に敗走させられた過去があるわけで、だからこそ呂蒙も「十万の兵で関羽1人を囲んでも、恥ずかしいとは思わない」とか言ってたと思うんですが、そのことを忘れちゃったんでしょうか?
ともあれ、関羽が寡兵をもって呉軍に挑んだことを、ここまで悪し様に言うのは、理不尽です。呂蒙自身、充分予想していたことなんですから。
「甘く推し量り…」のセリフもそうなんですが、どうも今回の呂蒙のセリフは、以前のストーリーとの関係がチグハグな感じがしてしょうがないです。
>「いや、ようやった。 充分じゃ。」 なんか、法正の最後を思い出してしまいました。あの時法正は、玄徳に後から抱きかかえられながら、大量に吐血していましたが、呂蒙は鼻血なんですねぇ。しかし、主君のために巨大な敵に立ち向かい、大車輪で己の限界にまで駆け上がったという点では、似ているのかもしれません。
>ふっ! だから、孫権、縄もかけないで安易に近づいちゃダメだって!
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No.12600 - 2005/11/06(Sun) 20:22:17 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / RYU [東海] | | | | 遅くなって失礼しました。
>司令官の職責に対する呂蒙の 『 凄まじいまでの思い入れ 』
呂蒙は「司令官とはかくあるべき」という、高い理想があるようですが、それは周瑜・魯粛といった先輩指揮官の中に立派な模範が居て、かつ彼らの「誇り高き背を追う」覇気・思慮分別が彼の中にあったからかも知れません。 赤壁において「じゃじゃ馬」とでも言うべき周瑜生来の個性を抑えて、疲れた様子を見せながらも、周囲にそういった余念を気取らせずに職務を遂行した姿は、呂蒙だからこそ美しく見えたのでしょう。
>――関羽軍は国境の食糧庫を強奪した。よって南郡の貸与は無効とし、公安・江陵は呉の領土に帰属する。関羽軍が引き続き魏との戦闘を続行するのであれば、同盟修復の意思ありとして、呉は後方より支援を行なう。
孫権から公式に申し入れられた「娘と関羽の息子との婚姻」を拒絶し侮蔑の言を使者に吐く、 さらには食料庫を強奪・・。これは、孫権でなくとも反感を持たれますよね。 やはり、呉蜀関係を破綻に導いたのは蜀サイドであるのであり、南郡奪還について孫権を一方的に責める事はできないでしょうね。 さらに、荊州の半分以上・南部のほとんどを掌握し決着が着いた上でも、孫呉は尚講和を匂わす使者を送ってくれたのですから、その少なからずの誠意を汲んでやる道理・スタンスが関羽にも欲しかった所です。
>孫呉は甚大な被害を受け、同時に関羽軍も潰滅しました。それは呂蒙からすれば、おおいなる誤算であり、同時に、敵味方が出した大量の死傷者は、本来避け得たものでした。それが呂蒙には悔しく、また許し難いものであったのではないでしょうか。
TATSUさんや今までの皆さんのご意見を読んでいて思ったのですが、関羽というのはやはり司令官ではなく、侠を拠り所とする生粋の武人であるのでしょう。 しかし、武人・将軍というのは将兵を取りまとめるパワー・魅力を持ちながらも目の前の敵を倒す事に集中する余り、大局的判断ができないのかも知れませんよね。蜀で言えば、より上に立つ司令官に法正・諸葛亮・馬良・馬謖(修行済)らのような冷静な人物が就任してお互いの長所を引き立てて協同できれば良かったのですが、 蜀の人材不足が痛手であったのでしょう。
>「捕まえたというのに重苦しいのう。」 >ふいに孫権が現れました。
待ってました!という感じですが、長坂での曹操といい、孫権といい「王」たる人物は要所要所で前線に現れますよね。いつも前線ばかりに居ても判断を誤るリスクがあるので慎重にならないといけないですが、現場の将兵の働き・心情を思いやる繊細さがあるからこそ、こういった行動ができるのでしょうね。
>いずれにせよ「褒美は特等じゃ。」と孫権は告げてますから、「馬忠」という正式な姓名を付与するのも褒美の意味合いが込められていたのかもしれません。
蒼天孫権って結構優しいですよね。 身内の孫皎・子飼いの蒋欽を失った悲しみを直球で出すのではなく、異民族であり無垢の心を持つ腕力の強い怪童 の行動に深く感じ入り、「君が特等のMVPだ」と言ってのけてしまうのですから。
>『 孫権とは、こういう男か。』
あれだけ孫呉への怒りを露わに戦って多くの親愛なる仲間達を失って来ながらも、実際に「孫権の人となり」に接する事によって、曹操・劉備とは違うタイプではありながらも、その人柄を理解してしまう所を見ると、関羽もただの侠の武人ではないというのがよく伝わって来ますよね。これは、夏侯淵へ別格の度量を見せた張飛も近いのかも知れません。 関羽はイイ線行ってたと思うのですが、今一歩司令官に成り切れなかった所があるのでしょう。
>「皆皆よ。この剣とともに、心に入り込んだ関羽を斬れい!」 >孫権は、兵士の心の中に巣くった関羽の幻影を、実物を斬ることによって消滅させようとしたんでしょうか。
孫権のそのセリフは、そういうニュアンスだったんですね。 読んだ時は、ちょっと分かりませんでした。
>「ふッ」
最初読んだ時は、孫権の人物を見定めたので自ら果てようとしたのかと思いました。
鳳卵さん >今回の呂蒙のセリフは、以前のストーリーとの関係がチグハグな感じがしてしょうがないです。
そういえば、そうですよね。 言動が多様な変化に富み、Identifyし切れない登場人物というと(大学時代のノートをそのまま写すだけですが)、 William Shakespeareの「Hamlet」の主人公のように、反抗する若者(18才)→生と死の瞑想にふける青年(30才) →rebirthを果たし威厳を備えるフェンシングの名手として登場し(全身黒の衣裳・立派な容貌)、海賊と戦う・・etc というスタイルもあり、「ルネサンスに近い当時にあって、悩める現代人に近いタイプ」だとか。 難しくてよく分かりませんが(苦笑
でも、呂蒙のセリフの変化の時間軸はおそらく数日・数時間刻みだと思いますので、 仰る通りちょっと違和感がありますよね。
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No.12610 - 2005/11/09(Wed) 07:57:10 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 仁 | | | | >「呉(いえ)の為なら、天下の謗りや、歴史の汚名も厭わぬか。」
どうせならここで孫権の「ならば聞く。おまえの言う『天下』や『歴史』のためならば、息子も部下も、そして国すらも厭わぬのか」と言って周囲の惨状を見回すといった演出も見たかったですね。
(それで関平や趙累の死体も写ると。)
このあたりで董卓の暗殺前後の王允の姿を思い出してしまうのは自分だけでしょうか?
もちろんそうすればその後の「感動」も何も台無しなんですけどね。
自分的には、それをしなかったところにむしろ孫権の「武人の情け」を感じてしまいます。
せめてワシの手で(許されざるオマエを)「成敗」してやるという面も含めて。
「玄徳! 恨むならワシだけを恨め!」
そんな孫権の声が自分に聞こえてきました。
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No.12616 - 2005/11/10(Thu) 11:36:35 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 風靡 [関東] | | | | > 「玄徳! 恨むならワシだけを恨め!」 > そんな孫権の声が自分に聞こえてきました。
だったら関羽の首を曹操に送ったりしないでしょ。 その声は空耳では?
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No.12617 - 2005/11/10(Thu) 19:01:51 |
| ☆ Re: 今週の蒼天<わが呉(いえ)> / 仁 | | | | >だったら関羽の首を曹操に送ったりしないでしょ。
他の場面にも多く見られることですが。
「なぜ曹操に首を送ったのか?」についても、この『蒼天』については具体的に説明されていないんですよね。
曹操の「なぜ劉備に首を返還しないのか?」と同様に。
あくまで読者側の推測と憶測に任せるという感じで。
演義で描かれているように、張昭あたりからうるさく言われたので曹操に送ったのかもしれませんし。
ただし誰にも任せることなく、危険まで冒して自らの手で関羽の首を刎ねたところに「いかなる恨みも自分で引き受ける」という孫権の覚悟という物を感じたんですよね。
自分としては。
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No.12619 - 2005/11/10(Thu) 21:40:49 |
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