| 蒼天赤壁考@楊奉。 お言葉に甘えて、絶賛派の立場から(笑)、 僕の見方をちょっと書いてみます。 出来るだけ簡潔に…書けるかなあ…
1、 基本的には、超常現象の類はすべて比喩表現として捉える事が 可能だと思う、ということ。
2、 基本は1だと考えた上で、そこを曖昧にしたまま 神仙妖怪の類も含めてすべて受け入れてみても いいのかもしれない、ということ。 もとの巨大な「三国志演義」の物語にしたところで、 左慈や于吉だけでなく、 孔明だって東風を呼んだり新型メカを発明したりする かなりファンタジーな奴なのだから。 むしろ科学史観のみで過去を振り返るより、 民間伝承をも飲み込んで表現しなおした方が 器のでかい物語になるかもしれない。 追求するのは野暮かも。 作家の酒見賢一さんが「ジャンヌ・ダルク」を書く時だったか 「陋巷に在り」を書く時だったか、 「神や妖精がいたと信じられていた時代の人間を描くには、 神や妖精も本当にいるように描かねばならない」 みたいなことを言ってたように思います。 現代流の科学史観でばっさりと切ってしまうと、 その時代の人間を本当に理解したことにはならない、 と言うような意味だったと思います。 蒼天航路も、基本的にはこのスタンスで描いているかと。 「天文を読む」行為なんか象徴的ですよね。
3、 とはいえやはり基本は 正史のエピソードを面白く解釈・表現するのが 蒼天の大きな魅力の一つ。 この辺に関しても、霧中の緒戦や孫呉の会堂、曹操の書状など、 面白い事していると思う。 「やり過ぎではないか?」との意見ももっともだと思うが、 赤壁、という巨大イベントを正史ベースで描くには 資料が少なすぎる。 資料がない故に「赤壁はなかった説」「疫病撤退説」 「曹操にとってはたいしたダメージではなかった説」などで 小さくまとめてしまうよりは、 蒼天なりの不可思議な、大きなイベントにしてしまったことは 良かったと思います。 なんと言っても、GONTAさんが書いている通り、 僕らにとっては資料の残っていない「幻想の赤壁」なのだから。 そして、赤壁によって三国鼎立の幕開けにつながったのは 確かなのだから。 (このへん最後にト書きで正史の記述に言及したことによって、 幻想的であった蒼天赤壁がちゃんと史実に引き寄せられたように 感じて、非常におさまりよく思いました。) 長坂がちょっと退屈ぎみだった僕としては、 曹操の昏倒と行方不明から始まるこの赤壁、 演義をトレースされるよりずっと引きこまれたのです。
そして、蒼天赤壁の最たるものが孔明の解釈。
「陳寿の記す 正史・武帝紀(曹操伝)に 諸・葛 亮 孔・明 その名は どの一字として 遺されてはいない」 つまるところGONTAさんは、これが描きたかったのではないか、と思います。
そこを落としどころと見て17巻〜24巻の「第2部・諸葛孔明編」 を見ると、見事にまとまっているように思うのです。 「蒼天航路」という作品において、 「曹操にとって、孔明とはなんであったのか」、 この長い孔明編は、すべてそこに収束していく物語だったと思います。
曹操の脳中に引っかかりもしなかった「孔明」という名前。 曹操の脳中で特別な輝きを持った今回の「劉馥」のエピソードが、 まさにそれと対応している。
あの孔明対曹操。 「曹操! お前の目指すものは およそ人間が為し得る極致ではないか!」 「どうだ曹操! 私はおまえの究極の理解者だ!」 「私は何もかもを知り尽くしている!」 「なのにこの孔明を知らぬというか!?」 ラスト、このへんの盛り上がり、 僕としては読み直すたびに、肌が粟立つような 「ゾクゾク感」を味わえます。
孔明の解釈は、やはり「天才書生」。 まだ26歳ですし、ずっと草濾にひきこもっていたわけですし。 一貫して、「苦労しらずの書生評論家。若造。」 として読んでおりました。 (もしくは2の解釈で、「所詮人の世になんの益ももたらさぬ神仙、またはそれを目指す輩」でもいいんですけど。) 天才は天才であり、遠くまで見える奴だけれども、 所詮桃源郷で論を弄んでいたに過ぎない。 開眼した後の劉備のセリフ、 「もしよお、その異形の才でも手におえねえと思ったならかまうことはねえぞ いつでも桃源郷に帰ったらいいんだからな」 と言うのは、何年ものた打ち回って天下を生きてきた 「大人」劉備の強烈な皮肉だと思います。 (「書生」を「神仙」、「大人」を「人間」、と読み替えても、 そのまま当てはまるかと。) …それでもこの劉備、目に暖かさがこもってますよね。 この時点で精神的に完全に孔明の上に立ってる。 この時の孔明の表情も、実にいい。
で、赤壁後。 ぼろぼろになった孔明が「玄…徳…様」と言って帰ってくる。 やられてみるとかわいい奴です、孔明。 これから実際に地の上をはいずりまわって「実の仕事」を 打ち立てていくのでしょう。 赤壁までの万能超人ではない、北伐も成し遂げられない、 だけれども貴重な、泥塗れで生きる人間・孔明に繋がっていく。 なかなか面白い流れなのではないか、と思っています。 もともと演義でも赤壁の万能超人ぶりと北伐以降の地道な努力家っぷりに違和感を感じてたので、終わって見るとこの孔明、 蒼天劉備や蒼天董卓を見た時に近いくらい 新たな孔明像としてしっくり来るようになりました。
4、 赤壁は孫呉の、周瑜の闘いであって欲しい! …という思い
…これに関しては、 周瑜と魯粛の会話 「誰もが勝敗が決したと感じる その次の瞬間をみのがすな それこそがわれらが戦を動かすほんとうの機だ」 (戦が決したその先…? この人が考えてる勝機は江上にはない?) コレに期待。 赤壁はあえて「孔明編」のクライマックスに持ってきて、 孫呉の見せ場はこれから! だと思っております。 赤壁は孔明編のラストであると同時に 孫呉編のプロローグである…と、いいなあ(笑)。 赤壁中に張られた複線、再開後 ちゃんと生かしていってるように見えるし、 「なにゆえ合肥?」BY周瑜 「ふふっ 孫権 どんな顔をしている?」BY曹操、 などを見ても、期待してもいいのではないかと。
まあこの辺は、先を見てみないと分からないんですけどね(笑)。
5、 むだいさんの言われるように、行政への複線。 飯をかき食らいながらの人材登用。 とにかく貫かれてるのは「人間」。 孔明が曹操の脳中に少しも残らなかった、と言うことが 今の展開との鮮やかなコントラストになっていると思います。 「曹操」と言う人間を描くにあたって、17〜24巻の孔明編、 というものの位置付けが、見えてくるような気が。 「なげーよ」という気もしますが(笑)、そこはそれ、 三国志演義最大の超人、諸葛孔明が相手ですから。 全力でやっつけないと(笑)。 それに長坂は「劉備」と言う主題の完結にもなっていると 思いますしね。 (これ以降、蒼天航路において劉備のエピソードは、 そんなに必要ないと思っています。)
今回の劉フクのエピソードはかなり感慨深かったです。 「蒼天航路」を通じてのテーマ、 曹操が望んでいた人の営みが再生した天下、 それが遂に形になって来たのかな、と。 初期の、宦官の跋扈や売官がはびこってた頃の漢の世とか、 「色とりどりに人材を集めてもなかなか上に抜け出してこない」 と嘆いてた頃とかに比べて、着実に天下は曹操の理想に近づいてるみたいです。 最初に抜け出してきたのが郭嘉。 そして今各地で無数の「劉馥」が生まれてるのかも。
孫権に関しても、「念入りに量っている」んですよね。 曹操にとって、覇業は人の再生のための「手段」であり、 「目的」ではないのかな、と思ってみたり。
蒼天航路の、完結の形が見えてきた…かな。
うーん、結局長くなってしまった… しかも表現しきれてないような。 まあ、概ねこんな感じで見てます。
確かに「昔期待していた赤壁」とは違いました。 でも、それを捨ててまっさらの状態で見たとき、 「もしかして凄いんじゃない?」と思ったのです。 ひいきの引き倒しの可能性もありますけど(笑)。 でも、実は僕は長坂編の時に退屈でいったん蒼天見放しかけたんですけど、孫呉の会堂あたりからまた毎週何回も読み返すようになったのは確かなんですよね。 演義ベースの赤壁、 曹操にとってたいしたダメージじゃなかった赤壁、 周瑜対曹操の赤壁、ネット上で予想されてたあらゆる赤壁が、 実際に描かれた蒼天の赤壁には及ばないと思うのです。 上の路線だったら果たして満足したか…? 僕としては、この展開を知ってしまうと、もう物足りなく感じてしまいそうです。
単純なエンターテイメントの快感原則の意味でも、 赤壁の後半は気持ち良かったっす。 「死淵の交わり」で、孔明の精神攻撃を「かはっ」って笑い飛ばした曹操に「おっしゃ!」。 「私は曹操に汚された」で「うっしゃ!!」。 「くどい」で「うりゃーーー!」(笑)。 そこまでの孔明の跋扈が強烈だっただけに、 僕としては曹操はヒーローでしたね(笑)。 普通に考えたら赤壁なんてどうしても劉備・周瑜側で描かなきゃ気持ち良くないだろうに、読んでていつのまにか曹操側から見ていて、カタルシスを感じた。 うまいなあ、と思ったんですけど…。 うーん、そう感じた人、少数派だったのかなあ…(笑)
うーん、だいたいこんな感じです。 言葉にするとなんだかうまく表せてないような…(笑) 長文乱文、失礼しましたー。
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No.5232 - 1970/01/01(Thu) 09:03:31
| ☆ Re: 赤壁考 / 楊奉 [関東] | | | | うわっ、長ッ!! すすすすみません〜。
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No.5233 - 2002/03/12(Tue) 15:01:26 |
| ☆ 孔明と曹操 / ヴィエリ〜 [関東] | | | | ここでははじめて書き込みます。
楊奉さんの赤壁考を拝見しました。なるほど・・・・・・ゴンタ先生の赤壁の戦いは、曹操を書いていたのと同時に孔明も描いていたのですね。
たしかに、演義での孔明の非人間的な行動は、物語だからと割り切れない部分があります。しかし、 「諸葛亮の名はどこにも記されなかった」 という部分、これだけで従来の孔明像をブチ壊したことに成功したといえるでしょう。 私たちの諸葛孔明というネームバリューは、天下に鳴り響いているといっていいです。その名は軍師の代名詞にもなっています。 だが、正史における孔明の業績は、はなはだかんばしくない。陳寿という作者に恨まれたこともありますが、曹操だけでなく、司馬仲達にさえ軍略に劣ったことを考えれば、やはり名前だけが先行してしまったと言わざるを得ません。 もちろんそれは孔明だけに原因を追求することはできません。蜀は人材が少なく、また登用する意思もなく、全て孔明任せだったのも事実。 孔明のきちんとした評価は、正しくは政治家であり、将軍ではない。 政治家とは、行政をつかさどる人であり、外交で国を助ける人、法律を施行する人です。
赤壁最終回で曹操が「くどい」といったことで、それまで仙人だった孔明をただの人間に帰させたゴンタ先生。しずんでいく様は、まだまだ若く、それゆえに脆さをある普通の人間の貌でした。
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No.5235 - 2002/03/12(Tue) 18:34:19 |
| ☆ Re: 赤壁考 / 海 | | | | なるほど! 楊奉さん、深いですね。 そういえば蒼天航路は三国志に材を取った「漫画」でした。 どうも最近「蒼天航路」ではなく「三国志」を読んでいる気になっていたようです。 自分はまだまだ修行が足りませんね。
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No.5236 - 2002/03/12(Tue) 19:39:59 |
| ☆ Re: 赤壁考 / はくあ [関東] | | | | 楊奉様の文章楽しく読ませていただきました。 私は肯定も否定もなにも、そのまんま蒼天航路としてすんなり読んでいたのですが、赤壁で感動してカタルシスを感じた点では楊奉様にとっても共感できました。魏が好きな私にとって三国演義で描かれる赤壁はストレスを感じる場面でしかなかったのですが、蒼天の赤壁は妙に爽快だったことは確かです。
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No.5237 - 2002/03/12(Tue) 19:58:35 |
| ☆ Re: 赤壁考 / come [近畿] | | | | うわっ、今まで見た中で一番長い。 とりあえず、お久しぶりです、楊奉さん。 僕は赤壁肯定派です。否定はしないし絶賛もしないと言う、なんともつまらない派閥ですが(笑)
>1,2 あれをすべて比喩だと捉えるのは無理が無いでしょうか? これまでの超常現象は数コマ程度でしたが、さすがに数週間にわたって続いては...
>3 「孫呉の会堂」、「曹操の書状」これは面白かった。絶賛できます。ここから開戦となるのですが、なんか、どーでもいいような気がするんです。甘寧とか。(ファンが多くいるのは承知のうちです)
あとはやっぱり孔明ですね。あぁ、僕の思いはヴィエリ〜さんが代弁してくれました。曹操が「くどい」「出直して来い」と言ったのを、「孔明カス扱い」としてしまっては赤壁の意味が無いし、三国志にもならない。やっぱり欣太先生も孔明をそれなりに評価した上で、演義などの異常なまでの孔明像を破壊しようとしたのだと思います。で、この異常なまでの孔明を表現したのが、あの超常現象。妄想、空想の類でしょ。いわば、電波。
ここまではまさにかつてここに書き込んだ人がいたように、まさに「蒼天航路はロックだ」です。ただ、面白くなかったといわれる原因は破壊はあったもののたいした創造がなかった、点でしょうか。終わりかけに人材の話がちらほら出て来たものの、やはり周瑜。周瑜がほとんど活躍しなかったために、ポジティブさがなくなってしまったような気がします。登場した周瑜もネガティブなところばっかりでしたし。今までの「董卓にも呂布にも陳宮にも袁紹にも華」が周瑜には無かったんだと思います。華があるべき武将のはずですがね。
関係ないところでは、267-268ですかね、あの熱と冷、静と動の表現には一瞬、漫画を越えたっ!って思いましたね。今後に期待です。
こういう日にゃ 詩才のないのが腹立たしくなる
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No.5238 - 2002/03/12(Tue) 21:44:05 |
| ☆ Re: 赤壁考 / どらちよ [関東] | | | | 楊奉さん、はじめまして、でしょうか? 深い考察、読ませていただきました。私は文章力が無いので上手く言えませんが、楊奉さんの考察を読んでるだけで感動しました。でも私は赤壁肯定派とは言えなくて「い〜だけどやっぱりアレが気になっちゃう派」です(笑)否定したくない派ってやつでしょうか?いかんね、頭が堅いでしょうか。
>3 >「曹操にとって、孔明とはなんであったのか」、 この長い孔明編は、すべてそこに収束していく物語だったと思います。
ここの部分、激しく同意です。 最後の流し方といい、赤壁編は単に歴史上の戦いを描こうとしたものではなく、重点を置かれていたのは孔明の存在価値だったのかな?と思います。
海さんのいうように、私も最近、蒼天というよりは「三国志」を追っていたような気がします。まあそれはそれで楽しいんですけれど、”正史はこう、演義はこう”っていうよりも”でも蒼天はこうじゃぁ!”っていうのがあるから面白いんですよね。 …それがちょっと妖怪だったから驚いただけで(;^_^A
あぁ、なんだかまた赤壁編を読み返したくなってきました。
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No.5242 - 2002/03/12(Tue) 22:34:36 |
| ☆ Re: 赤壁考 / ネオ [地球外] | | | | 楊奉さんお久し振りです。 私は、赤壁絶賛派というほどでもないですが、 それなりに楽しめた派なので、赤壁考は、嬉しかったです。
>演義ベースの赤壁、 >曹操にとってたいしたダメージじゃなかった赤壁、 >周瑜対曹操の赤壁、ネット上で予想されてたあらゆる赤壁が、 >実際に描かれた蒼天の赤壁には及ばないと思うのです。 >上の路線だったら果たして満足したか…? >僕としては、この展開を知ってしまうと、 >もう物足りなく感じてしまいそうです。 私はこのへん激しく同意です。
関係ないですが改めて赤壁編読み返したら 孔明、なんかいじらしい奴に思えました
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No.5247 - 2002/03/12(Tue) 23:23:28 |
| ☆ Re: 赤壁考 / TATSU@管理人 [関東] | | | | ヴィエリ〜さん、はじめまして。蒼天考へよこそ。 ちゃんと順を追ってGuestBook、人物考を経てメインBBSへいらっしゃいましたね。 じっくりレスつけたいとこですが、ここは楊奉さんのスレなんでまた後日。
さて、楊奉さんの赤壁考、楽しく読ませて頂きました。 「否定したくない」派としては心に響くものがありました。
「1」は微妙なとこですが「2」の『神や妖精がいたと信じられていた時代の人間を描くには、神や妖精も本当にいるように描かねばならない』というのはなるほど!と唸りました。でも管理人的には『ストーリー展開に大幅に拘わらない範囲で』っていう条件がつきますが...
「3」については意見が分かれるところです。霧中の緒戦や孫呉の会堂、曹操の書状などが秀逸だったことは意見の一致するところです。しか〜し >蒼天なりの不可思議な、大きなイベントにしてしまったことは良かったと思います。 ここは違うんだな〜。管理人的にはコツコツ積み上げた「伏線」を台無しにしてしまったように思えるんです。 楊奉さんの意見とは「真っ向対立」するようなカキコですが、以前管理人が書いた「赤壁考」を読んでいただけますでしょうか。(上の「記事検索」から「伏線の放置」というキーワード入れると表示されます)
孔明についてはあの「妖術使いまくり怪物化暴走」は未だに納得いかない(そこらへんは連載考に嫌というほど書き込みました)のですが、楊奉さんの
>曹操の脳中に引っかかりもしなかった「孔明」という名前。 >曹操の脳中で特別な輝きを持った今回の「劉馥」のエピソー >ドが、まさにそれと対応している。
これは確かに言えてるような気がします!そーいう意味では「曹操はなぜ孔明を認識しなかったか」はこれから「曹操が誰にどういうふうに興味を持ってゆくか」で明かにされそうですね。
さて「4」と「5」 ここらへんは激しく同意です!!
>赤壁はあえて「孔明編」のクライマックスに持ってきて、 >孫呉の見せ場はこれから! だと思っております。 >赤壁は孔明編のラストであると同時に >孫呉編のプロローグである…と、いいなあ(笑)。
ホント!ホント!それ管理人の気持ち代弁してくれてます! そうじゃなかったら周瑜や孫権が何の為に「苦悩」したり「決断」したりしたのかわからなくなります。
>今回の劉フクのエピソードはかなり感慨深かったです。 >「蒼天航路」を通じてのテーマ、 >曹操が望んでいた人の営みが再生した天下、 >それが遂に形になって来たのかな、と。 >初期の、宦官の跋扈や売官がはびこってた頃の漢の世とか、 >「色とりどりに人材を集めてもなかなか上に抜け出してこない」 >と嘆いてた頃とかに比べて、着実に天下は曹操の理想に近づいてるみたいです。
な〜るほどね〜。 これからの展開次第で赤壁編も納得できるものになってくれるのかな。って余韻を残すカキコですね。
楊奉さんどうもでした〜。
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No.5248 - 2002/03/13(Wed) 00:26:00 |
| ☆ Re: 赤壁考 / BUN [近畿] | | | | 楊奉さん、『蒼天赤壁篇』絶賛派のとっても貴重なご意見、こうゆう視点からのご意見伺える機会いただけたこと、ほんとうれしいです〜!! 蒼天赤壁考@楊奉さんver.とっても興味深く読ませていただきました! んでは、連載時「感情的否定...でもあきらめない」派としてたった一人ダダをこねた(笑)BUNの立場から、このご意見に対して思うこと述べさせていただきたいと存じます〜!!
>1、超常現象系はすべて比喩表現 これは、孔明がらみの不思議現象はすべて、孔明側から見た心象風景であると解釈して物語を読むこと、と考えてよろしいでしょうか? 私は個人的にもこの考え方は当然「あり」だと考えております。ってゆうかそう思わないとツジツマあわない...とゆう気持ちで見ておりました。 この点に関しては、表現方法には違和感を覚えますが、...可能であるという表現に賛同致します。
>2、 >「神や妖精がいたと信じられていた時代の人間を描くには、神や妖精も本当にいるように描かねばならない」 楊奉さんの引用なさったこの点は、違う文化背景を持つ人間の心理などについて、整合性を持たせて描く上で非常に重要なことを端的に表現なさっていると感じます。 ではこの『蒼天航路』ではそれはいつの時代の事なのか?...といえば、あくまで基本は『正史』の時代こそがベースにあると、私は考えております。 1300年をも経て数多の民間伝承を吸い上げ、その時代の政治背景をも加味して紡ぎあげられた『演義』の時代ではなく、そしてましてや三国志の名を借りただけのオリジナルファンタジー世界を描いている訳ではないと考えております。 『正史』をベースに、それを補う裴松之の「注」、ひいてはそれらを元にした物語として民間で独自に発展した『演義』の魅力あるエピソードも、独自解釈してさらに加えてゆく、この『蒼天航路』はそうゆう意味での、独自の三国志観を創り出しているものだと感じておりました。 それこそ、科学史観での考証にも耐え得る「器のでかい物語」なのだと。
...細かく突っ込むと「天文を読む」行為は、当時の科学知識の観点から、その当時そこに息づいていた人々の世界観や文化背景を伺う観点でみることで、整合性ある人間像を描けると感じております。 .......し、私見で恐縮ですが...確かに野暮ですね、私...
>3、 私は上で述べましたように、基本はあくまで『正史』であると考えております。 楊奉さんご指摘の、 >霧中の緒戦や孫呉の会堂、曹操の書状など、面白い事していると思う。 ここはまったく同意です〜!!はじめて単行本で読んだ時、心臓バクバクして、夜眠れなくなりましたから〜!(やはりアホな私) 『蒼天』ならではの独自解釈を加え、しかも非常におもしろく、物語として人の気持ちの流れとして、整合性感じました。
ですが、だからこそ!『正史』の資料が少ないからとゆう理由では、はしょれないと思うんです。 ここには『蒼天』独自の、人の動きや気持ちの流れが、戦という形で、そこに確かにあったはずだと思えて仕方ありません。...それが突然掻き消されてしまったことが、私にとって悲しいことだったんです... そう、それが「赤壁によって三国鼎立の幕開けにつながったのは確かなのだから。」です。 TATSU殿の仰る「伏線を台無し」に通じるものあるんですが、私は、この伏線はまだこれから活きてくるものだと、当時から信じ続けております。
>このへん最後にト書きで正史の記述に言及したことによって、 >幻想的であった蒼天赤壁がちゃんと史実に引き寄せられたように >感じて、非常におさまりよく思いました。 楊奉さんの仰る、この『正史』の抜き書きは、私にとっては、物語を冷ましてしまう『野暮』に感じられてならないんです...(私にとってです) 私は『蒼天航路』としての、この独自の舞台の上その場に存在したハズの人々の、整合性のある気持ちの動きを、『蒼天航路』赤壁として漫画の中で表現されるものを見たかったんです...。 もちろん、それをあきらめたりしませんけどね〜! ...このあたりも、突き詰めるとまた好みの問題...なのかもしれませんが......
>曹操の昏倒と行方不明から始まるこの赤壁、 >演義をトレースされるよりずっと引きこまれたのです。 ...もしここまできて『演義』のトレースであったとしたら、私は、好みの問題以前に、上記の説をすべて捨てざるを得ません。そりゃもうBUN大暴れの予感です(笑) もちろんこれも『蒼天航路』独自の解釈として、非常におもしろく感じておりました。 ...孔明に関する一抹の不安の予感を孕みつつも... (このころ、実際には連載で読んでいなかった私が言うのは、甚だ僭越ではありますが)
>そして、蒼天赤壁の最たるものが孔明の解釈。 『蒼天航路』における孔明という人物については、『正史』をベースとしたとはとても思えないほど『蒼天』独自の孔明を描き出していたと思っておりました。以前の人物考BBSに書いた覚えありますが、『蒼天』孔明はメンタル女性として描かれているのかと興味深く思っておりました。 ちなみに、私、『演義』の孔明苦手です...読みながら暴れます。精神的にぐったりです。でも別に嫌いなわけではないんですが... そんな私にとっては、感性の赴くまま天下を語る『蒼天』孔明は、まさに世間知らずの井の中の蛙の自意識過剰女(私が言うなよ)に見えて仕方なかったです。そして、それこそが、この『蒼天』の舞台に結構整合性ある存在に思えて、おもしろいと思っておりました。...妖術使ったりしなくても、十分。
>「蒼天航路」という作品において、 >「曹操にとって、孔明とはなんであったのか」、 『正史』をベースとするならば、孔明はまったく関わりないのだと、...まだ『正史』詳しく読み込む所まで至らないものですから、裏付けなくそう思っているに過ぎない私ですが、そう考えております。 ならば『蒼天』での、この曹操対孔明は? 『演義』のファンタジー路線に対するアンチテーゼ(?)を、それまで『演義』とは一線を画し続けてきた『蒼天航路』が、わざわざわかりやすく付け加えて、それらを一緒に同時に語るようになってしまったことに激しい違和感を感じたことが、私が赤壁篇を「感情的に否定...」することになった要因の一つです。私は物語の中から外に放り出される感覚をここでも味わっておりました。 あえて『演義』を相手にする必要性があったんだろうか?と疑問が残りました。 『蒼天』の孔明ははじめから「神仙」である必要などないのに、そしてそれを真人間化する演出過剰な儀式も、なにもあの場面で同時に終わらせることもなかったのではないかと... ...どうして他に例の少ない、あの孫呉の息遣いや血肉の香る赤壁を描く途中で...
>ラスト、このへんの盛り上がり、 >僕としては読み直すたびに、肌が粟立つような >「ゾクゾク感」を味わえます。 ですが、その儀式の持つ意味は、私もまったく理解できないわけではありません。 従来の三国志モノや『演義』の孔明像を、より詳しくご存じの方ほど、きっとこの従来の孔明像を打ち壊すこの内容に関しては、感じる部分もより大きいものなのかもしれない...と、その点に関しては、私も『蒼天航路』において欣太氏が描いたこの孔明には、意味深いものがあると評価するところです。(...まだ三国志知って一年のお前がなにゆうね〜ん!ってツッコミは後でお伺い致します...)
>開眼した後の劉備のセリフ、 >「大人」劉備の強烈な皮肉だと思います。 これ激しく同意です。...そして、その劉備はほんとに魅力的だと思います〜!
>4、 >赤壁は孫呉の、周瑜の闘いであって欲しい! …という思い 『蒼天』はあの赤壁で、その瞬間まで確実に感じとれた、孫呉の、周瑜の息遣いを、物語の途中で消し去ってしまいました。 彼らの、あの時の、あの静かで熱い想いは、どこへ消えたんでしょうか...。 ...あの状態で、そのまま結果だけを見せられるようなあのト書きは、『正史』の抜き書きであって、あのときそこにいた『蒼天航路』の彼らではないんです!! >赤壁はあえて「孔明編」のクライマックスに持ってきて、 >孫呉の見せ場はこれから! だと思っております。 >赤壁は孔明編のラストであると同時に >孫呉編のプロローグである…と、いいなあ(笑)。 ええ、もうまったく同意です。私もそれを信じ続けておりますとも〜!
>まあこの辺は、先を見てみないと分からないんですけどね(笑)。 ...釘を刺された気分です...
>5、 >むだいさんの言われるように、行政への伏線。 >とにかく貫かれてるのは「人間」。 特に最近のこの描かれ方は、非常に土の匂いのするような、Mazurkaさんの仰っていた「地に足のついた展開」で、これに加えて行政面から見た、この当時の人々の生き様が浮かび上がる展開には心踊ります。
>「蒼天航路」を通じてのテーマ、 >曹操が望んでいた人の営みが再生した天下、 >それが遂に形になって来たのかな、と。 それこそこれからの展開として期待するところです〜!!
...ただひとつ。です。あの時そこに息づいていた孫呉の彼らの息遣いを、改めて見せていただきたい。 ほんとにその部分だけは、私にとって、いまだに譲れない想いなんです。
うわ〜...私も長げぇよ〜!!TATSU殿、ごめんなさいい〜!m(_ _)m ...DCのコントローラーでの入力、少し魂削りました...(大馬鹿)
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No.5261 - 2002/03/13(Wed) 13:31:28 |
| ☆ Re: 赤壁考 / むだい [関東] | | | | 楊奉さんの「赤壁考」、大変興味深く拝読いたしました。 孔明の解釈については、かつて私もこちらの掲示板で試みたことがありますが、ほぼ同様の解釈であったかと思います。書き込んだ当時、「赤壁編」は非難ごうごうだったので、わずかなりとも「孔明の変貌」の道筋をたどることで「蒼天赤壁」の弁護をしたかったということもありました。かなり大雑把でしたが。
>「曹操にとって、孔明とはなんであったのか」 私、逆だと思ってました(笑)。孔明を目覚めさせたのは曹操だと。 「孔明にとって曹操とはどんな意味を持つのか」
>ヴィエリ〜さん はじめまして。どうぞよろしくお願いします。 >まだまだ若く、それゆえに脆さをある普通の人間の貌でした。 演義では後世の人々の期待や憧れが赤壁時の孔明にフィードバックしてるようで、話が進むにつれ孔明像に違和感を感じますね。蒼天孔明には劉備を見習って、もっと苦労してほしいです。そして曹魏にリベンジを(笑)。
>伏線の放置 「蒼天赤壁」は私にとっては収束点であるけれども、帰結点ではありません。 孫呉の扱いにしろ、行政官の任命にしろ、村での民とのかかわりにしろ、赤壁後に何らかの意味を持ってきている。儒との対立は今後も見逃せませんし。 赤壁までの様様な伏線のすべての帰結を、赤壁編中に求める必要もなく、赤壁が終わってすべてが新しく始まったわけでもない。 赤壁中に放置されたと思われた伏線は、まだまだ生きていると思いますよ。特に劉馥のエピソードにはそういう意味でも安心しましたが。
|
No.5262 - 2002/03/13(Wed) 13:32:42 |
| ☆ Re: 赤壁考 / TATSU@管理人 [関東] | | | | おお!なんか皆んな赤壁語らせると熱いですな! BUNちゃんは楊奉さんにひけをとらないロングカキコだ。
>赤壁中に放置されたと思われた伏線は、まだまだ生きていると思いますよ。
そうですか。だったら嬉しいのですが...
|
No.5270 - 2002/03/13(Wed) 23:58:05 |
| ☆ Re: 赤壁考 / 舞 [北海道] | | | | さすが赤壁!皆さん独自の考えを持っていらっしゃる! 魏ファンには赤壁はストレス増強なのですがこれは割と大丈夫でした。 食中毒事件、一人でケナゲに頑張る荀攸、会猟の書は孔明の捏造と言う設定はすごく気に入っています。 しかし赤壁編で一番「う〜ん!なるほど」と思ったのは「陳寿の記す 正史・武帝紀(曹操伝)に諸・葛 亮 孔・明その名は どの一字として 遺されてはいない」と言うところ。正史に諸葛亮の記述がないことをここにこういう風に持ってくるのはもう、「巧い」ですよ!そういえば長坂の最後の方から伏線がありますね。 ただ赤壁で気になるのはちょっと孔明が多すぎるような・・・確かに超常現象の類はこの時代の話を書く上では必要であるのも理解はできるのですが読む側は現代人なのですから、ちょっとわかりづらかったかな?別の形で正史の話を持ってくる方法もあったかも知れませんねー。 赤壁編は否定派でも肯定派でもありませんが孔明の妖術シーン(比喩表現だとしても)がもっと少なければより好きになるかも。ここは好みの問題かもしれませんが・・・ あー、文才が欲しい。
|
No.5273 - 2002/03/14(Thu) 10:16:40 |
| ☆ Re: 赤壁考 / MASA | | | | みなさんそこまで考えて読んでるんですね・・・ 私はただ三国志(曹操)が好きなんで読んでいるんですけど う〜んなんか、ただ読んでるだけの自分は甘いです
|
No.5274 - 2002/03/14(Thu) 11:04:49 |
| ☆ Re: 赤壁考 / RUN [東北] | | | | なッがーいスレッド!!読みくたびれました。でも皆さん熱いですね。ここってソフト路線じゃなかったけ。かつての流砂の勢いがありますね。
自分の赤壁考はストップしたまま。DAIさんには悲痛そうだったと言われているし・・・。正直!!つまんなかったです!!ああ、言っちゃった・・・。でも認めたくない、認めたくないと思いつづけて支離滅裂になっていました。大体にして天下人不在の戦でしたよね!!凡人対凡人の戦いって感じで。陣形を創ったのはジュンユウだし、連結船体の策は張遼だし、火計や黄蓋の投降策はゴサンだし、肝心のところで曹操は寝てるし、孫権はどっか行っちゃうし、劉備は月が満ちるまで寝てるし、孔明は宇宙人になっちゃうし・・・。
ともあれ、今なら落ち着いて楽しめます。
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No.5346 - 2002/03/16(Sat) 23:13:13 |
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