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キリ番を踏んだのでしょうか・・・ / みい
久しぶりにこのサイトに入ってみたら、カウンターが888888だったのです!これはキリ番でしょうか?
少し前の投稿を見てみましたら、カウンターの調子が悪いようですね。わたしが踏んだのは、本物なのかなあ…
管理人さん、教えてください!

No.11778 - 2005/03/23(Wed) 17:30:19

Re: キリ番を踏んだのでしょうか・・・ / M.A
キリ番チェックの前に、セキュリティーソフトを無効にしておいた方が良いと思います。
No.11779 - 2005/03/23(Wed) 21:01:50

Re: キリ番を踏んだのでしょうか・・・ / 公孫樹 [近畿]
この888888のキリ番、周囲はウンザリ、踏んだ方はガッカリ、やっかいですね。
いっそのこと、次回キリ番は888888ではなく、前後の888887、888889にしてはどうでしょう?
前回のキリ番を踏んだ方の名乗りもあがってないことですし…。ってそれは関係無いか。
Topの法生をずっと観ていたい気もするけれど。
御一考願います。

とは言うものの、今私が来た時点で886002でしたから対策をたてる前に過ぎ去ってしまう可能性大ですが。

No.11781 - 2005/03/24(Thu) 02:47:04
はじめまして。 / 節子 [九州]
蒼天33巻発売記念ではじめて書き込み致します。郭嘉、龐統に愛を注ぐ学生です。
私が蒼天にハマったのは去年の10月頃で、キッカケはこのサイトでした。それから古本屋に通いつめ一気に32巻まで集めました。
これからも頑張ってください。蒼天航路は心のバイブルです!

No.11767 - 2005/03/20(Sun) 16:15:13

Re: はじめまして。 / 坂井 [中国]
私も郭嘉、龐統は好きなキャラです。二人とも全軍師の中で光っていました。
33巻で思わず夏候淵戦死で泣けてしまいました。

No.11768 - 2005/03/21(Mon) 19:59:35

Re: はじめまして。 / 節子 [九州]
夏侯淵、カッコ良かったですねVv
劉備の“漢中の王”という台詞に泣けました。
今までは、一人で突っ走って黄忠に斬られる…っていう淵が多かったですが、蒼天淵はすごくカッコ良かった。
蒼天のキャラクターはみんなカッコ良いし、ホントに一人一人際立ってますよね。

No.11773 - 2005/03/22(Tue) 11:52:46
クロニカルって・・・ / ひょっとこ
クロニカルって掲載時のままというのが売りなのですが、
単行本で書き変えられた部分てそのままなんですね・・・
具体的には「その277 礁の日差し」
私は掲載時の台詞が好きで単行本の台詞はなんか絵と
合ってない違和感を感じていたわけです。
それでクロニカルでは期待してたのですが・・・

「その263 阿瞞の笑み」も違っていたような気がするのですが
今となってはどこが違っていたのかも思い出せません・・・

No.11772 - 2005/03/22(Tue) 01:49:11
キリ番踏みました / 梢統 [関東]
キリ番の888888踏みました。遅れましたが報告いたします。今回は、間違いでないと思います。
No.11762 - 2005/03/18(Fri) 17:12:44

Re: キリ番踏みました / ブ王 [関東]
> キリ番の888888踏みました。

俺は、879342でしたよ。

No.11763 - 2005/03/18(Fri) 22:20:53

Re: キリ番踏みました / 枯葉
はじめまして。
ノートンとかのセキュリティソフトが機能していると
いつでも888888に見えますよ。

No.11765 - 2005/03/19(Sat) 01:36:02

Re: キリ番踏みました / 旬
梢統さん
あわてるな!ここはキリ番、滅多に踏めなんだから。
俺なんて何回狙ったことか・・・

No.11766 - 2005/03/19(Sat) 10:13:25
今週の蒼天<戦線> / TATSU@管理人 [関東]
今週は場面が打って変わって、激しい戦闘が開始されましたね。ちょっと巳水関の呂布・関羽対決を思い出しました。 なんとなく、漢中撤退で溜まった鬱憤が晴れたような気もします。

しかし、嘗て張飛に“ヘボ将”の烙印を押されていた某魏将は、潼関でその片鱗を見せていたとはいえ、凄まじいまでに成長していたんですね〜。そのギャップにビックリです。
では、今週の蒼天、場面を荊州に移して開始させて頂きます。

−この地はきっと、乱世の分水嶺になるぜ。−

No.11745 - 2005/03/14(Mon) 21:17:27

Re: 今週の蒼天<戦線> / TATSU@管理人 [関東]
【STORY】

荊州・樊城。
東丘陵に関羽軍2万が布陣していた。

先鋒5千、両翼に各3千の軍を配した攻城軍は錐行の陣をもって、樊城東門に迫った。東門の守将は牛金。この樊城の副将は攻城軍の動きを見つめ、不敵に笑った。

関羽軍は再三に亘る攻撃を行なっていた。そろそろ攻め手に微妙な“馴れ”が生じる頃であり、牛金はその弛緩を衝いて先鋒武将の首級を挙げ、敵軍の士気を一気に下げる目論みを立てていた。

「この城は中原の南の要(かなめ)。守城は絶対。」
ふいに牛金の背後に入道頭の男が現れ、告げた。
「俺は、その指揮官だ。 が。」
男は樊城の主将・曹仁であった。曹仁は、牛金に自分と交替するよう命じた。

***************

東門に殺到する攻城軍。
その時、吊り扉が降ろされ、怒れる猛将・曹仁が躍り出た。
−四天王の、怨と弔を知れい。−
曹仁の矛が旋回、敵兵を次々と薙ぎ払い、瞬く間に先鋒の将を串刺しにした。
戦場はその猛威に凍てついた。

しかし曹仁は歯噛みした。将兵をいくら斬り殺そうと、自分の“弔意”は蚊の涙ほども表せない。と曹仁は考えていた。敵陣に向かって、曹仁は関羽の名を叫んだ。
牛金は思った。城の攻防は個の武で決するものでは無いと。しかも攻城軍の側から見れば、今こそ兵を動かし城を囲む絶好の機会であった。戻られよ、曹仁殿。と牛金は心の中で呼びかけていた。関羽が曹仁の呼びかけに応じるとは、とても思えなかった。

重い馬蹄の音が戦場に響いた。
曹仁は馬蹄の音の方向を睨み、呟いた。
−夏侯淵。 あやつでも、お前の命に見合わぬが。−

敵陣の中央から、一人の将が現れていた。馬上の将は告げた。
「征南将軍・曹仁。 呼ばれれば、必ず応じねばならぬ名だ。」
青龍刀を手にした長髯の将。現れたのは、伝説の豪将・関雲長その人であった。

「春風、桃花の頃に契りを結び、」
関羽が告げた。
「以来、」
無言で身構える曹仁。関羽は馬を進めながら言葉を続けた。
「大旱(たいかん)に、雲霓(うんげい)を望み四十年。」
曹仁めがけ跳躍し、関羽は叫んだ。
「今、乱世に、わが大王の道を拓く!」



【REVIEW】

■扉は、城壁に仁王立ちする魏将の姿が描かれてました。その視線の先には迫り来る敵軍が...。 キャッチコピーはこうでした。
−建安24年 樊城。 今、最終戦争の幕があがる。−
おお〜っ。曹操の死で蒼天が終わるのであれば、この荊州争奪戦が「最終戦争」になるんですね。興奮するような寂しいような...。いずれにせよ魏呉蜀の各登場人物を、余す所無く描ききって頂きたいです。
しかしこの後ろ姿の将、頭部をみただけで誰だか分かりますよね。扉絵を見て、今回はもしかしてこの将が主役!?とちょっとドキドキしました。

■牛金が登場しました。以前「江陵争奪戦が描かれなかったので、曹仁の見せ場である“牛金救出戦”も描かれなかった。」と書いたことがありましたが、今頃登場しましたね。
しっかし牛金は悪そうな顔してましたね〜。路招の時も思いましたが、もろ悪役顔です。顔の傷は江陵争奪戦で受けたものでしょうか? オデコの傷は、普通に頭巾を被っていれば見えない位置にあるような気がするんですが、あえて見せているんでしょうか。もしかして自慢?(笑)

■「陣形を変えようが城は動かん。そろそろ繰り出す攻め手に微妙な馴れが生じる頃。その馴れを衝いて、先鋒武将を刎ね、士気を一気に下げてやる。」
牛金は不敵に微笑んで、こう考えてました。
この言葉から察するに、関羽軍は既に何度か攻撃を行なっていて、今回は陣形を変更して再チャレンジしてきたようですね。そう言えば冒頭の一コマ目では、城壁に無数の“梯子の残骸”がありました。

で、牛金は何で微笑んだのでしょう?
「攻める側が陣形を変えようが、守る側は、(「軍勢」ではなく「城塞」だから、攻める側にあわせて陣形を変更したりはしないので)不動である。そうなると攻める側は単調な攻撃になりがちであり、惰性の部分も生じる筈である。そこでその一瞬を衝いて(城から出撃して)先鋒軍の武将を首を狙う。」と考えたようです。
だから牛金の部隊は城壁上ではなく、東門の内側に整列していたのですね。つまり、“守る”と見せかけ“不意打ち”を食らわせて、敵将の首を刎ねようとしたみたいです。

■「この城は中原の南の要(かなめ)。守城は絶対!」
牛金の背後から語りかける男がいました。この台詞は一瞬 『 樊城は重要な拠点であり、守ることが絶対条件である!(攻めることなど考慮してはいけない)。』という、制止の台詞に聞こえます。
「俺はその指揮官だ。」
その“守城が絶対”の拠点を任されているのが俺だ。と樊城の指揮官が告げます。その指揮官とは、魏王国 南征将軍・曹仁でした。つまり『 “守りが絶対”であることの全責任は俺が負っている。』って訳ですね。
しかし、曹仁は憤怒の表情で、「が。」と逆接の言葉を口にします。
「替われ。牛金。」
牛金を押しのける勢いで曹仁は前に進み出ました。

おおっ。『 樊城の位置付け 』 『 守ることが絶対条件 』 『 指揮官という自分の立場 』 を知りつつも曹仁は、牛金に替わり突撃隊の指揮を取ることを選択した模様です。なぜでしょう?以下考察します。

■錐行の陣をもって攻城軍先鋒が樊城に迫ります。すると、吊り扉式の城門が降り、それを驚きの表情で攻城軍兵士達は見上げます。ドン!ドン!ドドォォン!という響きと共に城門から躍り出る曹仁! 最初この音は「突撃の陣太鼓」かと思ってましたが、曹仁が開ききらない城門を駆け上がった時に生じた音だったのですね。

−四天王の怨と弔を知れい!−
怒れる猛将は、瞬く間に兵卒達を斬り払い、攻城軍先鋒の将を討ち取ります。
「守城が絶対」である指揮官を、敢えて攻撃へと駆りたてたもの。それは、盟友・夏侯淵を討たれたことに対する凄まじいまでの「怨恨」と「弔意」でした。
しかし曹仁の突撃は凄かったですね〜。城門付近の兵卒達は粉々に粉砕されてました。最後は両手に敵将らしき兵を掲げてましたが、左手の兵は下半身がもげてました。呂布なみです。曹仁ってこんなに強かったでしたっけ!? いや、歴戦を経て強くなったんでしょうか?もしくは「怨恨」と「弔意」が更に曹仁を強くしたんでしょうか?

■「こんな将兵をいくら斬り殺そうと、俺の弔意は蚊の涙ほどにも表わせん!」
曹仁の悲しみと怒りは物凄く深いみたいです。
しかし、魏国において夏侯淵の死に一番反応してるのが曹仁のような気がします。蒼天ストーリー上では夏侯淵は夏侯惇と一番親しかったようにみえたのですが...。実は曹仁もかなり親しかったんでしょうか。でも今回、夏侯惇の前に現れたのは孫権軍ですが、曹仁の前に現れたのは劉備軍です。“夏侯淵を討った敵”を目の当りにして激昂したのかもしれません。
いや、もしかして曹仁は、「魏の四天王が討ち取られたことに対する弔い」は勿論のこと、「魏国の司令官をCENSOREDという行為が、どれほど大それたものなのか」を、言い替えれば「魏王国の幹部の命の重さ」というものを、満天下に示したかったのかもしれません。
それが曹仁をして、敢えて攻撃へと駆りたてたのではないでしょうか?

そして、『将兵を斬りCENSOREDことでは、自分の弔意は表わせない』と感じた曹仁がとった行為。それはなんと敵軍の大将・関羽に戦いを挑む事でした。

■「夏侯淵! あやつでも、お前の命に見合わぬが。」
現れた関羽を睨んだ曹仁の独白がこれでした。なかなか驚きの台詞です。「関羽の命を以ってしても夏侯淵の死には及ばない。」って事ですね。「演義」や「吉川・横山三国志」の世界においては有り得ない台詞だと思います。蒼天世界ならではの台詞ではないでしょうか。
それだけ曹仁の悲しみは深いという事かもしれません。が、先ほど述べましたが「それだけ“王たる将・夏侯淵”の死は重大である」ってことを曹仁は示したいのかもしれません。

■「征南将軍 曹仁。呼ばれれば必ず応じねばならぬ名だ。」

牛金は、「城の攻防は個人の武で決定するものではないし、攻城側からすれば篭城軍が飛び出た今こそ城を包囲する絶好の機会である。」と考え、「関羽が呼びかけに応じるとはとても思えないから、城に帰還してくれ。」みたいなことを呟いてましたが、予測に反して関羽は出現しました。それも「“征南将軍曹仁”に呼ばれれば、応じない訳にはいかない。」という言葉とともに。

ほほぉ。いつの間に曹仁の名は、関羽に「応じなければならない」と思わせるほどになったんでしょう? まさか関羽は「征南将軍」という地位に対して敬意を表した訳じゃないですよね。
張飛には“ヘボ将”呼ばわりされていたのに、関羽にはこんな敬意を表されている理由とは...。 以下、史書から推測させて頂きます。

■関羽が「応じない訳にはいかない」と述べた曹仁の威名について−。

以前、油江にて、劉備が張飛に言っていました。
「周瑜があいつを退けるのに1年近く、曹操は曹仁をどうやって育てたのかな?」
更に潼関では、ホウ悳が成宜に告げていました。
「あれは江陵で周瑜と1年にわたり戦い続けた将。こういう戦を最も得意とするのでしょう。」
つまり曹仁の武勇は「周瑜と1年にわたり戦い続けた戦い」即ち「江陵の攻防戦」にあるとみました。で、今回、牛金も出たことですし、REVIEW冒頭に述べた江陵の“牛金救出戦”について正史より引用してみたいと思います。

***************

赤壁大戦後、曹仁は行征南将軍に任じられ、江陵に駐屯、周瑜軍数万の来襲に備えます。最初に周瑜軍の先鋒部隊数千が到着した時に、曹仁は城壁上からそれを望見し、三百の決死隊を募り、それを部隊長・牛金に統率、出撃させます。しかし、牛金軍は包囲され、殲滅の危機に陥ります。

城壁上でそれを眺めていた長史の陳矯と側近達は蒼白となりますが、曹仁は憤怒の表情を浮かべ、側近の者に馬を引けと命じます。慌てて陳矯ら側近は曹仁に諫言します。「敵軍は数多く、勢いは盛んであり、対抗することは不可能である。例え数百人を見殺しにすることになっても損害は軽微である。将軍おんみずからが出陣するなどとは、言語道断である。」と。

曹仁は返事もせず、そのまま鎧をつけ馬に乗り、直属の兵士数十騎を率いて城をあとにします。敵軍から百歩あたりの地点に来て、曹仁は堀に迫ります。陳矯達は、曹仁が当然堀の内側にとどまって、牛金援助の形勢を示すと考えていましたが、曹仁は真っ直ぐ堀を渡って直進し、敵の包囲陣に突入しました。そして見事、牛金の救出に成功します。しかし残りの軍兵がまだ包囲の中から脱出していないのを知った曹仁は、再びとって返して突撃し、残兵を救い出します。やがて敵先鋒軍は退却しました。

陳矯たちは、最初曹仁が出撃して行くのを見た時は、絶望のあまり震えあがりましたが、曹仁が帰還した姿を見ると溜息をついてこう言いました。
「将軍は、本当に この世の人とは思えない。」

***************

以上、魏書「曹仁伝」より抜粋させて頂きました。いかがでしょう?この戦いぶり。凄まじいですよね。このエピソードからすれば、曹仁の名を聞いて「応じねばならぬ名だ。」と関羽が考えたのも無理はないような気がします。逆に言えば、曹仁が関羽に戦いを挑んだのは、非常に無謀に思えますが、このエピソードを加味すれば、それなりに勝算はあったのかな、という感じもしないでは無いです。

■「春風、桃花の頃に契りを結び、以来、大旱に雲霓を望み四十年。今、乱世に わが大王の道を拓く。」
渋い台詞でしたね〜。関羽らしいです。でも、最初、意味が分かりませんでした(笑)

『春風、桃花の頃に契りを結び』とは「桃園の誓い」を暗示させてくれますね。蒼天においても義兄弟の契りを桃花の下で行なったんでしょうか?
『大旱に、雲霓を望み四十年。』 ここが全く分かりませんでした。 大旱【たいかん】とは、ひどい日照り。おお日照り。のことで、雲霓【うんげい】とは雲と虹、あるいは虹。のことなんだそうです。つまり、「ひどい日照りの中、虹を待って40年」って事でした。更に調べてみましたら『大旱の雲霓』というフレーズに意味がありました。

大旱の雲霓 【たいかんのうんげい】 《「孟子」梁恵王下から》日照り続きに待ち望む、雨の前触れである雲や虹。 ひどく待ち焦がれている物事のたとえ。

ということでした。『わが大王』とは、言わずもがな漢中王・劉備のことですね。
つまり関羽の言葉を意訳するとこうなります。
「桃花の季節に義兄弟の契りを結んで以来、待ち焦がれること40年、ついに、漢中王・劉備の為に時代を切り拓く時が来た。」

馬超は「至純の夢」、張飛は「黒光りの夢」と表していましたが、関羽はその夢を、日照りの中、虹を待つような想いで40年、過ごしてきたんですね。
そう考えると非常に叙情溢れる言葉です。なんかジワ〜ッときました。

■さあ、曹仁の「怨と弔」も、関羽の「大旱の雲霓」も意味が分かったところで、二者激突!
先ほどは「曹仁もそれなりに勝算あったのでは?」と書きましたが、やはり蒼天における関羽の戦闘シーンを思い浮かべれば、真っ向勝負では曹仁に勝ち目は無いような気がします。いったい関羽の攻撃を、曹仁はどう受けて立つのでしょう!?

答えは来週。 次号、刮目して待つべし!

No.11746 - 2005/03/14(Mon) 21:21:23

Re: 今週の蒼天<戦線> / 鳳卵 [東北]
 曹仁が関羽と互角に闘う!? これまでの“三国志もの”の常識から言って、ありえん! しかし、ありえんが故に蒼天航路だ!(そうか?)

 今回もレビューお疲れさまです。

>『大旱に、雲霓を望み四十年。』
 僕も、読んでてわからなかった部分です。なるほど〜〜、そういう意味だったんですね。
 大旱が日照り、雲霓が雲の影や形というのは想像ついたので、恐らく、満たされぬ想いを抱いていたころに劉備という慈雨をもたらす雲とであってから40年…という意味かと思ってたんですが、ちょっと違ってたんですね。

>「夏侯淵! あやつでも、お前の命に見合わぬが。」
 このセリフは、初見では“おっ?”と思ったけど、まぁ、お互い様ですよね。蜀陣営にしてみれば、もし関羽の命だったら曹操の首でも見合わないという想いでしょうし。

 それにしても曹仁はホント、スゴイヤツに成長したものです。あの関羽と真正面から闘おうというのですからねぇ。今の彼なら、呂布ともわたりあえるのでしょうか? ちょっとムリかな…

 次回、この闘いはどう展開するのでしょうか? あっさりギョウとか許都とかに場面転換してたら、怒るぞ!(ありそうで怖い…)

No.11748 - 2005/03/14(Mon) 22:46:19

Re: 今週の蒼天<戦線> / M.A
管理人様、レビューお疲れ様でございます。

それにしても、曹仁は本当に関羽と一騎打ちするのでようか?成宜との戦いの時のような戦法はとらないと思うのですが・・・
(張郤も趙雲との戦いでは、李堪戦と時のようにはできなかったですし)
私的には、基本は官渡の戦い時の宛での劉辟との戦いの際のままであってほしいです。(「声は出ないのに絶好調」だったかな)

No.11750 - 2005/03/15(Tue) 01:03:12

Re: 今週の蒼天<戦線> / ツァオツァオ [関東]
休載無き今週の蒼天レビューに拱手!

調べてみると「大旱」と「大漢」ってどちらも「―ha`n]で発音一緒みたいですね。じつは言葉の掛けにもなっていたとしたらさらに深いかも?!

次の展開が気になりますが、個人的には牛金救出の回想などをはさんでくれたらば、連載延びるし美周郎を再び拝めそうだし、今回の曹仁に説得力付きそうだし、言うことないのですけどね・・・
贅沢が過ぎました。。。

No.11751 - 2005/03/15(Tue) 01:28:23

レビューお疲れ様です! / 朱
はじめまして〜

今回はひさびさに関羽がしっかり登場しましたね〜

ただ台詞で気になったのは40年てのは30年の間違いなんすかね〜
それとも省略して40年にしたんですかね〜

No.11752 - 2005/03/15(Tue) 12:29:06

Re: 今週の蒼天<戦線> / アノツ [関東]

> 今回はひさびさに関羽がしっかり登場しましたね〜
> ただ台詞で気になったのは40年てのは30年の間違いなんすかね〜
> それとも省略して40年にしたんですかね〜

まぁたぶん関羽が劉備と出会うずっと前のガキの頃から天下の情勢に対して焦燥の思いを抱いていたっていう事じゃないスか?

No.11753 - 2005/03/15(Tue) 17:03:36

Re: 今週の蒼天<戦線> / 槍ですら [甲信越]
曹仁が関羽と互角に一騎打ち。まぁ、ありえなくは無い設定です。
魏NO.1武将が曹仁だと言う説はいくらでもありますし、自分も曹仁はかなり強い武将であったと考えています。
基本的に正史中最強は典韋でしょうが、早死にの為あまり推されませんし残念です。
しかし、蒼天曹仁が蒼天関羽とどのように戦うのか、刮目しましょう

No.11754 - 2005/03/15(Tue) 21:05:40

Re: 今週の蒼天<戦線> / おかゆライス [東北]
曹仁、迫力あります。兜をかぶっていないからでしょうか。
関羽を目の前にして気持ちを抑えてますが、乗馬にはしっかり伝わってしまってる様です。

関羽はかつて??水関で呂布との一騎打ちをないがしろにされてますが、今度は誰かに兵を動かされたりしないよねぇ。

「関羽を前に曹仁の漢が溢れ出す」次回が非常に楽しみです。

No.11756 - 2005/03/17(Thu) 00:16:11

Re: 今週の蒼天<戦線> / つね [関東]
新章突入?
今回の荊州攻防戦は、前々から「来るぞ来るぞ」と描かれ続けてきただけにそんな気がしません。漢中攻防戦から始まる「最終章」、実に豪華絢爛です。

1.四天王の怨と弔
2.関羽の応答

しかし、関羽軍の先鋒の将は誰だったんでしょうね。それなりに名実兼ね備えた人物でないと、先鋒はまかせられないと思うのですが。
関羽の軍は2万、合肥より曹仁が率いた軍勢も2万(第362話)だから、その後の城攻めで失った兵と、もともとの荊州守備軍を足し引きしても別に城にこもる必要もなさそうなのですが。蒼天曹仁が関羽の名におびえるはずもないし。このあたり、攻勢に出たいが「守城は絶対」という条件がからんでいるような気がします。

No.11757 - 2005/03/17(Thu) 03:12:28

Re: 今週の蒼天<戦線> / 鳳卵 [東北]
>40年てのは30年の間違いなんすかね〜
 黄巾の乱が184年、現時点で219年ですから、その間約35年。
 蒼天で劉備と関羽が出会ったのが黄巾の乱より前ですから、40年というのも“間違い”というほどのサバ読みではないと思いますが…

No.11759 - 2005/03/17(Thu) 08:08:14

Re: 今週の蒼天<戦線> / 文月 [近畿]
こんにちは。
今週のモーニングを買ってからのカキコですみません。

最近の蒼天曹仁はガンバってますね〜。
まさか関羽と一騎討ちするようになるとは…。
ヘボ将呼ばわりされてたのが遠い昔のようです。

>「夏侯淵!あやつでも、お前の命に見合わぬが。」
この台詞は「蒼天」世界ならではでしょうね。
演義や、演義準拠の作品では「魏の武将より蜀の武将のほうがあらゆる面で上」という価値観で成り立っている部分があるので、「蒼天」での曹仁のこの台詞は、演義のファンの人にとっては多少なりとも違和感を感じられるでしょうね。

あと、曹仁の馬が関羽の馬を睨みつけてるのが可愛かったです。(笑)

そろそろ呂蒙や陸遜の出番も近づいてきましたね〜。
彼らの活躍も楽しみですね。

No.11760 - 2005/03/17(Thu) 19:12:29

Re: 今週の蒼天<戦線> / kazz [東北]
遅れまして
個人的に気になった扉のコピー

−建安24年 樊城。 今、最終戦争の幕があがる。−

ん〜、ちょっと。鼻につく。
いや、実質「最終」なのかもしれませんけどね。
 ア ピ ー ル し す ぎ 。
去年の「年内完結騒動」といい、「終わりが始まる」コピーといい、
ちょっとしつこいんじゃないですか?編集部さん。
読者側もそのようなことは百も承知で意識して読んでるし、それでも尚、心の中では「続いて欲しいな〜」なんて妄想しながら楽しみにしてるんですよね。
そこをさぁ、ちょっとは汲んでくださいよ。
なんか編集部さんが終わらせたがってるように感じちゃうんですよね。ぐすん。

No.11761 - 2005/03/17(Thu) 19:36:08

Re: 今週の蒼天<戦線> / 英英 [北海道]
か、関さん!関さんがついに来たーーっ!!
裸ブーツとか胸当てオンリー?とか、もしもそんな御姿だったら……というのはあり得ないですが、ちょっと脳裏をかすめませんでしたか?(爆)

  春風桃花の頃に契りを結び
  以来大旱に雲霓を望み四十年

…この言葉の流れ・音の響きがいいなあ…
さすが乱世の大詩人・曹操様が欲しがった人材だけのことはある!
桃園の誓いをさりげなく匂わせてくれるのもいいし、四十年という歳月にこの長い物語の歴史を感じさせてくれます。
「関羽」という乱世の初期から出現し、幾多の戦場が育て上げた武名。大乱世を四十年戦いぬけば、(まして乱世にあえぐ万民が求める劉玄徳と共にあったのだから)、武神にも伝説にもなるよな〜と思いました。

それだけに関さんの今後と荊州失陥がどのように描かれるのか、興味深くもあり結構こわいです。

>「夏侯淵!あやつでも、お前の命に見合わぬが。」

最初、なぁにぃ!?と思いました。(^^;
でも曹仁達にとってはそうでしょうね。
蒼天曹操&四天王のつながりは少年時代からのものだし。
桃園三兄弟が四十年なら、彼らは五十年来の付き合いでしょうか?
(いや、比べてどうだってことないんですけど)

>「征南将軍・曹仁。呼ばれれば、必ず応じねばならぬ名だ。」

さすが関さん。侠者だ。


>曹仁の馬が関羽の馬を睨みつけてるのが可愛かったです。(笑)

曹仁が血管ピキピキになる前に、お馬さんの方が先にピキピキなってますよね。気性が荒いというか、ガラが悪いというか(笑)
この馬が濡須戦で「女を奪われたとてこれほど腹は立つまいぞー!」と言われてた愛馬なんでしょうか。

“怨と弔”
ご主人様の心情をちゃんとわかってるこの馬なら納得です。

ちなみに関羽の馬もなんか挑戦的ですよね〜。
売られた喧嘩は買うというか、馬も侠者というか。
馬同士で戦いを始めちゃいそうな雰囲気です。
ご主人様似?(笑)

No.11764 - 2005/03/18(Fri) 22:54:36
淋しいかな / 新参者 [東海]
はじめまして。新参者です。 蒼天航路をしったのは、すでに31巻がでていた時でした。演技ものしかよんだことのないわたしにとっては衝撃でした。蒼天航路にはまってしまい、これからは蒼天だ〜!っとおもっていたら、もう終わりそう?なんですから一気にやる気をうばわれました。 蒼天のない天下なんて、、、 関羽CENSOREDと張紹怒るかな
      「そのとき歴史がうごいた」三国志 やっぱ変ですね。
  

No.11755 - 2005/03/16(Wed) 12:50:04
キリ番について / 梢統 [関東]
以前、掲示板上であがった888888ヒットなのですが、今回のキリ番も888888ですよね。今回888888を踏んだんですがこれはキリ番ですか?
No.11747 - 2005/03/14(Mon) 22:42:55

Re: キリ番について / 公孫樹 [近畿]
今あなたよりも遅れて私が入室した際のカウンターは874978を示してます。
梢統さん、残念!

No.11749 - 2005/03/15(Tue) 00:58:40
今週の蒼天<漢の源(みなもと)> / TATSU@管理人 [関東]
別スレでLisaさんが話題にしてますが、今夏、蒼天航路の画集が発売されるそうです。「オールカラー」&「王欣太みずからの責任編集」っていうのが気に入りました。サイン会から推測するに、欣太先生は結構こだわり派とみました。かなり期待できそうです。
しかし「単行本」「文庫本」「クロニクル」と全て買ってしまっている管理人としては、部屋中が蒼天だらけになりそうではあります(笑)。

ところでこの画集の『 蒼天航路のストーリーが1冊で分かる 』という謳い文句ですが、「全ストーリーを紹介する」為には、今夏でストーリーを終了させなければなりません...。
ひえ〜、そうでしたら「今秋」、いや、「来春」あたりの発売で結構です〜。

ということで、「蒼天はいつ終わるのか」という恒例の話題を再燃させてしまったところで、今週のレビューいってみます。
今週もかなりUPが遅れてしまい申し訳ありません。その分ボリュームもたっぷりでございます。

No.11689 - 2005/03/01(Tue) 01:01:22

今週の蒼天<漢の源(みなもと)> / TATSU@管理人 [関東]
【STORY】

「なんでだよ。馬謖。」
劉備は馬謖に詰め寄った。曹操に対抗して王となるのであれば、猫の額のような領土の王ではなく、豊穣の大地・蜀の王となるべきではないか、と劉備は考えていた。
「普通はそうです。」
馬謖は微笑んだ。だが、諸葛亮の考えは違っていた。諸葛亮は劉備を王とするのなら、魏王どころか、今の天子をも超越する王としようとしていた。
「しかも、不義どころか、義の中心に鎮座なされたまま。」
馬謖の言葉に劉備は目を見開いた。

−義の中心で、天子を超える王となる。−
それは劉備にはおよそ信じ難い話であった。馬謖は、諸葛亮の言葉を劉備に告げた。
漢中は漢王朝の聖地である。高祖・劉邦の帝業は、覇王・項羽に追いやられ、この秦嶺の奥地の王となった時から開始された。
−漢王朝は、この地から勃興した。−
劉備は足元の大地が鳴動するような感覚に襲われた。

***************

「曹操の求める才」は、万人に備わるものではなく、「儒から解き放たれた新しい気風」なぞ万人の喜ぶものではない。諸葛亮はそう分析していた。つまり曹操がいくら激しく世を先に進めようとしても、混沌に疲れた万人は、安住の地に帰することを望むはずである。そこが諸葛亮の狙う処であった。
長い乱世にあえぐ民に向け“漢中王”を宣言すればどうなるか。流浪の大器・劉備と漢王朝の始祖・初代皇帝劉邦。天下の心は「ふたりの劉氏」を一つに結ぶはずであった。
−曹操は、項羽になぞらえ、地に堕とそうか。−
馬謖にそう告げると、傷の癒えぬ諸葛亮は、薄っすら微笑した。

***************

式典は華やかに行なわれた。

−漢帝に奏し、万民に知らしめん。−

居並ぶ臣下が、壇上の王を見つめていた。

−漢の民よ。
  義の民よ。
  漢の源(みなもと)に帰せよ。−

王は天に向かって拱手した。

−漢中王・劉玄徳−

***************

魏王軍は斜谷を通過していた。
「俺も漢の子か。」
漢中王宣言の書を握り締め、馬上の曹操は思わず呟(つぶや)いた。
賈翊がその言葉を聞きつけ、やはり魏王とてか。と忌々しそうに歯噛みした。「漢中王」などという言葉は、風化した歴史上の称号であったが、その下に「劉」姓を連ねるのであれば、話しは違っていた。
「まったくの盲点だ。」
曹操は苦笑した。どんな結果を齎(もたら)すか、予想がつかない分、曹操には楽しみでもあった。
曹操の発言に賈翊は激昂した。
「否!こんな実体のない、幻想のごとき僭称など、直ちに奇聞にしてご覧にいれましょう!」
幻想?と曹操は聞き返した。それが「人が心に描く像」であれば、“天子”も幻想であった。

籠城、それに続く漢中王宣告。劉備らしいようで劉備らしくない行動であった。
幻想...か。と曹操は再び呟いた。いったい誰が考えついたのだ。と曹操は一人考えていた。
「魏王(との)。」
今度は蒋済が進み出た。このような宣告をさせてしまった咎(とが)は自分にある。と蒋済は悔恨の表情を浮かべた。曹操は振り返って微笑んだ。
「漢中からの一気一勢の撤退。俺以上に俺らしい策だったぞ。」

その時、河を渡ってきた伝令が、魏王軍に関羽の北上の報せを齎(もたら)した。
「こう来たか!ここで関羽を動かしたか!」
賈翊が興奮して叫んでいた。
曹操は再び蒋済を振り返り、もう一つの策がさっそく生きてくるな。と告げた。蒋済は、魏王軍の派手な撤退の影に潜ませ、郭淮と兵100を漢水上の隠密部隊として切り離していたのである。
だが蒋済は、漢中王宣告と時をあわせた関羽の北上により、劉備陣営以外にも連鎖が及ぶことを憂慮していた。面白い!と、それを聞いた賈翊は笑った。これに乗じて出没する賊党も一つや二つでは済まない筈。と賈翊は告げた。
「つまり、どこまで反曹操の人間が膨れ上がるかか?」
曹操は淡々と尋ねた。
「見当つけて数えあげれば...」
魏王は空を見上げて暫し思索した。
「う〜む。恐ろしい。」

***************

業。
関羽北上の噂が街を駆け巡っていた。
それを聞き、興奮した面持ちで、”崇息派”の男が街道を往く歩みを早めていた。
そんな光景を、何晏は胡散(うさん)臭そうに見つめていた。

***************

合肥。
伝令から受け取った書面を見つめ、温恢は愕然としていた。
漢中の火種は、荊州に燃え移っていた−。冬の到来までに鎮火しなければ、中原にまで延焼しかねない。と温恢は額に汗を浮かべた。

二人の将軍が温恢の背後に現れた。
「漢中王だなんだという馬鹿くさい大ボラの次は、大ヒゲの報(しらせ)か?」
書面を覗き込みながら尋ねる夏侯惇。
「と、いうことは。」
と張遼が呟いた。
ああ、と頷きながら夏侯惇は前方を見つめた。

城外の彼方に砂塵が上がっていた。
「降伏だ、臣下の礼だとほざいておきながら、」
地平線上に出現した軍勢を眺めながら、夏侯惇は呟いた。
「こういう頃合いには、きっちり出張ってきおるか。 孫呉の次男坊。」



【REVIEW】

■扉絵は「石像が崩れ、中から生身の劉備が!」という構図でした。以前、モーニングの扉絵を飾ったパターンの劉備版という感じでしたね。欣太先生お気に入りの構図なんでしょうか。そのうち孫権版も出てきたりして。
そう言えば、昔、典韋が死ぬ回に、扉絵で石像のように描かれてました。

■なぜ「蜀王」ではなく「漢中王」を名乗るのか。

それは孔明の思惑であり、王となるなら、「魏王」どころか「現天子」さえ超越する王となってもらう。というものでした。
で、「天子を超える」という不遜な立場が、「現天子の否定」や「僭越行為」「不義」になるかというとそうではない。「王」はあくまで「王」であり、袁術のような天子僭称とは違うわけです。義の中心に鎮座したまま「天子を超える王」となる。それが孔明の秘策・「漢中王宣言」でした。
なるほどねぇ、という感じです。

天子を超える王...なかなか興味深い表現でした。
何故、漢中王を宣言するのが魏王や現天子をも超えるのか?それは、それが漢王朝(=現王朝)を築きあげた高祖(=劉邦)の故事に倣うことになるからでした。項羽に追いやられた劉邦は、漢中の地で王を名乗ります。それが高祖の帝業の始まりとなりました。つまり、漢中という土地は「現王朝の聖地」であり、現王朝の源泉は、「漢中王宣告」に在ったと...。

そうなると、「漢中王」という立場は現王朝の根源ということですから、「現天子」や「現王朝の王(魏王)」の原点は「漢中王」にある。という事になります。それが「漢中王宣告」という一見猫の額のような土地の王となることが、袁術のような「不義」とはならずに、「天子や魏王を超越」することになる。という孔明の論でした。

『漢中王を名乗るのは、高祖の故事に倣ったもの』というのは、知識として知ってましたが、『魏王や天子を超越する王』という蒼天孔明の表現は面白かったです。
しかし、それ以上に面白かったのは、その後に孔明が馬謖に語る「乱世にあえぐ民草の思考」の分析でした。以下、考察します。

■「曹操の求める才は、万人に備わるものではなく、儒から解き放たれた新しい気風なぞ万人の喜ぶものではない。曹操がいくら激しく世を先に進めようとしても、混沌に疲れた万人は、安住の地に帰することを望む。」

曹操は後で「まったくの盲点だ。」と述べてましたが、蒼天航路という作品世界においても、ある意味、盲点だったような気がします。
曹操は家柄や性格に惑わされることなく才能のみに着目し、優秀な人材を渇望します。また、400年続いた儒教国家を否定し、新しい気風の世を創ろうとします。これは革新的かつ先鋭な思想で、これが蒼天曹操の魅力となっています。

しかし、実際問題として、世の中の人々で曹操の御眼鏡(おめがね)にかなう才を有する者が何人いるでしょう?
大半の人々、ごく普通の「民草」は、それを有しません。更に今は乱世です。才を有さない、ごく普通の生活を営む人々は「儒を否定する新しい気風」などよりも「長く続いた戦乱が終わる事」「古(いにしえ)の平和な世」を望んでいるのではないか。孔明はそう分析しています。つまり超人である曹操の望む世界は、ごく普通の人々の望む世界と必ずしも一致していない、という訳ですね。

そこで、長い乱世にあえぐ民に向け「漢中王」を宣告すればどうなるか? 天下の人々は同じ「劉」姓の劉備を、高祖・劉邦に結び付ける筈だ。すなわち、劉備を「乱世を平定し、漢王朝を打ち立てた男」の再来(さいらい)とみなす筈だ。つまり、乱世の民草は、「革新を齎(もたら)す者」よりも、「安寧を齎す者」を選択する。それが蒼天孔明の秘策・「漢中王宣告」であったような気がします。
そして、最後に述べてましたが、劉備を劉邦に擬(なぞら)える事が可能なら、覇王・曹操は項羽に擬えて、地に堕とす(最初は勝利を重ねさせ、最後の一戦で敗北させCENSORED)。という思惑も成り立ちます。

■「反曹の盟主」劉備に、更に「劉邦の再来」という身分を付与して、「天下の民の心」を掴む。
「漢中王宣告」の奥にあるものを深読みすれば、なかなか孔明の秘策も素晴らしいものでした。これは「漢土の巷間を這い、人に塗れて出直してきた。」成果が出たのかもしれません。
ただこれが『 曹操の首より大きい勝利 』 ひいては『 曹操を殺さずに曹操を倒すこと 』 『 死より激烈な責め苦・無力感を味わわせること 』かと言えばまだ足りない気はしますが...。

あと、以前、劉備が夏侯淵の遺骸に添えた文書で「漢中の王」と称えてましたが、あれはどうなるのでしょう?あの時点では劉備は「漢中王」の意味するところに気づいていない訳ですから、あくまで「漢中で戦った王」という意味で使用したんでしょうかね。曹操も「漢中の王」という文字に「夏侯淵の戦いぶり」を想像しただけでしたので、お互い気付かなかったみたいです。
もしかして「の」の文字が間に入ると入らないとでは意味が違ってたりして!(笑)

■孔明は額に包帯を巻いて、ふらふらしてましたね。頭に直撃くらってたんでしょうか? 許猪の一投は冠を砕いただけで、多少血は流れてましたが頭をかすめた程度かと思ってたのですが、違ったみたいです。
馬謖と話してた時も最後気絶しそうになってましたし、式典の時もぐらついてましたね。結構効いてるみたいですが、大丈夫なんでしょうか? 蜀漢の丞相になろうっていうのに...。
ところで孔明って髪の色だけじゃなくて髪質まで変わってたんですね。あんなにウェービーだったのに、さらさらストレートになってました。 どうでもいいですが。

更にどうでもいい事ですが、式典の時に、空を舞っているあの目玉焼きみたいのは何なんでしょう?

■「俺も漢の子か」
曹操は宣告書を握り潰して呟きます。どういう意味でしょうか?

孫権が「そもそも孟徳にとって漢朝とはいったい何じゃあ?」と自問した時に劉備がこう言いました。「たまたま生れ落ちた所が漢朝の中でよ。権謀術数ってやつをぶん回しているうちに天子を奉戴しちまった。要は行きがかり、ってくらいのもんだろうぜ。」
行きがかりとはいえ、曹操は漢朝の中で生まれ落ち、漢の天子の下(もと)で行動している訳です。ところが今回劉備は、漢の源(みなもと)である「漢中王」を宣言してしまった。「漢の子」である曹操は、自分が下流的立場になったように感じたのではないでしょうか。
『劉備め。巧い手を考えやがったな。』そんな意味も込めて、曹操はこの台詞を呟いたように思えました。

■「まったくの盲点だ。どんな結果をもたらすか。わからん分だけ、わくわくするな。」
蒼天曹操らしい台詞です。が、前回は漢中王という言葉に、胸を貫くような衝撃を受け、凄まじい表情してたのに、もうケロッとしてました。何であの時はあんなに反応したんでしょう?
これでは「漢中王宣言」だけでは、『 曹操を殺さずに曹操を倒すこと 』 『 死より激烈な責め苦・無力感を味わわせること 』 には至ってない事になります。「どんな結果をもたらすか。わからん分だけ、」って曹操も言ってますから、今はそれほど打撃を受けなくても、今後、何かあるんでしょうか?

んん? もしかして孔明の「おもてなし」はまだ終了していなくて、これから起きる一連の出来事も、『 曹操を殺さずに曹操を倒すこと 』 『 死より激烈な責め苦・無力感を味わわせること 』 の計画の1部なのでしょうか?
だとしたら、非常に楽しみです。そうでしたら法正を引っ込めて孔明を登場させた事や、「少なくとも曹操の首より大」って1ページ使って宣言したことも頷けます。どんな展開をもたらすのか、わからん分だけ、わくわくます(笑)

■「漢中からの一気一勢の撤退。俺以上に俺らしい策だったぞ。」
が〜ん。蒋済の進言は「漢中から一気一勢の撤退」だったみたいです。やはり戦闘らしい戦闘もせずに曹操は漢中から引き揚げちゃうんですね〜。 ガックリ!
実は、魏王軍は再び引き返し、天蕩山山頂で漢中王就任式典が行なれるところに、曹操が出現し、山頂の劉備と何か言葉を交わす、とかいう対決に淡い期待を持っていたのですが...。

一気一勢(こんな言い方あるんですね。一気呵成は知ってましたが)に撤退するのは、馬謖の言っていた「南鄭ばかりか陽平関と下弁からも撤退」のことでしょうね。何で一気に撤退するかと言えば、前回、鳳卵さんが述べていた『 漢中撤退を決意した以上、陽平関や下弁に兵を置いてても無意味だし、退路を絶たれたらそこに駐屯している兵士たちを見殺しにすることになる。勝ちを捨てた時点で即時撤退 』 というのが理由なんでしょうか?

曹洪も曹休も登場しないまま撤退しちゃうんですね〜。曹洪は「夏侯淵の弔い合戦」に燃えそうな気がしてたんですが。

■「蒋済、もうひとつの策がさっそく生きてくるな。」
関羽の北上を聞いて曹操はこう述べました。派手な撤退の影に潜ませ、郭淮の小部隊を残したそうで、「漢水上の隠密部隊は確かに使える」と賈翊は言ってました。何で荊州の関羽の北上に対して「残してきた郭淮の漢水隠密部隊」が生きてくるんでしょう? 新たな謎です。
っていうか最近、謎のままで放置されてるエピソードが多いです〜。

■「つまり、どこまで反曹操の人間が膨れ上がるかか?」
漢中王宣告と関羽の北上。更なる連鎖は、劉備陣中になくとも他に繋がるのではないのか。と蒋済は憂慮し、曹操は上記のように答えました。

劉備以外の反曹操といえば、内にあっては魏諷。外にあっては孫権でしょうか? 外憂内患ですね。魏王国も大変です。
おまけに民草さえも「いくら激しく世を先に進めようとしても、混沌に疲れた万人は、安住の地に帰することを望む。」というのは曹操にとって辛過ぎです。
更に見方を変えれば、「民草」だけに限らず「身内」でさえ、曹操の考えが先鋭的であればあるほど、それについて行けない人々も増えてゆくのではないでしょうか。古くは陳宮。新しくは荀?ケや崔炎、華佗。儒者達に崇息一派...。

蒼天曹操。実に孤高にして孤独です。そこがまたこの作品の魅力ではありますが。

■関羽北上。これに合わせて業の崇息一派は胎動を始め、合肥の城外には「孫家の次男坊」が軍を率いて出現しました。曹丕曰く「中華の大地が西に大きく傾いた」状態でしたが、ここに至って激しい「揺り戻し」が中華の大地を震撼させているような気がします。

何晏親子は街のあちこちで関羽北上の噂話が飛び交うのに辟易してるみたいです。そんな中で一人の男が興奮した面持ちで群集の中から離れ、どこかに行くのを何晏は発見します。それは「鼻息男」でした。以前路上で崇息してて、語りかける何晏に「無理だ」って言ってた男ですねー。
クーデターの顛末において、何らかの形で何晏が絡みそうな気がします。

合肥には猛将二人が絡むんですね。これは強そうです。次男坊は鉄壁の要塞にどう挑むのでしょう?

さて、漢中戦がふいの撤退で終わってしまったのは、大変残念ではありますが、今後の「荊州鼎戦」と「魏国内乱」はそれを上回る期待感でございます。
どうか、キリのいい34巻で終わらせようとなどせずに、今後の展開をじっくり描いて頂くことを希求致します。

No.11690 - 2005/03/01(Tue) 01:49:08

Re: 今週の蒼天<漢の源(みなもと)> / 文月 [近畿]
こんにちは。いつも御苦労様です。

今回は劉備がなぜ「蜀王」ではなく「漢中王」なのか、その理由が明かされましたね。
もっとも、私は薄々そういう予感はしてたのですが…。漢の高祖・劉邦が由来、というか元ネタというのは。

諸葛亮の言う「おもてなし」と魏諷の計画、どちらも史実では結果的には失敗に終わってしまうんですよね。なぜ失敗に至ったかはこれからゴンタ先生の筆で描かれるのでしょうが、(以下ネタバレ注意)前者の方に限って言えば、私は諸葛亮が曹魏との対決に必死になるあまり、孫権および孫呉に対する対策(例えば荊州を貸した貸さないの問題とか)をなおざりにし、孫権ら孫呉の人々の立場を蔑ろにしたことも一つの原因かな、と思っています。

また諸葛亮の言う、「曹操の求める才は万人に備わるものではない」という発言も、最初は一理あるかな、と思いましたが、そもそも才、とは文庫本14巻のカバー、折り返しのアオリ文にもあるように掘り起こし、さらに伸ばすものでもあるはず。(実際、いわゆる「隠れた才能」というのはあります。)後年、劉備没後の蜀が人材不足で苦しんだのも、諸葛亮が人材を用いるときは能力(才)よりも、国家の(事実上の)最高責任者である自分の言うことに忠実に従ってくれるか、というのを重視しすぎたために、次世代を担う若手の育成、すなわち若手の「才」を伸ばすことを怠ったのも一因かな、とも思っています。
ちょっと話が飛躍しすぎたでしょうか。(汗)

ところで、劉備の漢中王即位の式典のシーンのバックのあれ、管理人様は「目玉焼き」と表現なさっていましたが、私は「顕微鏡で拡大した微生物」のように見えました。(爆)
それにしても、張飛や馬超が朝服を着てるシーンが出てくる三国志漫画なんて、あたしゃ初めて見たよ…。

魔人・張遼様は久しぶりの台詞付き出番ですね〜。惇兄とツーショット。以前より髪が心持ち短くなったかな?
しかし温恢さん、等身短い…。(爆)
で、おそらくは関羽が動き出したのを受けたからか、権ちゃんも動き出しましたね。
もしかしたら、これから呉は魏と同盟組むのかな?
ついでに陸遜は出てくるのかな?

あと、何晏親子がどうやって橋の下に降りたのかも気になります。
あそこから足場どこにあるの〜!?

No.11691 - 2005/03/01(Tue) 19:12:57

Re: 今週の蒼天<漢の源(みなもと)> / 小龍
>>幻想...か。と曹操は再び呟いた。いったい誰が考えついたのだ。>>と曹操は一人考えていた。

今だに孔明さん曹操に認識されていないのですね。かわいそう

No.11692 - 2005/03/01(Tue) 23:01:59

Re: 今週の蒼天<漢の源(みなもと)> / SMILE [近畿]
漢中王就任の意味は当時の人々にとって私の想像より大きな衝撃だったようですね。私は”漢中王=天子へと進む意思表示”と見ていましたが”漢中王=「魏王」どころか「現天子」さえ超越する王”だったのですね。

曹劉直接対決が肩透かしで終わってしまって残念ですが、蒼天やっぱりおもしろいです。孫呉の動向、荊州争奪戦、魏風の乱、曹操の死と見所たっぷりです。作者様には諸事情には構わず、じっくり練りに練って描いて欲しいと思うしだいです。

No.11693 - 2005/03/02(Wed) 09:36:35

Re: 今週の蒼天<漢の源(みなもと)> / ハクヤ [近畿]
はじめまして、ハクヤと申します。今週の蒼天、いつも楽しく読ませてもらってます。漢中王・劉備。今まではこの意味について具体的に考えたことはありませんでしたが、なるほど・・・と思わされました。蒼天の孔明がどうやって曹操と戦うのだろうと思ってましたが、こういう攻撃もアリですね。今さら「天才軍師」になったらどうしよう・・・とか思ってたので安心しました。
ところで、管理人様がおっしゃていた「目玉焼き」についてですが、僕はあれ、見たことがあります。中国ドラマの「三国志」で蜀の「天才軍師」が亡くなったときの葬儀で、いっぱい飛んでました。あれは白くて丸い紙でした。最初は僕も「なんで、CDの保護マットがいっぱい飛んでるんだ?」とか思ってましたけど・・・(笑)。結局なにかは知らないですけど、多分、式典において形式的に飛ばすものなんでしょーね。
長々となりましたが、これからよろしくお願いします。

No.11694 - 2005/03/02(Wed) 14:18:08

「目玉焼き」問題 / 競輪王 [近畿]
 管理人様、いつも興味深く読ませていただいております。
 メチャクチャ久しぶりに投稿します。

 さて、問題の「目玉焼き」ですが、たしか荀攸の葬儀の時(魏諷の初登場の時?)にも似たようなモノが空中を舞っていたような記憶があります。
 で、私の予想→紙銭のたぐいでは?

 本筋から外れたレスですみません。
 これからもよろしくお願いします。

No.11695 - 2005/03/02(Wed) 16:26:41

Re: 今週の蒼天<漢の源(みなもと)> / つね [関東]
漢中王の由来を知っていながら、その衝撃の大きさが分からなかったとは。私は漢の子ではないらしい。そりゃそうだ。
私は曹操の呟きは、「漢中王」という言葉に思いもかけぬ衝撃を受けた自分自身を、やや皮肉をこめて省みているように思えました。

1.漢中王の意義
2.漢中王即位
3.漢中王の波紋

扉絵ですが、一通り読んでから見ると、劉邦の石像の中から劉備が出てきた、というイメージに見えました。一こまだけ出ている劉邦もあごひげ生やしているし。

孔明は初めて納得のできる奇策を編み出したような気がします。

しかし、この時期に孫権が動くんだ・・・。どう荊州と絡むのかまったく読めませんが楽しみです。

No.11696 - 2005/03/03(Thu) 02:33:28

Re: 今週の蒼天<漢の源(みなもと)> / 黒助 [関東]
こんばんは。皆様、お久しぶりです、黒助です。
もう三月になりますが今年に入って初の書き込みです。今更ですが今年もどうぞよろしくお願いします。

孔明の秘策に関して「漢中王奉戴」という内容と「劉邦となぞらえる」という狙いが明らかになりましたが、ここ蒼天考では多くの方が見事予想されていましたね。三国志の基礎知識に乏しい私は、このサイトと参加者の皆さんの質の高さに改めて脱帽です。

ただ、この策が曹操をも衝撃を受けるほどの秘策たりえるゆえんとして孔明が述べている
「曹操の求める才は万人に備わるものではなく … 混沌に疲れた人々は安住の地に帰することを望む」
との発言、この曹操と劉備の(特に民の視点から見た)王としての違いについては、実は私としてもまさに我が意得たりだったんです。というのも私は随分前に次のように書き込んだことがあります。

>>曹操の政治では国は急速に発展しますがその発想についていけない、すなわち自ら価値を生むことができない者は淘汰されます(曹操自身が「わが道は民に選択を要求する」といってます)。これを常に要求され続けることは普通の人であれば極めて酷なことでしょう。民の思いを最も知覚する男、劉備が「曹操どんの傍にいるのは怖いんだよ」というようなことを昔言ってました。この苛烈さが時に識別された者の復讐やされる者の恐怖からの反抗を生んでしまう。だから急激な進化の政治にも危険な面はある(もちろん蒼天曹操はそれすら怖れず楽しむほどの男ですが)。>>

上は漢中王奉戴ではなく魏諷の乱の背後のテーマとして私が我流に推測したものですが、今回の孔明の思惑とそれに対する曹操の反応と似てませんか?書いた本人しかそうは思わないかもしれませんが(汗)。魏諷の乱にも孔明の思索が含まれるようですし、散々悩まされ続けている蒼天孔明と少し通じ合えたような気がして非常にうれしく感じました。

進化、発展、繁栄、価値創造…これらの観点からしたら蒼天において曹操の治める魏に劉備の蜀は及ばず、文月さんの仰る通り魏では人々の眠っていた才は引き出されさらに伸ばされていくでしょう。曹操の魏はいわば純粋市場主義理論の淘汰と発展の世界だからです。しかし、国・社会の発展にそれが望ましいかどうかと一人一人の人々がそれを望むかは答えが異なりうる問題です。だからこそ、それを受け入れられない人々の思いを理解できるだけでなく、涙するほど強く共感して同じものを嚢に抱いくことができる劉備が「反曹」の人々に王として迎えられたのでしょう。人を触発し続ける曹操と人に共感し続ける劉備…。

余談ですがマクロ経済学ってミクロ経済学の理論を単純に集積しても全体の動きをどうもうまく説明できないことから全体そのものから出発して考えようというのがその始まりだそうです。社会全体から人々の幸福を考えることと人々の幸福から社会全体を考えることは必ずしも一致しないんですよね。夏候淵と劉備の対談がかみ合わなかった理由の一つもそこにある気がします。

TATSU様の仰る曹操の孤独、ものすごく共感です。そして、これって劉備にもいえる気がします。自分が存在すればするほど国が衰え、人々が死に、乱世が深まる。夏候淵にも指摘され、劉備自身とっくに長坂で自覚していることです。ある視点からしたらまさに劉備こそが乱世の終結と先鋭的な新社会の創造を阻害する諸悪の根源ともとれるわけです。それでも自分の中の天下への思いと民草の中の反曹の思いが一つにつながり続ける限り、その道を歩み続ける…その覚悟…やはり孤独で悲しいものがあります。
う〜ん、今更ですが曹操、劉備どちらも魅力的!

連載一回一回では全然私には見通せなかった最近の蒼天でしたが、どうやら「なぜ漢中王?」という疑問への注目と「実はそれは、劉備を劉邦になぞらえることを利用(なぞらえる自体が目的ではなくあくまで利用)することで、曹操と劉備の王としての違いの核心をつき、劉備の声望を高めると同時に反曹の気風を一気に高めるという孔明による大秘策であった」というこれまたダイナミックな解釈がGONTA先生の描きたかったことの一つだったようです。
こういった注意しないと素通りしてしまうような素朴な疑問への着目とそこからの大胆な歴史解釈って私なんかは一瞬にして蕩けてさせられてしまう蒼天の魅力です。

とまあ、秘策については堪能したのですが、孔明その人を蒼天ではGONTA先生はどう描こうとしているのか、もしくは私自身どう解釈したらいいのかは「孔明は劉備同様、曹操という存在を最も深く理解できるものの一人である」という点以外結局未だ落ち着きません。蒼天で最も物議を醸し続ける彼に私はなぜか登場以来惹かれ続けてるんですが…。
どうも孔明を知ろうと彼に注意していると彼ではなくその周りの人物が浮き彫りになってくるんですよね。前に孔明が曹操に全く認識されない状況をRYUさんが「シェイクスピアの道化のようだ」と仰ってました。それに近いかもしれませんが私にとっては今のところ作品中の鏡のような存在です。それはそれで面白いですがやはり「蒼天孔明その人と会いたい!」とも思ってしまいます。篭城中に曹操を前にした時の異様な激しっぷりにこそ彼の中核(蒼天流にいうなら心の闇)を知るキーを見た気はするんですが…。
ただ、さらなる彼の描写が今後は期待できる気がします。というのは、曹操の

「いったい誰が考え付いたのだ」

という発言です。小龍さんはここからまだ孔明が曹操に認識されていないと見ていましたが、私は全く逆に捉えました。というのはこれって曹操が初めて劉備の背後にいる彼の存在に興味を示した発言だからです。…誰かいる…。天下三分宣言・赤壁の時の存在そのものを認識されない状態から大きく変わったことを示唆する、もっと注目されていい発言だと思います。

さてさて、漢中王奉戴から一気に戦況が動き出しました。TATSU様の推測の通りここからが本当のおもてなしなのでしょう。三つ巴それぞれの思いと行動の速さと熱が一気に高まってきました。もう期待大です!

No.11697 - 2005/03/03(Thu) 03:48:05

Re: 今週の蒼天<漢の源(みなもと)> / 鳳卵 [東北]
 毎回のレビュー、大変お疲れさまです。

 蒋済の策は、郭淮率いる100人を残すことで『どこか1点をハズしてくる』というところまで曹操以上に曹操らしい策でしたね。
 しかし、100人くらいで一体何ができるんだろう? 率いるのが甘寧だったら、名馬を全部盗んでこれるかもしれませんが…(笑)

 上でつねさんが仰ってるとおり、“漢の子”ではない我々にとって、漢中王就任のインパクトが、今イチピンときませんね。理屈は分かるんですが、そこまでショックを受けるようなコトか…? という気がします。

 更に、これがなぜ不義にならないのかがわからない。漢が未だその命脈を保っているこの時期に、新しい漢を建てると宣言するのは、明らかに不義なんじゃないかという気がするんですが…

 しかしまぁ、蜀の国盗りすら不義の声が上がらなかった今の劉備にとっては、ものの数ではないのかもしれません。

 曹操は人に自立を求め、劉備は人に頼ることを求めます。
 曹操は、いつどんな時でも曹操ですが、劉備は、周りにいる人によって様々に変化していくようです。漢中王就任は、劉備に寄せられる人々の想いを統一し、実態のつかみにくい“徳”を、形あるもの、わかりやすいものとする効果があるように思います。

 いよいよ関羽が動きましたね。史実よりになると今イチいいとこなしの関羽さんですが(泣)、なんとか蒼天ではカッコ良く活躍してほしいものであります。

No.11701 - 2005/03/03(Thu) 22:22:24

Re: 今週の蒼天<漢の源(みなもと)> / kazz [東北]
TATSU様、お疲れ様です。押忍っ!

ほぼ曹一色の国内において、劉備は負けつづけ、流浪に流浪を重ね、永い永い苦労の末たどりついた。曹操相手の戦としてはほぼ初の勝ちといっても良いであろう漢中争奪。
そして四海における反・曹操の気概を一身に背負うその男の姓は……劉氏。

こ こ で 漢中王 即位!!

民草にしてみれば劉備と劉邦とを重ね合わせ、それと同時に項羽に曹操を重ねずにはいられないタイミング。まさに絶妙。
蒼天孔明にしては(笑)ものすごく理にかなった策。反曹なしでは劉備を語れないといった劉備の本質もうまく利用しているわけです。

この策があったからだと思うんですよ。
これがあったから演義が生まれ、劉備は聖人君子として描かれつづけてきた。以後2000年近く経とうとしている現在でも。
これはある意味、蒼天孔明の思惑通りなんでしょう。劉備は(その実態はどうであれ)曹操という“悪役”に立ち向かう不屈の英雄として描かれつづけています。まさに魏王よりも献帝よりも上の王として永い間人の心に刻み込まれたわけです。

約2千年の時を経て尚、我々は孔明の策の上にいますぞぉぉぉ!
やっぱ妖怪じゃー(笑。

No.11704 - 2005/03/04(Fri) 18:09:57

/ DAI [関東]
「曹操の求める才」は、万人に備わるものではなく、「儒から解き放たれた新しい気風」なぞ万人の喜ぶものではない。

まさか、孔明が万人を語れる日が来るとは。成長したんだね、君は。かつて、劉表の死に立ち会い、劉備に共感出来ず、張飛を抱きしめる劉備を理解出来なかった君が、万人を語る。僕には漢中王の響きよりも、そっちの方が衝撃的だったよ。

しかし、孔明。曹操は人を知っている。人を理解し、そして共感した上で、この世に必要なものを打ち立ててきた。それが曹操。孔明、人というものをやっと理解した君だけれど・・・。共感し、なおその上に何かを打ち立てることができるのか?何かを踏みにじりながらも前に進むことよりも、踏みとどまることを選んだ君に。

いつか、君自身が饅頭になった時に、知るだろう。劉備が、曹操が、孫家が背負った天下人という響きの意味を。その時の君のことを思うと、ちょっと心配。でも、君が思い出させた漢中王という響き、悪くないな、と、思ったよ。頑張れ、孔明。応援してるよ♪

No.11742 - 2005/03/10(Thu) 11:02:09

Re: 今週の蒼天<漢の源(みなもと)> / 英英 [北海道]
管理人様、いつもレビューお疲れ様です。
本当に頭が下がります。もう次の蒼天を読んでしまった後ですが感想を書かせていただきます。


 漢の民よ。
 義の民よ。
 漢の源(みなもと)に帰せよ。

長引く乱世に疲れた人々がこんな宣言されたら、たいして深く考えずに「そうだ、自分は漢の民なのだ。漢の源である劉備様の元に帰ろう…我らの主は劉備様だ…」とかいう気分になりそう。
(だから「馬鹿な民草」と郭嘉に言われてしまうのか)
人心を掴むというか、人心をまるめこむというか、微妙だよ諸葛亮。

でもまあ、蜀獲り出発前に?Y夏ちゃんが言った、「あんたが漢(くに)を帰したるんや」が、実現しつつあるんですね? あの台詞なかなか意味が掴めなかったのですが、管理人様の『劉備が "奪われた漢(くに)" を元のところへ帰してやれるかやれないか』という解釈でああそうか、と消化したのでした。

そして惇兄の「馬鹿くさい大ボラ」という指摘は結構鋭い。
むかしむかし袁術が「(玉璽を)もちろん朝廷にお返しする」「この袁術自身が皇帝となって」と猿化したのと、劉備が“自らが漢中王に就いて漢(くに)を本来あるべきところに帰す”のは、やってることはあまり違わない。
あまり違わないのに、不義を大義に見せる劉備マジック!
賈クは「幻想」と言ってますが、惇兄の「大ボラ」という表現の方がしっくりなじみます。よくわかってるじゃありませんか、惇兄。

蒼天孔明に馬謖が心酔している様子は結構新鮮でした。
劉備と妖怪以外で、孔明と仲良くできる人間がついに誕生(笑)
ようやく曹操様にもインプットされそうで良かったね。

でも今回の一番のツボは、ヘアスタイルが素敵になった張遼です。
遼来来では伸び放題の長い銀髪でしたが、今回は少しカットして、魔人様が騎士様になったようです♪

No.11744 - 2005/03/13(Sun) 17:04:03
孫家三代・軍師三人 / TATSU@管理人 [関東]
今を遡ること約5年前、管理人が当サイトを立ち上げる前の話です。

「流砂」という蒼天総合サイトがありまして、そこで知り合った友人が、「天地人」という蒼天論評サイトを開設しました。その時に、当時の管理人が「天地人」に送ったイラストが2点ありまして、それが「描画考・MY GALLERY」にUPしてある「孫家三代」と「軍師三人」です。

むろん当時は気合入れて描いたのですが、今になって見直すと、ネットで公開する作品としては、非常に稚拙過ぎて恥ずかしい。ごくたまに「MY GALLERY」を見直したりするんですが、その度にこの2作を見て赤面すると同時に、描き直したくてウズウズしておりました。
という訳で、今回キリ番の申告者も現れなかったこともあり、一気に2枚とも描き直してみました。宜しければご覧下さい。

既に「天地人」は閉鎖しておりますが、あらためてDAIどんに捧げたいと思います。

No.11732 - 2005/03/05(Sat) 21:36:58

なんじゃいな! / DAI [関東]
挑む者ならば一瞬たりとてその歩みを止めてはならぬ!
王たる者が一臣を顧みて覇道を見失えば、万の臣を死に至らしめるぞ!

終幕を間近に控え、感傷にでも溺れましたか?ったく、古い絵を手直ししながら、あの頃を懐かしんで、涙ぐんだりしてんじゃないでしょうね?作者も、TATSU兄も。

漢中王を名乗った劉備、壮年に未だ大志を燃やす曹操。そして、孫家の三代目。今、燃えなきゃ、いつ燃えるっつーの。

叢雲に隠れているだけですよ。月満ちれば、頃合いをはかって、きっちり出張るつもりでいるのでよろしくです。絵の方はありがたーく、頂きます♪ありがとうございます。では!

No.11737 - 2005/03/07(Mon) 12:28:04

Re: 孫家三代・軍師三人 / 楚人 [地球外]
・・・孫策に地の利ってのはおかしいかと・・・。
というか明らかにおかしいです。
地の利を生かしたのはどうみても孫権でしょう。

No.11738 - 2005/03/07(Mon) 12:39:34

Re: 孫家三代・軍師三人 / kazz [東北]
自作の過去の絵を見て恥ずかしいと思う。
 ↑それって自分の技術が文字どおり目に見えて成長しているのが解る、ってことですよね。至福の時。
本当に線がキレイになってますよね。シュッシュッと迷いのない線。あいや、こんな言い方すると偉そうだ(汗。スミマセン。


少なくとも<蒼天孫策>は「民草の心に孫家の威信が根深い江東・江南」の地の利を使っていたと思いますよ。

No.11740 - 2005/03/08(Tue) 20:46:00

Re: 孫家三代・軍師三人 / RYU [東海]
一瞬、KING GALLERYに入ってしまったのかと思いました。
マジで巧いです。
昔のも見たいなと思ったりと、比べると積み上げた時間と労力が
一潮甦るってなもんです。

孫策は江東・江南の地を本拠と定め、進撃したのは地の利を的確に見抜いていた
からだと思います。彼が行ったのは孫堅の天命と仲間達を引継ぎ、彼らが
息づいて行ける国を打ち立て、孫家の土台とも言えるハードを築き上げた事。

そして、孫権は人の利をフルに活用しハードの中身であるソフトを磐石に
した事ではないかと思います。降服論に傾く孫家臣達を踏み止まらせ、
武に逸る諸将達と知による講和を唱える文官達を忠の心で纏め上げました。
天の時を奉戴し、軍勢や装備の規模などのハード面では圧倒的に勝るであろう
曹軍に向かわせ勝利する事ができたのは凄い事なんじゃないかと思います。
孫権は兄が築き上げた地の利を理解し引き継いだからだけでなく、
人の利を強固に纏め上げたからではないでしょうか。

No.11743 - 2005/03/11(Fri) 02:56:57
連載考 更新 / TATSU@管理人 [関東]
蒼天考訪問者の皆さん、単行本33巻は買われましたか?

「夏侯淵の死」「魏諷の生い立ち」「法正の葛藤」「黄忠・趙雲の活躍」、「孔明の登場と謎の山」と盛り沢山の内容でしたね。
そして裏表紙の四天王の酒盛。杯を掲げる夏侯淵の表情が非常に嬉しそうなのが印象的でした。
あと、折込のところの欣太先生のコメント、

−蒼天航路の天下人は、気の萎えた者の筆を拒む。
私はこの10年、彼らに対し、ひたすら上機嫌ににじり寄ることだけを心掛けてきた。−

前半は「気合入れて描かないとまずい。」というような信念を感じましたが、後半は歴史上の人物を描く苦悩みたいなものが漂ってるような気が...


さて、単行本発売にあわせ、恒例の「連載考」の更新を行ないました。
連載派の皆さんは連載当時を振り返る意味で、単行本派の皆さんは連載当時の感想を知る意味で、是非、連載考の「単行本33巻収録分」をご覧下さい。

No.11733 - 2005/03/05(Sat) 21:39:44

Re: 連載考 更新 / youkey [関東]
非常にご無沙汰しております。

33巻読みました。連載考も拝見しました。
やはり法正の活躍、これにつきます。
人物の描かれ方を見ていると、全然悲壮感とかってないのですが、なんだかとてもその“退場”が悲しかったです。
“曹操と対決するということへのプレッシャーが彼を蝕んだ”といった意味合いの内容を何人かの方がおっしゃられていましたが、法正は“巨大な曹操”という相手に挑むことに、やはりそうとうな気負いがあったのでしょうか?
彼の軍を操る姿に、郭嘉をダブらせてしまいましたが(わたしは龐統にも郭嘉をダブらせてましたが)、同じように次から次に軍略・策をあふれ出している姿でも、郭嘉の場合は兵を操ることそのものに目的があったのに対し、法正は曹操に挑むということに目的があったのかな、などと思っています。
ゆえに、郭嘉と同じように自らの欲求から軍略を生み出し、戦を生きる糧とも捉えて楽しんでさえいる曹操と、曹操に挑むためという目的のために策を繰り出してきた法正とでは、当然身体にかかっていた負担も違ったのかな…と。
しかし余談ですが、曹操は官渡の時分、自分が持っている戦に対する心の闇とも取れる存念を吐いていたりもするので、はっきりと割り切れない、文字どおりそれが曹操の魅力のひとつであったりします。

話がそれましたが、やはり法正にはもう少し兵を動かし続けてもらいたかったですね。そして欲をいえば龐統とのツーショットとかも見たかったです(これはかなり叶わん夢ですが)。
思えば劉備の側には、同時に二人以上の軍師が侍っていることがなかったような気が…。(記憶違いでしたら御容赦を)
それが劉備たるゆえんなのかもしれませんが……。

No.11734 - 2005/03/06(Sun) 23:53:52

Re: 連載考 更新 / ネバー大 [関東]
初めまして。いつも楽しく拝見しております。
ネバー大と申します。


法正の戦う目的。
それは自らの才を絞り出すことだったのではないでしょうか。
極論すれば劉備でなくてもよかった。つまり弱者でありながら曹操という巨大な敵に立ち向かおうとする君主(=劉備)の元で、己の才を存分に使ってみたかった。

そういう意味では法正は曹操の好きな人材でしょう。あの才。毒っ気。
ただ法正は曹操の中身を知らず姦雄としての風評しか知らない。また自分の才能を思う存分出せる場所(すなわち才能のない劉備のもと)が欲しかった。だから劉備のもとで曹操に立ち向かうのではないでしょうか。
ただ才を搾れる喜びとそのスピードがあまりに激しかったため、体を壊した。
まるで流れ星のようにこの三国志という物語を駆け抜けて行きましたが、そんな一瞬の輝きをきちんと英雄としてとらえてくれた蒼天航路に感激です。

No.11735 - 2005/03/07(Mon) 03:13:25

Re: 連載考 更新 / kazz [東北]
連載考 更新。お疲れ様です。
改めて読み返してみると、感慨深いものがありますね。
皆様の御意見・御考察はいつ見ても熱いッ!

−蒼天航路の天下人は、気の萎えた者の筆を拒む。
私はこの10年、彼らに対し、ひたすら上機嫌ににじり寄ることだけを心掛けてきた。−

このあとがき(?)、私も気になりました。
なんか結構、モチベーション下がってきてる感じなのでしょうかねぇ・・・。
心配です。

No.11739 - 2005/03/08(Tue) 20:18:39
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