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今週の蒼天<武侠の結界> / TATSU@管理人 [関東]
今週は、ほぼ関羽と徐晃の一騎討ちに終始しましたね。以前、管理人は<天下の趨勢>の時のレビューでこう書きました。

>「なんとしても、どんな手を使ってもな。」
> 徐晃が不敵に微笑んでました。打倒関羽に手段は選ばない模様
> です。どんな手に出るのか、これはこれで楽しみです。 考えてみ
> れば徐晃も、素っ裸で登場したシーンは印象深かったのですが、
> その後、たいした見せ場も無く現在に至ってます。馬超との一騎
> 討ちが、唯一のチャ>ンスだった気もしますが、 「人を顧みぬ刃
>(やいば)は、武にあらず。」とか言いながら避けちゃいましたから
> ね〜。

今回は、徐晃、苦戦に苦戦を重ねてましたが、見せ場は満載でした。 不敗神話の心意気を見せてくれたような気がします。 関羽が相変わらず圧倒的破壊力を見せてましたので、史実を知りつつも、徐晃が青龍刀に真っ二つにされるんじゃないかとヒヤヒヤしてしまいましたが。

さぁ、クライマックスを迎えつつある樊城決戦。徐晃が不眠で考えた戦術はどう展開するのでしょう?
それでは、レビュー開始させて頂きます。

No.12081 - 2005/07/04(Mon) 21:00:54

今週の蒼天<武侠の結界> / TATSU@管理人 [関東]
【STORY】

関羽は李典棍の鎖を掴み、強く引いた。

「実におそるべき武器に手練(てだれ)。」
そう告げると関羽は 凄まじい勢いで青龍刀を振り下ろした。
徐晃は“李典盾”を以って辛くも受けとめた。すかさず関羽は鎖を手繰り寄せ、李典棍は宙に浮いた。

***************

樊城城壁から、曹仁が二人の一騎討ちを見つめていた。
曹仁は、徐晃の一騎討ちなど聞いていなかった。 だが曹仁は、陽動作戦が効かない為に、徐晃自らが関羽を引き付け、“大矢に記した策”に強引に持ち込もうとしている事に気付いていた。
曹仁は曹泰の名を呼ぶと、手筈通り西門へ向かい、作戦を実行するよう命じた。

***************

西門包囲陣では趙累が、徐晃軍8万が北方に出現したという報告を受けていた。
趙累は、関羽本軍が8万程度の兵で易々と崩れるとは思っておらず、敵の真の狙いは包囲陣の注意を北側に引き付けることにあると推測していた。敵は未だ城内と城外の連携を企んでいると信じる趙累は、北に釣られて西門の警戒を解かぬよう兵士達に命じた。

その時、趙累は城内から狼煙(のろし)が上がっている事に気付いた。
突如、巨大な矢が飛来した。大矢は艦船を貫き、趙累軍の兵士数名を串刺しにした。 漢水上流から、魏の水軍が出現していたのである。
大矢には夏侯惇と張遼の参戦が大書されており、それを読んだ関羽軍兵士達は蒼白となった。
「脅しじゃ!狼狽(うろた)えるな!」
趙累は軍の動揺を抑えるべく叫んだ。
燃え上がる船団が川幅いっぱいに広がり、蜀水軍に肉迫していた。

***************

炎上する船団の背後には、趙儼の艦隊がいた。
趙儼は、孫権の参戦など考慮に入れないようにしていた。自分達がまず果たすべき任務は、樊城4千の兵の救出である。そう信じる趙儼は、北方を見つめ呟いた。
−お前が積上げた策は全て使い切る!それまで持ち堪えるのだぞ。−

***************


李典盾は、青龍刀の度重なる打撃を受け、歪んでいた。
関羽は徐晃に 一撃を与える隙さえみせなかった。だが、徐晃は西方から流れてくる黒煙に気付いていた。それは火攻が開始された事を告げており、それを知った徐晃は次の手を発動した。 関羽の猛攻を必死に受け止めながら徐晃は叫んだ。
「惇将軍!張遼!」
関羽軍兵士に戦慄が走った。『 夏侯 』 と 『 張 』 の旗を掲げた二軍が、西門の方角へ駆け抜けていったのである。
だが、関羽がそれに応じることはなかった。本物の夏侯惇と張遼であれば、10里の彼方からでも発する気が伝わるからである。 関羽の読み通り、駆け抜けた二軍は殷署と朱蓋であった。

「よく手立てを尽くし、よく持ち堪えた。」
関羽が徐晃に語りかけた。まるで勝負が着いたかのような物言いに、徐晃は口を歪めて笑った。 まだ、あの手やこの手が残っておるわ!そう叫ぶと徐晃は盾を捨て、関羽めがけ突進した。
関羽の眼前に迫る徐晃。ふいに徐晃は、馬を囮とし、自分は側面から渾身の一撃を放った。だが、その一撃も関羽の青龍刀に弾き返されていた。

「もはや、盾もなし。」
地上に膝を着いた徐晃を見つめ、馬上の関羽は告げた。
“一振りの武の本領がまだある。”と徐晃は不敵に笑った。
「それでよい。」
関羽が青龍刀を掲げた。
「今、武を尽くすべきは、樊城の活路より、お前の活路だ。」

その言葉に、関羽は全てを見抜いているのかもしれない、と徐晃は唸った。


【REVIEW】

■「実におそるべき、武器に手練(てだれ)」

関羽はそう告げると、李典棍の鎖を強く引っ張りました。この台詞は、徐晃の絶え間無い攻撃に対し『 お前の使う武器も、その武器を使うお前の腕前も、実に恐ろしいものだ。』 と関羽は称えたのですね。背中に分銅が刺さっても全然余裕です。オデコに矢が刺さっても平気なんですから、背中の分銅ぐらい屁でもないんでしょうか。 関羽、無痛症じゃないですよね。

さて、この時の一連の動きに疑問が湧いたので考察してみます。
関羽の背中に李典棍の“分銅部分”が刺さったので、徐晃は「これはもらった。」とばかりに“矛の部分”で関羽を薙ぎ払おうとした訳ですよね。それに対して関羽は、「お見事。」と告げながら鎖部分を強く引きました。徐晃は「!」と驚き、矛をガッと握ってます。
これ、おそらく関羽が鎖を強く引いたんで、鎖で繋がっている矛の部分も関羽の方向に引っ張られ、徐晃は矛を取られないように強く握った。と思われます。そこで関羽は、青龍刀を徐晃に叩きつけ、盾で必死に受け止める徐晃から矛をもぎ取ったんでしょう。 

でも、最初に関羽が鎖を掴んだ時に、既に徐晃は関羽を薙ぎ払う態勢に移ってましたよね。だとしたら、関羽がそこで鎖を引っ張ったら、矛は益々加速して関羽に襲いかかると思うんですが...。つまり、徐晃の攻撃開始に対して、“鎖を引っ張る”という行為は何の防御にもならないと思います。徐晃が攻撃態勢に移る前に、鎖を引っ張ったのなら有効ですが。
関羽は鎖を、上方向か下方向に引っ張ったので、徐晃の矛の軌道がズレたんでしょうかね?

■「陽動が効かぬゆえ、自ら関羽を引きつけ、大矢に記した策に持ち込もうというのか!」

一騎討ちを見つめる曹仁の台詞です。ちなみに先々週のレビューで管理人はこう書きました。

> 疑問なのが、『 李典弩に書かれていた策 』 は、どういうものだっ
> たのか、という事です。 ただ単に包囲陣から関羽・関平軍を引き
> 剥がすという策では、わざわざ弩を打ち込んで城兵と連絡取り合う
> 必要もないですよね。満寵軍は突出はしましたが、これもどちらか
> というと“関平軍の力量を推し量る”みたいな突撃で、簡単に引き
> 揚げちゃいましたし...。包囲陣から関羽・関平を引き剥がしたと
> ころで、曹仁本隊が歩兵で飛び出ようとでもしてたんでしょうか? 
>『 李典弩の策 』。いったいどういうものだったのか謎ですが、とにか
> く結果はしょぼいものでした。

違ってましたね。『 李典弩の策 』は、中断されていただけで、まだ終了した訳では無かったようです。失礼致しました〜。 でもこの『 李典弩の策 』の件が復活して嬉しいです。“大矢に記した策”がどういうものなのか、非常に楽しみです。新キャラ・曹泰も投入された事ですし...。
ところで曹泰は父親にそっくりでしたね。皺とって頭髪が生えた感じです。結構 爽やか系でしたが、彼も歳とったらハゲちゃうんでしょうか(笑)。

■「北につられ、西門の警戒を解くでないぞ!」

趙累は、北からの攻撃はブラフで、西包囲軍の注意を北に引きつけるのが狙いと予測していました。曹泰も西門に向かっていましたし、この後、趙儼艦隊も漢水上流から現れましたし、偽の夏侯惇・張遼軍も西門へ向かっていました。どうやら“大矢に記した策”は、西門がキーポイントみたいです。

■惇来来・遼来来

大矢にこう記されていました。“遼来来”という孫呉を震撼させた言葉に、夏侯惇も乗っかったんでしょうか?(笑)。実際は夏侯惇も張遼もまだ到着していないみたいですから、これも徐晃が考案し趙儼が実践したブラフなんでしょうか。夏侯惇本人が知ったら「来来と言えば張遼だろが。俺にまで使わんでいい。」とか憤慨しそうです。

この大矢も李典弩から放たれたものみたいです。一瞬、樊城から発射されたのかと思いましたが、大矢は趙累背後の艦隊を横方向に貫いてましたから、漢水上流から趙儼艦隊が放ったんでしょうね。ていうか、曹仁軍は李典弩持ってないですもんね。
大矢は艦橋を2〜3個貫通し、兵士が3名ほど串刺しになってました。相変わらず凄まじい破壊力です。なんかミサイルみたいです。 1発しか放てないのが弱点のようですが、量産して、各艦に搭載して一斉射撃を行なえば、蜀艦隊を潰滅させられるような気もします。

■「川幅いっぱいに、燃え上がる船団接近!」

炎上する船団を敵艦隊に衝突させるのは、合肥・逍遥津で蒋済も実施していましたね。魏軍はこの戦法が得意なんでしょうか? 今回は、徐晃が考案し趙儼が実践してるみたいですが、逍遥津では、李典が考案し、蒋済が実践してる感じでした。 考え合わせてみれば、これも李典の攻撃方法を、徐晃が引き継いたのでは?とか夢想してしまいます。「李典艦!」

■「さすがは関羽。一撃をねじ込む隙さえない。」

徐晃が悔しそうに独白してました。“李典盾”がボコボコになってシューって煙まで上がってましたね。青龍刀が凄まじい速度で、何度も打撃を加えた模様です。この李典盾って、中央に空洞の筒が着いてましたから、先週使用した“李典擲箭”と同じものみたいです。飛び道具として使用した後は、盾になるみたいです。でも盾の側面から刃が2枚飛び出てましたから、引き続き武器としても使用できるんですね。スゴイ兵器です。なんか李典本人よりも遺作のほうがインパクト強くなってきちゃいました(笑)。 関羽には歯が立たず、最終的には捨ててましたが。

ところで、関羽の背中に刺さった李典棍はいつの間にとれたのでしょう? これも背中から引き抜き、どこかに捨てたんでしょうかね。あんな深々と刺さった分銅を引っこ抜いたら、背中から大量の血が噴き出そうなもんですが、そんな気配すらありませんでした。
関羽、神だ...。

■「ならば、次の手を出動!」

歯を食い縛って、青龍刀の攻撃を受けとめた徐晃は、“次の手”として夏侯惇と張遼の名を叫びました。
その直後に再び関羽の攻撃を受けとめて、やはり隙なし!と独白してましたので、一瞬、徐晃の“次の手”とは、『 夏侯惇と張遼の名を叫んで、関羽の隙をつくる。 』ことかと思いました。ずいぶんセコイ手だな〜と思いましたが、違ってました。直後に、“夏侯” “張“ の旗を掲げた2軍が、徐晃の側面から飛び出てました。そりゃそうですよね。夏侯惇と張遼の名前を叫んでビビらせるだけだったら、子供がいじめられそうになって、先生の名前を呼ぶのと変わりないですもんね(笑)。

さて、夏侯惇・張遼軍は、偽部隊でした。援軍第二派の殷署と朱蓋でした。殷署はアイパッチを、殷署はティアラをしてましたね。折角の変装でしたが、関羽は、『 本物であれば、10里先から発する武が伝わってくる。 』 と西門へ向かう2軍が偽部隊である事をあっさり見破りました。
で、結局この2軍の目的は何だったのでしょう?単に関羽本軍を引きつける事だけだったのでしょうか?と、なると完全失敗ということになります。それとも西門に向かうことが、目的だったのでしょうか? だったら夏侯惇と張遼に化ける必要はあったのでしょうか?
迂闊な判定をすると、又 「違ってましたね。失礼しました〜。」ってお詫びしなくちゃいけないので、この二軍の目的については来週を待ちたいと思います。

ところで、偽部隊は殷署と朱蓋でしたが、援軍第一派の呂建と徐商は何処にいるんでしょう? まぁ、徐晃としても、とりあえず偽部隊には使えなかったんでしょうね。関羽は言うでしょう。
『 本物ならば、10里の先から漂うあの悪臭はない。 』

■「よく手立てを尽くし、よく持ち堪えた。」

関羽が徐晃を褒めてました。もう既に決着がついたかのような台詞です。徐晃は そんな言葉をかけられ、納得いかない模様でした。まだ手段は沢山あるわ!と叫んで突進してましたからね。
徐晃の次なる戦法。それは、関羽の眼前まで馬で突撃し、ふいに鞍から跳躍、馬だけを関羽の正面から衝突させ、自分は鐙(あぶみ)に足をかけ、遠心力で関羽の側面から攻撃するというものでした。趙雲が得意としそうな攻撃ですね。

しかし、その捨て身の攻撃も、関羽は徐晃の馬を素手で跳ね除け、側面からの徐晃の攻撃を、青龍刀で弾き返しました。 どんな攻撃も、いかなる戦法も、関雲長には通用しません。 
“武侠の結界、侵す事あたわず。”

■「もはや、盾もなし。」

『 色々と手を尽くしたようだが、もう身を守る武器すら無いぞ。』というこの関羽の忠告に、徐晃は 『 一振りの 武の本領が、まだある。』と答えました。『 盾が無くなろうと、この俺の命が無くなるまでは、“武の本領”という武器がある。』って感じでしょうか。
−最後の最後まであきらめんぞ。−
というような徐晃の不屈の闘志を感じました。

さすがは“不敗神話”を誇る男。ただの “逃げ上手を不敗とほざく、駄法螺の大将” ではありませんでした。やはり張遼や楽進と共に“魏の五将軍”と並び称される男だけあって、ここぞという時は、一歩も引きません。
管理人は今回の関羽との一騎討ちで、徐晃が、“不敗”を異名をとる真の理由を垣間見た気がします。

■「それでよい。今、武を尽くすべきは、樊城の活路より、おまえの活路だ。」

徐晃の台詞に関羽がこう答えました。これ、どーいう意味でしょう? 
今、お前の武を振り絞るのは、樊城の為にではなく、自分の為に行なえ。って意味でしょうか? 人の事より自分の事を心配しろ!って意味でしょうかね。 ちょっと違うかな?

もっと意味が分からないのは、この関羽の台詞を聞いて、徐晃が「関羽は全てを見抜いているのか!」と冷汗を掻いてたことです。なんで、『 お前の武は、樊城に活路を見い出してやる事より、自分の活路を見い出すことに使え!』というような台詞が、『 全てを見抜いている。』ことになるんでしょう?
....分かりません。来週のストーリーを読めば、関羽の台詞の意味が少しは分かるんでしょうか?


蒼天の台詞は相変わらず難解ですわ!

No.12082 - 2005/07/04(Mon) 21:05:10

Re: 今週の蒼天<武侠の結界> / 鳳卵 [東北]
最近、レビューのアップが早くて嬉しい限りです。お忙しいでしょうが、頑張ってください!



今回の徐晃の戦いぶりを見て、『敵を知り、己を知れば〜』という言葉を思い浮かべました。

自分の力量を把握し、相手の力量に徹底して思いをめぐらす。これこそが、徐晃の《不敗の処方》だったんですね。

馬超に対して言った、「人を顧みぬ刃は武にあらず」というセリフの意味が、今初めて明確にわかったような気がします。

>■「それでよい。今、武を尽くすべきは、樊城の活路より、おまえの活路だ。」
 これ、良くわからないんですが、もしかして徐晃は、心のどこかで死を覚悟してたんでしょうかね?
 それを見抜いた関羽が、「命を粗末にするな」という意味でこう言って、それに対して徐晃は「自分の心が読まれたのか」と思ったのでしょうか。

 う〜ん、なんか、自分で書いてて「ありえねぇ」という気がしてきました。
 次回を待ちたいと思います。

 つか、曹操と劉備はどうなったんだ!?

No.12085 - 2005/07/04(Mon) 23:36:30

Re: 今週の蒼天<武侠の結界> / てら [近畿]
管理人様、今回もお疲れ様です。
久々にカキコさせていただきます。

曹仁の息子の曹泰、管理人様も仰ってますがそっくりですね。
蒼天の親子が似てるのはもうおなじみですが…しかし蒼天の親子って似てるのに個性が出てるから違いがきちんと解るのがすごいと思います。
蒼仁も最初出てきた時爽やか系でしたよね。彼もきっと父のようにイジラレ役に…^^;

偽惇兄と偽張遼の作戦ですが、やはり関羽の注意を引き付けたかったというのが最大の狙いだったのではないでしょうか。
もちろんきっぱりとは断言できませんが…
何か合肥の「遼来来」作戦を思い出しました。
他の狙いとしては、「惇来来 遼来来」の矢でビビリきってる兵士達への追い討ちとか…う〜んでもこれは違う気がするな;
いずれにしても待て!次週!ですね。

関羽の「それでよい。云々」の台詞ですが、私は単純に、徐晃が関羽と対峙しながらもハン城を守ろうとあれこれ気を回してる事を見抜いての台詞かなと思ってました。
今回の偽惇兄・張遼作戦の真の狙いは解りませんが、関羽には二人が偽者であることを即見破られました。
私の勝手な推測ですが、徐晃にはまだハン城のための策がいくつかあるが、関羽にはそれすら読まれているのではないでしょうか。
そこで関羽は「お前は今はハン城にあれこれ気を回すよりも自分の戦いにのみ集中すべきだ」と言い、それに対して徐晃は「俺の手の内はやっぱ全部読まれてんのか!?」と思った、と…
・・・って本当に単純すぎますね;蒼天の台詞はやっぱ難解だ・・・
これもやっぱ待て!次週!ですね;しかし単純すぎる考えだな私の考え…

しかし気になるのは先々週の天蓋車です。(←話題に乗るの遅いな)
結局あれ何なん・・・あん時の惇兄の台詞に激しく同意します。
蒼天はほんと続きが気になる作品ですね

No.12086 - 2005/07/05(Tue) 01:29:53

Re: 今週の蒼天<武侠の結界> / RYU [東海]
お久しぶりです。

僕はどうしても、関羽の方が劉備より上に思えます。
夏候淵との天下問答から劉備は逃げましたが、もし関羽だったら。
今回の関さんの圧倒的武勇・超然ぶりを見ると、ただ武で以って応じた気もしますが・・。もしかしたら本当は、劉備が仕えている立場だったりして(笑
官渡時代には、曹操から期待された政の才は開花しないのかと思いましたが、今回の関さんのコメントで政の才が備わっていると思いました。

>「それでよい。今、武を尽くすべきは、樊城の活路より、おまえの活路だ。」

これは、徐晃が置かれた立場を指摘するコメントで、大局眼を備えた優秀な司令官としての関羽の立場から出されたものだと思います。
おまえの活路
「将軍としての貴様の任務は、部隊の統率であるから、武力の限りを尽くして活路(死地からの生還)を見出す事が今やるべき事だ」
樊城の活路
「司令官としての大局的視野に立てば、樊城の救援こそが最優先の任務であるから、蜀主力を陽動し、樊城の部隊が突破作戦を展開しやすい状況を作る事が今やるべき事だ」

後者の意味が有りならば、関羽は司令官という大局的戦略・政を理解する立場にある(曹操の期待通り?)という事になります。そして、樊城に秘策がある事を見抜いているという事にもなりますので、徐晃がこれ以上捨て身で関羽を引き付けても策を看破しているから無意味だ、という事になります。趙累も看破してる風でしたし。
だから、「ここは生還を試みるしか道はないぞ」という事ではないでしょうか。

将軍の心意気・闘争心は自分に無いものですし、それなりに理解ができますので、
好きだったりもします。
関さんは神、もしくは番外という事にしときましょう(笑

No.12087 - 2005/07/05(Tue) 03:22:16

Re: 今週の蒼天<武侠の結界> / 夏樹 [関東]
 管理人様、まいどの詳細なレビューありがとうございます。

 ここ何回かの蒼天は、話の勢いが止まりませんね。この展開からいかに史実につなげていくのでしょうか。
 建安24年に入ってからのこの密度は、欣太先生、曹操の死で終わらせるかわりに、今後の三国志の展開の伏線を盛り込むだけ盛り込もうという腹でしょうか。
 あと3巻分くらい欲しい!


 さて、関羽の李典棍の防ぎ方、私も管理人さんの言われたよう疑問に思いました。
 強いて解釈すれば、徐晃と関羽の距離は一合目を打ち合った反動でいったん離れ、徐晃が「構え」→「踏み込み」→「なぎ払い」のアクションを想定したところ、「踏み込み」に入る前に関羽に鎖を引かれてバランスを崩したというところでしょうか?うーん、強引。
 それでも、徐晃が「もらった」と思ったタイミングから反撃に出ているわけですから、関羽速すぎ。

 殷署と朱蓋は、西門に向かっているところをみると、仮装はおまけで(関羽以外への効果も見込んでいるでしょうが)、西門方面に対して何らかの攻撃を行うことが目的と思われますが、次回のお楽しみですね。


 さて、最後の徐晃と関羽の問答。
 これは、私はRYUさんとは逆に読みました。てらさんの意見の方に賛同です。
 関羽は、今、この瞬間は司令官としての立場を捨て、関羽と徐晃二つの武のぶつかり合いのみに集中しろと呼びかけたのだと思います。純粋なる武のぶつかり合い、それが呂布との一騎打ちにみせて以来の、「関羽のやり方」というものではないでしょうか。
 もっとも、関羽にとってみれば趙累に絶対の信頼を置いているがゆえの発言でもありますが。

 これに対し、徐晃は関羽の趙累に対する信頼など知るよしもなく、お互い軍の司令官としての前提で一騎打ちをしているのですから、関羽の一騎打ちに専念して動じない姿勢は、既に自分の策への対応がぬかりないためだと思ったのでしょう。
 実際に徐晃は一騎打ちをしつつ軍を動かし、策の進み具合に神経を向けています。この辺が関羽の気に障ったのかもしれません。「一つのことに、集中しろ」って。

 関羽は徐晃の策を読んでいるというよりは、自らの武と自らの軍を信ずるが故の自信を表現しているのであって、これは決して傲慢さではなく(結果的にはそういうことになったとしても)、あれこれ策を弄することなく感ずるままに突き進む関羽の武を表す態度といえるでしょう。

 いかがでしょうか?

No.12088 - 2005/07/05(Tue) 19:53:31

Re: 今週の蒼天<武侠の結界> / RYU [東海]
夏樹さん、はじめまして♪

>純粋なる武のぶつかり合い、それが呂布との一騎打ちにみせて以来の、「関羽のやり方」
>「一つのことに、集中しろ」

なるほど、夏樹さんは関羽を生粋の武人として見ているのですね。
それに対して、徐晃の方は一騎打ちの最中にありながらも、策の動きにも
考えを巡らす事のできる司令官タイプであると。
実際今起こっている戦闘との関係は薄いかもしれないですが、心意気的には、
徐晃も、司馬懿の策を捨てる正攻法へのこだわり・武によせる信頼感、
といかにも武人らしいような気もするんすが。
>「本物であれば、10里先から発する武が伝わってくる。」
つまり、これも戦略的視野から可能と不可能を察知したのでなく、
武人の嗅覚のようなもの、というニュアンスになりますよね。
>「本物ならば、10里の先から漂うあの悪臭はない。」
これも(爆

うーーーん、
納得(爆  
というか、それでも筋は繋がりそうな気もしますね・・。
後続の人に任せます(笑

No.12089 - 2005/07/05(Tue) 20:52:13

Re: 今週の蒼天<武侠の結界> / たか
おひさしぶりです。

ピント外れかもしれないですが、

> 「それでよい。今、武を尽くすべきは、樊城の活路より、おまえの活路だ。」 徐晃の台詞に関羽がこう答えました。これ、どーいう意味でしょう? 

関羽の次のターゲットが徐晃。
ただ、戦ってるうちにCENSOREDに惜しいと感じた
からきた台詞なのかと思いました。

No.12090 - 2005/07/05(Tue) 22:44:50

Re: 今週の蒼天<武侠の結界> / 黒助 [関東]
今週もみなさんの考察それぞれに鋭い視点ですね。
実は私はてらさんと同様とても単純に「さすが関羽、徐晃が進めている策に気付いてるな!」とだけ思っていたんですが皆さんの考察を読んで反省、ちょっと考えてみました。
そもそも関羽のセリフ「それでよい。今、武を尽くすべきは、樊城の活路より、おまえの活路だ。」のどこが難解なのか、ちょっと分解してみます。

樊城の活路:この言葉が出てきているということはやはり関羽は徐晃が樊城兵の救出のために策を必死で動かしていることには気付いているんでしょう。その意味ではてらさんや私の第一印象はあながち間違いではない気がします。

おまえの活路:この言葉も単純に徐晃のこの一騎打ちからの生還のことを指してるととっていい気がします、恐らく。二つの言葉自体はそれほど難解ではない気がします。

樊城の活路<おまえの活路:そう、難解なのはこの関係の指摘でしょう。関羽は徐晃にまずは一騎打ちからの生還に専念せいといっています。これって言い換えると関羽自身がこの一騎打ちに全力をかけることの宣言ですよね。私が感じる難解さはここに生じます。
『なぜ背後の策の動きに気付きながら関羽は一騎打ちに専念するのか?』

そもそもこの一騎打ちは淵の弔いという想いのあった曹仁のものとは異なり、偽夏侯惇、張遼部隊の動きと連動した明らかな陽動作戦の一貫(関羽の引きつけ)です。
したがって、これに付き合うことは陽動作戦を成功させてしまう危険があるわけで本来ならあまり賢い選択とはいえません。
これまで他の如何なる陽動作戦にも微動だにしなかった関羽がなぜ全て分かった上で陽動一騎打ちには全身全霊をもって応じるのか?

ところでこの一騎打ち、徐晃の側からすると「一騎打ちであれば関羽は応じるであろう。けれども他の陽動作戦との連動で戦局が変わればさすがの関羽も軍の指揮に戻らざるを得まい。すなわち、この一騎打ちは他の策との連動が成功するまで長引かせればわしの勝ちじゃ!」というような腹積りだったように思います。

というのも先週の関羽の「逃げるという選択肢は既に無い」との忠告にある程度徐晃が余裕をもって応えた所からも分かるように、どうも徐晃にはこの一騎打ちに関して「自分が引かずとも関羽側を引かざるを得ない状況にもって行ける」という自信があったように伺えるからです(まさか関羽に勝つ自信はないでしょうから)。

今週の関羽のセリフはそんな徐晃への「私から引くことはありえぬぞ!」という警告であったかもしれません(それまで何度も繰り返されているおまえの逃げる術、防ぐ術は既に無いぞとの意味のセリフも一貫して暗にこれを伝えている気が)。
だとしたら関羽のセリフはまさに2重の驚きを徐晃に与えたはずです。
?@ 既に全てが陽動のためであることが見抜かれている。
?A その上で関羽には一騎打ちを引く気はない⇒戦局が変わることで関羽が引くことは無い⇒この一騎打ちは決着が付かない限り終わらない⇒このままではさすがに自身の命が危ない!
だからこそ上のセリフを受けて徐晃は

関羽は全て見抜いて(なお戦略上愚かなこの一騎打ちを続けようとして)いるのか!

と冷や汗をかいたんではないでしょうか(既知の結果を無視した我流の妄想です(汗))。

で、戻って関羽はなぜ全てを知った上でこの一騎打ちに集中するのか。
夏樹さんのご指摘の通り趙累への信頼も理由の一つだと思います。
でもこの樊城決戦において関羽の戦略上「?」という行動はもう一貫してるんですよね。
やはり、この決戦において関羽は「理」ではなく「侠」に徹している気がします。
「侠」に徹しているからこそたとえ陽動であっても敬意を払うにたる将の一騎打ちには全身全霊で応える…まさに侠の武の化身…

ただ注目したいのは関羽はその行動はあくまで「侠」であるのに、その言動から戦局の「理」による分析が極めて正確に出来ていることが感じられるとこなんですよね。だからこそ余計に関羽の行動を違和感と感じる方が多くいるのもうなづけます。

最近私がとみに感じる蒼天関羽像はまさにこれなんですよね。
−本来は「理」の側面も「理外」の側面も桁外れのスケールで持っている−
−けれども彼は「理外」を、「侠」を、「劉備の嚢の中身」を選んだ−

だからRYUさんの

>僕はどうしても、関羽の方が劉備より上に思えます。

との指摘も才による価値創造という視点から測ったのなら私も賛成です。だからこそ曹操からみたら明らかに関羽の方が上なんでしょう。
ただ劉備のすごさは創りだす価値の大きさだけでは測れないものなんですよね。
その意味では一概にどちらが上とは言えないというのが私の感じるところです。

ひるがって劉備・夏候淵対談も私は劉備は決して逃げたわけではない気がします。
彼にとってはたとえ乱世を長引かせようとも「曹操の天下では生きられない」という民の思いに応えることが絶対です。
だから「劉備の天下は価値的でない」という批判は一方的に一側面だけ捉えたそもそも次元の異なる批判であり応える術がなかったんではないでしょうか。
その批判はそんな価値的でない行動を劉備に望むような民を次々に生み出すような天下を築いた曹操から発せられて時に初めて同次元で議論できるものとなる、劉備はあの時そう感じていたように思います。

本来的に「理」、「理外」の生き物である天下人曹操、劉備のすごさにはいつも感じ入ってしまいますが、曹操の下で自身の生き様に苦悩していたころの関さんを思うと、一つの道を選び、存分に力を発揮している今の姿は非常にすがすがしくあり心が震えます。
長々と失礼しました。

No.12091 - 2005/07/06(Wed) 02:34:29

Re: 今週の蒼天<武侠の結界> / 夏樹 [関東]
 こんにちは、ふたたび夏樹です。

 RYUさん、返答ありがとうございます。
 うまく言いたいことが表現しきれず、つたない文章で失礼しました。

 黒助さんの詳細な分析、納得です。
 曹操配下にひけを取らない「理」をもち、しかし、劉備の生き方に身を委ね、ただ「侠」のままに行動する。
 関羽は曹操も劉備も、両方を理解した、いずれの価値をも客観的に捉えることのできた(そして選んだのは劉備だったわけですが)人間なのですね。

No.12092 - 2005/07/06(Wed) 17:05:20

Re: 今週の蒼天<武侠の結界> / Nearly Headless Nick [近畿]
管理人様、いつも詳細なレビューをありがとうございます。

>本物ならば、10里の先から漂うあの悪臭はない。

悪臭部隊の使いどころは難しそうですね。
そのまま関羽にぶつけるのでしょうか。
関さん動じなさそうですが、変態のポン引き時代の孔明に会ったとき、劉備に問われた関さんは「十分に不快だ」と答えていましたから、まったく通じなくもないでしょう…。
(変態孔明の悪臭と悪臭部隊の悪臭は質が違う気もしますが。)

No.12093 - 2005/07/06(Wed) 18:10:57

Re: 今週の蒼天<武侠の結界> / てら [近畿]
またお邪魔いたします、てらです。
皆さんの意見を読んでて、その全てに「なるほど」と思う所があって納得です。
蒼天は難解な表現が多い作品だと思うのでそれだけに色々と考察できるのも醍醐味だと思うのですが、こうして色々な方の色々な意見を見ることができるのはいいですよね。何というか、大袈裟な言い方かもしれませんが世界が広がるというか。なるほどこういう読み取り方もあるな、という。
ちょっと話脱線しちゃうかもしれませんが、こちらのサイトはそういう風に色々な方の深い考察に出会うことが出来てほんといい所だなぁ、と突然ですが改めて思いました。改めて管理人様に感謝です。
そんなことを考えているとやっぱり「ホンマに蒼天終わるんかな…」と暗い気持ちに…;って言ってもしょうがないことなんですけどね;

黒助さんの分析、私も夏樹さんと同じく納得です。
「理」の側面も「侠」の側面も持っているが、魂は「侠」。と、言うことも出来るでしょうか。熱いな関羽!!(←アホっぽい感想)

明日(っちゅうか今日ですね)はモーニングの発売日ですね。講談社の携帯サイトで見た所今週も蒼天は載ってるそうです。
色々と気になる点が多いんで早く読みたいもんです

No.12094 - 2005/07/07(Thu) 01:12:07

Re: 今週の蒼天<武侠の結界> / つね [関東]
8万「ごとき」
うーん、常識的には暴言に聞こえます。前回、英英さんがおっしゃったとおり、北面の関羽軍は5000程度(襄陽からの援軍もありますが、それを合わせても1万程度のはず)。10倍前後の敵に対して・・・。「数は力」ですよ。まあ蒼天世界では(史実でも)長坂の張飛のようなことがありますが。

1.陽動策、連続発動
2.徐晃、絶体絶命

>「実におそるべき、武器に手練(てだれ)」

「練」という語から、単なる「腕前」だけではなく、様々な武器を使いこなそうと必死で訓練している徐晃の姿を思い浮かべました。どれも相当、癖がありそうな武器ですから、使いこなすようになるまでには、時間かかりそうな気がします。いつやったんだろう?
 
 曹仁の動きが気になりますね。北から出るのか、東から出るのか。百頭の馬軍団での動きなのでしょうか。

 しかし、今、思うと、涼しい顔して徐晃に関羽と対するよう宣言した趙儼、鬼ですな。まあ関羽が予想を上回っていたのかもしれませんが。

No.12095 - 2005/07/07(Thu) 01:16:15

Re: 今週の蒼天<武侠の結界> / 英英 [関東]
>つねさん
>しかし、今、思うと、涼しい顔して徐晃に関羽と対するよう宣言した趙儼、鬼ですな。

鬼ですねぇ、まったく(^^;
その他(殷署と朱蓋、悪臭部隊)では、関羽の相手にならないのも事実でしょうけど。


黒助さんの考察、さすがですね〜!
>徐晃にはこの一騎打ちに関して「自分が引かずとも関羽側を引かざるを得ない状況にもって行ける」という自信があったように伺えるからです

同感です。
趙儼も「それまで持ちこたえるのだぞ!」と言ってますしね。
しかし、“関羽がなぜ一騎討ちを続けようとしてるのか”については、私はまだ腑に落ちないんです。腑に落ちないけど、たぶん明日か来週には、すっかり納得して「関さん!さすが!」とか言ってるかもしれません。


いよいよ徐晃の策が動き出したので続きが気になって仕方ありません。

>陽動作戦が効かない為に、徐晃自らが関羽を引き付け、“大矢に記した策”に強引に持ち込もうとしている(曹仁)

前にやっていた陽動作戦は、『関羽や関平を樊城から引き離す』のが第一段階で、まだその続きがあったんですね。
で、2人が樊城から離れてくれないなら、逆に引きとめておいて、その間に西門側をどうにかしようとしてるように私も思います。
今回は北門の関羽vs徐晃に終始してましたが、次回は東門の関平にも満寵あたりが現れるのでは…なんて想像します。
また「名乗れ!」「名乗らんぞ」とやりあうのかな。

>敵の真の狙いは包囲陣の注意を北側に引き付けることにある(趙累)

>自分達がまず果たすべき任務は、樊城4千の兵の救出である(趙儼)

西門は、関羽軍は趙累+荊州水軍。
に対し、水路から趙儼、陸からは「惇来来・遼来来」で箔がついた(?)殷署と朱蓋、西門の守備に曹泰。
まだ魏軍には、曹仁と満寵と呂建&徐商(悪臭部隊)がいます。
関羽軍の戦況…厳しくないですか?
兵数も少ないけど、将の頭数が少ないのがね〜…
魏の将みんなが関羽を狙って集中すれば心配ないけど(張趙馬3将の攻撃に「どいつもこいつも曹操が目当てだ!」から案ずるな、と同じ理由で)
でも、兵数・将数で劣る関羽軍が分散されると各個撃破されそうです。
関羽と関平の軍は崩れないかもしれないけど、全体が崩れたら負けじゃないのかなぁ。

あ、だから「関羽を殺せばおまえ達の勝ち」と関さんは言ったのか!
関羽を殺さない限り、いくら将兵をCENSOREDも、船を焼いても、陣を破っても、おまえ達に勝ちは認めないぞ。
…う〜ん、ありえない(爆)


>「惇来来!遼来来!」

徐晃は、関羽が乗ってこないのを予測してたように思えます。
兵卒の動揺を誘う効果はありそうですが…
この作戦のねらいは西門でしょうか。
西側では、大矢を打ち込まれたところに、夏侯と張の旗をかかげた軍が現れたら、びびりそうな気もします。
(このあたりは夏樹さんのご意見と似てます)
…次回、趙累が引っかかるかが気になるところ。
「豪気」で「篤実な与太者」の彼に期待したいです。

No.12096 - 2005/07/07(Thu) 03:03:46
キリ番です / 黒助 [関東]
こんばんは、黒助です。
今回キリ番の999,999を踏みましたのでご報告いたします。
蒼天連載も最終盤に来てこのサイトもとうとう大台突破ですね。
管理人様におかれましては感慨もひとしおといったところではないでしょうか。
といってももちろん連載はまだ終わってません。
お忙しいとは思いますがどうか曹操とともに最後まで突っ走っていって下さい。

「前へ!」

No.12060 - 2005/06/25(Sat) 02:16:16

おめでとうございます!! / Lisa [近畿]
黒助さん、キリ番getおめでとうございます!

そして管理人様、百万の大台突破、おめでとうございまする〜!!

それにしても、ものすごい勢いでカウンターが回っていますよね(^^)
終盤にかかってますます加速する、蒼天の連載と同じく、日の出の勢いです!! あんまりめでたいので、久々にカキコしちゃいました☆

No.12062 - 2005/06/25(Sat) 18:43:46

Re: キリ番です / TATSU@管理人 [関東]
黒助さん、おめでとうございます。&申告有難うございます。 1,000,000の申告者が出なかったのは ちと寂しいですが、ゾロ目の999,999の申告があったのは非常に嬉しいです。
Lisaさんもお久しぶりです。昔の常連さんがふと書き込みしてくださったりすると感激です。

しかしサイト立ち上げ当時は1,000ごとにキリ番設定したりしてたんですが、今や1日に1,000ぐらいカウンターが廻ってます。ほんと、隔世の感があります。考えてみれば、サイト立ち上げてから、4年以上経ってるんですよね〜。あの頃の管理人は一営業マンとして、あっちこっち出張しまくってました。それが今や...。

おっと、感慨に耽ってる場合じゃないですね。
では、黒助さん、当サイトにはキリ番申告者には3つの特典(?)があるので、宜しくお願いします。

1.記念にHNをご希望のアイコンと一緒に掲載させて頂きます。下記gillさんのサイトに行ってお好きなアイコンを選んで下さい。
http://www.geocities.co.jp/Colosseum-Acropolis/4079/sangokushi/icon.html

2.願い事が叶うと(管理人の中で)有名な神龍に願いごとができます。アイコンと一緒に「願いごと」をこのスレに書き込んで下さい。

3.稚拙ながらもイラストを描かせて頂きます。描いて欲しい蒼天キャラの『 名前 』 をリクエストして下さい。リクエストは" 名前 "でお願いします。" シーン "のリクエストは管理人が画力無き故、ご勘弁下さい。


イラストについては、Dr.Nさんの「陸遜」、藤次郎さんの「諸葛兄弟」とリクエストを2枚溜めてしまっているので、少々お時間を下さい。気長にお待ち頂ければ と思います。

No.12065 - 2005/06/28(Tue) 01:31:00

Re: キリ番です / 黒助 [関東]
遅くなってしまって大変申し訳ありません。
いろいろと忙しかったのとさんざん迷ってしまって。
1、 張昭でお願いします。
2、 「蒼天がこれからもより多くの人の熱い言葉で語られますように」
「うちの犬が元気で少しでも苦しまない状態になりますように」
3、 これはほんと〜に迷いました。
これまでにリクエストがなかった人物を描いていただきたいので関羽、曹仁、徐晃らの現在大活躍中の歴戦の大物は泣く泣く避けるとして、さてどうしたものか…
で、いろいろ考えて浮んできたのは
“台頭顕著な次代を担う光り輝く新世代の将たち” or
“いやいや、長年蒼天を支えてきたまだまだ元気ないぶし銀のつわものたち”

実は今回はキリ番がゾロ目、百万と連続なのできっと百万を踏んだ方が前者の若くてぴちぴちなきれいどこを押さえてくれるだろうと勝手に予想してまして、私はそれに併せて「爺さん、俺たちは忘れちゃいないぜ」と後者から選ぼうと思っていたんです。
ですが、残念ながら勝手な期待を寄せていた申告者がでなかったようなのでどちらかならやはり勢いのある方が映えるかなぁと前者から選ぶことに(後者の第一候補だった呉の大事な大事な憎まれ役張昭はアイコンにしました)。

それからまた若い将達の中でも司馬懿、郭淮、関平、いや意表をついて何晏…といろいろ迷ったんですが、ここはやはり蒼天新世代の最重要人物であり、最近加速度的にその存在感と独自の姿勢を強めつつある太子・曹丕をお願いすることに決めました。

蒼天では星読み、万能、無双、文聖とそれぞれに本当に煌びやかな才を持ち、さすが覇王の子と納得の描かれ方をしている曹操の息子たちですが(そういえば袁紹の息子たちもそれぞれに異なる才の持ち主でしたね)、それぞれ対照的に描かれていていろいろと興味深いところがあるんですよね。例えば、
「偉大な父親の星を探し続けることで自らの星を見つけた曹昂と父を追わないことで自らの王としての道を見出そうとする曹丕」や
「激情の発露を形にするたびに曹操に認められていく曹植とむしろその冷めた言葉を責められながらも太子に選ばれた曹丕」等々。
特に曹丕と曹植はその才の違い以上に全体的な個性の違いが非常に意図的に描かれているような気がします。まるで魏王のもつ「冷静な理性」と「激しい感情」をそれぞれに分けて生まれたような。

彼らに曹操が遺したものとは何だったのか、曹操の物語である蒼天で今後彼らがどこまで描かれるのかは分かりませんが、それがより描かれることを期待しての今回のリクエストにしたいと思います。

それでは、イラストの方は本当に気長にお待ちしていますのでよろしくお願いします〜。

No.12083 - 2005/07/04(Mon) 22:06:43

Re: キリ番です / 英英 [北海道]
こんばんは。黒助さん、ナイスセレクトです。
覇王の息子達についての考察を読んで、曹丕のイラストがとても楽しみになってきました♪私がもしもキリ番をとったら……と想像する場合も、曹丕という選択肢は考えたことなかったので新鮮です。
管理人様、お忙しいでしょうけれど、蒼天考ファンの一人として私も楽しみに気長にお待ちしてます(*^-^*)

蒼天新世代の人々の中で、関平君のアイコンはなかったのですね。
気が向かれたときに作っていただけたらな〜…とさりげなく便乗してみたり(^^;

No.12084 - 2005/07/04(Mon) 23:10:48

Re: キリ番です / RYU
黒助さん、さすが☆
おめでとうございます!
それだけなんですが(笑

>そういえば袁紹の息子たちもそれぞれに異なる才の持ち主でしたね

親父があまりに優秀だと、息子は苦労しますわな。
自分らしさに向き合える前向きさ、親父に無い才を誇れる心意気など、
そういう意味では、曹ヒを個人的に尊敬できたりするんですが。

個人的には、袁紹の息子達の中で、長男が一番好きです。

何はともあれ、おめでとう。

No.12097 - 2005/07/10(Sun) 06:40:33
今週の蒼天<不敗の処方> / TATSU@管理人 [関東]
こんばんは! 
なんか最近 蒸し暑いですね〜。パソがある部屋にクーラーが無いので、汗ぶりぶり掻きながらレビュー書いてます。

さて、別スレでも書きましたが、ついに当サイトもカウンターが百万の大台を突破しました。こんなに大勢の方の訪問を頂きまして、ほんと 感激でございます。この場を借りて御礼申し上げます。こんなにカウンターが廻っているからこそ、毎週のレビューに力が入るってもんです。
1回来て頂く度に1円づつ寄付してもらったら、百万円溜まったんだな〜、と思いますと感慨もひとしおでございます(笑)。

さて、そんなこんなで今週もレビュー開始させて頂きます。当サイトが大台を突破したものの、物語はフィナーレへ向けて着実に進んでおります。残回数も少ないレビューです。皆さんも感想を是非!

No.12066 - 2005/06/28(Tue) 01:37:14

今週の蒼天<不敗の処方> / TATSU@管理人 [関東]
【STORY】

樊城の北15里−。

趙儼は陣の手配を終えていた。それは徐晃が不眠で考案した布陣であった。矛を掲げ、徐晃は軍を進発させた。
徐晃はこの戦いにより、樊城決戦に終止符を打つつもりであった。

***************


樊城の西 漢水−。

趙累は満足気に陣を視察していた。
樊城の西と南には水陸二重の陣が敷かれており、北と東は関羽と関平が固め、徐晃軍の陽動作戦を封じていた。水は引いたが包囲は万全であった。仮に敵の援軍が膨れ上がっても、上庸からの別働軍を使うことで対応できる筈であった。

***************

上庸−。

劉封は孟達に、援軍を送らないことを詰(なじ)っていた。
送らないのではなく、送れないのだ。孟達は答えた。全軍2万のうち、併呑したばかりの兵が3分の1も占めており、そこから5千もの兵を編成して出すのは不可能であった。関羽軍の要請を何より優先すべきであると主張する劉封に対し、上庸は漢中と中原を結ぶ唯一の要衝であると孟達は答えた。
降伏兵のみ率いて自分が樊城が向かう、という劉封の申し出を、孟達は無謀であると却下した。

孟達には別の懸念があった。それは上庸を脅かす山賊が急に増え、しかも日ごと攻撃が激しくなってきていることであった。

***************

上庸東方 山中−。

郭淮が山賊の“東の頭領”と打ち合わせをしていた。西の山賊が攻撃を開始したら、東の山賊は船団を襲う手筈となっていた。敵の首級一つに5万銭、舟を潰せば20万銭の褒賞金が支払われることになっていた。更に斥候の首は30万銭、文書を手に入れても30万銭の褒賞であった。郭淮は金に糸目をつけず支払うことを約した。

山賊達は多額の褒賞金は勿論のこと、郭淮の指図で戦うことに面白味を感じ始めていた。
「頭領(かしら)。それが戦(いくさ)というやつでね。」
郭淮は微笑んだ。
「頭領たちの戦は、天下の戦に繋がっているんだ。」

***************

樊城北 3里−。

徐晃軍8万が布陣し、先鋒が関羽軍に迫っていた。

先鋒を率いる徐晃は考えていた。曹操は自力の人であり、自身で関羽討伐に出動することはあっても、孫権を利用して関羽を追い払うとは思えなかった。それどころか、大軍を以って樊城の関羽を包囲していれば、劉備という男は北進を止め、出張って来る筈であった。にもかかわらず、曹操が孫権の参戦を受諾し、司馬懿の策を用いる理由が分からなかった。
−もしかして、魏王(との)に何かあったのではないか−。
そこまで考え徐晃は首を横に振った。分からん事は案じない。それが徐晃の主義であり、この戦の主が自分なら、司馬懿の策は捨てて置くことを決意していた。

「いよーっ!」
ふいに徐晃は右手を挙げて叫んだ。
「最強を誇る関羽よ! ついに不敗を誇る徐晃がお出座しだ!」

関羽が馬を進めた。徐晃の戦歴−赤壁大戦の後、江陵で周瑜、升州で商曜、涼州で馬超と戦い、次に漢中、そして今 荊州。−その途切れる事の無い武勇に関羽は敬意を示した。
「おだてようと、関羽流の戦いにはつきあわん。」
徐晃は微笑むと、自分の不敗伝説はまだまだ続く。と宣言し、兜を被った。

「だが、平寇将軍 徐晃。 」
関羽が突撃を開始しながら告げた。
「逃げるという選択肢は既にない。」
忠告無用と答えると、徐晃は馬上の武器に手を掛けた。

次ぎの瞬間、馬上に据え付けた弩が発射された。続けて、“李典斧”が、更に“李典擲箭”が続けざまに関羽を襲った。息付く暇も無い徐晃の攻撃。防戦しつつ間合いを詰める関羽。その関羽に徐晃は“李典棍”を叩きつけた。
関羽は青龍刀で受け止めた−。だが、その背中に、唸りを上げた分銅が突き刺さっていた。

−もらった!−
徐晃が止(とど)めの一撃を放った。
「お見事。」
関羽が迎撃しつつ叫んだ。


【REVIEW】

■「しかし、よくこれだけ あの手この手を積みあげたな。」

趙儼が巻物を手に徐晃に告げていました。徐晃は眠たげな目で「うむ。」と答えてました。欄外のコピーはこうでした。

−陽動作戦、一切通用せず。鉄壁の樊城包囲網に対し、徐晃ついに腹を括(くく)る!−

先週は、趙儼の正攻法作戦において「あんたしかおらんよ。“敗けずの徐晃”。」とか言われ、かなりビビってましたが、徐公明、いよいよ腹を括った模様です。ちなみに管理人は先週こう書きました。
『 関羽と自分の武力を冷静に比較すれば、正攻法では勝てっこない、と判断したんではないでしょうか。この将軍は、戦場で蛮勇を振るったりしないんでしょうね。どーも徐晃の異名、“不敗”ってのは、「勝てる戦しかしない」つまり「負けそうな戦には手を出さない。」ってのが秘訣のような気がしてきました。 』

...ちょっと違ってましたね。徐晃は最終的に関羽に正面から挑む道を選択しました。その代わりに徐晃は睡眠もとらずにあれこれ勝つ工夫を思案してたみたいです。この“工夫をこらした処置”が不敗の秘訣なのかもしれません。所謂 “不敗の処方”ってやつなんでしょうか。

関係無いですが、徐晃って睡眠不足だと ヒゲまでショボショボしちゃうんですね(笑)

■「なぜ樊城に兵を送らんのです。」

劉封が新キャラとして登場しました。 以前趙累が発言した時は「りゅうふう」とルビがふってありましたが、今回は「りゅうほう」になってましたね。“若き熱血漢”って感じのキャラでした。孟達は法正が初登場した時に背後にいましたよね。今回で2回目の登場ですが、なんか顔付きが変わってるような...。

■「送らんでのではない。送れんのだ。」

孟達が劉封に答えていました。自軍を視察していた趙累が「これで敵の援軍がさらに膨れ上がっても、上庸からの別動軍を使って対応できるぞ!」ってニコニコしてましたが、実状は違っていました。

上庸軍2万といっても、降伏兵が1/3もいるので、5千の兵を編成して送り出すのは無理なんだそうです。つまり上庸軍の編成は正規兵約13,000人に降伏兵約7,000人。そこにから正規兵を5,000人も抜いちゃうと、正規兵は8,000人となってしまい、降伏兵の数と変わらなくなってしまう。それじゃ軍としてあまりに心もとない、というのが孟達の考えみたいです。
それに対し劉封は、上庸軍の懐事情より、関羽軍の要請を最優先にすべきだと反論します。が、孟達は、上庸は漢中と中原を結ぶ唯一の要衝である(から疎かにできない)と撥ね付けます。
更に劉封は、では自分が降伏兵3,000だけを率いて行く。と宣言しますが、これに対しても孟達は、降伏兵のみの軍を若き劉封が率いていけば、途中で造反が起き、援軍どころの騒ぎではなくなる。と却下します。

なかなか興味深い会話でした。演義では“卑怯者”と化しているこの時の孟達ですが、蒼天のこの会話から判断すると、あながちそうとも言えないような感じを受けました。 以下、考察してみます。

■大局的に見れば、樊城の関羽本軍が崩れれば、上庸だけ抑えていても意味は無いので、劉封の“関羽軍の要請を最優先にすべき”というのは理に叶っているような気がします。また、見ようによっては、援軍を出すのが惜しいので、孟達は理由を付けて拒んでいるとも取れます。

でも、劉封と孟達は、“漢中と中原を結ぶ唯一の要衝”である上庸を制圧・維持する事を厳命されていたのではないでしょうか。当初から、『上庸を制圧した後は、すみやかに援軍を上庸に派兵する』という事で動いていたのならともかく、1/3が降伏兵という寄せ集め軍隊で上庸を維持しているのに、『樊城の魏軍が増えたから、そっちの兵を1/4よこせ。』というのは孟達にとって承服しかねる命令だったのではないでしょうか。劉封・孟達の任務がどういうものだったのか作品中で明らかにされていないので想像の域を出ませんが、本軍からの“援軍を寄越せ”という要請は、当初の計画にはなかったような気がします。

士仁が呟いていました。「独断専行。知らせがないのも関羽殿には毎度のことだが。」

もし、『当初から劉封・孟達軍の任務は、上庸制圧後、樊城を側面支援する事であった。』或いは『上庸制圧後、孟達は援軍を出す余裕があったのに、自軍兵力が減殺されるのを恐れて派兵しなかった。』というのであれば、これはもう“孟達は卑怯者”ということになります。実際、孟達は、この後も裏切りの人生をおくるので、その可能性もあります。
一方、孟達は魏へ降伏後、曹丕から非常に篤い信頼を得ます。単なる卑怯者が破格の待遇を受けるでしょうか。 ということで、そうでは無かったとしたら、つまり、側面支援は当初計画になく、本当に増援軍を送るような余裕が孟達に無かったとしたら、そんな杜撰(ずさん)な計画を立てた関羽本軍のほうにも問題があったという事になります。

陸遜が公安でこう分析していました。「そもそも関羽軍の体質は古く、兵站を管理する能力が低い。食糧を計算せず、むやみに捕虜をとるから兵糧に窮するのだ。」 これって兵站だけでなく、戦術全般に言えることだったんじゃないでしょうか?
これも、管理人が以前述べた「鉄壁にみえる関羽軍の綻(ほころ)び」のような気がしました。あまりに関羽が崇高で神懸り過ぎていて、戦術自体がそれに依存するところが大き過ぎ、杜撰なものになっているというような...。趙累はこう考えていたんじゃないでしょうか。
−関羽殿が危機に陥れば、関羽軍の兵士は一人残らず樊城に駆け付けてくるに違いない。−

...面白いですね。こんな妄想や夢想をあれこれ掻き立ててくれる蒼天航路。実に奥深い作品です。

さて、孟達にとって「援軍を送れない理由」がもう1つありました。それは、急激に増殖し、日ごとに激しくなる山賊達の動きでした。

■「金が底をつくことはないから、存分に稼いでくれたらいい。」

でました!郭淮! なんと山賊を傭兵として使っていました。
漢中から撤退する曹操が、関羽の樊城襲撃を聞き、「蒋済、もう一つの策がさっそく生きてくるな。」と笑ってました。そしてその“もう1つの策”とは、派手な撤退の影に潜ませ、郭淮と兵100を“漢水上の隠密部隊”として残しておくことでした。
そして、今回明らかになった郭淮率いる隠密部隊の目的とは、漢中から漢水を下り上庸に至り、山賊を傭兵として雇い、上庸軍を翻弄し足止めすることでした。 
な、なるほど〜!この蒋済の策が、上庸から関羽本軍への増援を阻止し、結果的に関羽軍を孤立させることに繋がる訳ですね! 郭淮の言う通り、山賊達は単に上庸軍を翻弄してるだけのように見えますが、実はそれが“魏と蜀の荊州争奪戦”に大きな影響を与えている訳です。
以前張った伏線をこんなところに活かしてきました。お見事です。欣太先生。

話しが変わりますが、郭淮の「頭領(かしら)、それが戦(いくさ)というやつでね。」という台詞とポーズ、故・荀?ケを彷彿させてくれました。魏軍・王佐の才は尚健在、というところでしょうか。郭淮、夏侯淵の死に引き摺られていましたが、ここにきて吹っ切った印象を受けました。夏侯淵の分も頑張って欲しいものです。

■「もしや、何かあったのか!?」

徐晃は、司馬懿から齎された作戦に疑問を持ち、最終的に曹操の身に何かあったのではないか、と一瞬蒼ざめます。疑問を持つに至った理由は二つあって、
1. 曹操は自力の人であって、自身で関羽討伐に出動することはあっても、孫権を利用して関羽を追い払うとは考えられない。
2. 樊城で関羽を大軍によって包囲していれば、劉備という男は、必ず北進を止め、こちらに出張って来るはずである。そうなれば一石二鳥なのに、それをしない。
というものでした。

1はもっともです。実際曹操は、関羽の攻城ぶりを聞き「なぜ俺がそこにおらん。」って憤慨してましたからね。 でも、2はどうなんでしょう?2の推測は変じゃないでしょうか?
だって、最初に徐晃と趙儼が現れた時に、二人は「あの城を餌に、こっちの将軍を芋づる式に釣り上げようてかい?」「わが軍の兵力を引きつければ引きつけるだけ、漢中の劉備本隊は北進しやすくなる。」って、関羽の目論見を見抜いてましたよね。
つまり関羽は、魏軍の将兵達をできるだけ自分のほうに引きつけて、劉備の長安侵攻を容易にしようとしてる訳ですよね。にもかかわらず、『 関羽が大軍が囲まれてる 』という理由で、劉備が北進を止めて荊州に出張ってきてしまっては、何の為に関羽が多くの魏軍を引きつけたのか分からなくなります。っていうか、関羽が魏将を芋づる式に釣り上げようとしてたら、それに劉備も釣り上げられてしまった。ってことになります。それじゃ劉備、間抜け過ぎます。

徐晃の「何かあったのか?」という読みは鋭いですが、2の推測は、どう考えても変だと思います。

■「分からんもんは案じませんわ!」

いいですね〜。官渡での「理解しきらんもんは 語れませんわ!」に続く第2弾です。徐晃節とも言える発言ですね。ある意味、真理を突いているような気がしました。“下手な考え、休むに似たり”って感じでしょうか。 今度、心配事とかある時に、心の中で叫んでみようかと思います(笑)

そして徐晃は、分からないものは案じないと決意すると同時に、司馬懿の策など捨て置く!と宣言しました。先週、司馬懿の策に対し「気のすすまん策だな。」とか趙儼と会話してましたが、結局無視することに決めたようです。即ち呉の牽制をあてにしたり、書状を射込むような作戦は捨て、正攻法をとり、関羽軍の正面から攻めるってことですね。まあ、これが魏将の心意気なのかもしれませんが、司馬懿の策も、多少姑息かもしれませんが、捨てちゃうというのもどうかと思うのですが...。

■「なにしろ、わが 不敗伝説はまだまだ続く!」

徐晃が「おだてようと、関羽流儀の戦いにはつきあわん。」という台詞のあとにこう言ってました。

“関羽流儀の戦い”に乗ってしまうと、結局 敗けちゃうからでしょうね。『“不敗神話”を続ける為に、関羽流儀の戦いにはつき合わない。』ってことだと思います。『お前のペースに巻き込まれんぞ!なぜなら、俺はまだまだ敗ける訳にはいかないのだからな!』って感じでしょうかね。

それに対して関羽は「逃げるという選択肢は すでにない!」と答えていました。これ、ある意味、皮肉ですよね。「不敗神話を続けると言っても、もう“逃げる”という選択はできないんだぞ。」っていう忠告だと思います。言い替えれば、「お前の不敗神話は、“いざとなったら逃げるから敗けない”という事からきてるのだろうが、、私と向かい合った以上、もう逃げる訳にはいかないのだぞ。」という皮肉とも言える忠告なのだと思います。
それを聞いて徐晃は「忠告無用」って不敵に微笑んでましたが。

■−もらった!−

次々と武器が繰り出されていました。全部、李典が考案した武器みたいです。こんなにいっぱい李典の武器を使用するなんて、生前、李典は徐晃と親しかったんでしょうか?
今回は、徐晃の甲冑もニューバージョンになってました。なんかデザイン的に西洋の鎧兜みたいな格好でしたが、まさかこれも李典が考案した訳じゃないですよね。

甘寧と戦った時に「さて、次ぎはどれが見たい?」って李典は言ってましたが、それが今回の“李典斧”や“李典擲箭”だったのでしょうか?最後の“李典棍”は、まさに甘寧相手に使用されてました。ピアスをちぎりとって甘寧を激怒させてましたよね。今回は、耳ではなく関羽の背中に深々と刺さりましたが...。

■「お見事。」

背中に分銅が刺さってもこの余裕。やっぱ関さんは神です。
通常ですと次週、徐晃の首が吹っ飛びそうな勢いですが、それではアレですので、この一騎討ち、どんな形で決着を付けるのか、楽しみであります。 徐晃が、『 寝ずに考えた布陣 』ってのが次週、効いてくるんでしょうか?

しかし、この流れでいくと、あと4話で終わるとはとても思えません。っていうか、関羽が死ぬまであと4話は確実にかかりそうです。それはそれで嬉しいのですが、そうなると単行本35巻はどうなるんでしょう。36巻までいくとなると、今度は逆に話が足りなくなるような...。

わからんもんは 案じませんわ!

No.12067 - 2005/06/28(Tue) 02:01:00

Re: 今週の蒼天<不敗の処方> / ゲソ [関東]
郭淮から荀?ケのニオイがしました。
頭でっかちでガリガリ計算していた、ともすれば少々青白い書生の面持ちだったのがいい具合に抜けています。
「黄土の巷間にまみれて」「頭に叩き込んだ事は全て忘れ去った」いい顔つきでした。
わずかな邂逅で、ここまで影響を及ぼす曹操の存在もまた浮き彫りになるわけで、
実に巧みな描写と感じています。

今後いわゆる蜀の北伐戦線において、郭淮は大いに立ちはだかるわけですが、成る程これは手ごわそうな将帥になりそうだ、と思わず唸ってしまいました。

No.12068 - 2005/06/28(Tue) 10:46:27

Re: 今週の蒼天<不敗の処方> / 英英 [関東]
こんばんは☆管理人様いつもありがとうございます。
私も慣れない暑さとエアコンに負けず、書き込みさせていただきます。

>徐晃が『 寝ずに考えた布陣 』

難儀した理由が、「どの部隊も、悪臭部隊には隣接したくない」だったり…しませんよね(笑)。そこに漢水があるから戦の前に水浴びしてください。
徐晃軍の兵卒がみな青ざめてましたが、背後に悪臭部隊がいるからってことはないでしょうね?でも趙儼が平気な顔してますから違いそうですね。
素直に読めば、関羽と正面から戦うってことにビビッてる感じに見えますけど…
でも徐晃軍は8万!関羽軍は総勢2万で樊城を包囲してるんだから、関羽が実際に率いてるのは5千前後という気がします。
そんなにビビらなくても…兵の皆さん。

そして、最後にヒヤリとしました。

  ああっ李典!この一撃はおまえのものだ!!

李典の創作武器は、一点物じゃなく、遺された設計図を元に随時生産されてるのかな〜と想像します。
『この秋☆魏国軍事産業界で注目の一品はこれ!』って感じ(*^o^*)
仕掛けがあったり独特ですから大量生産は無理でしょうけど。

飛び道具に暗器みたいな武器まで、徐晃はなりふりかまわずですね。
「どんな手段を使ってでも」とは確かに言ってましたが…。
戦場でずるいも何もないんでしょうけど…。
…でも微妙です。

郭淮が上庸で工作してました。
そういう想像を以前に書きこみしましたが、予想が当たってもあんまり嬉しい気がしません。
あ〜あ〜援軍が〜〜!(><)

No.12071 - 2005/06/28(Tue) 21:46:19

Re: 今週の蒼天<不敗の処方> / 鳳卵 [東北]
 今回の話を読んでて思ったこと。中国って人が多いよな〜〜(笑)

 ついこないだまで、関羽に従って様々な人が反乱の狼煙を挙げていたのに、それらが次々と鎮圧されて、今度は郭淮が手なづけた山賊たちが出てきました。2万だ5万だ8万だって正規の兵士たちが戦ってる中でもこれだけの“あぶれ者”たちがいるんですねぇ。

 以前孔明は、曹操が現れてから中華の人口は激減の一途を辿っているとか言ってましたが、それでもこれだけの兵士が全土で戦えるんですからねぇ。じゃあ以前はどれくらいの人数だったんだろう?


 それにしても、なんか自信満々の趙累を見るのがツライ(泣)割と好きな人物だったんですが、初登場が荊州陥落以後ってのは、いかにもキツイ。ちょっと不遇なキャラですねぇ。

 曹操がどうなってるのか、劉備の北伐軍は今どこにいるのか、あの天蓋車はなんだったのか、などなど、ここに来て謎が謎を呼んでおりますが、これらの謎を回収するだけでも、まだまだ相当な話数が必要なような気がします。
 

No.12072 - 2005/06/28(Tue) 22:04:12

Re: 今週の蒼天<不敗の処方> / あのつ [関東]
こんにちは!普段はほとんど書き込みしてませんが、いつもTATSUさんを応援してる者です。

『お見事。』って関羽痛そうだ〜

ついこの前は額に矢がささって脳まで貫通!?と思いきや大丈夫みたいだったけど、今度はさすがに肺までささっちゃってて致命傷っぽいですよね?余裕そうでしたけど。あの武器、矢より威力ありそうだしなぁ。

ところで、今回たくさん出てきた李典の武器ですが、元ネタがあるらしいです。たまたま他の蒼天サイトを検索中にそんなコメントを見つけました。どなたかご存知の方いますか?

No.12076 - 2005/06/29(Wed) 13:29:11

Re: 今週の蒼天<不敗の処方> / Nearly Headless Nick [近畿]
管理人様、いつもありがとうございます。

>郭淮の顔つき

猿術以外の蒼天人は、ストーリーが進むとともに、だんだん顔つきがよくなっていきます。
郭淮もいい顔になってきましたね。
(でも、ジミー大西に似てませんか?)

>陣立てに難儀した理由

悪臭部隊が疑わしいですね。
だとすれば、結局、どう解決したのでしょうか?
やはり、漢水で水浴びでしょうか。
匂いとともに、「野性」まで落ちちゃいそうですけど…。

>なりふりかまわずの徐晃

ちょっとずるいですねー。
でも、逆に、関さんの強さが分かるというものです。

その関さんに挑む徐晃も、大したものです。
「逃げ上手を不敗とほざく」なんて言われていましたが、逃げなかったぶんだけ、名誉回復といったところでしょうか。
兜までかぶっちゃって(馬も)、万全を期してますよね。

No.12078 - 2005/06/29(Wed) 14:50:12

Re: 今週の蒼天<不敗の処方> / 甲斐馬 [東海]
郭淮!登場するたびに進化してますね。
戦もその場だけでなく中華の大局を見据えた感じになってますね
彼には是非夏侯淵の分まで頑張ってほしいです

不覚にも徐晃を格好いいと思ってしまいました。今まで徐晃の見せ場は少なかったですもんね。そして李典の遺作達をよく使っていると思います。
彼は逃げるのが得意なのではなく(いや、得意かも)自分が死なない為の工夫をするのが得意なのではないでしょうか?

ところで李典擲箭は新兵器でしょうか?てっきり李典箭の改良型思いました。照準が甘いとか言ってましたよね?

No.12079 - 2005/06/30(Thu) 00:45:22

Re: 今週の蒼天<不敗の処方> / つね [関東]
1.上庸動けず
2.徐晃の不安
3.李典の挨拶

 管理人様は徐晃の推測の2点目に疑問を持たれていましたが、実は私も最初、読んだとき同様に感じました。ただ、それからいろいろ考えてみましたが、こうも考えられるのではないでしょうか。

魏は、徐晃らが推測するくらいだから、曹操、司馬懿らも当然、関羽の狙いは分かっている(はず)。それにもかかわらず趙儼が「異常」と感じるほどの大軍の集中を行っています。これは罠と知っていながら、あえて突き進み活路を得るような方策ではないでしょうか。蜀軍の予測をはるかに超える集中を行うことによって、樊城の危機を救い、かつ劉備に当初の北上作戦をあきらめさせようとする、いわば力業ではないかと。魏だからできることですが。

 徐晃と李典はそんなに仲が良かったのかな。兜をかぶった徐晃はなんとなく、長坂で張飛に挑んだ楽進を髣髴とさせるし。

 ・・・関羽、こわい。

No.12080 - 2005/06/30(Thu) 03:20:24
王欣太 情報  / あのつ [関東]
すでにご存知の方多いとは思いますが、一応。

講談社 月刊アフタヌーン四季賞クロニクルが発売されます。
四季賞というのは新人漫画家を発掘するあれの事です。

で内容は、

現在プロとして活躍する漫画家が、まだ新人の頃、四季賞に応募入選した作品を大量収録した、漫画界に類を見ない圧倒的BOXセット!
未発表作や単行本未収録作など、レア作品を多数収録。
全収録作家のインタビューなどを収めた、豪華大判ブックレット付属。驚異的な読み応え!!
それが、『アフタヌーン四季賞クロニクル』だ!!

だそうです。もう予想がつくと思いますが、この中に王欣太さんの作品やインタビューも入ってる様です。
欲しいけど高い!6600円!!
注意点は完全注文制で期間限定だということ。
欣太さんってアフタヌーンでデビューしたんですね。知りませんでした。

No.12077 - 2005/06/29(Wed) 14:12:23
今週の蒼天<兵家必争の地> / TATSU@管理人 [関東]
今週は やや早めにUPできました。嬉しいです。今週日曜は、いつものスポーツイベントがお休みだったのです。穏やかな休日でした〜。

話は変わりますが、単行本34巻、なかなか出ませんね。もう11話分はとっくに溜まってるんですが...。これは35巻(おそらく最終巻)がどの程度の分量になるか決まってから、34巻の分量を決めて発行しようとしてるんじゃないでしょうか?クロニクルの二の舞にならない為に(笑)。

ちなみに、34巻が通常通り11話分収録されるとすれば、今週の連載は、35巻収録分に突入してから6話目ということになります。つまり、35巻も11話で終わるとすれば、あとたった5話で蒼天は終わってしまうのです。
ひえ〜!!もし休載が無いとすれば、Xデイは7月21日ということになります。そんなの信じられます!?蒼天が来月で終了するなんて!

とか嘆きつつ、残り少ないレビューを悔いの無いよう書き進めたいと思います。皆さんも、いつもの熱い感想を是非!!

No.12040 - 2005/06/19(Sun) 23:48:06

今週の蒼天<兵家必争の地> / TATSU@管理人 [関東]
【STORY】

「名を名乗れい!」
関平は叫ぶと満寵に二撃目を放った。

満寵はその攻撃を懸命に受けつつ 呆れた声を上げた。関平は既に満寵の名を叫んでいたからである。知ってるくせに名乗れてか!?と満寵は叫んだ。
「武の礼だ。」
動じることなく関平は攻撃を続けた。防戦一方となりつつも、満寵は関平を嘲(あざけ)った。童(わっぱ)のくせに何と古臭い奴だ と。だが関平は笑みを浮かべるだけであった。
それを見て満寵は悟った。関平は重刀をふるう腕っぷしだけの男では無いことを。そして斬りCENSOREDきた人間の数も関係ないことを。

ふいに攻撃を停止して関平は尋ねた。
「私の力を量りに来たか?」
その言葉に満寵は、眼前の若者がとんでもない血統であると気づいていた。今日のところは俺の敗けだ、と告げると満寵は馬首を返した。
「だが、関平よ。」
背後の関平に満寵は告げた。次に会う時は“本腰の一撃目”が自分の挨拶代わりになる、と。

満寵の後ろ姿に関平は答えた。
「徒口(むだぐち)を叩けば二撃目は無い と心得よ。」
その言葉に父譲りの尊大さを感じた満寵は 笑い声を上げた。

関平軍の兵卒が急を告げた。
後方に魏の二軍が現れ、布陣していたのである。
だが、関平は後方を振り返り、攻めて来る気は無いと見抜いた。陣形はそのままに、と関平は命じた。

−陽動ぐらいじゃ揺さぶれんか。−
振り返った満寵は、関平軍の様子を見て呟いた。満寵は、関平が率いる陣も、父の軍なみに厄介であることを知った。

               ***************

徐晃が頭を抱えていた。
関羽軍はいくら挑発しても城から三里以上は追って来なかった。しかも、徐晃軍はまだ攻め出ては来ない と見切られていた。 関羽を包囲陣から引き剥がすのは至難の業となっていた。
「弱ったな。」
趙儼も背後の二将を振り返りながら呟いた。関平のほうも全く釣り出すことができなかったのである。

決戦は、水が引いて全部の船が川まで下がる時まで待たざるを得なくなってきていた。だが、樊城に余力は無く、張遼が来るまでもつとは思えなかった。
知恵を出さんか、と詰(なじ)る徐晃に、趙儼は陽動から正攻に切り替えることを提案した。だが、そうなると関羽と正面からやりあう将が必要であった。
「あんたしかおらんよ。“敗けずの徐晃”。」
その言葉に徐晃は冷や汗を浮かべた。

その時、物見の兵が、洛陽からの援軍の到着を叫んだ。

               ***************

洛陽からの援軍は殷署と朱蓋であった。
援軍は同時に司馬懿からの書面を齎(もたら)していた。

−孫権からの参戦申し出を受諾。−

書面にはそう記されていた。孫権は関羽の本拠を攻めることは明らかであり、それは関羽にとって捨て置けない報(しらせ)となる筈であった。それにより樊城の包囲も解ける可能性があったが、徐晃と趙儼は釈然としないものを感じていた。

更に司馬懿は孫権の書状の写しを二通同送し、一通は樊城内に、もう一通を関羽陣営内に射込むよう依頼していた。その策も徐晃と趙儼にとっては気の進まぬものであった。
司馬懿は書面でこうも告げていた。

−孫権は魏王(との)への迎合を装っておりますが、長江流域を全て手に入れることが孫呉代々の野望であることは明白。あるいは、参戦の申し出より先に軍を動かしておるやもしれません。−

               ***************

夜の長江を孫呉の艦隊が西進していた。艦首には潘璋・蒋欽らの姿があった。

               ***************

「関羽の叛乱に乗じた 陸渾の孫狼でございます!」
若者が首級を高々と掲げて叫んでいた。馬上の司馬懿は、望みは金子(きんす)であるのか階級であるのか尋ねていた。
「魏軍にお加え頂きたく!」
若者と背後の義勇兵は平伏した。 それを聞いた司馬懿は、そのまま行軍に加わわるよう命じた。

魏軍本隊は樊城へ向け南下を開始していた。中原の賊は一気に鎮火の兆しを見せており、それは許での粛清が効果を上げているといえた。粛清の対象は更に数千人を超え、最高行政長官の鍾ヨウさえ含まれていた。

その魏王軍に夏侯惇軍が合流した。
「何だかんだと 天下はお祭り騒ぎのようだな。」
夏侯惇は先頭を進む司馬懿と蒋済に笑いかけた。司馬懿は、じきに収まろうかと、と拱手して返答した。

「お前さん達が色々手を打ってるという訳か。」
夏侯惇は、行軍の中央を見ながら告げた。
「ところで、ありゃ一体なんだ?」

そこには 粛々と進む天蓋車があった。



【REVIEW】

■タイトルの 『 兵家必争の地 』 って何を現しているんでしょう。“乱世の分水嶺”・荊州のことでしょうか?

扉は、その荊州での、関羽軍の練兵風景でした。
軍を指揮する関平。それを壇上から見つめる関羽と趙累。その後ろには士仁がいました。ということは「樊城へ向かう前」のシーンと思われます。更にその後ろにいたのは、麋芳ということになるんでしょうかね。そう言えば兄の麋竺に似てました。
キャッチコピーが泣かせますので転記しときます。

  漢中王・劉備の下(もと)、中華に蜀の旗号を翻(ひるがえ)さん。−
  溢れ者どもの夢は、あとわずかで叶おうとしていた。

溢れ者どもの夢−。それは“黒光りの夢”であり“至純の夢”であり、そして“大旱の雲霓”でもあったんでしょうね。あとわずかで叶おうとしていた訳ですが...。

■「おまえ さっき俺の名を呼んだではないか!」

先週のレビューで管理人が指摘したことを満寵も指摘していました。何と関平は、相手が満寵であることを知りつつ名乗らせようとしたみたいです。
理由は、 それが“武の礼”だから。
それを聞いて満寵は古い!と一声叫び、童(わっぱ)のくせになんと古臭い奴だ!と大声で嘲笑しました。しかし、関平はその指摘に笑みを浮かべるだけでした。

その笑みを見て満寵は真顔になります。いえ、それを見てからは、満寵の相手を挑発・愚弄する態度は影を潜めます。
満寵は関平の笑みに何を見たのでしょう? ちょっと考察してみます。

関平は『相手を名乗らせる』ことに固執した訳では無く、『お互いに名乗りを上げる』ことを重視したように思えました。
−お互い名乗りあう。それが剣を交える者どうしの礼である。−
関平はそういった信念を持っていたのではないでしょうか。いや、そういった“武の礼”を重んじることによって、お互いの戦闘行為を一段高いところに持っていこうとしていたように感じました。これって、父・関羽が曹仁に告げていた『 立ち合う者には敬意を払う 』という台詞からも窺がえます。 侠の精神。西欧でいうところの騎士道。現代で言えば武道家の心得みたいなもんでしょうかね。

満寵の嘲笑に対し、激昂することなく笑みを浮かべる−。
満寵より遥かに若い関平は『戦闘前に必ず名乗る』いう行為が、古いなどということは重々承知しているのではないでしょうか。しかし、関平にとってその行為が、古い、新しいなどというのは、どうでもいいのです。 むしろその行為を古い、新しいという観点で見ること自体、可笑しいのです。
それは関平にとって“武の精神”を発揚させる為の行為なのですから。それは父、関羽の“一撃目は必ず受ける”という行為と同様なのかもしれません。

■重刀をふるう腕っぷしだけではない! 斬りCENSOREDきた人間の数も関係ない!

満寵は切っ先の折れた矛で防戦しながら、こう独白していました。これは言葉を補完すれば、
「(こいつは、)重い刀を振り回す 腕っぷしだけ(の男)ではない!(こいつは戦闘経験は浅いが、こいつにとって)斬りCENSOREDきた人間の数も関係ない(のだな)!」
みたいな感じになるんでしょうか。

更に関平は、ふいに攻撃を止め「私の力を量りに来たか?」と尋ねました。それを聞いた満寵は真顔で『こいつは、とんでもない血統だ。』と独白します。
ということは、関平の読みは当たっていたって事でしょうか。満寵は関平の力量を調べていたみたいです。挑発的な態度をとることによって。
“とんでもない血統だ”という台詞は、「あの関羽の血を引いている以上、それなりの武人とは思っていたが、予想以上だ。」みたいな感嘆の台詞に思えました。
先週の趙累の台詞が思い起こされますね。

「今にあなたより強くなりますぞ。」

■「今日は俺の敗けだ。」

満寵は「切っ先の折れた矛」を関平に投げ渡してこう告げました。とは言うものの、いつの間にか関平の首筋に瑕を付けていましたから、ほぼ引き分けに近い形でしょうか。

更に満寵は「次も名乗らんぞ。」と宣言し「次に対する時は、本腰の一撃目が俺の挨拶だ。」と告げました。
満寵は、関平の“武の礼”を重んじる姿に“とんでもない血統”を感じました。だが、同じ武人である満寵は、“武の礼”は理解するものの、違う表現方法をとるみたいです。それは、「最初に名乗る」ことではなく、「最初に本腰の一撃」を放つことでした。

以前、曹操は関羽の行動を聞いてこう言ってました。
「一騎討ちも 城攻めも、あくまで自分の法則。しかも それを敵にまで強いるか!」

満寵はこう思ったのではないでしょうか。
『関平。武の礼を重んじるのは賛同しよう。だがお前の法則には従わんぞ。』

■「攻めてはくるまい。陣形はそのままに。」

関平は、後方に布陣した二軍を見てこう告げました。
二軍とは呂建と徐商ですね。もわーんと臭気が立ち込め、なんか臭わんか、なんて言われてました。呂建と徐商だけが臭うんじゃなくて軍全体が臭いんですね。すんごい軍隊です。悪臭部隊...。こんな援軍嫌です。とりあえず隠密作戦には従事させられないですね。軍の動きが臭いでバレちゃいます。

その様子をみて満寵は、「陽動ぐらいじゃ揺すぶれんか。」と呟いていましたから、この二軍は関平の読みどおり陽動作戦として現れたみたいです。

という訳で、突出した満寵軍と後方の悪臭部隊の陽動作戦は関平に見抜かれ、不首尾に終わりました。
関平。父に劣らず見事な武将っぷりを発揮してました。さすがは蒼天。相変わらずキャラ立てが巧みです。この後の彼の運命とあわせて考えると切なくはありますが。

■「やはり決戦は、水が引いて全部の船が川まで下がった時しかないか。」

徐晃が頭を抱えて趙儼に告げてました。作戦変更の理由は
1.いくら徐晃軍が挑発しても、関羽軍は城から3里以上は追って来ない。
2.呂建と徐商の二軍も関平軍を釣り出せない。
という事でした。
つまり、徐晃軍の意図は、関羽軍と関平軍を樊城包囲陣から引き剥がすことだったんですね。全然上手くいかなかったみたいですが...。
まあ、徐晃軍の予想を上回って関親子は優秀だったという事になるんでしょうが、しかし、そうなると疑問なのが、『 李典弩に書かれていた策 』 は、どういうものだったのか、という事です。
ただ単に包囲陣から関羽・関平軍を引き剥がすという策では、わざわざ弩を打ち込んで城兵と連絡取り合う必要もないですよね。満寵軍は突出はしましたが、これもどちらかというと“関平軍の力量を推し量る”みたいな突撃で、簡単に引き揚げちゃいましたし...。包囲陣から関羽・関平を引き剥がしたところで、曹仁本隊が歩兵で飛び出ようとでもしてたんでしょうか?
『 李典弩の策 』。いったいどういうものだったのか謎ですが、とにかく結果はしょぼいものでした。

っていうか、曹仁は先週「全軍を奮い立たせ、この徐晃と趙儼の策に賭ける!」って言ってましたよね。こんなに簡単に終わってしまって曹仁はずっこけて無いでしょうか。この策に賭ける為に食べられちゃった馬も救われません。

■「あんたしかおらんよ。“敗けずの徐晃”。」

徐晃に「知恵を出さんか」と詰られ、趙儼が示した策は“正攻法”でした。そして、(おそらく樊城包囲陣の中央で)関羽とやりあうのは、徐晃しかいない。というのが趙儼の考えでした。
それに対して徐晃はかなりビビってました。
「ま、敗けんと言っても、」と冷汗を掻いた後、「関羽と正攻法となりゃあ、話は全く別ではないかな?ねえ?」なんて苦笑いしてました。

徐晃って素直ですね。関羽と自分の武力を冷静に比較すれば、正攻法では勝てっこない、と判断したんではないでしょうか。この将軍は、戦場で蛮勇を振るったりしないんでしょうね。
どーも、徐晃の異名“不敗”ってのは、「勝てる戦しかしない」つまり「負けそうな戦には手を出さない。」ってのが秘訣のような気がしてきました。

■「ああ、なにか釈然とせん。」

−魏国は、孫権からの参戦申し出を受諾した。−
その知らせを受け取った徐晃と趙儼は、孫権は関羽本拠を攻め、関羽はその報を捨て置く訳にはいかず、樊城の包囲は解けるかもしれない、と予測しました。
それは、二人にとって何か釈然としないものだったようです。二人は「樊城救出」そして「関羽討ち取り」の命を受けてきた訳ですから、こんな形で任務が終了してしまうのは、残念なのかもしれません。いや、こんな形で武神関羽の陣を解体させるのは、偲びないものがあったのかもしれません。歴戦の将である二人は、あくまで戦闘によって勝敗をつけたかったんじゃないでしょうか。

■「気のすすまん策だな。」

『孫権書状の複製を、樊城内と関羽陣営内に射込む。』
それが司馬懿の徐晃軍への献策、いえ、指示といえるものでした。
呉軍が魏軍側についた事を喧伝し、籠城軍の士気を上げ、攻城軍の士気を下げる。言わば心理作戦ですね。プロパガンダ的な戦法です。
これもまた、徐晃・趙儼にとって、気が乗らない策でした。二人の武人にとっては、姑息な手段のように感じたのかもしれません。増援部隊の殷署と朱蓋は、複製を手にしたまま呆然としてました。司馬懿の命で来てるのに、そんな事言われて困ったんじゃないでしょうか(笑)

徐晃・趙儼の気持ちはよーく分かります。特に、樊城救出&関羽撃破が成功しつつあったなら、止めときたい策でしょうね。でも、実際のところは、李典弩作戦(陽動作戦)は思いっきり失敗し、正攻法も成功はおぼつかない訳ですよね。司馬懿の策に文句言っちゃいけないような気もするんですが...。

っていうか、最初登場した時に、二人は「我らで必ず止めねばならん!」「なんとしても、どんな手を使ってでもな。」って会話してたんですから!

■あるいは、参戦の申し出より先に 軍を動かしておるやもしれません。

おもいっきり動かしていました。夜の長江を呉軍艦隊が進んでいましたね。潘璋や蒋欽の姿がありました。 で、中央の将は誰でしょう? 関羽の死に絡む将といえば馬忠? もっと大物の将のような気もします。
謎の将の甲冑が個性的でしたね。いわゆる“へそだしルック” (死語?)ってやつでしょうか。 でも、あれじゃ鎧の役目を為さないような気も...。

■「許都での粛清が効いておりますか。」

中原の賊は一気に鎮まりそうで、それは曹丕の“天下悉くが凍てつくような処断”が効いている模様です。魏諷の乱は、魏国を揺るがすというよりも、叛乱を鎮静させる効果がありました。曹丕がスゴイというべきか魏諷がしょぼいというべきか...。
一時はどうなる事かと思いましたが、クーデターは未然に防止、関羽の本拠地も陥落し、各地の叛乱も鎮圧の目処がたちました。魏国にとってフォローの風が吹いてきた模様です。

■「ところで、ありゃ一体なんだ?」

軍の中央を往く天蓋車。車中に人の気配がありませんでしたが、あれは曹操の馬車でしょうか。もしかして、床に横たわっているのかもしれません。
天蓋車の廻りにいる兵士の顔がかなり暗かったです。まさか、魏王におかれましては、まだ昏倒してるんじゃないですよね〜。

No.12041 - 2005/06/19(Sun) 23:53:10

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / 鳳卵 [東北]
管理人さん、今週もお疲れ様です。

うう〜〜む…曹操が倒れた現場に居合わせた司馬懿と蒋済が、何事もなかったかのように出てきたのが気になります。
徐晃と趙儼が抱いた違和感というのは、曹操の臭いがどこからもしてこない策だったからでしょうか?
だとすると、もしや既に…!?

最後の天蓋車が何を意味するのかまったくわかりませんでしたが、なるほど、あの中に曹操がいるという可能性はありますね。
でも、もしかしたら誰も乗ってなくて、関羽(の遺骸)をつれて来いという意味なのかもなぁ〜〜などとも、ボンヤリと考えていました。

関羽めがけて、全土の兵が続々と集中してきていますね。ぜひとも壮大なフィナーレを飾って欲しいものです。

ところで、曹操も気になりますが、長安目指して進発したハズの劉備たちは、何をしてるんですかねぇ?



>で、中央の将は誰でしょう?
 うっ!? 普通に呂蒙だと思って読み飛ばしてしまってましたが、違いましたか!?

No.12042 - 2005/06/20(Mon) 00:14:52

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / なるみ
どうも。また短く、内容の無いレスでスミマセンが。

>で、中央の将は誰でしょう?
なんとなく、孫家の特徴の顔(孫策に似てる?)に見えます。
この頃活躍する親族というと・・・孫桓?でしょうかね?

そういえば、合肥(濡須だっけ?)で出てきたフランケン男の正体も未だに分からないですよね。まだ出番あるのかな?

それだけです。では、失礼します。

No.12043 - 2005/06/20(Mon) 01:23:03

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / しん [沖縄]
 管理人さま 今週もお疲れ様です。
仰るように残り少ない連載期間の可能性ありますね・・・ううっ

> うう〜〜む…曹操が倒れた現場に居合わせた司馬懿と蒋済が、何事もなかったかのように出てきたのが気になります。
> 徐晃と趙儼が抱いた違和感というのは、曹操の臭いがどこからもしてこない策だったからでしょうか?

↑同感です。新世代達が台頭してきた頃(魏 言風初登場)から引っ張ってきた訳ですが、司馬懿が遂に表立って才を顕し始めた感じがします。でも「赤壁」の時の曹操不在の旬ユウのような悲壮感が無いので、なんか感じ悪・・?と思ったのは私だけ?まあ病気と不慮の討ち死にとは違いますが・・・

> 天蓋車
どなたか知ってたらおしえて欲しいのですが、この頃の曹操の身分的に、天蓋車とかに乗ってもお咎(とが)めない身分なんでしょうか・・
確か昔読んだ小説「曹操」(作者名忘れました)に植ちゃんが酔って天蓋車を乗り回し、処罰された・・みたいなシーンがあったので・・。
司馬懿(&蒋済)の策だとしたら、「反乱の鎮圧に天子の御旗」を掲げている・・という事なのでしょうか?だとしたらこれも曹操なら、絶対しない策ですが。

No.12044 - 2005/06/20(Mon) 03:41:30

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / 刑道栄
いつもレビューお疲れ様です!ほんとに34巻遅いですね、管理人さんの推測に納得する点が多いのですがもしそうだとすると悲しいです。
そんないきなり終わらないですよねモーニング編集部さん!

> 夜の長江を呉軍艦隊が進んでいましたね。潘璋や蒋欽の姿がありました。 で、中央の将は誰でしょう? 関羽の死に絡む将といえば馬忠? もっと大物の将のような気もします。

私は今回はそこが一番気になりました。見たところ顔は西洋っぽい顔立ちのようです。策・権はともかくお父さんの堅は凄く西洋的な顔立ちでしたので、ひょっとしたら孫家の誰かではないだろうかと思うのですがみなさんいかがでしょうか?
 しかし、未確認の将の「へそだしルック」にしろ甘寧や蒋欽等、呉軍の軍装は派手ですね〜ファッションでも「時代は江南や」なんでしょうかね。

No.12045 - 2005/06/20(Mon) 12:43:26

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / 文月 [近畿]
こんにちは。

徐晃軍の陽動作戦は不首尾に終わったようですが、一番の失敗はあの、臭いのきつい二将軍とその軍のように思います。(笑)
せめて事前にお風呂に入って垢と臭いをを落としておけば少しは陽動効果が出たかも…。

司馬懿の、「まるで呉の助けを借りるような策」に対して徐晃と趙儼は不満げな態度を見せていましたが、これは、彼らとしては飽くまでも純粋に自分たちの力で関羽を打ち破りたかったからでしょうね。

孫呉のへそ出し武将は…孫皎(孫権の従弟・孫瑜の弟)かな?賀斉かな?朱桓かな?

ところで、34巻は7月22日発売とのことです。
“Xデー”が7月21日だとしたら、当然34巻の発売日の前日に連載終了、ということに…。
そして、35巻の発売はいつ?

No.12046 - 2005/06/20(Mon) 13:31:50

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / 夏樹 [関東]
 こんにちは。管理人様、いつもご苦労様です。

 呉の新キャラは気になりました。皆様おっしゃるとおり、正史に基づけば孫皎、呉も次世代を印象づけるなら孫桓・朱桓といったところでしょうか。
 それとも、関羽の武にとどめを刺す役割を演出するために、蒼天馬忠はものすごくキャラが立っているとか。

 ちなみに、フランケンは個人的には水没してしまった董襲だと勝手に思っています。消去法と、正史の伝の並び順からみて。


 徐晃・趙儼が「気が進まない」と言っているのは、私もはじめは単に姑息と感じての発言かとも思いましたが、鳳卵さん、しんさんのおっしゃることを読みまして、はたと納得いたしました。

 思い起こされるのは、まず、漢中をめぐっての曹操と曹丕の問答、そして袁術を打ち破った荀?ケの戦です。荀?ケの戦は、戦意喪失を狙ったという点においては今回の策と一致していても、しかしそれは「帝」とは「戦」とは、といった乱世への思想をぶつけるものでありました。
 もちろん、司馬懿には司馬懿なりの天下観あってのことなのでしょうが、やはり一戦術の域を出ないような、小手先のテクニックにすぎないような感が否めません。
 蒼天を続けて読んでいる身にとっては、その辺、まさに曹操の臭いがしない所に寂しさを感じますし、当然曹丕より曹操にシンパシーを持っているはずの徐晃・趙儼が気が進まないと感じるのもそのあたりなのでしょうね。


 満寵の関平評ですが、再開したばかりのバガボンドでは武蔵は、俺には人を斬り続けてきた時間が足りない、って言っておりましたね。
 作品が違いますからどちらがどうこうというのではなく、個の武と軍・国家との関係に視点を置く満寵と、戦う必然性のないところでの個の武ただそれのみに視点を置く武蔵が、偶然にも正反対の評価を下したのは対照的でおもしろかったです。

No.12047 - 2005/06/20(Mon) 14:26:59

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / RUN [東北]
そう、皆さんと同様、中央の将の正体が私も気になります。孫氏の一族の1人でしょうか。どことなく孫一族の特徴を備えている気がします。

黄天の世まで生き延びる孫権の、大帝の決断は早い。漢への服属は形ばかり。形だけの許可の前に、すでに兵を静かに、そして獰猛に粛々と動かしていた。黄天の世代の司馬イは孫権の行動を冷静に的確に予想する。関羽への義に動かされた侠者の孫狼は功名立身を志す名も無き若者に討ち取られていた。若者が彼の部下か弟分であればなお酷い。彼は体制が不動のものであると判断して反体制に見切りをつけて体制側に身を投じた。身なりは貧しい。しかし志は卑しからぬ顔をしている。次世代の貴公子は馬上で涼やかに穏やかに彼の行軍を許す。彼が世に出るには体制に身を投じるしかないのだ。造反の芽も彼ら次世代の手で鎮圧されようとしている。孫権の参戦受託も書状を射込む策も曹操の策ではあるまい。歴戦の将たちも時代の変化の兆しに釈然としない気持ちを隠せない。そういう時代の予兆のように天子が行幸する天蓋車の姿が見える。あれに曹操が乗っていることはあるまい。なのに何で天蓋車なのか・・・。

No.12048 - 2005/06/21(Tue) 00:44:22

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / RYU [東海]
3匹の龍が覇を争う大乱世

かつて張角が予言した英雄たちの戦い。
極悪のカリスマ・董卓
暴の武神・呂布
名門の天下を描いた袁紹

馬騰・公孫讚・劉表・袁術や多くの群雄たち、
彼らは王たる戦いに敗れ消えて行き、今はいない。

激戦を勝ち抜いて残った3匹の龍、曹操・劉備・孫権
彼らは武力によって版図を広げ、外交で敵を欺き、権謀でのし上がり、
時には徐州侵攻や益州簒奪などもやり通して来たけれども、
彼らの天下には民が必ず付いて行った。
それは、彼らが思い思いに描く正義を信じることができたから。

今思えば、淵と劉備の天下問答は凄かった。
賢明な3人の王ならば、自らの天下を語り合い、敵の天下を許し、
牽制し渡り合いながらも、国を磨いて生きていっただろう。

荊州で三大蒼天人☆気宇壮大☆大会議を開く、これしかない!
などなどと、天下問答が可能ならば魏・呉・蜀が戦わずにすむぞと
考えていました。劉備を応援したいから、という気もあるんですが。
(蒼天ではかなり三枚目ですが)

しかし、今の3人の天下人の戦いにはそれぞれの正義が存在します。
彼らの想いをぶつけ合って結果を出してしまってもいいのではないか、
どの天下が勝っても自分にとっては喜ばしい、
そんな気持ちもします。

No.12049 - 2005/06/21(Tue) 04:09:28

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / Nearly Headless Nick [近畿]
いつも、無償のレビューをありがとうございます。

皆様のあいだでは、どうも司馬懿の評判が悪いですね。
個人的には、状況に応じた、ベストな判断だったと思うのですが。

状況、つまり、孫権が一方的に乱入を宣言し、しかも、宣言以前に軍を動かしているわけです。
このままでは、魏蜀が争う隙を突き、呉にうまうまと漁夫の利を得られることは明白です。
それはちょうど、赤壁後に、周瑜と曹仁が争う隙を突き、劉備が徐州以来の領土を得たのと同じです。
(This is 兵家必争の地、荊州ですね。)

こうした状況において、もし、魏が関羽を討ち取っても、魏の損害ばかりが大きく、呉には漁夫の利を得られ、劉備の怒りも買うでしょうから、大局的にみると、ロクなことが無いわけです。
(魏王も激怒するでしょう。そして、「七情の急変」により、ますます死期が早まることでしょう。)
それに対し、城を囲む関羽軍を撤退させ、呉と争わせることができれば、魏にとって十分な成果といえるのではないでしょうか。

もはや、魏は勝ち組なのです。許都での粛清が進み、各地の賊も制圧されつつあります。
司馬懿の判断は妥当なものだったと思われます。
(少なくとも、理屈のうえでは…。)

No.12050 - 2005/06/21(Tue) 11:14:53

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / poroporo [関東]
初の書き込みです。
いつも楽しく拝見してます。

今週ですが、曹操の旧世代重臣たちが、
関羽陣営の「古さ」に親近感を持ち、
自軍の新世代が打ち出す策に違和感を感じる。
荊州戦を描きながら、それとなく
曹操陣営の新旧の溝を浮き彫りにするあたり、
さすが蒼天と感心しております。

No.12051 - 2005/06/21(Tue) 16:22:15

はじめまして / xt [北海道]
初カキコです。私もよくレビューを楽しく読ませて
もらっているものです^^

徐晃と趙儼の不満げな、というか訝しげな様子は
自分達の活躍がどうとかいうことよりも孫権の挙動に
対する憤りのように感じました。つまり、魏に平伏
しているように装って、それを利用してまんまと全軍を
ケイシュウに向け我が物にしようとしている…そんな
孫権の意図に気付かされたのではないかと感じました。
考えすぎかなあ^^;。でもあの蒼天孫権が、ただなんとなく
戦況が不利だから…というだけで降伏なんてするわけがない!
孫権の今までの魏に対する不可解な平伏っぷりも、
全てこのケイシュウ狙いにあったのではないかと
今週号を見てふと感じました。あと、曹操に対する
玉座につけい!という言葉は、曹操個人に対する攻撃
だと私は思ってます。うまく説明できませんがなんとなく^^;

攻撃じゃ! 狙うは孟徳ただひとり

No.12052 - 2005/06/21(Tue) 19:05:23

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / 黒助 [関東]
関平に息づく関羽の気高き精神を見つけたことに喜びを感じつつも決してその古き流儀に迎合しない満寵。
それは群雄割拠の時代からそれぞれの天下を勝ち取るまでの長き戦いを知るからこその共感とそうして自ら築いて来た「唯才の国・魏」の将としての誇り。

恐ろしいほどに的確な呉の動きへの推測とそれを絶妙に利用しようとする司馬懿の策と徐晃・趙儼の感じる違和感。
その策に見え隠れするは、価値を創り出す「人の才」を第一に考えるのではなく人の才が「既に創り出した価値」を自分たちのために最大限利用しようという姿勢。
それは敵味方・有利不利問わず輝ける才を見つけ出したらその創り出す価値をより大きくすることのみを考え続ける曹操からは出るはずのない策。

天蓋車に乗るは倒れたままの曹操か天子かあるいは既に玉座に座るを躊躇わない曹丕か…

既に獲得された天の理と既に蓄積された溢れんばかりの価値の中に生まれ、拠る地を求めてかけずり回る日々を知らず、自軍の戦すら冷めた言葉で語ることの出来る世代の鋭利で冷徹な策が動き出す。
ある意味では彼らこそ「理」の申し子かもしれない。
彼らは彼らの自身の目で彼らにしか見えない次の時代を見据え始めている。

でも、だからこそ…

>激戦を勝ち抜いて残った3匹の龍、曹操・劉備・孫権

彼らへの熱い思いに駆られてしまいます(RYUさんお久しぶりです!!)。
この物語の最後に彼らの魂の咆哮をもう一度聞きたい、いや必ずそうなってくれる、そう信じている今日この頃です。

No.12053 - 2005/06/21(Tue) 19:59:35

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / 胡音
こんばんは。
司馬懿対徐晃・趙儼、新世代軍師の立てる策謀と古参の武人達の
心意気との温度差がよーく伝わってきました。
ここからは司馬懿の策で呉と蜀をぶつけて魏への圧力が軽減される様
仕向けられていくのでしょうが、関羽という旧世代の大砦が崩される事は
単純に勝ち負けというよりも中華を舞台にした世代交代劇のターニング
ポイントという気がします。天下三分のバランスもここで大きく崩れる訳
ですから改めて関羽の存在の大きさを思い知りました。
年代から見れば新世代のはずの関平の古臭さに泣けてしまいます。
まるで関さんの純粋培養。加えて前回の関羽のうたた寝姿と桃園の夢。
結末がわかっているだけに悲しい。
そして司馬懿の不評ーこれでは心情的にどう見ても司馬懿の分が
悪くなってしまうのは仕方無いですよね。
黒助さんの言葉にある様に
>「既に創り出した価値」を自分たちのために最大限利用しようという姿勢ー には血が通っていないというか...心血を注いで作られた価値をいかに利用するかという姿勢から生み出された策は理に適っていると頭で理解できても心情を乗せにくいですから。

ところで話題の将は一体誰?
いきなりあの出で立ちで見開き中央に堂々登場、派手に出てきただけに
謎の度合いでは最後の天蓋車を完全に喰ってます。
第一予想は孫皎、第二予想は朱然、第三予想は朱桓...
果たして正解は?

No.12055 - 2005/06/22(Wed) 00:15:28

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / Nearly Headless Nick [近畿]
二回目のカキコで失礼いたします。
モーニング発売前日なので、お読みになる方がいらっしゃるかどうか…。

皆様のカキコを通じ、旧世代vs新世代という構図が見えてきました。
と同時に、将軍の時代→軍師の時代→政治家の時代 という変遷も見えるような気がします。

呂布が処刑されたとき、将軍の時代に終止符がうたれ、軍師の時代が始まりました。
その後、活躍した軍師はたくさんいますが、郭嘉(純粋軍師)と法正が代表格といえるでしょう。
しかし、彼らは既に舞台を去りました。そして、今の蒼天世界をリードしようとしているのは、(とかく評判の悪い)司馬懿や諸葛亮といった「政治」に長けた連中なのですね。
(なお、ここでいう政治とは、田を耕したり町を作ったり城を改修したりする政治ではなく、ポリティクスの方です。)

司馬懿や諸葛亮の言動に、違和感を覚える方々も多いようです。
逆に、惇兄のように、深く気にしてなさそうな(?)人もいます。
いずれにせよ、ますます蒼天ファンになりつつある、今日この頃です。

No.12056 - 2005/06/22(Wed) 12:47:06

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / 英英 [関東]
こんばんは☆
管理人様がせっかく早くアップしてくださったのに、直前までグズグズ書くのを迷ってました。
前回のレビューに追加したりして。

関平君の成長を心から嬉しく思います。
「親父以上の武人になれ」と言った張飛も、目を細めて見てくれるでしょう。表紙の趙累がそんな感じでしたね。士仁と麋芳の表情がよくわかりませんでしたが。
重刀を片手で操るのですね…腕っぷしもたいしたものだよ。
満寵評「とんでもない血統」ってすごい褒め言葉ですよ。
趙儼の口ぶりも、関平を「○○の息子」じゃなく、一将としてみているし。
お下品な挑発に乗らず、愚弄・嘲笑に黙って微笑を返す――私もそういう深い心を身につけたいものだと思いました。

悪臭部隊(すごいネーミングです(笑))とは戦いたくないなあ。
趙儼から「30歩以上近づくな」とでも言われてるんでしょうか?
作戦会議に混ぜてもらえないなんて…(^^;


>「関羽の叛乱に乗じた 陸渾の孫狼でございます!」

陸渾の叛乱は、おそろいの衣装で関さんの髭を真似てた群盗ですね。
…その末路がかなしい…


>粛々と進む天蓋車

天蓋車の廻りにいる兵士の顔が暗かったのは、天蓋車は本来天子だけが乗るべき車だから、ですよね。
やっちゃいけないことをやってるわけですよね。
天蓋車を守るのが彼ら達の職務なら、もっと誇りを持つでしょうから。
さて、誰が乗ってるのか。

皆様おっしゃってるように、曹操様が乗るとは思えませんね。
私も思います。もし魏王が床に寝かされて運ばれてるんだとしたら、司馬懿や蒋斉があんなに堂々と行軍できるはずがないと思います(笑)。
いつ目覚めるかわからない魏王におびえてるのでは?

私は誰も乗ってないと思うのですが…
しんさんが仰る「反乱の鎮圧に天子の御旗」は同感です。
その命令を出したのは、私は曹丕っぽい気がします…
つまり「天子の御旗」=「次世代の主(皇帝)・曹丕」の意味で。

大穴は(笑)、飲んだくれの曹植が乗ってる、です。


司馬懿は自信に満ちてカッコよかったです。曹丕の命令で動いてるから?自分の才を発揮できる場所を得たから?「偉そうで感じ悪…」とも思いましたけど。ごめんなさい、理外に生きる古臭い義侠の人々に共感してるので。


>「お前さん達が色々手を打ってるという訳か。」

惇兄はすごいな。
あっさり世代の壁を超えちゃうんだもの。
さすが、中原とは気質の違う江南人にとけ込んだだけのことはある。

No.12057 - 2005/06/22(Wed) 23:38:18

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / つね [関東]
1.関父子の武
2.司馬懿の書簡
3.祭りの終わり

今さらの感想ですが、まず気になったのはやはり、呉軍中央の将。最初は「呂蒙にしては少し違うな」と思い、「なんとなく孫一族っぽいなあ」と思いました。孫一族でなければ丁奉に一票。でも最後には大将軍になる彼もこのころはまだまだ下っ端のはずだし。

>天蓋車

私は意識不明の曹操が乗っているのかな、と思いました。まわりの兵士が暗いのは主君が病臥しているから。曹操が魏公についたときにもらった九錫の中には特別な「車馬」というものがあるみたいだから、それが天蓋車であれば、曹操が乗ってもかまわないわけです。でも自分から乗るとも思えないので、やはり本人は意識不明なのではないか、と。

それにしても、そろそろ確かに劉備軍本体の動きが気になりますね。

No.12058 - 2005/06/23(Thu) 04:11:12

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / なるみ
どうも。自己レスです。また更に短く、内容の全く無いレスでスミマセンが。

> >で、中央の将は誰でしょう?
> なんとなく、孫家の特徴の顔(孫策に似てる?)に見えます。
> この頃活躍する親族というと・・・孫桓?でしょうかね?
調べてみると、孫皎が関羽攻撃の副司令官のようですね。
あくまで、孫一族の人なら、の話ですがね。
ただ、呂蒙に次いで亡くなってるようですが。

No.12059 - 2005/06/24(Fri) 04:08:47

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / 臣
> >で、中央の将は誰でしょう?
例の「隠し玉」ですよね?
たぶん、いや間違いなく「陸遜」です。
結局の所、関羽(関平も)は陸遜と呂蒙にやられます。

No.12063 - 2005/06/27(Mon) 14:10:51

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / 鳳卵 [東北]
★しん さんへ
>確か昔読んだ小説「曹操」
 多分、陳舜臣先生の『曹操〜魏の曹一族〜』じゃないかなと思います。
 ただ、天蓋車に乗ったのではなく、天子しか通れない道を車に乗ったまま通ったということでした。
 作中では、曹植の命を守るための曹操の入れ知恵だったような書き方でしたが…

No.12064 - 2005/06/27(Mon) 23:04:31

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / ゲソ [関東]
臣さんへ

>>たぶん、いや間違いなく「陸遜」です。

既に「隠し玉」陸遜は都合2話ほど登場しています。
あれ、というか「隠し玉」云々言っている回で既に陸遜って登場してませんでしたっけ?
>>結局の所、関羽(関平も)は陸遜と呂蒙にやられます。

既知にして衆知の事実でありながら、なおそれがどのように描かれるか見極めずには折れない、下ヒの呂布、官渡の袁紹と同じく、注目すべき「英雄の死」ですね。
ごく個人的には「結局の所」という言葉で済ませてしまうにはあまりに惜しい気がしますね〜。今後に注目です。

No.12069 - 2005/06/28(Tue) 10:49:11

Re: 今週の蒼天<兵家必争の地> / しん [沖縄]
鳳卵さま

>陳舜臣先生の『曹操〜魏の曹一族〜』

そーでした!ありがとうございました!すっきりしました!

これでゆっくり寝られます!!

No.12073 - 2005/06/29(Wed) 01:39:06
今週の蒼天<桃園の夢> / TATSU@管理人 [関東]
結局今週も先週と同じぐらい遅れてしまいました。すみません!

今週のモーニング表紙は関羽でしたね。蒼天を背景に、全身瑕だらけになりつつも、仁王だちで微笑む武神。なかなか豪壮でした。there's no endって書かれてましたが、これは“決して死ぬことは無い”とでも訳せばいいのでしょうか?
−関羽、神になる男−
とも書かれていましたね。関羽が死ぬ週は、横浜の関帝廟にでも行こうかな、と思う今日この頃です。


さて、本編レビューを開始させて頂くに当たって、先週のストーリーを“欄外コピー”が端的に表現していたので転記しときます。

−孫呉の参戦。関羽の拠点の公安・江陵は陥落!その知らせも届かぬ同夜、魏国将軍・徐晃が背後より関羽軍を襲う。−

No.12025 - 2005/06/14(Tue) 23:38:34

Re: 今週の蒼天<桃園の夢> / TATSU@管理人 [関東]
【STORY】

徐晃の合図のもと、弩は放たれた。

轟音を上げて飛翔した弩は、関羽艦隊の狭間を縫い、旗艦の望楼を破壊し、樊城内へと吸い込まれていった。
それを確認した徐晃は、艦首を返して自陣へと引き返した。

****************

城内では、曹仁と満寵が李典弩を手にしていた。

弩にはびっしりと文字が書き込まれていた。それを読み終えた曹仁は、壮健な馬100頭を選び、あとは潰すように満寵に命じた。食糧となるものは全て食べ切るつもりであった。
「数日が勝負だ。」
曹仁は弩の文字を見つめ呟いた。
「全軍を奮い立たせ、この徐晃と趙儼の策に賭ける。」

***************

樊城の北10里・徐晃軍屯営

呂建と徐商の援軍が到着していた。ニ将軍を出迎えた趙儼は、合肥から夏侯惇軍が進発し、業と許からは更に12軍が動員された事を知った。総勢15万を越す集中動員は異例の出来事といえた。

「中原の戦は初めてか。」
趙儼は北辺を転戦していたニ将軍に尋ねていた。
援軍と言っても、樊城を救援する事だけではなくなっていた。既に関羽を葬り去る戦いとなっており、ニ将軍もそれを承知していた。長く中原を離れていた事もあってか、ニ将軍には関羽に対する怖れもなく、妙な気負いもなかった。良い人選だ、と趙儼は感心した。が、同時にニ人の放つ悪臭には閉口していた。
「よいか。」
趙儼は、臭いを避けつつ号令した。
「辺境を駆けた獣性はそのままに、我が指揮に従い、狩猟犬のように働いてもらう!」
すかさずニ将軍は拱手した。

***************

馬上の関羽が、青龍刀を抱えたまま仮眠をとっていた。
関羽の見る夢。それは桃園の結義であった。

−義兄弟の杯を交わす三人。
劉備が、同年同月同日に生まれること能(あた)わずとも、願わくば同年同月同日に死せん。と高らかに宣言し、笑った。張飛は、自分を益徳と呼び捨てにし、関羽を関さんと呼びかける劉備の態度を詰(なじ)っていた。張飛の言葉を聞き流し、劉備は関羽に尋ねた。長兄は誰だい?と。
−夢の光景に、馬上の関羽は思わず微笑んでいた。

「関羽殿。」
趙累の声に関羽は目覚めた。
趙累は、魏軍が大動員を開始し、孫権の動き次第では夏侯惇と張遼も参戦してくる可能性があることを告げた。
「願ったりだな。趙累。」
関羽は笑った。趙累はとんでもない、と目を丸くした。関羽にとっては吉報でも、趙累にとっては脅威の一大事であった。そう告げると趙累は、江陵には廖化を派遣して兵站を十全にし、上庸の孟達と劉封には漢水上流より魏軍の大外を突くよう手配した事を報告した。
「昔を知る私の前で小胆を装うな。」
関羽は笑った。
「あんたほど篤実な与太者はそうはおらん。」
それを聞いた趙累も微笑んだ。豪気であるが故に趙累は世間から溢れたのかもしれず、それは関羽も同じであった。
「都督 趙累。」
関羽は告げた。
「今、我らは、天成の溢れ者まで掬(すく)い上げる 天下の器の中にいる。」

***************

その時、急報が関羽の砦に飛び込んだ。
樊城東門より満寵が討って出て来たのである。

それを聞いた趙累は、籠城軍は包囲の締め上げに耐えかね、決死の脱出を強行してきたものと推測した。 いや...と趙累は考え直した。昨夜の弩弓が通信手段だったとすれば、外の援軍と連携した奇襲の可能性もあった。

「窮余の一策を 動かし始めたな。」
関羽が北方を睨みながら告げた。徐晃軍が出現していたのである。
「趙累。東門は関平だな。」
関羽は徐晃軍を迎撃すべく馬を進めた。
関羽を見送りながら、趙累は笑った。
「今にあなたより強くなりますぞ。」

関羽は知っていた。趙累が都督でいるから自分は戦闘に専心でき、趙累がいるから自分の武の全てを敵に突きつけることができることを。

***************

「我が名は関平!貴様は!?」
満寵軍の前に立ちはだかった若き将が叫んだ。

なんだ、小倅(こせがれ)か。と満寵は不満気な声をあげた。 戯言(たわごと)を吐く口があるなら名乗らんか!と叱咤する関平。その台詞に、満寵は嘲(あざけ)るように笑った。
「しかし、気の毒になぁ。」
関平めがけ突き進みながら満寵は告げた。下の毛も生え揃わず、女の味も覚えぬうちに御陀仏かぁ。と。

「魏の将にしては、人品が悪いぞ、満寵!」
閃光のような関平の一撃が、満寵を襲った。

満寵はその一撃を矛で受け止めた。
だが、矛の切っ先は真っ二つに折れていた。



【REVIEW】

■「かましたれい!」

李典弩は、関羽艦隊の間を抜け、司令船の艦橋を破壊し、そのまま飛び続けて、樊城城壁の櫓(やぐら)の屋根に突き刺さってました。凄まじい破壊力でした。打ち込まれた後に、樊城城内から「でけー」なんて声がしてましたから、その大きさは味方もびっくりだったみたいです。

破壊された艦橋には趙累・廖化・関平がいましたが、一命を取りとめた模様です。艦橋構造物は粉々になってましたから、李典弩がもう少し艦橋中央部に当たっていたら三人とも即死だったかもしれません。

ところで、李典弩の主目的は樊城内にメッセージを送ることだったようですが、では、この艦橋破壊は偶然だったのでしょうか?
でも、ただ城内に弩を打ち込みたかっただけなら、もっと仰角をとって放物線を描くように発射しますよね。管理人の推測としては、徐晃の上記台詞からして、樊城内に打ち込むにせよ、併せて敵艦の艦橋も破壊して、あわよくば敵将も射殺そうとしたように思えます。さすが敗けずの徐晃、一筋縄ではいきません。

ところで李典弩って連射がきかないんですね。きかないどころか一発打つのに一刻かかるそうです。一刻は30分ということですから、李典弩って破壊力抜群ですがあんまり実戦的じゃないような気も...。いや、攻城兵器として、城門破壊に使用したりしたら有効かもしれません。

「うむ。時間はかかるが、試作にしては威力はまずまず。」

■「全軍を奮い立たせ、この徐晃・趙儼の策に賭ける!」

李典弩に書かれた文章を読んで、曹仁が言ってました。元気な馬を100頭だけ残し、あとは食べちゃうみたいです。樊城、今夜は馬刺?(笑)
でも、残す騎馬はたった100頭だけでいいんでしょうか?後は歩兵でどうにかするんでしょうかね。徐晃・趙儼の策ってどういったものなのか非常に気になります。

■「いい人選だが、しかし...なんという臭いだ。」

またまた新キャラが登場しました。その名も呂建と徐商。かなりの個性派です。特に徐商の首の長さは人間離れしてました。
かなりの悪臭を放ってたみたいですが、何故でしょう?北部戦線は忙しく、体を洗う暇さえ無かったんでしょうか?それとも、北辺から遠路はるばる荊州戦線に駆け付けて来たので、体を洗う暇が無かったんでしょうか?それともこの二人はもともと獣性が強く、風呂など入る習性が無いんでしょうか? 3番目だったら すんごく嫌です(笑)。

さて、この強烈な印象の二人はどういう人物だったのか? 管理人は気になったので、正史を調べてみました。ちょっとネタバレ気味で恐縮ですが、二人の名前は魏書・徐晃伝にたった一行あるだけでした。そうなると この二人については、欣太先生のオリジナルのエピソードが見れそうであります。

■「いや、貴重な夢だ。」

関羽の見ていた貴重な夢。それは“桃園の誓い”でした。
関羽が樊城に出現した時に「春風、桃花の頃に契りを結び...」って言ってましたから、桃花の下で、それらしき契りを結んだ事は既に説明してあった訳ですが、演義オリジナルのエピソードをここで持ってきたんですね。正史準拠の蒼天では桃園結義はやらないのかと思ってました。 あ、文句言ってる訳じゃないですよ。むしろ、うまい演出だと思います。特に、夢を見て笑う関羽の顔が良かったです。この笑顔、後の関羽の運命と相俟ってジワッッときました。

実は、444,444HITのキリイラで管理人も「妄想板」ということで桃園の誓いを描いたんですよね。基本的には妄想と似た感じだったので良かったです。
http://www.h2.dion.ne.jp/~soutenko/444444touen.html

ちなみに「関さん、関さん、長兄は誰だい?」って聞いてますが、これは一説によると、義兄弟の契りの折り、関羽は劉備より年長であったが、盟主が劉備である以上、長兄を劉備としたほうが良く、自分は次兄となった。という逸話があるんですよね。
この桃園の誓い。演義オリジナルのエピソードと述べましたが、正史の関羽伝の中で、関羽は張遼にこう述べています。「曹公が私を厚遇してくれているのは良く分かっている。しかし私は劉将軍から厚い恩諠を受けており、死ぬ時は一緒、と誓い合った仲である。」
つまり、桃園でやったかどうかは別として、劉備と“誓い”らしきことはしていたのですね。関さん、義理堅いです。

■「昔を知る私の前で小胆を装うな。あんたほど篤実な与太者はそうはおらん。」
■「あれは、こわいもの知らずというものではござらんかな。」
■「豪気であるがゆえに世間から溢れた。」
■「お互いに。」

ちょっと難解な会話でしたね。最初読んだ時は良くわかりませんでした。
特に、趙累が「江陵には廖化を派遣し、孟達と劉封には敵の大外を突くよう要請した」という台詞に対して、何で関羽が「小胆を装うな。」とか「篤実な与太者」扱いするのか理由が分かりませんでした。
で、読み返して分かったのですが、関羽の上記台詞は、もっと前の「とんでもない!あんたにとっては、吉報でも私にとっては脅威の一大事。」という台詞に対しての指摘だったのですね。

小胆【しょうたん】気が小さいこと。度量の狭いこと。
篤実【とくじつ】情が深く誠実なこと。
与太者【よたもの】ならず者。やくざ者。不良。

つまりこうです。
趙累:「あなたにとって良い知らせでも、私にとっては恐るべき事態なのです。」
関羽:「俺は昔からあんたを知っている。今さら気が小さいふりをするな。あんたほどの“やくざ者”はそうはおらん。“誠実”ではあるが。」
趙累:「(誠実なやくざ者とあなたは言うが、)あの頃の私は、単なる“恐いもの知らず”というだけだったのではないですかな。」
関羽:「“恐いもの知らず”過ぎたから、世間から溢れたのかもしれん。」
趙累:「それはお互い様ですな。」

やや意訳しましたが、二人の会話はこんな感じだったように思われます。
この会話から察するに、趙累も昔は侠客として、関羽と同じく“闇の社会”を生きてきたみたいですね。

■「今 われらは天成の溢れ者まで掬い上げる 天下の器の中にいる。」

最後に関羽は 会話をこう締め括りました。“天下の器”とは言うまでもなく劉備のことですね。今や、“漢中王の器”のことなのかもしれません。

“天成の溢れ者”まで掬い上げるってのが劉備軍の特徴だと思います。簡雍もいかにも“天成の溢れ者”って感じでしたもんね。考えてみれば、あの馬超でさえ“天成の溢れ者”の一種なのかもしれません。あ、蒼天においては孔明も天成の溢れ者かも...。 言わば劉備軍は“溢れ者軍団”な訳ですね。

では、曹操はどうでしょう?曹操の場合は「才があれば、」という条件がつくように思えます。 『 才さえあれば溢れ者だろうと掬い上げる。』 それが曹操の基本理念だと思います。逆に言えば、天下に何の益すること無い溢れ者は、排除しようとするかもしれません。

でも劉備は違うんですよね。才があろうと無かろうと、構わない。天成の溢れ者であろうと何であろうと、自分を慕ってくれば掬い上げる。それが劉備の心意気なのかもしれません。そしてそれは、何を隠そう劉備自身が“天成の溢れ者”だったからではないでしょうか。

孔明が言ってました。
「曹操の求める才は、万人に備わるものではなく、儒から解き放たれた新しい気風なぞ、万人の喜ぶものではない。」

■「今にあなたより強くなりますぞ。」

関平に対する趙累の評価がこれでした。このならず者ではあるが誠実な男は、関親子に非常に期待してるんですね。 この後の関羽の台詞から察するに、趙累が縁の下の力持ち的立場にいるお陰で、関羽は戦闘に専念できるみたいです。

そう言えば、先週、『関羽は居城や指令船に寄り付かずに、最前線で待機してる。』って指摘しましたが、それは趙累がいるから可能だったのですね。

趙累−。物語も終盤になって蜀軍に味わい有るキャラが登場しました。でもその運命は...ネタバレになるんで言いません。

■「しかし気の毒になあ。下の毛も生えそろわず、女の味も覚えぬうちにおだぶつかあ。」

満寵が関平にこう告げていました。関平曰く“人品が悪い” 平たく言えば、“お下品な”台詞です。 満寵は弩に書かれていた作戦に則って東門から打って出たと思われますので、何か理由があって関平を挑発してるんでしょうが、それにしても満寵ってこんなキャラでしたっけ?

そして、関平の一撃を受けた満寵の矛は、刃先が根元から折れてしまいました。およよよよ!なんて言ってましたが、大丈夫なんでしょうか?この後、関平に普通に一刀両断にされたりしたら笑えます。

ところで、関平は「貴様は!?」とか「名乗らんか!?」とか大声で尋ねているんですが、満寵はのらりくらりとかわして結局名乗っていないんですよね。でも、刀を振り下ろす時に、「魏の将にしては人品が悪いぞ。満寵!」って叫んでます。来週の満寵の台詞は、「およよよよ!知ってるなら聞くなよ。」 でしょうか?(笑)

■さて、徐晃軍には関羽が、満寵軍には関平が、それぞれ迎撃態勢をとりました。城に篭る曹仁はどう動くのでしょう?援軍のニ将軍はどう絡むのでしょう? 非常に楽しみです。

来週は徐晃と趙儼の“弩に刻んだ秘策”が明らかになります。ワクワクしますが、同時に関羽の死も迫ってきていると思うとドキドキします。

ところで、昏倒した曹操はどうなったんでしょう?

No.12026 - 2005/06/14(Tue) 23:49:58

Re: 今週の蒼天<桃園の夢> / ツァオツァオ [関東]
お疲れ様です!
桃園のシーン、一瞬デジャヴかと思いました。
ゴンタ師がキリイラ参考に描いたのではと思うほど構図が似てましたね。特に劉備の顔の角度とかもぴったり。
まさか出るとは思わなかった桃園、感慨深く読んだ方多いでしょうね。蒼天史上に残る名シーンの予感です。

関平ですが、名将満寵のことは知っていたけれど、一騎打ちをする武人としての礼儀から名を名乗らせようとしたと思いました。満寵もそれを知ってながら名乗らないことでさらに挑発したのでしょう。

No.12027 - 2005/06/15(Wed) 01:01:15

Re: 今週の蒼天<桃園の夢> / 鳳卵 [東北]
 前回、夏樹さんから指摘されましたが、アレは“連弩”ではなかったんですね。それどころか、1発撃つのに1刻かかるというのでは、野戦では使えませんね。しかし、恐るべき威力! 李典が生きてたら、どこまで改良が進んでいたのでしょうか?

>併せて敵艦の艦橋も破壊して、あわよくば敵将も射殺そうとした
 しかしこれ、1歩間違うと矢が船の中で止まってしまい、貴重な情報が敵にダダ漏れになってしまう危険性も…やっぱり、2兎は追うべきではないと思うのですが(笑)

 趙累、関平と、ここにきてキャラクターが立って来て嬉しい限りですが、しかし、残された時間はあとわずか…ほんと、ジリジリしながら次の回を待っている状況です。

>ところで、昏倒した曹操はどうなったんでしょう?
 いや、まったく(笑)
 実はもう、連載終了まで出てこなかったりして…(まさかね?)

No.12028 - 2005/06/15(Wed) 01:14:48

Re: 今週の蒼天<桃園の夢> / なるみ
趙累の声に関羽が目覚めた時、関羽の馬も目を覚ましましたが、この後「ブギッ」とか鳴いて趙累を睨んだ後(かなり怒ってる?)、次のページでまた寝てるところが中々かわいいです。

短くて内容も無いレスでスミマセン。

No.12029 - 2005/06/15(Wed) 02:53:33

Re: 今週の蒼天<桃園の夢> / Nearly Headless Nick [近畿]
お疲れ様です。

夢を見ているときの、関羽の表情がすごくよかったです。
とても幸せそうな顔…。
心地よく、好ましい、遠い日の記憶。つながり。
関羽は、これを大切にしてきたのでしょう。
あんなときも、こんなときも…。

至純の夢、ですか(by馬超)
てめえが口にしやがるとなあ、軽過ぎの青過ぎじゃあーッ!(by張飛)

No.12030 - 2005/06/15(Wed) 10:28:20

Re: 今週の蒼天<桃園の夢> / 刑道栄
 いや、「桃園の誓い」ここできたかぁ〜という感じでした!
私も管理人さん同様、蒼天では「桃園の誓い」はやらないものと思っていましたからこのシーンを見ていると、蒼天がスタートして今日まで10余年、蒼天を読み続けてきた日々がよみがえり映画「ネバーエンディングストーリー」のバスチアン少年よろしく自分も劇中の一人になった気分で劉備三兄弟のこれまでの苦労が頭の中をよぎり、お昼時で混雑してるのにも関わらずコンビニで立ち尽くしてしまいました。

 そしてこれからの兄弟達の結末を考えると胸が締め付けられる思いです。

No.12031 - 2005/06/15(Wed) 15:33:17

Re: 今週の蒼天<桃園の夢> / H・N
みなさま、おっしゃってますが、それでも言いたい。
がぼーん、ここで、とっ、桃園の儀。「お前が生きている間、決してお前の下を離れないでいよう」のすぐ後なんだ。ふるふる。劉備と張飛を見つめる関さんはさぞかし素敵な表情なさっておられることでしょう。

ところで、劉備陣営での関さんはいつも多くを考え、すべてを見渡そうとしているように僕は感じていました。というかそうしなければならない立場だったんではないでしょうか。本人も気づいているのか、夏口の駐屯地では眠る兄弟二人を見て、「いや、この二人を見習うべきか?」なんて自身の性分に少々自戒気味なこともありました。

それがいまや後方を侠客時代から?の戦友に一任し、我が子に戦場の一方面を託すことができる。関さん自身は趙累のことしか言っていませんが、「今にあなたより強くなりますぞ」って言われて、表情はとってもうれしそうでした。いまのこの充たされた状況だからこそ、自身は将に徹し武を振るうことに専心できる。

以前、曹操の下でもそのような状況はありましたけど、あのときと今とでは状況が全く違うような気がします。関さんの相反する内面、侠の精神と理にかなったものの考え方が、かの状況下で両立するわけもなく、曹操の洗脳中だったですしね。これをできるのは、侠も理も義も情も公も私も天成のあぶれ者まで、なんでもかんでも掬い上げる天下の器の中にいる今このときだけのような気がします。

侠の心をもって力を集め世を正す。闇の世界から世を正す。理で割りきれないものが侠というのなら、食糧なんか計算せず、義に応じて捕虜も取る。だ・か・ら、古いとか低いとかもう言うない、男前。はっ、話ずれちった。ずれついでに、関さんの蒼天航路記念すべき第一声「人はいずれ死ぬ」とthere is no end 管理人さんの訳どおりなら、なんだかとっても泣けてくるのです。

No.12032 - 2005/06/16(Thu) 01:46:15

Re: 今週の蒼天<桃園の夢> / tohma [関東]
久々に書き込ませていただきます。いつも皆さんの考察を拝見してるだけで十分満たされてるんですが今回は関羽の表紙で激しく熱くなってしまったので書き込みたくなってしまいました。駄文ですがお許し下さい。

 私は連載当初から蒼天をモーニング誌上で読んでます。そして今の生活において一番の楽しみです。最近、「物語の終わり」を想像する事が頻繁にあるんですが蒼天が無い生活にぞっとさせられています。

 今年で私は32歳になるんですが思い返せば20歳の頃からですのでもう10年以上の連載になるんですね・・
 三国志自体壮大な物語ですし、蒼天という作品自体にも色々紆余曲折があったので10年以上という大変な時間がかかっていますが物語がここまで来た事を考えると非常に感慨深いです。

 そんな物語もみなさんが仰るように終盤にさしかかってますよね?これからのモーニングで蒼天が表紙をかざるのって数えるくらいあるのでしょうか?考えるとまた寂しくなります。
 
 「疑問考を利用しなさい。」と指摘されてしまうかもですが今号の表紙の「関羽」ですが今まで「曹操」以外の蒼天人物が表紙になった事ってあったんでしたっけ?私のゆるい記憶だと無かったような・・・もし私の記憶が正しかったとしたら欣太先生の関羽に対する思い入れってかなり特別な物なんじゃないのかなぁって思いました。さすがに今回の表紙が単行本の表紙になる事はないのかなぁ?
 
 蒼天においての主役は曹操ですが私のストライクは劉備サイドのストーリーなんです。今までで一番思い入れが強い場面は「劉備宣言」です。今でも仕事で行き詰まったりプライベートで落ち込んでいたりする時21巻を取り出して「生きる力」を頂いております。今号が私のプライベートランキング上位にくいこんで行くのは間違いありません。

 その今回の「桃園の誓い」を夢で回想する関羽はTATSUさんの仰る通りこの後の運命を知る者にとってはなんとも言い難い感情になってしまうシーンであり、関羽の柔和な笑顔を見ていると少し泣いてしまいそうになります・・・・・
 

No.12033 - 2005/06/16(Thu) 11:43:26

Re: 今週の蒼天<桃園の夢> / おかゆライス
徐晃
李典弩を放つ前後でキャラが違ってます。
矢と一緒に緊張感も飛んでったんでしょうか。

「全軍を奮い立たせ〜」
賀捷表にいう「癘憤怒之衆 與徐晃同勢」のくだりですね。
徐晃・趙儼の策に運命を預けた曹仁、樊城守備軍の奮戦ぶりが楽しみです。

徐商と呂建
そのまま相手に放り込むだけで戦意喪失させそうです。
この二人、いつ誰が手配したのでしょう。
夏侯惇軍進発の知らせが徐商、呂建が持参した書簡に書いてあるのであれば、「夏侯惇次いで張遼を〜」と同時に二人を手配したのでしょうか。
だとすれば、樊城により近い夏侯惇がまだ到着していないのは何故でしょう? 二将軍がエライこと速かったんでしょうか。
この二将が抜けて北辺が手薄になった事で「あおいきば」が動き出したとすれば、これもまたどうなることやら。

江陵に向かった廖化
江陵が落ちた事をまだ知らないんですよね。もしかして・・・とは思ってるかもしれませんが。
孫呉が動いている事を知ったら、どんな行動をとるのでしょう。魏呉の同盟有無にかかわらず形勢逆転は必至です。

劉封
出てくるのね。

No.12034 - 2005/06/17(Fri) 00:13:14

Re: 今週の蒼天<桃園の夢> / 巌窟王 [東海]
いつもご苦労様です!管理人様!!
久々にでも気になったんでカキコさせて下さい。
今回の「桃園の誓い」は皆さんおっしゃられるような関さんの「夢による回想」なのですか?
私はてっきり「貴重な夢=ただの夢」だと思ったのですが…
つまり蒼天世界ではあくまで「桃園の誓い」は現実には存在していない→つまり「貴重な夢=ただの夢」だと思ったのですが…
蒼天版「桃園の誓い」はあの関さんの「ごろん」がものすごく素敵だと思うので…ついつい…でも言いたかったので…
皆様どう思われますか?
ただその夢を見ている関さんの丸々一ページ使った寝姿…最高最高超最高に素敵です(感涙感涙感涙)。
今まで一話も欠かさず見てきた蒼天、ひとコマも欠かさず見てきた(と思う)私が、ダントツ素敵なひとコマだと思うしびれる世界でした。
この人が討ち死に……どうあっても信じられません!!!

No.12035 - 2005/06/17(Fri) 11:27:56

Re: 今週の蒼天<桃園の夢> / 英英 [関東]
モーニング表紙の関さん、見た時ザワリとしました。
ついに、ついに来るべき時が来たのか…っと早とちりしまして。

“桃園の夢”の終わり…

関さん&関平君とその周囲しか目に入らない今週号でした。
「今にあなたより強くなりますぞ」って、GONTA先生あんまりですー!
せつないよ〜(;-;)
趙累も親父殿も、彼に期待してるのですね…
よくできた息子だもの。長坂で生き延びて良かった。

「魏の将にしては、人品が悪いぞ。満寵!」

私は関平君が満寵の名前を知ってたことよりも、前半部分に注目してました。初陣なのに、“魏の将にしては”なんて台詞が出てくるなんて。
長坂坡で襲撃された子供時代に魏の将なんて見てる余裕なかっただろうし…しかもその時に指揮を取ってたのは賈クだし…賈クって人品良好には見えないし(失礼な)…
などなど、最後のページで「あっ関平君、強いじゃない」と思いつつ、どうでもいいことを考えて現実逃避してました。

関さんは自分を“天成の溢れ者”と認識してたのですね。
この樊城戦では、大将なのに単独行動が多いしワンマンそうに見えましたが、結構自覚してたようです。
趙累との会話で色んなことを納得しました。
関羽評「篤実な与太者」って身近にいたらどんな人なんだろう?と思っちゃいました。
たとえば、宿題を終わらせてから街にくり出す不良…とか?(違)


趙累のバックにある地図を見ると、樊城から江陵・上庸への距離はあまり差がないようですね。上庸が山岳地帯っぽいので通信には余計に時間がかかるでしょうけど。
ちょっと気になったのは、関さんが追い詰められる前のこの時点で、孟達らが趙累の指示に従っていれば、関さん達は死ななかったかもしれない…と思ったのです。
麦城から上庸に援軍を求めても叶わないかもしれないけど、今なら動いてくれたんじゃないか…と。(たとえ孟達が内心で関羽にマイナス感情を抱いてたとしても)
でも、結果は皆さんご承知の通り。
その理由を考えてて思い出したのが、漢水で隠密行動をしてるはずの郭淮軍100人の存在です。
もしかして、今週号で上庸に向かった使者は捕まったかな。
それで上庸の対応が遅れたのかな。
あるいは上庸に使者は着いたけれど、郭淮軍に撹乱されて動きが取れなかったのかな…とか想像します。
郭淮も新世代の人だから、旧世代の関羽軍を破るのに一役買いそうな気がするのです。


>ところで、昏倒した曹操はどうなったんでしょう?

“総勢15万を越す異例の集中動員”は、留守を預かる曹丕が指示を出してるんじゃないでしょうか?
新世代のリーダー魏国太子は、「天下悉くが凍てつくように処断する」ことから業を始めるとか。それは旧世代(曹操という時代)の価値観を徹底的に叩き潰してしまいそうです。
関羽という乱世の初期から登場した武名も…。

もし曹操様が無事な状態だったら、こんな兵力動員をせずに、「張遼の次は俺だ!」とか言ったり嬉々として出陣しそうです。
「関羽には手を出すな」と言うくらいですもの。
曹操様ー!早く起きてくださーい!

No.12036 - 2005/06/18(Sat) 03:21:25

Re: 今週の蒼天<桃園の夢> / つね [関東]
次の週の蒼天を読んでしまってから前週の感想を書くことになってしまいました・・・。しかし、目の前に新しいモーニングがあれば、誰がそれを無視することができるでしょうか。

1.援軍からの知らせ
2.大動員
3.桃園の夢の続き

徐晃たち、「俺たちだけで止めてみせる」と言っておきながら、続々集結してますね。しかし于禁7軍は3万で、今度は12軍で15万。1軍の定数というものはないんですかね。

>「いい人選だが、しかし...なんという臭いだ。」

たしか私の記憶では、趙儼が、悪臭に気付くのと、北方からの援軍ということに思い当たるのが同時でしたから、この2つがリンクしているような気もします。
北方では寒くて汗をかかず体を洗う必要がなかったので、その習慣がなくなってしまったとか・・・。でもそれならかえって汗かきになり、体を洗いたくて仕方がなくなるような気もしますが。

No.12037 - 2005/06/19(Sun) 02:55:27

Re: 今週の蒼天<桃園の夢> / 鳳卵 [東北]
>たとえば、宿題を終わらせてから街にくり出す不良…とか?(違)
 おもしろい(笑)
 僕の個人的な考えですが、“篤実な与太者”というのは、まじめすぎて周りを混乱させるような人じゃないかと思いました。
 皆が「まぁまぁ、そういうことにしとこうよ」と言ってるのに「それは違う! 正しくない!」と言い出す人。
 ただし、ただ単にルールブックに従っている、ということではなく、誰かが不当に傷ついているとか、不平等であるとか、そういうことを見過ごせない人のことなんじゃないでしょうか?

No.12038 - 2005/06/19(Sun) 07:11:02

Re: 今週の蒼天<桃園の夢> / 黒助 [関東]
関さんに対するいろんな感情が溢れてしまってうまく言葉に出来ず、随分遅い書き込みとなってしまいました。

>樊城内に打ち込むにせよ、併せて敵艦の艦橋も破壊して、あわよくば敵将も射殺そうとしたように思えます。

というよりこれは包囲されている城内への通信を図っていることを悟られないために攻撃を装っているというのが正しいんではないんでしょうか。
逃げる時にわざとらしく大声で悔しがっているのもその偽装の延長であると思います。
まあ、この偽装は矢が城まで届くのを見た関平が瞬時に気付いているので結局意味無かったわけですが、さすが敗けずの徐晃、意外としたたかな策士です。

>「昔を知る私の前で小胆を装うな。あんたほど篤実な与太者はそうはおらん。」
>「あれは、こわいもの知らずというものではござらんかな。」

英英さんの想像確かに面白いです。篤実な与太者については私も鳳卵さんと似た印象です。「不正の権力の横暴に対し、それになされるがままになるを良しとせず(篤実)、実力行使による抵抗をも厭わない(与太者)」みたいな。
ただこの会話に出てくる「あれ」という言葉は少し気になります。二人の会話が単に昔の性格の話をしているというより何か具体的なエピソードのことを思い出してなされているような印象を受けます(正史等三国志の詳細な知識に乏しい私には確かめようもありませんせんが)。

でも何より関羽です。

>「願ったりだな。趙累。」
>「窮余の一策を 動かし始めたな。」
>あんたがおるからこの武のすべてを敵に突きつけることができるのだ!

関羽の意図が城を落とすことではなく敵を出来るだけ集結させることにあるのが本人のセリフで明らかにされましたね。しかも関羽、敵の軍の動きも正確に察知しています。
また趙累のセリフにある通り関羽軍も当然呉の動きもある程度予想しているようです。
その上で関羽、それ程綿密に対策を練ることをせず、敵を自由に動かさせてるんですよね。
もちろん趙累に任せているためというのもありますが、私には関羽は既にこの先を考えておらず、全ての困難な状況をここに集結させ自らの武を出し尽くすこと、そしてそれが今の劉備の最大の支援になることを望み、既に覚悟を決めているように映って仕方ありません。

>「いや、貴重な夢だ。」

樊城戦開始当初は異様なまでに無表情だった関羽の、戦況は厳しくなっているにも関わらずのここへ来て最高の笑顔…
胸の内を分かり合える戦友、たくましく育つ息子、そしてその全てを掬い上げ今や天下をも包み込こもうとしている大徳の器
全てはあの日から始まった夢…

関羽は今まさに至福の極みにいるんではないでしょうか。

「あなたの徳の器はまことに計り知れない!大いなる敬意のもとに私の武の器をお示し申そう!」

No.12039 - 2005/06/19(Sun) 20:55:26

Re: 今週の蒼天<桃園の夢> / 英英 [関東]
「あれは、妄想というものではござらんかな」(^^ゞ

鳳卵さん、黒助さん、
私のおばかな想像にお返事ありがとうございます。
『篤実な与太者』の印象は私もお2人の意見に賛成です(笑)
蒼天趙累は一見“人の好さそうなおじさん”(←好きです♪)なので、昔の「あれ」というのが私も気になります。蒼天版エピソードがあるといいですねー。

>関羽は既にこの先を考えておらず、全ての困難な状況をここに集結させ自らの武を出し尽くすこと、そしてそれが今の劉備の最大の支援になることを望み、既に覚悟を決めているように映って仕方ありません。

そう考えると、この窮状を「願ったり」だと笑む関さんに納得できます。あんまり嬉しそうなので、かえってせつないけれど、でも関さんはもう決めてるんだなーと思いました。
しかし状況が困難極まるほど、樊城戦に参加してる将兵が巻き添えになります。
関さんが自ら最前線に立ったり、危険な単独行動をしたり、「関羽を殺せばおまえたちの勝ち」と宣言したり、それは自ら7年育成した将兵を無駄死にさせないためなのかなーと思います。侠の精神でしょうか。

今となってはどうでもいいことなんですが、李典弩が関羽軍指令船に命中したのは角に近い部分なのに、どうして最上部の屋根がすべて消し飛ぶほど破壊されてるんでしょうか(笑)。前号と見比べて「変だなあ」何日もと考えてたんですよ。
派手に壊れれば視界も悪いだろうに関平君はしっかり矢の行方を見届けてるし、天井が降ってきたらまず頭を守ろうよと思ったり、それどころか三人とも目を閉じてないし、廖化は他の2人を庇おうとしてるようにも見えるし、趙累の着物姿はこれから寝るとこなのかしら…とか、現実逃避したツッコミばかりが冴えてるのでした。

No.12054 - 2005/06/21(Tue) 23:26:17
今週の蒼天<分岐の一夜> / TATSU@管理人 [関東]
こんばんは〜。
「また、レビューが遅れてやがる。」とか思った方もいるでしょう。そうなんです。珍しく体調を崩し、伏せっておりました。実は昨晩は「ついに今週の蒼天を落とす時が来たか!」と覚悟し、「来週、2週分まとめてUPしよう」と観念していたんですが...。
なんとか気力で風邪を捻じ伏せ、書き上げることができました。それもこれも、毎週 皆さんが色々感想を聞かせて下さるお陰です。

なんか蒼天は最終回まで休載が無いような勢いです。欣太先生、絶好調です。管理人も気力の続く限り、毎週レビューを続けていきたいと思います。ゴホッ、ゴホッ!

No.12001 - 2005/06/07(Tue) 23:07:24

今週の蒼天<分岐の一夜> / TATSU@管理人 [関東]
【STORY】

魏諷の首級が晒(さら)されていた。
「一族郎党はもとより、一味とわずかでも関わりのある者は 全て捕らえろ。」
曹丕は劉曄にそう告げた。

だが、劉曄は懸念していた。魏諷ひとりに関係する者を手繰(たぐ)るだけでも数千人は下らず、中には魏の重臣の名も挙がっていた。一人の若者の煽動により、これほどの謀叛があった事が露呈すれば、天下に更なる騒擾を引き起こす怖れがあった。
「ちょうど良いな。劉曄。」
それを聞いた曹丕は冷たく笑った。曹丕は、漢中王などという僭称や、関羽に呼応する賊への見せしめとして、天下悉くが凍てつくように処断するつもりであった。

血の粛清−。
留守を一任される魏国太子の業は、反曹への大粛清から開始されようとしていた。

***************

荊州南部 公安。
関羽の本拠地に、舟に満載された物資が到着していた。

荷駄を輸送してきた商人(あきんど)は城門で阻まれていた。城主である士仁は、物資購入について関羽から何の命令も受けていなかったのである。荷も下ろせず、代金も回収できるか定かでない事に商人は焦っていた。昼夜兼行で荷を運んできたのは、『 樊城方面への援軍及び一万を越す投降兵により、至急食糧が必要 』 という関羽将軍の要請によるものであると商人は訴えた。

「孫呉の関所はどう抜けた?」
士仁は商人に尋ねた。大量の食糧を積んで劉備軍の領地に入るのに、新任とはいえ陸遜がすんなり通すとは思えなかったからである。商人は答えた。自分は翻陽に三代続いた老舗であり、前任の呂蒙ならともかく、若輩者の陸遜を言いくるめることなど訳もなかった、と。

ふいに、士仁は商人の腕を鷲掴みにした。驚く商人。士仁は告げた。
「商人の腕ではない!」
その言葉に商人は絶句した。

「だから申し上げたのです。」
商人の背後の荷駄から声がした。
「そもそもあなたは、大金を扱う人には 見えませんから。」
荷駄から現れた男は静かに告げた。陸遜であった。

ふいに商人は“俺はそんなに貧乏臭いのか!”と絶叫すると、士仁の腕をへし折った。
荷駄から次々と出現する呉軍兵士達。陸遜は、呆然とする城兵たちに剣を突き付け宣言した。
「今から公安(ここ)は呂蒙殿の統治下に入る。」

呂蒙は、偽装が露見した事に激昂していた。確かに陸遜は名門であり、裕福であり、上品でもあった。更に賢者でもあり強者でもあった。にもかかわらず、士仁達は陸遜を侮り警戒を解いていた。その時点で士仁軍の敗北は確定しており、自分の変装を見破れるか否かは関係無かったのだ。そう叫びながら呂蒙は、士仁を掴み、振り回していた。
「およしなされ。」
陸遜は、眉を顰(ひそ)めた。“誰ひとり殺めることなく降らせる”というのが呂蒙と陸遜の計画であり、それを指摘された呂蒙は、悔し紛れに士仁を地面に叩き付けた。



孫呉は蜀との同盟を一方的に破るのか!と城兵の一人が詰(なじ)った。それに対して陸遜は静かに答えた。先に同盟を無視して国境の孫呉食糧を強奪したのは蜀軍である、と。 陸遜は諭すように続けた。
「そもそも関羽軍の体質は古く、兵站を管理する能力が低い。食糧を計算せず、むやみに捕虜をとるから兵糧に窮するのだ。」

「同盟がどうだと もっともらしく ほざくな!」
地面に倒れた士仁が、苦痛に顔を歪めて叫んだ。呉軍は以前から南部侵攻の機会を狙い続けていた筈だ、と士仁は必死に糾弾した。その士仁に対して、ふいに呂蒙が告げた。
「士仁、もう虚勢を張らんでいいぞ。」
これからは関羽を畏れずにすむ。そう語りかける呂蒙の言葉に、士仁は沈黙した。
呂蒙は城兵達にも、関羽を畏れ憚(はばか)るなら逃げても良い、と勧告した。

「しかし、この世に逃げる先などあるのかねぇ。」
呂蒙は微かに微笑んだ。



陸遜はそのまま長江を更に遡上。呂蒙は長江北岸にあるもう一つの関羽の軍事拠点・江陵を包囲。城を預かる麋芳は、戦うことなくその夜のうちに城門を開いた。

***************

樊城郊外。
漢水上の関羽軍司令船では、趙累・廖化・関平の3人が軍議を行なっていた。

北東の半分は水が引いていた。そろそろ徐晃軍が出て来る頃であり、関羽は直属軍を率いて待機していた。夏侯惇と張遼も派遣されて来るという情報があったが、合肥方面には孫権が残っていることから、二軍同時に侵攻して来ることはないと廖化は踏んでいた。

「まだまだ、長期戦になりますか。」
関平が思慮深げに呟いた。
関平は後方を憂慮していた。南部から送り込まれてくる兵の数に対し、補給の量が区々(まちまち)であり、兵糧の調達に無理が生じている可能性があった。
兵站は常に万全である必要があり、廖化が後方へ確認に向かうことが決定した。

***************

徐晃の乗る艦が、夜の漢水を隠密裏に進んでいた。
甲板上には巨大な弩が据え付けられていた。

装填完了した弩弓を前に、不敗神話の男は独白した。
−ゆけい、李典弩!−



【REVIEW】

■扉絵では、于禁の「食えい!食えい!」の号令のもと投降兵が兵糧を貪(むさぼ)り食ってました。タイトルの上のキャッチコピーがなかなか上手かったので転記しときます。

−魏国将軍・于禁、関羽軍の俘囚となりて、なお健啖なり。−

俘囚【ふしゅう】:とりこ。捕虜。
健啖【けんたん】:食欲が旺盛なこと。好き嫌いなくよく食べること。

于禁に言わせれば、『 食べることが、厚遇を保証する関羽の義に応えること 』 なんだそうです。
「まずいが決して不服を言うでないぞ!礼を失することなく食えい!」とまで言ってました。“義に応える為に食う。”という凄まじい理由づけです。とても捕虜の言葉とは思えません。言わば不遜とも言える態度です。
背後の関羽軍兵士は無数の釜炊きを行ないつつ「.....」と絶句してましたから、「こいつら、我が軍の兵糧を...」とか思ってるんじゃないでしょうか。

さて、このシーン。『義を重んじる于禁将軍が、関羽の厚遇に応える為に、恥じることなく兵糧を掻き込んでいる。』 ということだけでいいのでしょうか。
穿った見方かもしれませんが、管理人的には、于禁はわざと“関羽の義に応える”という名目で“敵の兵糧を必要以上に消費”しているように感じました。“まずいが、不服を言えば礼を失することになるから、食べろ。” みたいな命令は、『 投降兵の自尊心を失わせることなく、敵から食糧を恵んでもらう。』 という目的と同時に、『 “関羽将軍の義に応える為の礼”という事であれば、敵も兵糧提供を拒否したり、出し惜しんだりできない 』 という計算もあったのではないでしょうか。

つまり、于禁は“やや勘違い”しているような態度をわざととり、敵が食糧提供を拒否できない状況を作り上げ、投降兵の自尊心を保ちつつ“敵軍の兵糧を欠乏させる”という手段を取っていたように思えました。

于禁は投降する際に関羽に告げていました。
「我らを抱えるということは、身中に毒を孕むということだと心得い!」

■「ちょうどよいな。劉曄。」

曹丕の台詞です。
『 魏諷に関係する者は数千人に及び、ひとりの若者の煽動により これほどの謀叛があったことが露呈すれば、更なる騒擾を誘発する。』という劉曄の諫言に対する返答がこれでした。

何がちょうどよかったんでしょう?“更なる騒擾が起きること”でしょうか? 違いますね。“これほどの謀叛があったこと”が、ちょうどよかったんですね。それは言わば、自分が“大いなる示威行為”をするには絶好の機会であるという事だったのではないでしょうか。つまり“小規模の謀叛計画”では、曹丕にとって都合が悪かった訳です。

では、次代・曹丕は何を目論んでいたんでしょう? 以下、考察します。

■「漢中王の僭称も、関羽に呼応する賊も、天下悉(ことごと)くが凍てつくように処断する。」

曹丕は“天下悉くが凍てつくような処断”を実行したかったのです。それは、画策された謀叛が大きければ大きいほど、曹丕の処断は満天下に轟き渡り、満天下に轟き渡った処断が峻烈であればあるほど、“天下悉く”が凍てつくからですね。
天下の悉くを凍りつかせる−。曹丕が見据えていたのは“漢中王の僭称”や“関羽に呼応した賊たち”でした。

−漢中王の僭称や関羽に呼応した賊をも、凍りつかせるような処断。−

曹丕は、“漢中王僭称”や“勃発する叛乱”を含め、“天下の全て”を凍りつかせようとしていた訳です。巨大な謀叛に対してそれ以上の強大な力を見せつける事によって...。

この目的については、“袁術討伐”に際しての曹操と荀?ケの台詞を思い出しました。(“手段”は全く違ってましたが“目的”は同じように思えます。)

曹操:「この世に生まれついたことをも悔やむように袁術を討て。」
荀?ケ:「はい! 以後 何人(なんぴと)足りとも袁術の如き二心をおこさぬように、見せしめましょう!」

■「粛清か−。 留守を一任される魏国太子の業は、血の粛清で始まるのか。」

魏諷の首級に剣を突き立てる曹丕を見て、劉曄が独白していました。

粛清【しゅくせい】:厳しく取り締まって、不純・不正なものを除き、整え清めること。特に、独裁政党などで、一体性を保つために反対派を追放すること。

曹丕の“血の粛清”
それは、不純・不正な因子を排除し、魏国を整え清めると同時に、魏国太子として、いえ、次代の王として、“大いなる示威行為”を行なうことをも目的としているように思えました。
−魏国にたてつく輩(やから)はどういった末路をたどるのか。−
それを曹丕は、血の粛清によって満天下に示したかったように思えます。

「大乱世に変わりはないが、私の代は 奸雄の類(たぐい)が棲めぬ世だ。」

■「独断専行。知らせがないのも関羽殿には毎度のことだが。」

士仁は、翻陽の商人の「まだ、お聞き及びでない?」という言葉にこう独白しました。つまり、大量の物資を独断専行で購入し、配下にも知らせないようなことは、関羽には良くあることなんですね。
この台詞。鉄壁とも思える関羽軍の、僅かな綻(ほころ)びを垣間見たような気もしました。

ただし、よくあることとはいえ、士仁は商人に対する疑いを解かなかった訳です。その理由が笑えました。以下、陸遜の台詞より。


■「だから、申し上げたのです。そもそもあなたは、大金を扱う人には見えませんから。」

士仁は商人を疑いました。関羽からの知らせが無かったのは良くあることとは言え、翻陽から公安に向かうには孫呉の関所を抜けなければならず、大量の食糧を積載した船団を、陸遜がすんなり通過できるとは思えなかったからです。それに対し商人は、「商用の通行証」を持っていたし、「翻陽に三代続いた老舗である自分にとって、呂蒙ならともかく若輩者の陸遜を言いくるめることなど訳もなかった」と釈明します。
だが、士仁は商人の二の腕をガシッと掴み「商人の腕ではない!」と断言します。これが決定打でした。意表を突かれた指摘に、「ぐむぅ...」と唸る商人。進退極まった商人の背後から、陸遜がかけた言葉が上記のものでした。

つまり、「事前に連絡が無かった」「孫呉の関所を易々と通過できた」云々の前に、「目の前の男が商人っぽくない」というのが士仁が疑義を持った最大の理由だったみたいです。陸遜は上記の台詞の後に「誰がどうみても...絶対!...」って呟いてましたから、相当嘘っぽかったんですね。

■「お おれは、そんなに貧乏臭いのかあ−ッ!」

陸遜の台詞に商人は激昂して、掴まれた腕を逆に掴み、バキンとへし折ります。凄まじい膂力です。ちなみに、この台詞を叫んだ時に、商人の鼻から微かに鼻血が出てました。実は管理人、この鼻血を見た時に「この男って呂蒙!?」って気付きました。それまでは、てっきり新キャラかと思ってました。そーいう意味では、呂蒙の変装って それなりに見事だったように思えるのですが(笑)。
ちなみに陸遜の「今から公安(ここ)は呂蒙殿の統治下に入る」という台詞で『 やっぱり。』と確信し、頭巾を取って「呂蒙だ。」名乗った時点で『だよな。』 って確認しました。
蒼天考読者の皆様はどの時点で気付かれたでしょうか?

さて、呂蒙は変装を見抜かれた事に激怒してました。相当悔しかったみたいです。これって多分、見破られたこと自体よりも、見破られた理由が「そもそも自分が大金を扱う人に見えない。」つまり「貧乏臭い」ってことが許せなかったみたいです。
「確かに陸遜は名門だ!金持ちで上品だ!」の台詞の裏には「俺は貧乏臭いがな!」て皮肉が入ってるんでしょうね。何でそんなに激怒するんでしょう?それは呂蒙の生い立ちも関係しているようにも思えました。ではここで、正史を紐解いてみましょう。

正史・呂蒙伝によりますと、呂蒙は年少の頃、姉夫婦のもとに身を寄せていました。(母親はいたようですが、事情があって育てられなかった模様です。) 
姉の夫の登当という人物は、当時 孫策の部将であり、山越賊の討伐に出向くことが多かったそうです。ある日、賊への攻撃を行なっていた登当は、振り返って驚愕しました。なんと幼き呂蒙がいたのです。何度も叱りつけましたが呂蒙は戻ろうとしません。帰宅した後に登当は呂蒙の母親にそのことを告げました。怒った母親が呂蒙を罰しようとすると、呂蒙はこう言いました。
「貧しく賤しい境涯に、いつまでも留まっている訳にはいきません。もし、偶然であっても手柄を立てるようなことがあれば、富貴を得ることができます。 虎の穴に入らなければ、虎の子を得ることはできないのです。」
幼き呂蒙の心根(こころね)を憐れんだ母親は、それ以上何も言わなかったそうです。

呂蒙は幼き頃、貧しく賤しい境涯から抜けだそうと必死だったみたいです。

ちなみに登当が死ぬと、“ある人”の推薦により、呂蒙は登当の後を継ぎ 別部司馬に任じられました。“ある人”とは張昭その人でした。

「こりゃあ!誰が呂蒙を更迭せよと言うたぁ!」


■「そもそも関羽軍の体質は古く、兵站を管理する能力が低い。食糧を計算せず、むやみに捕虜をとるから兵糧に窮するのだ。」

陸遜が冷静に分析していました。だから同盟を無視して国境の孫呉食糧を強奪する羽目になったのだと。
これも鉄壁の関羽軍の綻びの一つなのかもしれません。更に言えば、兵站を管理する能力が低いから、商人から兵糧を買うような事態も真っ向から否定できなかったのかもしれません。しかし、むやみに捕虜を取るのは、食糧を計算していないからというより、関羽の“義侠”の精神に因るところも多いのだと思います。
むやみに敵兵を殺さない−。その関羽の崇高な精神が、思わぬところで歪(ひず)みを生んでいるような気がしました。


以前、1コマだけ登場した陸遜。台詞も無く、どんなキャラクターか不明でしたが、今回判明しました。さすが“呉の四姓”陸氏の御曹司。まさに“戦陣の貴公子”って感じでした。容姿端麗・頭脳明晰・沈着冷静。タイプで言うと周瑜に近いものを感じました。
考えてみれば、蒼天における呂蒙・陸遜のコンビって、孫策・周瑜のコンビに似てるような気もします。

■「もう虚勢を張らんでいいぞ。これからは、関羽を畏(おそ)れずにすむ。」
■「お前たちも、関羽を畏れ憚(はばか)るなら、逃げていいぞ。」

呂蒙が士仁と城兵たちに告げていました。士仁はその言葉に沈黙し、陸遜は微笑を浮かべていましたから、正鵠を射ていたんでしょう。

思うに、関雲長は偉大過ぎるのではないのでしょうか。「愚直なまでの義理堅さ」 「頑迷なまでの潔癖さ」、それは、関羽を称え崇(あが)める兵士を生むと同時に、畏れ憚る兵士も生んだのではないでしょうか。
関羽の常人離れした精神は、兵士たちを律すると同時に圧していたように思えます。簡単に言えば、超人の配下となった凡人は、凄まじい重圧を感じていたのではないでしょうか。
それが無数の綻びを生み、決して超人ではない呂蒙には、その綻びが分かり、今回、そこを突いたような気がします。

■「そろそろ徐晃が出て来るのではと、関羽将軍が待機なさっております。」

関羽軍司令船では、趙累と廖化、そして関平が軍議を行なっていました。
関羽は前線で待機してる模様です。ここらへんを見ても、本拠地を空にして、司令船にも留まらず、最前線で敵将を迎え撃つべく待機してるのが関羽らしいです。関羽の目的は、一人でも多く魏将を引きつけ、劉備本隊の北上を容易にすることですから、その目的の為に全力を注いでいるんでしょうね。
一方、関平は、兵糧の調達に無理が出ているのではないか?と関羽軍の綻びに気付いていました。時、既に遅し、という感じですが...。関平、不精髯なんか生やしてましたが、益々父親に似てきました。

■−ゆけい 李典弩!−

ここで李典の名を出すかっ!って感じです。軽くじわっときました。あの創意工夫に余念が無かった李典は、艦載型弩弓も発明していたんですね。「そりゃあ殿!討ち死にだけは真っ平でござる。例え深手を負っても、這って城まで戻り、朝服に着替えて果てますぞ!」と微笑んでいた李典は、甘寧の凶刃に果てました。きっとこの艦載型弩弓も、「このような前代未聞の兵器が現れれば、敵はさぞや驚きましょう!」とか言ってたんじゃないでしょうか。
李典弩−。その遺作が存分に威力を発揮することを期待します。

■さあ、魏諷のクーデターは鎮圧され、公安・江陵は陥落し、李典弩を搭載した徐晃艦が出現しました。こうして、圧倒的有利を誇っていた関羽軍の“分岐の一夜”が過ぎてゆきます。

次号は、蒼天が表紙となるみたいです。これは珍しい!だったら、その387「天下の趨勢」をカラーページにしろよ!といいたいところですが、いずれにせよ欣太先生の書下ろしのイラストが見られるのは楽しみです。
次号の蒼天、カラーページには、ならないのかな?

No.12002 - 2005/06/07(Tue) 23:15:20

Re: 今週の蒼天<分岐の一夜> / 鳳卵 [東北]
 体調の悪い中、お疲れさまです。ご馳走を食べて、腰でも揉んでもらってください。

 それにしても…于禁、太ってないか!? いったい、どんだけ食べてんでしょう?
 関羽軍2万に捕虜1万てのは、確かに大きいですよねぇ。こいつら、食っちゃ寝してるだけか? 

 ちょっと気になるのは、ここがどこかってことですね。もし前線だとすると、関羽軍の敗退とともに、魏に保護されてしまいそうなんで、荊州に送り返されてるんだと思うんですが…

 曹丕の治世は、なんだか住みたくないなぁ…自分の意に染まないものは徹底的に排除する姿勢みたい。ここら辺が曹操と比べて、今いち狭量っぽい。

 それにしても、前々回倒れて以降、曹操はどうなってるんでしょう?


>蒼天考読者の皆様はどの時点で気付かれたでしょうか?
 恥ずかしながら、ワタクシ、頭巾をとって名乗るまで、半信半疑というか、“これ、ホントに呂蒙?”と思ってました。
 最初は全く新キャラと疑いませんでしたねぇ。

 この2人のやり取りはまさに漫才のような面白さでしたが、蜀ファンとしては素直に笑えないところ。孔明発明とされていた連弩も、なぜか李典作になってるし…
 次回を見たいような、見たくないような…

No.12003 - 2005/06/07(Tue) 23:46:12

Re: 今週の蒼天<分岐の一夜> / 夏樹 [関東]

 こんばんは。

 お待ちしておりました、今週の蒼天。
 体調の悪さを感じさせない完成度の高いレビュー、敬服いたします。
 管理人様、どうぞご自愛下さい。

 今週は印象としては小休止、嵐の前の静けさといった感じでした。蒼天らしいショッキングさは控えめでしたね。
 しかし、今週の蒼天で解説していただいたように、関羽を取り巻く状況を、その綻びを、淡々と語って話に広がりを持たせています。
 クライマックスに向けての下ごしらえといったところなのでしょうか。

 そして、次回への引きが「李典弩」。これは、もう、私もじーんと来ました。
 人は死してもその「才」は生き続ける。これぞ曹操軍。
 華陀にはわるいですけども、ここに蒼天曹操の魅力あり。

 ただ一人の軍神によってのみ結集し統率される関羽軍対、種種の才を縦横に配し、組織力、総合力で押す曹操軍・・・ん?
 孔明は曹操を項羽になぞらえようかなんていっていましたけれど、これって逆ですよね。
 一人の軍神により無敵を誇りながら、兵站など組織力に弱点を持ち、その軍神についていけない人々が脱落していった項羽と、名将韓信をして「将の将(つまり人材を扱うことに長けている)」と言わしめ、多彩な人材をそろえ、組織力で勝利した劉邦。
 孔明が描いた、「漢中王劉備=高祖劉邦VS魏王曹操=覇王項羽」の構図は、奇しくその現実の軍隊編成においてまったく逆の様相を見せているようです。
項羽の詠った
   力抜山兮気蓋世
   時不利兮騅不逝
とは、全く関羽にもぴったりだと思いませんか?
 少し先走りすぎたかもしれません、失礼。

 個人的に今週の第一印象は、「痛そう」でした。
 剣が刺さったら魏諷の目がちょっと上を向いた、これって剣先が視神経に引っかかって眼球が回転したのかなぁ(食事中の方ごめんなさい、自分で書いてて改めて気持ち悪くなってきた)、とか、折れた腕を捕まれて体を振り回されてるよ、とか。
 うわぁ。

No.12004 - 2005/06/08(Wed) 00:25:32

Re: 今週の蒼天<分岐の一夜> / 曽呂利 [近畿]
お風邪だったのですか。それなのにいつもに増して詳細なレビュー、お疲れ様です。
一カ所だけ。重箱の隅をつつくようで申し訳ないですが、
>「粛清か−。 留守を一任される魏国太子の業は、血の粛清で始まるのか。」
>魏諷の首級に剣を突き立てる曹丕を見て、魏諷が独白していました。
ここ、独白したのは「魏諷」でなく「劉よう」ですよね。すみません、細かくて。

陸遜の活躍、鉄壁に見えた関羽のほころび、「李典弩」の登場。楽しみな要素は尽きませんが、うーん、呂蒙と陸遜とのやりとりは、どたばた喜劇じみていてちょっとついていきかねました。不世出の天才軍師の知謀を印象づける場面で、この演出は無いんじゃないですか…?と。
私だけですかね。

それでは。管理人様、無理せずお大事に。

No.12005 - 2005/06/08(Wed) 00:26:10

Re: 今週の蒼天<分岐の一夜> / ツァオツァオ [関東]
体調不良には蒼天航路!
TATSUさん、レビューお疲れ様です。快復祈願。

私は後姿の商人、陸遜だと予想して「意表をついてこういうキャラできたのか!?」とか一人で盛り上がってましたけど、見かけどおりに話す陸遜の登場で悟りました。「あ、蒙ちゃんのほうだったのか」と。

士仁降服のくだりは蒼天でどう描かれるのか楽しみにしていたんですが、期待を裏切らずなかなか上手くまとめられたように思います。

李典弩の威力とは?2週欠席主人公の行方は?今週も濃厚な一話を期待できそうな予感っす。

No.12006 - 2005/06/08(Wed) 00:48:27

Re: 今週の蒼天<分岐の一夜> / 夏樹 [関東]
 連続投降で失礼します。
 のんびり書いていたら、その間に鳳卵さんが書き込まれていたもので。
 李典弩についてですが、一見これは連弩(正確には元戎)とは別物のようです。もちろん、諸葛亮の開発した弩は図案等すら現存していないので、詳細な形状を知るよしはないのですが。一応、連弩はその名の如く連射を目的としたものですが、李典弩は連射力より破壊力に重点を置いているようにみえました。大艦砲のようなものでしょうか、はたまた・・・。使用法は来週に期待です。
 連弩については、とりあえず以下のページに簡潔な説明がでています。よろしければ御参照下さい。
http://w3.shinkigensha.co.jp/book_naiyo/4-88317-211-2p.html
 蛇足、そういえば、3月末の何でも鑑定団に明代の連弩が出て、結構なお値段がついておりました。

 なお上記のページは出版社の本の紹介のページなので、とりあえずは問題ないかと思い、掲示させていただきましたが、もしこのような掲示の仕方が不適切であるようでしたらこのレスを、削除していただければと思います。

No.12007 - 2005/06/08(Wed) 00:50:09

Re: 今週の蒼天<分岐の一夜> / なるみ
どうも、久々の書き込み、失礼します。
呉Fanのなるみです(^^
陸遜の本格的な出番にテンション上がりっぱなしです(^^

ところで、
> 蒼天考読者の皆様はどの時点で気付かれたでしょうか?
ですが、自分は一応、「ぐむぅ・・・」の顔で(というか、額の傷で)気付きましたよ。それだけに、その下のコマの陸遜の独白「だれがどう見ても・・・絶対!・・・」はおもいっきりウケてしまいました。陸遜、いいキャラ。

しかし、どうでもいいことですが、陸遜が傅士仁の副将(?、単なる部下?)の兜割ってましたが、前から斬っただけで後頭部の房(毛?)まで斬れるものなのか?という疑問が・・・まぁ、演出なのでしょうが。

最後の「ゆけい 李典弩!」に思わず涙・・・

No.12008 - 2005/06/08(Wed) 02:58:36

Re: 今週の蒼天<分岐の一夜> / 総旗艦ラグナロク
はじめまして。以前からこちらの蒼天レビューを覗かせて戴いてました総旗艦ラグナロクと言うものです。(礼)
終局へ向けて、ますます盛り上がる蒼天航路に居ても立ってもいられず、書き込みに参りました。

呂蒙を推薦したのが、あの張昭どのだった、っていうのは中々グッとくる話ですねぇ。
陸遜の『今から公安は〜』も、静かな口調で言うから格好良いです。…そりゃ、呂蒙も僻みますよねぇ。(笑)
孫呉陣営は人物たちの掛け合いが楽しくて好きです。
関雲長は偉大すぎる>
それで思い出した話があるんです。
以前、図書館で道教関係の本を調べていたんですが、台北の関帝廟の見解によれば、関帝様は神仙の帝王である玉皇上帝より、その位を譲られたのだそうです。
かつて、『貴方は神になる!』と予言された関さんですが、ついに上り詰めたというところでしょうか。でも、俗人たちの司令官としては、かなり重たすぎたのかも知れませんね。

李典弩>
先達の方々が指摘しておられますが、李典死しても工夫は残る!と言うところですね。コレを見れば、故人も決して無念の死では無かったと思いたいですね。
で、その李典弩(床弩)ですが、テーブルトークRPGを長年やってる身と致しましては『クレインクイン・クロスボウ』として馴染み深いですね。驚くばかりの必要筋力(使用する上で必要とされる筋力値)と破壊力に驚かされたものです。
いや、御覧の通りの大きさな物ですから、さすがにかさばりすぎて実際に使ったことはないんですが。(テーブルトークで合戦、ってあんまり機会ないですし)

お体の具合は、その後如何でしょうか?最近は風邪が流行ってるようで、友人の何人かもかかってしまったようです。
皆様も、くれぐれもご自愛くださいませ。

長文乱筆失礼しました。

No.12009 - 2005/06/08(Wed) 08:12:21

Re: 今週の蒼天<分岐の一夜> / Homicide
書き込みはお久しぶりです。先週は、拷問で精神異常をきたした鼻息男と、その首にかけられた猿の生首を見て、正直、読後感は下々だったのですが、今回は、呂蒙と李典弩のおかげで、読後感が上々でした。

蒼天呂蒙のキャラは大好きですね。鼻血&気絶に象徴されるように、どこかズッコケキャラなんだけど、シメるところはシメる有能さを節々で垣間見せ、同僚からの信頼も厚い。同性ウケするタイプではないでしょうか。陸遜も、口では毒な言葉を吐き、カッコつけた態度?を保ちつつも、そこには、前提として、呂蒙に対する尊敬・信頼が存在するような雰囲気を覚えました。

呂蒙と陸遜の関係は、個人的には、孫策と周ユよりは、張シュウとカクのコンビを思わせるものがありました。まあ、両者の地位とか、性質、能力、細かい部分での条件は異なりますが、孫・周は両者ともカッコ良い大親友同士だったけど、張・カクは「どこか不完全なところのある上司と超有能な部下、でもなんだかとてもウマが合う」という感じで、陸・呂もそんな感じに描かれているように思います。

李典弩は、連弩とは別物だろうと思ったのですが、孔明が遺した連弩を姜維が使うという場面が描かれないであろう蒼天の世界において、(発明が得意というキャラになっていた)李典と(いまだ蒼天では大きな活躍の描かれていない)徐晃にあてはめて描くというのは、なかなかいい演出だと思いました。以前、(演義では劉備の死後に描かれている)南蛮との貿易がすでに成立しているという設定で、孔明が軍騎にサイを登場させたことがありましたが、同じような演出ですね。

No.12010 - 2005/06/08(Wed) 09:08:01

Re: 今週の蒼天<分岐の一夜> / Nearly Headless Nick [近畿]
管理人様、いつもありがとうございます。
新参者のニックと申します。

もう虚勢を張らんでいいぞ、と言ったときの、呂蒙の優しい顔が印象的でした。
腕折っておいて、ちょっとギャップありすぎですけど。
ああやって口説かれたら、士仁ならずとも、落ちちゃいますよね。
抱かれたい蒼天人ランキングがあるなら、呂蒙さん、順位が急上昇したことでしょう。
蒼天人は、いい年の取り方をしますね。

それでは、管理人様、ご自愛下さいませ。

No.12011 - 2005/06/08(Wed) 18:53:06

Re: 今週の蒼天<分岐の一夜> / 梢統 [関東]
こんにちは、陸遜段段目立ってきました。いいことです。あまり、今週のと関連が無くて申し訳ないのですが明日のモーニング蒼天が表紙ということが、個人的に知りました。(巻頭カラーなのかは、わかりません。)これで、まだまだ続く気がしてきました。今まで色々とデマが多かった私ですが今回に限っては、確証がありますので、では
No.12012 - 2005/06/08(Wed) 18:57:33

Re: 今週の蒼天<分岐の一夜> / 梢統 [関東]
先ほどの、書き込みもうすでにかいてありましたね。すいません
No.12013 - 2005/06/08(Wed) 21:50:47

Re: 今週の蒼天<分岐の一夜> / 閻魔の弟子 [関東]
管理人様、毎回の手作業本当に御疲れ様です。

いよいよ物語りも佳境に入り、蜀のほころびが見えて参りましたね。
陸遜も想定していた以上に良い男です。

今更ですが、蒼天は多くのキャラクターが主役を食いそうで食わない、しかし主役を食ってしまう事は絶対ありえない、絶妙なバランスで成り立っているんだとツクヅク思います。

とうとう主人公の頭痛もひどくなってしまいましたが、最後まで目が離せません。

No.12014 - 2005/06/08(Wed) 22:51:08

Re: 今週の蒼天<分岐の一夜> / 黒助 [関東]
体調不良の中でも欣太先生の絶好調ぶりに負けず劣らずの管理人様の筆のさえ本当に頭が下がります。
呂蒙推挙のエピソードなどはまさにもう一つの蒼天航路を読んでいるようでした。
どうかお体をご大切に。

> 「漢中王の僭称も、関羽に呼応する賊も、天下悉(ことごと)くが凍てつくように処断する。」

先週ニックさんがおっしゃっていたように曹丕が次代の乱世には生きながらえさせたりはしないとする奸雄には法家の怪物曹操のみでなく、理外の大器劉備、侠の武の化身関羽も含まれるようですね。
やはり曹丕は奸雄が奸雄ゆえに輝き、そして奸雄ゆえに他の奸雄を生んでしまうという時代そのものを変革させようとしているように思います。

強烈な機動力と冷酷無比な断行によって乱世の構図そのものの変革を見据える曹丕とそれを支える劉曄。
熱くたぎる若き心の情熱とそこに宿る健全で鋭い知性によって巨大なるものへの挑戦を恐れない国の新たな申し子となりつつある呂蒙・陸遜。
世代交代がうまくいかなかったと評価されがちな蜀においても凛々しい佇まいの中に精悍さを身にまとう関平。

躍動し始める若い世代。
動き出す戦局。
倒れたまま姿を見せない曹操。

どうなる蒼天!?

なぜか今になって先々週のまさに曹操が倒れたシーンのあるページの最後のコマ(張泉が登場した)の空に映った曹操の後ろ姿が気になって仕方ないんです。
この嫌な予感はどうか外れますように…

No.12015 - 2005/06/09(Thu) 00:13:27

Re: 今週の蒼天<分岐の一夜> / 英英 [関東]
管理人様〜〜大丈夫ですか?
レスで体力が回復するのでしたら、どんどんと!(^^)

―― 一代で神性までつかんだ者のあとを、
人は決して追いきれない ――

と言ったのは確か魯粛でした。(曹操を指して、ですが)
関羽が水上を歩くようになってから、チラチラこの古い台詞が浮かびます。今回登場した南郡守備部隊は、管理人様の考察のように、そんな感じでした。その弱みを孫呉に衝かれ、身中の毒は想像以上に猛毒でした。
(表紙は笑っちゃいましたよ)

>「そもそも関羽軍の体質は古く、兵站を管理する能力が低い。食糧を計算せず、むやみに捕虜をとるから兵糧に窮するのだ。」

これ、いや、もっともなんですけど……
陸遜の言葉を聞いていると、新しい時代の人なんだな〜と思います。
関羽の義を「古い」と言い切れてしまう。

たとえ兵糧に窮することをわかってたとしても、関羽は捕虜をとったでしょう。漢中王のための戦においては、武力で屈服させるのではなく、漢中王の徳によって降伏させる。捕虜は、とらざるを得なかったのだと思います。
杜畿や諸葛亮クラスとまではいかなくとも、誰か兵站の管理能力の高い人が後方支援にあたってくれてたら良かったのに…

私は関羽の理外の理が好きなので、陸遜の言葉に一理あると思いつつも全面的には納得できません。が、呂蒙&陸遜が勝利するのは周知の通りです。正しいかどうかは言えませんが、彼らの方が時代にあってるのかな〜とは思います。
曹丕は“奸雄の類が棲めぬ世”を知らしめるために、血の粛清を行います。荊州争奪戦の結果は、それ以上に新時代(大乱世には変わりないが)の到来を思い知らされそうです。

息子までが、曹操のいない世界で天下をまわそうとしてるじゃありませんか。曹操にとっては己の亡き世のことを考えるつもり云々…どころか、考えさせてもらえない?
凡人であれば“寂しい老後”ってことになりそうですね…。
でも、この覇王のことだから、死ぬまで曹操は曹操であり続けるんでしょうね。がんばれ殿!


そして蒼天で初めて大好きになった呂蒙!(*^-^*)
変装といえば例の温恢殿を思い出すのですが、どっちもどっちかなあ。
私は「ぐむぅ〜」で呂蒙だとわかりました。
陸遜ってば「だれが、どう見ても…絶対!……」ってダメだししなくてもいいのに〜(笑)。それでも呂蒙をたててるのがツボです!!「およしなされ」ってニュアンスがまた微妙で…♪(敬語&命令形)

>「しかし、この世に逃げる先などあるのかねぇ。」

この時の呂蒙の微笑みがイマイチわからないのですが…。
「おまえ達は包囲されてるんだぞ」って意味なんでしょうか?
…孫呉と魏の共同作戦による包囲?
それについて荊州勢はまだ知らないってこと?

孫権が魏に降伏したことは、劉備は漢中に侵攻する前に情報をキャッチしてました。しかしその時は和平とは思えない緊迫した状況だと言われてました。(法正カムバック)
関羽軍の軍議をみてると、魏と呉はいまだ緊張状態にあると認識してるように思えます。
ということは、今回孫権が忠誠の証として関羽攻撃を表明したことは知らないか、未確認情報にとどまっているのかな……(><)
あ〜あ、曹操様、関羽に教えてあげようよ〜!孫権が留守宅を狙ってやって来るよー!戸締り用心だよー!陸遜は白馬の王子様だよー(←関係ない)
…今さら叫んでも無駄とはいえ…
曹操様は次回復活するかしら?


あと、関平君が年の割になんだか思慮深くて驚きました。
大人2人を感心させちゃって。
蒼天設定ではティーンエイジなのに。
以下、ストーリーに関係ないですが、蒼天関平の年齢考(笑)

1.長坂坡で曹操軍に襲われた後、関平は「雲長兄ぃの上のお子」と言われてます。なので当時いた3人の子(平・安・康)の第一子。
2.長坂坡より少し前、劉備が「妻子に別れを告げて行くんだぜ」と言った時の会話から推測して、関羽はあの奥さんを娶ったのは荊州に落ち着いてからと思われます。
3.劉備が劉表を頼ったのが201年なので、関羽も同年に合流したとして、その年に娶ったとして(早っ)、翌年には第一子誕生とします。(もうちょっとゆとりがあってもいいように思いますが、とりあえず年齢の上限を考えたいので。)
4.関平君の誕生は202年以降。202年とすると、長坂坡の戦い(208年)では7歳、漢中戦で曹操が動きはじめた時(218年)は17歳、樊城戦の現在は18歳ってことになります。

今回の彼は、あまりそう見えませんが…(^^;

No.12016 - 2005/06/09(Thu) 02:46:24

Re: 今週の蒼天<分岐の一夜> / つね [関東]
管理人様、お大事に。とはいえエゴイズムの塊の私は「蒼天考、無理しなくてもいいですよ」と言えないのですが。

1.血の粛清の幕開け
2.公安・江陵の陥落
3.関羽司令部の不審

魏諷の乱含め、これら全て一夜のことですか。異常に濃い一夜です。

陸遜は想像以上の貴公子です。先走りますが、後に夷陵で先輩たちに苦労させられるのは若造だからと侮られたのではなく、「名門であり、裕福であり、上品でもあり、更に賢者でもあり強者である(しかもあろうことか格好いい)」陸遜が嫉妬されたのでは? そこいくと呂蒙は羨ましがりながらも認めています。かえって呂蒙の素晴らしさが窺えます。
陸遜のセリフからすると、作戦前に以下のやりとりがあったんでしょうね。
「さて、鍵となる商人役だが・・・。ここは俺がやる。この作戦の立案者なんだから当たり前だな。ここは俺様の一世一代の見せ場にしてやるぜ」
「呂蒙殿・・・。およしなされ」
「なぜとめる」
「あなたでは商人に見えません」
「ん? 孫呉総司令官たるこの呂蒙では威厳がありすぎて商人に見えないというのか。心配するな。お坊ちゃんたるお前には分かるまいが、この呂蒙、伊達に辛酸を舐めたわけではない」

No.12017 - 2005/06/09(Thu) 03:26:14

Re: 今週の蒼天<分岐の一夜> / 文月 [近畿]
「呂蒙です。どれだけ稼いでも稼いでも、人に貧乏臭く見られるとです…。呂蒙です…。」

こんにちは。今週のモーニングを読んでからになりましたが、管理人様のご快復を祈りつつカキコさせていただきます。

まず扉絵の于禁殿。関羽軍の虜となりながらも元気に関羽軍の食料を食い潰しているようで(笑)なによりです。でも、こんな彼も史実では…(涙)。

合肥では温恢さんのお世辞にも上手いとはいえない変装を半ば呆れた表情で見つめていた呂蒙自身も、あっさり変装を見破られてましたね…;
でも、決め手が「商人の腕ではない!=(商人にしてはごつい腕をしている)」では、陸遜が商人役を務めても同じような結果になったような気がします。蒼天の陸遜は結構いい体してそうだし…。
呂蒙の「たしかに陸遜は名門」云々の発言は、家柄・経済力・才能・容姿、あらゆる面で恵まれている陸遜をやっかんでいるようにも見えました。(爆)
でも、最後のコマの呂蒙のどこか不敵な表情は、呂蒙もたしかに将として、軍師として成長しているんだな、というのを感じました。ただ、今回の戦いの決着がつく頃には、その呂蒙も…。

そして、徐晃きましたね!!李典の発明品を携えて…。
李典の遺したものがちゃんと仲間たちに受け継がれていることに胸が熱くなりました。惜しむらくは、それを作った当人がもうこの世にいない、ということでしょうか…。

No.12018 - 2005/06/09(Thu) 17:13:08

Re: 今週の蒼天<分岐の一夜> / 誤学人 [東北]
はじめまして、いつも楽しく拝見させていただいてました。管理人様、皆様、よろしくお願いします。

>しかし、この世に逃げる先などあるのかねぇ

「天下に挑む者なら一寸と言えど、その歩みを止めてはならない」という“周瑜スピリット”の継承者・呂蒙の、彼なりの言葉のような気もします。ですが、そのスピリットはしかし、誰しもが持てるものではない。“偉大なる凡人”・蒼天呂蒙はそれを知っているからこそ、あのような発言になったのではないか、と。

>「もう虚勢を張らんでいいぞ。これからは、関羽を畏れずにすむ。」>「お前たちも、関羽を畏れ憚るなら、逃げていいぞ。」
>「この世に逃げる先などあるのかねぇ」

これらの台詞に私は、呂蒙という人が、「決して“超人”や“英雄”とはなり得ない、弱くて、力無き凡人の痛み」が分かる人間なのではないか、という印象を強く抱きました。そして、その台詞を言っている呂蒙を見つめる陸遜の表情。散々クールな口調で呂蒙に言いたい放題毒を吐いている陸遜ですが、しかし彼はそんな「弱者の痛みを知る呂蒙」が、実は大好きなのではないかと。

それにしても孫家が初めて蒼天に登場した程晋・韓当・黄蓋の時代から、家臣団の雰囲気というか「つながり方」はとてもステキですね。これこそが孫呉最大の宝であり、武器なのかもしれませんね。

No.12019 - 2005/06/10(Fri) 00:25:12

Re: 今週の蒼天<分岐の一夜> / RUN [東北]
関羽は関羽であるが故に「漢中王の徳」を慕って降伏する王者の闘いにこだわったのかもしれません。兵站能力を無視して捕虜をとるのは軍隊の組織が古いと陸遜に指摘されダメダシされましたが、それだからこそ万民にうやまれる神となる関羽なんでしょうね。

今週号の表紙見ちゃいました。しびれました。「今週の蒼天」が書き込まれる前に別スレで感想書いちゃいました。すんません。忙しいと発売日にスレッドたてるのは難しいでしょうからね。私も休日の関係上書き込みできる日が限られているので気持ちわかりますね。でも見た感動は直前でないと言霊が逃げていきますので・・・。お体に気をつけてください。

No.12022 - 2005/06/11(Sat) 07:46:46
今週号の表紙にドキドキ / RUN [東北]
夢を見ていた・・・。遠いあの日の夢を・・・。誰にもふれられず、誰にも汚されない桃の花の咲き乱れるあの日を思うと幸せな気持ちでいっぱいになる。忘れていたあの日が目の前に鮮明に甦る。若かりしあの人の顔、朗らかに笑うあの笑顔、酌み交わす酒の味、昨日のことのように甦る。ついつい知らずに顔がほころぶ。

「桃園結義」取り上げちゃいましたね。初期の蒼天では史実に沿う形で結義は描かれていなかった。演義の虚構とされていたけれども今ここで結義を描くとそれが本当にあったことのように思える。いや間違いなく「桃園結義」はあったのだ。桃の花の咲き乱れる日の誓いはあったのだ。そしてその誓いは果たされなかったが、誓いに殉じる思いは彼らの中にあったのだ。そして誓いは果たされる。(異なる日、違う死に様ではあっても)今週の掲載と表紙を見て尊い「誓い」に胸が熱くなる。思わず別スレッドを立ててカキコさせてもらいました。

とはいえ英雄の死は確実に近づいている。前号では関羽の「組織人」としての欠点を陸遜に指摘された。今週号では関羽自身が「あぶれ者」と自認している。新しいカリスマを目指した魏諷は無残にも首を晒され、曹丕に剣を突き立てられて醜く顔を歪めて辱められた。次の時代を予兆するようだ。いかなる英雄も生き長らえることはできない。陸遜は「英雄(半神)殺し」を行う。ギリシアの英雄、アキレウスは普通の兵士の何気無く放った矢がかかとに刺さって死んだ。呉の郷土が育んだ優良児が「英雄(半神)」をCENSORED。「あぶれ者」をCENSORED。「英雄(半神)」の時代は終わりを告げ、完成された社会の機構、整備された軍隊を巧みに使う貴公子たちの時代が来た。「高貴なる人間」「貴族社会」(=中世)への道は開かれようとしている・・・。それでも私たちは英雄の事を想わずにはいられない。

No.12020 - 2005/06/10(Fri) 23:03:28

Re: 今週号の表紙にドキドキ / 10年の人 [関東]
私がはじめてこの漫画を目にしたのは約12年前。
(徐栄が連合軍を蹴散らすあたり)
生き生きとしていた曹操、劉備、関羽。
ついに、彼らの夢が終わろうとしていることに涙・・・

個人的なことで恐縮ですが、
12年前には想像できなかったのですが、私個人も夢を賭けて来月に本を出すのです。
夢に賭け、夢が潰える時、人はどう思うのでしょうか・・?
たかが漫画かもしれませんが、いつも蒼天には自分の姿を重ね合わせてそう思っていました。

No.12023 - 2005/06/12(Sun) 09:47:43
今週の蒼天<風靡の才> / TATSU@管理人 [関東]
しっかし休載がありませんねー!
なんか最終話に向けて、欣太先生の筆が一気に加速してる感じを受けます。休載に馴れてしまっている管理人としては、ここらでちょっと一息ついて頂きたい感じさえします。 いや、グランドフィナーレを迎えるに当たり、ここはじっくり構想を練って頂きたい気もするんですが...。

さて、今週は、魏諷の乱の顛末が描かれました。読中、読後に色々と考えるところが多かったので、そこらへんをREVIEWに沢山書かせて頂きました。 

では、今週の蒼天、開始させて頂きます。
このレビューもあと数ヶ月で終わるやもしれません。皆さんと一緒に連載の感想をあれやこれや書き込むのも、あと数回かもしれません。 という訳で、皆さんも今のうちに、悔いの無きよう蒼天への思いを書き込み下さいませ。

No.11972 - 2005/05/30(Mon) 00:23:35

今週の蒼天<風靡の才> / TATSU@管理人 [関東]
【STORY】

「皇帝陛下!」
そう叫ぶと魏諷は高らかに自分の名を名乗った。続けて魏諷は、参内の理由を皇宮に向かって叫んだ。それは、“四海に擾乱が継起する今般の情勢を危ぶみ、皇帝と社稷を護るべく、憂国の義士を募り参上した” というものであった。

宮廷内寝所では、その声を聞き、献帝と曹節が慄(おのの)いていた。

天子奉戴−。
魏諷はそれを行なうことにより、曹操より鮮明に天子の御稜威(みいつ)を使い、曹操より激しく諸侯を処するつもりでいた。それは漢中王・劉備に対しても、魏王・曹操に対しても同様であった。

その時、皇宮の扉が開き一人の男が現れた。
男の首からは猿(ましら)の生首が吊り下げられ、男の手には拷問器具が突き刺さっていた。陳幃と銭申であり、陳幃は狂気の笑みを浮かべていた。
「鼻息男が全て白状した。」
劉曄が陳幃の背後から現れ、魏諷にそう告げた。既に劉曄は陳幃の自白に基づき、業を狙った魏諷別働部隊も捕縛していた。

***************

皇宮内に灯が灯り、玉座に座る男の姿を照らし出した。
「天子奉戴。 誰の真似事だ。」
玉座の男が魏諷に尋ねた。 曹丕であった。
「巷には“奸雄”などと謳(うた)う者もおるそうだが。」
そう告げると曹丕は冷笑した。

呆然とする魏諷。だが魏諷は崇息を行ない息を整えると、ふいに叫んだ。
「魏国太子・曹丕は、玉座に値する者か!」
革命軍の中から一人の男が進み出て叫んだ。玉座・天命を論ずるに、曹操が対象となるならともかく、曹丕は論外である、と。 男は荊州学士・宋忠の長子、宋度であった。

続けて魏諷は叫んだ。
「曹子桓は、乱世を鎮撫し、天下を統べる英雄となり得る人物か!」
次に侍中・王粲の子息、王昭・王耽が進み出て、歴史上 破格の天下人が二代続いた例は皆無であり、魏王の威光に比べれば、魏国を嗣ぐことさえ危ういと叫んだ。
更に破羌将軍・張繍の長子、張泉が叫んでいた。曹丕の人望は孫権にさえ及ばず、その器量は劉備に遥かに及ばない、と。

「魏王・曹操が逝去した後は!」
魏諷が最後にそう叫ぶと、黄門侍郎・劉廣の実弟、劉偉が、曹操の苛烈な政(まつりごと)に不満を持っていた人士が一気に噴出する、と言葉を継いだ。

−魏国は内より崩れ、曹一族は滅亡の一途をたどる!−
憂国の義士たちは一斉に叫んでいた。

***************

「なるほど、風靡(ふうび)の才か。」
玉座から降りた曹丕は、動じる様子も無く呟いた。
曹丕の言葉を聴き、己を指し示しながら魏諷は告げた。
「君に備わらぬものが、ここにある。」

「まさか、用いろと?」
曹丕が笑った。
「その器量はあるか?」
魏諷は微笑み返した。
それに答えず、曹丕は左手で合図を送った。

次の瞬間、無数の矢が、魏諷の背後の義士たちを一斉に襲った。額を射抜かれ、義士たちは骸(むくろ)となって魏諷の足元に転がった。その魏諷の足も、矢で射抜かれていた。

「私は、唯(ただ)才があれば用いる、とは言わぬ。」
曹丕は魏諷へ歩み寄りながら告げていた。
「いかなる奇才も求めぬ。」
いつの間にか、青州兵が魏諷革命軍の回りを包囲していた。
「大乱世に変わりはないが、」
そう告げながら、曹丕は近習より剣を受け取った。それを見た魏諷は、無言で曹丕に突進を開始した。

「私の代は、」
曹丕の剣が一閃、魏諷の右手が吹き飛んだ。
「奸雄の類(たぐい)が棲めぬ世だ!」
返す刀で、曹丕は魏諷の首を跳ね飛ばした。



【REVIEW】

■「西曹掾・魏諷!四海に擾乱が継起する今般の情勢を危ぶみ、陛下と社稷をお護りすべく、憂国の義士を募り参上仕りました!」

魏諷は皇宮に叫びました。名目は“天子と社稷の警護”。真の狙いは“天子奉戴”でした。
魏諷は、『天子奉戴!新たな時代は、再びこの地点に戻りそして始まる。』と独白してました。これは 『 時代は再び“天子奉戴”という時点に戻り、新しい時代がそこから始まる。』ってことでしょうか?

■献帝と曹節が、寝所で怯えてました。帝は見る度に肉付きがよくなってますね。髪を下ろすと少年の頃の面影が全く無くなっちゃいます(笑)。曹節も顔付きが変わって、最初誰だか分かりませんでした。
曹節は、怯えながらも魏諷の声を“きれい”と表現し、帝も、語気に人を惹きつける力がある。と考えていました。これも“風靡の才”が醸し出すものなんでしょうか。

風靡【ふうび】:風が草木をなびかせるように、多くの者をなびき従わせること。

■「曹操より鮮明に天子の御稜威を使い、曹操より激しく諸侯を処する。漢中王劉備に対しても!そして魏王・曹操に対しても!」

宮廷へと向かう魏諷は上記の台詞を独白します。 

御稜威【みいつ】:「いつ(厳)」の尊敬語。御威光。御威勢。

つまり、『 (俺が天子を奉戴した後は)曹操より鮮明に天子の威光を使い、曹操より激しく諸侯に対処する。それは漢中王に対しても、魏王に対しても(同様だ。) 』 ってことですね。
もうちょっと意訳すれば、『 俺は、曹操に替わって天子を奉戴し、曹操とは違ったやり方で天下を統治する。それは天子の権威をもっと利用するやり方で、もっと厳しく諸侯を処断するやり方だ。 曹操や劉備に対しても、厳しく処断することに変わりはない。』って感じでしょうか。言わば、曹操のやった事を俺もやるってことですね。

先週、管理人はこう書きました。
『 魏諷は“乱世の奸雄は、今 代を替える”って独白してましたが、では、“新・乱世の奸雄”とは、誰のことでしょう? 一気に禅譲を受ける劉備の事でしょうか?それともクーデター首謀者の魏諷の事でしょうか? 』
...魏諷本人の事でしたね。

■さて、魏諷のクーデターの意図が確定されたところで、その発言の変遷について考察してみましょう。

まずは、曹操が漢中より撤退した頃の台詞。
「曹操不在の業を制圧し、同時に許都にて帝に上奏。孫権と劉備に詔勅をつきつけ、停戦を命じ彼らの自立を認める。すなわち、魏・呉・蜀により漢帝室を奉戴する国家体制に移行!曹操はひとり逆賊として誅殺!」

次ぎは、“漢”と記された巻物に『関羽の攻勢に呼応し、許都を制圧せよ』と書いてあるのを読んだ時の台詞。
「関羽!漢とは...漢中王!そして許都!天子!!一気に禅譲を迫るところまでいこうというのか!?」

これより考えますと、“天子を手中にする” “打倒曹操”という魏諷の基本戦略は変わっていませんが、最初は
1.魏・呉・蜀により漢帝室を奉戴する国家体制への移行
を志向していましたが、漢中王からの巻物を読んで、
2.献帝から劉備への禅譲(新帝を誕生させる)
という陰謀に参画することを考えます。しかし、最終的には
3.自分が天子を奉戴する事により、曹操に替わり天下を統治する。
という目的でクーデターを決行したという事になります。
1から2へは一気に計画が飛躍しましたが、3に決定するにおいて、1に近い形に戻った感があります。1においては漢帝国が主体であったように思えますが、3では自分が主体となるという「より能動的な計画」に変わってる感じは受けますが...。

でも考えてみれば、孔明の策は2の「魏諷のクーデターにより帝都制圧を行ない、帝に対し一気に劉備への禅譲を迫る」というものと思われますから、3の「天子の御稜威を使い、曹操より激しく諸侯を処する。漢中王劉備に対しても!」は、孔明の計画とは違ったものになってしまった感があります。 孔明の想定外の方向に事態は動いてしまったんでしょうか?
まあ、孔明からすれば“打倒曹操”という点においては同じですから、クーデター後にゆっくり禅譲の道を模索してもいい訳ですが。


“天子奉戴”と言えば、過去において、孫策の画策した『 官渡大戦の虚を突いて、許都を襲撃。天子を奪う』 という計画がありましたね。関羽の侵攻や叛乱の続出という虚を突いて、という点も孫策の天子奉戴に似ています。
でも「孫呉の軍事力を背景に、天子を江南に動座する」という孫策の計画に比べ、拠点を持たない魏諷のほうが“クーデター後の政権維持”という点において実現性に乏しいような気もします。そういう意味においては、「蜀(漢中王)と手を結ぶ」という計画のほうが実現性に優っていたような感じもします。

■「鼻息男が全て白状した。」
“鼻息男”は陳幃という名前でした。名前が判明した時は、すでに壊れちゃってましたが...。
銭申の首をぶら下げてましたが、これは陳幃と銭申は一緒に捕縛されたって事でしょうか。この二人は何か繋がりがあったんでしょうか?陳幃も孔明との連絡役だったんでしょうかね。

陳幃は拷問の激しさのあまり発狂した模様ですが、あの手の器具はどう使用されたんでしょうか?そう言えば、昔、荀攸が董承のクーデター計画を暴くべく王子服を吊り下げ「脇の下を火で炙れ。」なんて言ってましたが、劉曄のほうがクールな分、責め方が醜そうです。
考えてみれば、陳幃はすべて自白して、業の別働部隊も獄中にある訳ですから、あの場に発狂した陳幃を連れてくる理由は無い訳ですよね。あれは、クーデター軍の気勢を削ぐ為の“見せしめ”とみました。劉曄、貴公子のくせに冷酷です。
よーくコマを見ると、クーデターの義士たちが射殺された直後に、ひゃひゃひゃッて笑ってた陳幃も射殺されてました。用なしなんで処分されたんでしょうか。なんか人間扱いされてません...魏国でクーデターなんか企てるもんじゃないです。

しかし、先週、業にいたと思われる劉曄が、今週は許にいました。既に陳幃の自白にもとづき業の謀叛人たちは獄中にあるって事は、先週の何晏が官署に来た時と、今週の魏諷の乱の間にけっこう間があったということでしょうか。

■「天子奉戴、誰の真似事だ。 巷には“奸雄”などと謳う者もおるそうだが。」

玉座に座って魏諷を待ち受けていた曹丕が、冷たく笑いながらこう告げました。どういう意味でしょう?

謳う【うたう】:褒め称える。謳歌する。
曹丕は“奸雄”という言葉を、あえて良い意味と捉えて使っている模様です。これは、「天子奉戴?誰の真似事だ。(親父の真似事か?) 巷では(天子奉戴した親父を)奸雄などと言って称える者もいるそうだが...。」って意味じゃないでしょうか?
管理人的には曹丕の言葉は、「天子奉戴などと親父の猿真似をしてるつもりか?天子を奉戴した親父を“奸雄”などという言葉で称える馬鹿がおるが、お前もそのつもりか?」というようなニュアンスを含んでいるように思えました。

■「魏国太子・曹丕は、玉座に値する者か!?」

魏諷のこの言葉を皮切りに、クーデターに参加した名士たちが次々に“憂国の想い”を口にしました。要約すれば、『 曹操はともかく次代の曹丕では天子になる事どころか、魏国を継承することすら危うい。人望は孫権に及ばないし、器量は劉備に及ばない。曹操が死んだ後は、その苛烈な政治に不満を持つ人々により、魏国は崩壊、曹一族は滅亡するであろう。』というものでした。
基本的には以前、地下室で崇息していた時に言われていた事と一緒ですね。崇息一派としては、“曹丕への不満&次代への不安”が決起理由となっているようです。 ちなみに“打倒曹操”は魏諷だけが心に秘めている決起理由とみました。

劉曄が意見を言う人物を、その都度 指さし、名前を叫んでましたが、これは、後で糾弾しようとでも思ってたんでしょうか? どこかに書記官がいて、誰がどの発言をしたか速記してたりして(笑)。でも、結局、曹丕の合図で、全員射殺しちゃいましたから意味ありませんでした。実は劉曄は、全員投獄するつもりだったんでしょうかね。
でも叛乱メンバーの中には宋忠や王粲、そしてあの張繍の息子までいたんですね。恐るべし、風靡の才。

ちなみに宋度が“曹子植”と言い出したら、魏諷、張泉まで“曹子植”と言ってましたが、これは明らかに“曹子桓”の間違いですね。宋度が間違えたので、魏諷、張泉も釣られて間違えたんでしょうか(笑)? 違いますよね。これは完全に誤植です。欣太先生が鉛筆で“桓”と書いた部分を写植の担当が“植”と読み間違えたんでしょう。ご丁寧にルビまでふっちゃったようです。普通は気付きますから、写植担当は三国志に詳しくない人物とみました。

■「なるほど、風靡の才か。」
■「君に備わらぬものが、ここにある。」
■「まさか用いろと?」
■「その器量はあるか?」

二人のこの対話には驚きました。
「なるほど、風靡の才を持ってる訳か。」と言う曹丕に対し、「君に具わっていない才を私は持っている。」と魏諷は告げました。ここまでは、まだいいです。
それに対して、「まさか、(風靡の才を持っているから)登用してくれと言う訳ではないだろうな?」と尋ねる曹丕に、「君にその度量はあるか?」と魏諷は答えました。 「登用してくれと言う訳ではないだろうな。」という曹丕の問いかけに対し、魏諷は否定しなかった訳です!
これ、どーいう事でしょう!? まさか、魏諷の究極の狙いは、「曹丕の資質に疑問を持ち、次代を憂うが故に、特別な資質を持つ自分を用いてもらう。」ということにあったんでしょうか? だとすれば大どんでん返しの狙いと言えます。

...う〜ん、究極の狙いがそれだったというのは、なんか無理がありますよね。これは、「状況が変わったので、急遽、狙いを切り替えた。」と考えるべきでしょうか? でも、それでは虫が良過ぎるような感じもします。クーデターを起こしておきながら、それを起こした風靡の才を買ってくれというは、なんか自惚れ過ぎという感じもします。だいたい曹丕からすれば、自分の事をクソみそに貶しておきながら、“用いる器量はあるか?”って、ある訳ねーだろ。って感じじゃないでしょうか。
ここは、やはり、クーデターが露見してしまった魏諷が“開き直った”というのが、妥当かもしれません。もう処刑は免れないと悟った魏諷が、「俺には貴様に無い才能があるのだ。これは貴様が必要とする才能の筈だ。その才能を用いるという度量を貴様は持っているか?(どうせ持ってはいまい)」というような,,,。
でも、いずれにせよ土壇場になって「君に具わらないものがここにある。」と言ってみたり、「その器量はあるか?」と曹丕の質問を否定しなかったり、魏諷にはなんか“したたか”で“狡猾”なものを感じました。今までの蒼天の登場人物にはなかったタイプかも...。

この男も“乱世の奸雄”の一種の亜流版と言えるのかもしれません。

■「私は、唯才があれば用いるとは言わぬ。 いかなる奇才も求めぬ。」

名士たちを一斉射撃し、魏諷の足をも射ぬき、曹丕はこう告げました。つまり、「風靡の才を用いる器量があるか?」という魏諷の問いに対する答えがこれでした。
「俺は、親父と違い、“唯才”などとは言わない。“風靡の才”とかいう奇才など一切必要としない。」って事ですね。

以前、司馬懿に曹丕はこう告げていました。「遠くない未来。天下はおのずと曹丕という人間を確実に知る。おのれと曹操を比べる愚かさなどもとよりなく...」 つまり、“俺は間もなく統治者となるが、曹操の時代と比較して、あれこれやる気は全く無い。”って訳ですね。 

−魏諷よ。俺を舐めるなよ。俺は俺のやり方でやるのだ。−
そういった冷徹なまでの決意が、“沈黙の一斉射撃”という返答として現れたのだと思います。

■「大乱世に変わりは無いが、私の代は、奸雄の類(たぐい)が棲めぬ世だ。」

こう告げながら、曹丕は抜き打ちで魏諷の右手を斬り裂き、返す刀で素っ首を叩き落としました。さすが六歳で射を、八歳で騎射を憶えた男は剣術も違います。
この台詞は、「俺の代になったら、貴様らのような妖しい奇才を誇る奴らは、一切生かしてはおかない。」っていう宣言ですね。“乱世の奸雄”などという表現が、褒め言葉となるのは、親父の代で終わりだ!って感じでしょうか。

これもまた、曹丕の冷徹なまでの決意が感じられる台詞でした。クーデター一派は曹丕が“器不足”である論拠を次々と叫びましたが、その間、曹丕は動揺するでもなく、激怒するでもなく、終始冷笑を浮かべていました。これは、曹丕なりの“次代に対する強い意志”があるからこそ、できた態度ではないでしょうか。
−俺の時代では必要のないお前らが、何をほざいても、俺にとっては“遠吼え”に過ぎん。−
あの冷笑の裏には、そんな意志があったように感じます。

■こうして魏諷は曹丕の手にかかり、死を遂げました。最後のページの欄外コピーは、
−第二の奸雄となること能(あた)わず、 魏諷死す!−
でした。“第二の奸雄になる”という男の野望は、一週で夢と潰えました。

魏諷−。挿話的に何回も何回も登場し、現れる度に変貌を遂げ、実は孔明が20年以上も前に仕込んでいた策だったという秘話まで登場した男−。正直言って、その割には このクーデターは呆気なかった感じがしました。
確かに曹丕との一連のエピソードは面白かったのですが、どうも 魏諷の考えていたこと、やろうとしていた事の輪郭がぼやけたままだったような気もします。

何よりも、何晏曰く 『 魏王にすげえ激しい思いを寄せながら、力を磨いてきた。あの齢じゃ あり得ねーほどの思いを抱いて生きてきた。』 という割には、曹操との絡みが全く無かったのも、拍子抜けの印象を受けた原因かもしれません。


例えば、曹丕に捕縛された魏諷が、陳宮の時のように曹操の面前に引っ立てられ、“反曹操の首魁”として曹操を徹底的に糾弾し、曹操がそれに対して“天下人として思うところ”を述べたりしたら、それなりに面白かったんじゃないかなー、とか夢想したりして...。

No.11973 - 2005/05/30(Mon) 00:25:19

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / 甲斐馬 [東海]
はじめまして甲斐馬と申します
ずっと連載考を見ていてつい最近ここの存在に気づいた間抜けですが
先週から今週の流れは速かったですね。30巻辺りから引っ張ってきた魏諷の話が思ったよりもあっけなかったのがざんねんです
というかずっと魏諷メインだった思っていた話でしたがどうやら曹家二代目曹丕の皇帝への目覚めの伏線だったような感じですね。

>クーデターが露見してしまった魏諷が“開き直った”というのが、妥当かもしれません。
>もう処刑は免れないと悟った魏諷が、「俺には貴様に無い才能があるのだ。これは貴様が必要とする才能の筈だ。その才能を用いるという度量を貴様は持っているか?(どうせ持ってはいまい)」というような

私は別の解釈をしてその前の曹丕への玉座の問答につながっているのではないでしょうか
つまり皇帝にならんとするならばそれを用いるほどの器量が必要だと言っているのではないでしょうか
しかし魏諷の求める皇帝像と曹丕の求める皇帝像の明らかな違いがそして曹丕の親父とは同じ道をたどりはしないという強い意志が狙撃に至ったのではないでしょうか

所詮身勝手な妄想かも知れませんが人に読ませたあとに考えさせるところが蒼天の素晴らしいところだと思います

こうなると最近頑張ってる曹仁が気になりますね
思わず頑張れって言いたくなっちゃいます

No.11974 - 2005/05/30(Mon) 01:33:39

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / 曽呂利 [近畿]
毎回のことではございますが、詳細なレビュー、お疲れ様です。毎回毎回楽しみに読ませて頂いてます。本編を読んで、管理人さんのレビューを読み終わって、それでやっと「今週の蒼天読んだ」て感じですね。一回ひとりで読んだだけでは読み込めていないところも多いので勉強になります。

で、別に反論ではないのですが思うところ少々。
「天子奉戴、誰の真似事だ。 巷には“奸雄”などと謳う者もおるそうだが。」
この台詞、基本的には管理人さんと同じ読みなのですが、「天使奉戴などと言って、親父の真似をし、次代の奸雄にでもなったつもりか?」という意味に見えました。
最後の「私の代は〜」も含め、曹丕は「奸雄=父・曹操」を評価しつつも次代には生き残れないタイプだと判断しています。そういう時代の流れを読めていない魏諷を、これはあざけっているのではないでしょうか?
その読みのまま、魏諷と曹丕との対話を考えると(ここ、甲斐馬さんにも通じるかも知れませんが)、魏諷の問いは、
「俺のような奇才を用いる器量、そのような正邪を併せ呑む曹操のような器量が君にあるか?(ないだろう。だから君は奸雄ではなく、玉座はふさわしくない)」
というふうに読めると思います。魏諷は曹操の才能を認めており、曹操が玉座につくなら納得できるが、という発言を繰り返しています。つまり彼はこれからも奸雄の資質が問われる時代だ、と信じています。それに対し曹丕は、
「そのような奸雄の器量は、これからの時代には必要がない。時代は新しい局面を迎えるのだ」
と考えています。奇才を用いる器量がないのではなく、奇才を用いる必要がない時代を作るのだ、というのが曹丕の答えだ、ということです。

長い長い前振りのわりにあっけなさすぎたのは残念ですが、言ってみれば魏諷、今まで見せ場のなかった曹丕の噛ませ犬だったということではないですかね。偉大な父を認めつつ、それとは違う時代を創造する曹丕の覚悟と器量を見せるための場面、と私は見ましたが。。。どうでしょう?

No.11975 - 2005/05/30(Mon) 01:51:45

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / バルク
魏風、完全に曹ヒのダシでしたね。
既存の人物評価を再構築するという側面を持つ蒼天としては
曹ヒという人物はうってつけではないでしょうか?
画一的な曹ヒの評価をゴンタ氏がどう解釈するか楽しみです。

No.11976 - 2005/05/30(Mon) 05:56:23

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / RUN [東北]
うわーあっけなさすぎ。でも次世代を予感させる展開です。躊躇い無く玉座に座る曹丕。玉座の下に座る曹操・・・。

ああ「黄天の子」たちは過去の幻影に縛られていない。完璧に命令を遂行する兵士たち。よく訓練され統制された軍隊、いかなる謀略も防ぐ諜報機関、すでに完成された統治機構。これを手にしたものが次の時代の主となる。まるで『中世の貴族の祖たちよ、英雄、奇才の幻影を追うのはやめよ。大乱世では有るが富の分配と序列は完成されている。お前がいかに父(曹操)にとらわれようと、父のような人間はもはや必要とされぬ時代がくるのだ。お前がその時代の主役になることは無い』と言わんばかりに冷酷に魏諷の首をはねる。

曹操無き世を策する孔明、玉座に平然と座る曹丕、玉座に就く事を迫る孫権。いずれも「次世代」の時代をすでに見ている。続編の可能性も?

No.11977 - 2005/05/30(Mon) 06:35:07

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / ぎふー
先週の引きが「魏諷の乱、勃・発!」なら、
今週の引きは「魏諷の乱、鎮・圧!」ですね。

なんだったんだ。これまでの引っ張り方は……

No.11978 - 2005/05/30(Mon) 06:36:58

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / 黒助 [関東]
> 1.魏・呉・蜀により漢帝室を奉戴する国家体制への移行
> 2.献帝から劉備への禅譲(新帝を誕生させる)
> 3.自分が天子を奉戴する事により、曹操に替わり天下を統治する。

魏諷の戦略の推移に関する管理人様まとめ、非常に分かりやすいですね。彼の戦略はそのベースには崇息集団が代弁していた通り、
・ 曹操の唯才に基づく政治は素晴らしい進化をもたらすがその苛烈さを受け入れられないものを内外に生み出してしまう(この点は孔明と同じ)。
・ そのバランスは曹操が健在のうちは保たれても曹操亡き後には崩壊してしまうだろう。
という考えがあり、この魏の次代への不安という弱点を突き、バランスを今後も保ちうる者として自身が曹操に成り代わろうとするものでした。

しかし当初の目論み1は、劉備の漢中王宣言で曹操を受け入れられないものたちを一挙集結させ、未だ曹操健在の世において既にそのバランスを崩してやろうという孔明によるより大きな策(彼の目標は曹操に失意のどん底で死んでもらうことですから彼の策が魏諷とは異なり健在曹操そのものを超えようとするものであることは当然ですよね)に飲み込まれてしまいそうになります。孔明からすれば魏諷のクーデターは劉備が曹操を飲み込むための策の一部にすぎず、その意味で魏諷は彼に踊らされていたといえるかもしれません。

魏諷が孔明のこの狙いに気付いたのが管理人様の仰るところの2の考えに揺れた瞬間でしょう。結局彼は3という戦略をそれに対する答えとして選びますが、これは「自分は曹操以上の奸雄としてそんな勢いある劉備、そして曹操をも処してみせる」という、策というよりはむしろ決意であった気がします。
しかし彼のこの決意が果たして曹操・劉備に通用するものであったのかどうかは分かることなく曹丕によって破られることになりました。

そしてこの曹丕、曹操無き世を見据えている点では魏諷と同じですがその見据え方がまさに対照的です。この点については曽呂利さんの二人の問答に対する考察に賛同です。

ただ、曹丕はなぜ曹操無きあと、これまでとは違う奸雄の棲めぬ時代が来ること、もしくは自分はそのような時代を創るべきこと、創れることを確信しているのでしょうか?
この点を少し考察させてください。

思うに乱世にここまで社会を革新させたのが奸雄・曹操であれば、曹操を受け入れない者を集結させる劉備、曹操を更に上へと押しやることで却って無力化させようと働きかけながら粘り強く彼に挑むことをやめない孫権に勢力拡大の要因を与えているのも曹操が奸雄であることなんですよね。
いわば劉備・孫権という英雄を生み出したのも絶人の傑物曹操だという見方も出来るかもしれません。

だとすると次代において、崇息集団の言う通りそもそも曹操レベルの奸雄が続いて現れるかという問題もありますが、もし運良くそのような人物が現れて曹操に取って代わったとしてもこの3大勢力の対立の構図は容易には崩れにくいということになります。

これまでも曹丕の曹操を目指すことの愚かさ(無意味さ)に対する認識は明らかにされていました。今回の奸雄否定発言の裏には更に踏み込み、むしろ自分が奸雄を目指さないことこそが、3大勢力の対立の構図を打破し乱世を一つ先へと進めることになること、そしてそれは奸雄曹操によって革新された社会、集められた才のその全てを引き継ぐ自分だからこそ可能であるというより前向きな確信があるのではないでしょうか。

−人材・軍・機構・学芸。王業に必要なものは全てある。すでに在るものを使う!何であろうと使いきる!それが曹孟徳の先にある時代だ。−

私は魏諷は次代の王としての曹丕の器だけでなく、孔明の策のすごさ、そしてなによりこの曹操に関する物語の終盤において曹操という奸雄がこれほど躍動できたのはあの時代であったからだということを改めて見事に伝えてくれたように思えます。
この点を描きたかったからこそ魏諷に曹操に匹敵すると思われるほどの奸雄としての資質が備わっていることを描くためにここまで引っ張り、そしてその死をあっけないほど無残に描いたんじゃないでしょうか。
決して恵まれた役回りではなかったですが、だからこそ今は彼に対して何晏と同じく熱い感情を抱きます。
魏諷お疲れ様!

No.11979 - 2005/05/30(Mon) 06:56:35

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / 文月 [近畿]
こんにちは。

最近出来た、モーニングの公式サイトの次号予告には「蒼天航路」の名前が見当たらなかったのでどうやら今週は蒼天は休載のようです。いずれにせよ次回の蒼天には欄外に、曹丕の字を間違えたことに関する編集部からのお詫びと訂正の文が載せられていることでしょう。(笑)

曹丕は、「父は父、自分は自分。奸雄と呼ばれた父の真似事など考えず、自分は自分のやり方で乱世を治め、次代への道を歩む。」…そう考えているのでしょうね。「もう、心に潤いは望めぬぞ。」父・曹操にこう言われたその瞬間から…。

それにしても魏諷は実に呆気無い結末を迎えてしまいましたね。恐るべし、魏国の諜報機関。そして劉曄(のフットワークの軽さ)。
しかし、くだらないことですが、陳イの首にぶら下げられた銭申の首が猿の顔の形をしたポシェットに見えるのは私だけですか?(動物愛護団体から非難の声が上がりそうな感想だな…。)

このまま、諸葛亮の策は破綻に至ってしまうのでしょうか?それとも、もう一波乱あるのか?

No.11980 - 2005/05/30(Mon) 15:11:09

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / Nearly Headless Nick [近畿]
私は曹操だけが「奸雄」であるとは考えません。
張譲や董卓をはじめとする、無数の「奸雄の類」がしのぎを削ってきたのが、蒼天世界であると考えます。
(アクの強い連中ばかりでした。)

そして、魏諷という男…。彼はそうした「奸雄の類」の、最後の一人であると考えられます。
そうした魏諷が、「奸雄の類が住めぬ世」宣言と共に、次代の皇帝・曹丕に斬って捨てられたわけです。
(曹丕は、あたかも、妖怪を退治するかのようでした。)

単に、クーデタが失敗しただけでなく、今まさに、蒼天世界に幕がおろされつつあるのだなーと、しみじみそう思います。

No.11981 - 2005/05/30(Mon) 17:55:49

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / 鳳卵 [東北]
 今回も詳細な解説、お疲れ様です。

 魏諷は確かにあっけなかったですが、“天子奉戴”とか言い出した時点から、「なんかショボイぞ、こいつ」という気がしてたので、まぁ、こんなものかなぁと…
 随分浮世離れした生い立ちの割りに、やろうとしてることが常識から逸脱していないというか、愚直といってもいいほど、定石にこだわってるような気がしてました。

 で、今回一番気になったのが、曹丕の「大乱世に変わりはないが」ってセリフです。
 乱世を治めるつもりがないのかよ!? と、思わず突っ込んでしまいました。
 うーむ、“奸雄”が活躍できる世の中を乱世と言うんじゃないの? 乱世に変わりはないのに奸雄は棲めないというのは、どういうことなんだろう?
 今回、ここが今イチ、わからないところでした。

No.11982 - 2005/05/30(Mon) 23:00:12

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / ブ王 [関東]
ひとつだけ。

>「まさか、用いろと?」
>曹丕が笑った。
>「その器量はあるか?」

此れは、「自分の風靡の才を見せつけるお前は、親父のように其の才に目を向けるか試しているのか?」と曹丕が問い、「お前にゃ才を飼い馴らす器量はないだろ?」と魏諷が応えているように思いました。

No.11983 - 2005/05/31(Tue) 00:30:02

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / 夏樹 [関東]
 こんばんは、夏樹と申します。いつもながら管理人様ご苦労様です。

 魏諷があっけなかったとの意見が多く出ておりますが、それが結局歴史の表舞台に出ることのできなかった者の限界なのかもしれません。

 曹操に対していかに強い思いをよせたところで、それは自らが混沌の中でたたき上げてきたものではない訳です。かつて対漢中戦略について曹操が曹丕と四友に叱責したのと軌を一にするものでしょう。もちろん、そこは曹丕の方がより多くの情報・経験に否応なく積んで(人にまみれて)きた分、現実性を持っているのでしょうけれども。魏諷に従ったのが良家の「子弟」にすぎなかったのもその表れともいえます。
 結局、「魏諷は魏諷でしかない」とはほど遠い境地にしかなく(その足場となる経験がなかった)、空想の内でしか魏諷の天下は存在しなかったのでしょうね。魏諷がせめて従軍を重ねていれば、その風靡の才はあるいは一方の雄として花開いたのかもしれません。

 曹丕は、「美しい」ですね。曹操の造り上げたものを受け継ぎ、そのを使って今度は「純粋なるもの」を造り上げていくような感じです。私は、大乱世云々の台詞は、乱世でありながらそれを自らの糧として生きるのではなく、乱世に秩序への規範を打ち立てるという自負の宣言ととりましたがいかがでしょうか。

No.11984 - 2005/05/31(Tue) 00:33:57

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / ビート肉 [中国]
こんばんは。猿まで縊りCENSOREDとは、劉曄以下魏国の警察団怖いですね。。

>「曹子桓は、乱世を鎮撫し、天下を統べる英雄となり得る人物か!」
>歴史上 破格の天下人が二代続いた例は皆無であり、魏王の威光に比べれば、魏国を嗣ぐことさえ危うい
>「魏王・曹操が逝去した後は!」曹操の苛烈な政(まつりごと)に不満を持っていた人士が一気に噴出する

このあたりのくだりはこの時代の中国人にとってけっこう身近で大きな歴史的事象である、秦の始皇帝のことが多くの人の頭にあったからでは、と思いました。彼の死後、彼の強烈な統制力によって維持されてた革新的な中央集権制度があっけなく崩れ去りましたし。諸葛亮は項羽になぞらえる考えを話してましたが、劉備の漢中王劉邦に対し曹操を始皇帝に重ねるイメージもあったのでは、、って気がします。


曹丕が奸雄曹操に重なる魏諷を殺したのは、エディプスコンプレックスではないですが、ちょっとした父親殺しのイヴェントだったのではないでしょうか?
もちろん深層心理の中の一面を象徴するにすぎないのでしょうが。大きすぎる父親に対するコンプレックスを払拭し、親父はこうだが俺はこうだって言う姿勢を示すのに曹丕にとっていい機会だったのでは・・・。曹丕はさすがにけっこうしっかりした人だなって印象を受けました。
奸雄魏諷が曹操に重なるって書きましたが、当然粒は全然違いますよね。曹操なら、平静を保つためか精神を鼓舞するためか何か知らないけど鼻息の深呼吸に頼ったりしないでしょうし(笑)


長く引っ張った割にはあっけなかった魏諷の乱のクライマックスと幕切れですが、その分印象的ですっきりまとまって楽しめました。曹操の直接の後継者である曹丕の外から見た立場と本人の心意気と言うか姿勢が鮮明に描写されてて、後日譚を聞くことなく曹操亡き後の物語に想いをはせられると言うか、、面白かったです。

No.11985 - 2005/05/31(Tue) 01:46:03

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / つね [関東]
みんな言っていますが、やはり言いたくなりますね。
「あっけな」

1.天子奉戴
2.憂国の義士の弾劾
3.次代からの冷笑

これならたった4ページで終わった吉本の乱のほうがよっぽど印象に残る。そう思って32巻を読み返してみると、魏諷が威風堂々として吉本の乱を評していたのには涙が出そうになりました。
ついでにこの356話(「激情の後継者」)は曹植の蒼天最後の出番と思われたものでしたが、この前、ちょっと姿を見せていたのが気になります。このまま何もない可能性のほうが大ですが。

>■「なるほど、風靡の才か。」
>■「君に備わらぬものが、ここにある。」
>■「まさか用いろと?」
>■「その器量はあるか?」

ここはもっと素直に、「使ってみないか」と言っているように見えました。史実の呂布もそうでしたが、自らの才に自信を持つものは、えてして状況判断が甘くなるものです。

 夏候淵戦死以来、漢中撤退、劉備漢中王即位、樊城水没、于禁降伏、反乱多発、曹操不予と難事が続いた魏王国にとって久しぶりの白星です。どうやら転換期になるかも。

No.11986 - 2005/06/01(Wed) 03:23:43

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / 優君のパパ
ひさしぶりに書き込ませていただきます。

「姦雄と謳う者も……」の「姦雄」について管理人様は、
「(天子奉戴した曹操を)奸雄と褒め称える奴も……」と解釈されてますが、
私は素直に「(魏諷よ近頃はお前のことを)奸雄と褒め称える奴もいるようだが」
という解釈でいいと思いますが、いかがでしょうか?


どちらにしても魏諷にはエン尚と同じ哀れさを感じます。
かたや「王」かたや「奸雄」と憧れる者こそ違いますが、
自らがその後継者であると自負するその覇気は快とすべきも、観念に走りすぎ、時代の変化に気づけず、
自滅ともいえる最後をとげる……

しかし魏諷の乱というマイナー(失礼。でも私は恥ずかしながら知りませんでした。演義に出てこないですし)な
乱?(規模的には「変」ぐらいかと思うのですが)に奸雄の世の終焉という作品的意義付けを行った蒼天は
さすがだなぁと思いました。

No.11987 - 2005/06/01(Wed) 23:16:44

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / 黒助 [関東]
2回目の書き込みで失礼します。
ちょっと気になったのですが

> 更に破羌将軍・張繍の長子、張泉が叫んでいた。曹丕の人望は孫権にさえ及ばず、その器量は劉備に遥かに及ばない、と。

この言い回し、取り様によっては劉備に比べ孫権を軽んじているようにも聞こえますよね。
もちろん字面的にきれいで勢いがあるからこんな言い方になっただけかもしれませんが、こういうふうなある人物(ここではもちろん曹丕)を批評する時にその基準として用いられる人物というのは当然その評価に関して一定の認識が広くあるのが普通(じゃなきゃ結局どんな評価なのか分かりませんよね)だと思うのでなんとなく気になります。

理の内、外に代表される通り、ある意味表と裏のように描かれてきた曹操と劉備ですが、蒼天において魏国もしくは曹操にとって呉、孫権ってどんな存在なんでしょうね?

No.11988 - 2005/06/02(Thu) 17:25:51

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / アベール
>これは明らかに“曹子桓”の間違いですね

私は曹植で正しいと思います。
「魏王に値する巨大な影響力なくば、魏国に次代なし」(その377)
それが彼らの考え方なので「曹植は論外、曹丕は言うに及ばず」でしょう。

>夏樹さん
>乱世でありながらそれを自らの糧として生きるのではなく、乱世に秩序への規範を打ち立てる

なるほど。それが曹丕が描く天下でしょうね。

曹丕は己の器量が曹操に及ばないことを認めつつ、劣等感をもたない健全な精神で、次代の帝王としてどのような天下を創るか?と冷静に考えているようにおもいます。
司馬イの態度がしっくりきます。

No.11990 - 2005/06/02(Thu) 18:01:30

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / 繍
お久しぶりです。

個人的には張繍の息子の張泉が出てきたのがうれしかったのですが、あっさり死んだのはいかんせん・・・。

>これは明らかに“曹子桓”の間違いですね
私は何故ここで曹植が出てくるのかわからず、「あれ?曹ヒって子植だっけ?」と戸惑っていましたがやはり子桓でしたね。

曹ヒの言葉にある意味、2代目としての堅実さと父とは違うのだという想いが感じられました。

No.11991 - 2005/06/02(Thu) 22:20:56

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / 夏樹 [関東]
 こんばんは、2回目書き込ませていただきます。

 「子植」は、どちらでしょうね。私も一回目に読んだときは曹植のことかとも思いましたが、改めて読み直してみると、やはり文脈からしてTATSUさんの言われるよう子桓の間違いのような気がします。
 前ページの欄外の人物解説にしっかり「子桓」と書いてあるのに。
 単行本が出ればはっきりすることでしょう。

 さて、黒助さんのおっしゃっていた孫権と劉備の評価と言うことですが、これは間違いなく孫権の方が軽んじられていると思います。
 まず史実からみた場合、劉備は朝廷に出入りして直接官職を授けられているわけですし、何よりいくら怪しくても皇族です。一目置かれているからこそ、董承の企てに一枚かまされることになるわけですから。
 一方の孫権は南方の豪族の一人にすぎません。少し話はずれるかもしれませんが、呉が豪族連合体であったことは正史をみてみるとよく分かります。呉の軍隊の主力は各部将の私兵なのです。だから呉では部将が死ぬとその兵士や領地を誰が継ぐかと言うことがたびたび問題になりますし、また、それぞれの兵士は他者が国家の法によって裁くことも難しく、孫権もそのあたりには気を使っています。呉の君主は建安24年の時点では、まだ「君主」というより「盟主」といった方が近いような状態なのです。

 さらに蒼天航路の中での劉備は、長坂陂での夏侯惇や漢中での夏侯淵の発言にみられるように、曹操の臣下からも曹操へのアンチテーゼとして認識されています。
 このようなイデオロギッシュな影響力は孫権にはないといってよいでしょう。

 権威の後ろ盾を持たない呉のフロンティアとしてのエネルギーは、確かに南北朝時代を準備するものではありますが、逆に呉そのものとしては地方政権にとどまらざるを得ない、それだけでは普遍性を獲得できない限界性を表しているのでしょう。
 でも、こういう呉の性格は、蒼天航路の曹操はちゃんと折に触れて語ってくれています。イデオロギーを持たないという意味では、孫権こそ最も「唯才」にぴったり当てはまる人物なのかもしれませんね。蒼天曹操が養子にしたがるわけです。

No.11992 - 2005/06/02(Thu) 22:41:53

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / Mr.風靡 [関東]

>私は曹植で正しいと思います。

はぁ?
曹植のことだったら、「曹子建」って呼ぶはずでしょ。「曹子植」なんて人物はいないんだから誤植以外ないでしょ。

No.11994 - 2005/06/04(Sat) 00:12:34

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / 英英 [関東]
こんにちは〜!引越しのドサクサで参上が遅れました。
“今のうちに、悔いの無きよう蒼天への思いを書き込み”したいと思います。これを書かないと次の蒼天を読む気になれないのです。

せっちゃんが綺麗になってましたね(*^-^*)
後宮に入った当初は「初デート中の中学生」(by管理人様)みたいだったのに、すっかり大人になっちゃって(笑)。立后して5年くらいなるのでしょうか。
でも相変わらず可愛い。曹家の証(デビルマン)も健在。
せっちゃんの人生は始まったばかりなのに、翌年には献帝は禅譲ですもんね。二十歳前後で余生って、どんなんでしょう…

そして、今回の曹丕はかっこいいんですけど、でも…

 献帝がおわすのに、玉座に座すってどうよ?

とつっこんじゃいました。
劉曄、あなた皇室の一員なのに平気なの?
(「王族」という言葉で劉曄を語っちゃ怒られるけど)

>「私の代は、奸雄の類が棲めぬ世だ」

自分の代について語ってるのは、今の“曹操という時代”の終焉が近づいてることを予感させられました。
奸雄の類が棲めない…それはおそらく“理外のもの”も棲みにくい、あるいは棲めない世かもしれません。
魏諷の乱は確かにあっけなかったです。
しかし魏諷だけでなく、この後の関羽の敗走と死も、あっけないの類に入るでしょう。漢中王が最も天下に近づいた時期もあっけなく過ぎます。
“曹操という時代”が終わり、次代は“奸雄の類が棲めぬ世”へ。
今回の蒼天で、モーニングを読む怖さが倍増です。
奸雄の時代があっけなく、バッサリ斬られた魏諷のようにあっけなく終わるのはイヤです〜〜(><)


>曹丕の人望は孫権にさえ及ばず、その器量は劉備に遥かに及ばない
>この言い回し、取り様によっては劉備に比べ孫権を軽んじているようにも聞こえますよね。

ですよね。
孫権は孫策の跡を継いだので、曹操&劉備のような建国の覇業がなくて見劣りしちゃうんでしょうかねえ。劉備は初代だけど、孫権は江東に割拠してから二代目、孫家の三代目。奸雄の時代では、崇息一派に軽んじられるのも仕方ないのかな…と思いました。
二代目同士で比べるなら、曹丕・劉禅・孫権ですか。
(※なんか打ち間違えたような気分です、一名)

夏樹さんのご説明わかりやすいですね。納得です(^^)
後漢王朝からいただく官爵って相当大事なんですね。自称じゃ袁術と同レベルでしょうか?
そういえば孫権が荊州牧になったのは関羽を討った後だった気がします。それ以前って…太守クラス? 左将軍(劉備)の推薦で徐州牧になったのは、あまり認められてなかったんでしょうか(劉備と孫権が初めて会った場面で会話してたことです)

No.11995 - 2005/06/04(Sat) 01:00:56

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / アベール
>はぁ?
>曹植のことだったら、「曹子建」って呼ぶはずでしょ。「曹子植」なんて人物はいないんだから

欣太先生が「曹植」と書いたのに、間違って「曹子植」となった場合だってあります。
まだわかりませんよ。

No.11996 - 2005/06/04(Sat) 14:59:37

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / Mr.風靡 [関東]
>「曹植」と書いたのに、間違って「曹子植」となった場合だって

ありえないでしょ。
だってあそこで曹植を語ってたら、文脈的に支離滅裂ですから。
もう一度よく読んでみれば?

No.11997 - 2005/06/04(Sat) 20:51:21

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / YOUSUKE
そこまであり得なくもないでしょ。                                                  それに風靡サンの答え方はなんかけんか腰で見てると気分が悪くなります。                                                                              自分の意見主張するのは良いと思いますがもちっと言葉の使い方いに気をつけたほうが良いですよ
No.11998 - 2005/06/05(Sun) 00:03:28

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / 泣いて蒼天を斬る
初見参。遠い北の島国より参戦です。いやぁ、クライマックスですね。いつもこのBBSを楽しみにしている隠者です。ここの書き込みはあつく議論を交わしながらも、紳士的なところが昨今の掲示板と違って大好きです。それもこれも、管理人さんの人柄なのでしょう。でも・・・風靡さんの書き込み方はどうでしょう?一作品に対する多種多様なものの見方や考え方を議論しづらくなる口調で、残念です。曹植・・・・確率として少ないかもしれませんが、ひょっとしてなんて思わせるのもこの作品の魅力でしょう。
No.11999 - 2005/06/05(Sun) 20:35:58

Re: 今週の蒼天<風靡の才> / moto [九州]
初めまして。私はこの魏諷の乱、
敢えてあっけなく終わらせたように思えます。
劉曄をはじめとした魏の治安警察の周到さ、
曹丕の苛烈な決意を表すには良い結末だったと感じます。
もう一点面白い思ったのは、この物語の主人公である曹操がこの一連の騒動に全く関与していない点です。それどころか曹操は魏諷という人間を個人として認識することはありませんでした。曹操が孔明を認識出来ないように、孔明の放った魏諷を見ることは出来なかったのでしょうか?

No.12000 - 2005/06/07(Tue) 12:11:16
(No Subject) / 蒼天航路、蒼天航路。 [関東]
なんか、蒼天航路が 終わってしまったら、
俺は、リアルタイムで ナムコの三国志とか
やってたあの頃、「三国志」というものに出会って、
憧れながら抱いてきた その「世界」が、
ストップしてしまったような気分になるだろう。
多分、俺は、「蒼天航路」は
「三国志の事実」だと言われたら、すんなり
受け入れられる 「世界」だ。
蒼天航路のカラーに、気づいたら染まりたい
と思う自分が、確かにいました。
今、武論尊原作の、もう1つの三国志を読んでますが、
う-ん・・・、面白いけど、
「事実」に思えない・・・。
面白いんですよ、ストーリーとか。
でも、違和感を感じてしまう。
蒼天航路 終わっちゃったら、どうしよ。
ないんだよな-、この「世界」に変わるものが・・・
夏侯淵の最期で、俺は 「危機感」を強く感じた。
やばいな、終わっちゃったら・・・。
俺の中で、穴が空いてしまい、スースーするのが
怖いので、毎週、毎週、
連載が 気になりすぎ!
もう、夜中3時に コンビ二行って読んでます。





No.11993 - 2005/06/03(Fri) 00:39:15
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