■2008.10.15(Wed) 大統領さんからのお題:らこ

以下、大統領さんからもらったお題『酒の席』で小ネタ。



酒場に響く武勇伝。

嘘が誇張か壮大に。

酒のみ達は手を叩き、

涙を流して聞き惚れて。
どうせ全ては一夜の夢さと。

今日も素面の酒場の主は、

夢の戦場物語る。



タイトル:酒の席



最近、大きな国や街の方じゃ、緑が減って困ってるって話だ。

誰がって?妖精や聖霊さ。

追い出された妖精さんは、行き場を無くして困ったさ。

放浪の先、彼らは人の世で最も夢のある場所に落ち着いた。

それはどこかって?

そりゃお前、うちの酒場に決まってんだろ。

人が出会って、時には愛なんか生まれちまって。歌って騒いで祝い酒よ。夢を語って、夢に溺れて、夢の中だ。

この世にこれ以上幸せな場所があるかよ?いや、ねえな。

ほれ、昨日から来てる美人の歌い手がいるだろ?彼女なんて間違いなく妖精だぜ。


あ?じゃあ何で翌朝頭痛がするのかって?

まあ確かに、酒が過ぎりゃ気分が悪くなるし、騒ぎが過ぎりゃ喧嘩もあるわな。

そりゃそうだ。
お前、こんなイイ店妖精さんだけが占拠できる訳ねぇだろ。


悪魔だ。

この店は悪魔もお気に入りなんだ。

だから、今日はちょっとだけ…とか思っていても、ついつい飲みすぎちまう。
楽しいじゃれ合いが、取っ組み合いに一足飛びだ。
苦労話は笑い話で、嘘は美味い酒のつまみよ。

全部悪魔のイタズラってやつだ。


あ?あの美女が妖精なら、悪魔はどこにいるかって?


そりゃお前、さっきから目の前でホラ吹いてるヤツに決まってらあ。
( ´ー`)



■2008.10.13(Mon) 超小ネタ投下3:らこ

「犯人に告ぐ!おとなしく出てきなさい!
 君のお母さんも…いや残念ながら実家を割り出すことができなかったんだが…
 お母さんというお母さんが泣いているぞ!」

「それは大惨事だ」

「とんだ女性の敵だなアンタ」


タイトル:追う者と、追われる者と2


それは、ある天気のよいお昼時。

ある街の宿屋の前の大通り。

4人の仕事熱心なおまわりさんが、
犯人の立て篭もる宿の一室に大音声を響かせていた。

買い物に行き交う人々は、
迷惑そうに、はたまた興味深そうに、
少し距離を置いてそれを眺めていた。


一方、宿の二階の一室では、
二人の旅人が、一つしかない窓の左右で身を隠しながら通りを見下ろしていた。

「アンタ今度は何やった」

旅人の一人――術師風の旅人が、もう一方に恨みがましそうな視線を向けて言った。

大した事ではないのだが。と睨まれた方の旅人――剣士は前置いてから言った。

「私が放った火種が、彼の心に火をつけてしまったみたい」

「精神論の問題じゃねえよな。
 物理的に火いついてるだろそれ。
 普通に犯罪じゃねえのか」

「仕方が無かった。止められぬ衝動だったんだ。
 こう、いかにも焼き芋始めます。
 といった風情の落ち葉が、彼らの詰め所の前に準備されていてな…」

「…一気にどうでもよくなった」

「食べ物の恨みは恐ろしい。と身をもって学ばせて貰えた訳だが」

「集団で職務放棄して、私怨に走る動機になる程にか」


「しかし、いい機会を貰えた」

「この状況が、いい機会、ね。
 見上げた自虐癖だが、頼むから俺を巻き込んでくれるな」

「一度、やってみたかったんだ」

「周辺住民を敵に回してみる暴挙をか」

剣士は、部屋の隅に置いていた某・聖夜にプレゼントを配る老紳士のような大きな白い袋を持ち出し、袋の口を広げて見せた。
中には、一週間を楽にすごせるだろう量の大量の食料。

「篭城戦」

「……せめて強固な砦でも準備してからほざきやがれ」

セキュリティや耐久性なんてあったものではない、
申し訳程度に鍵一つ付いた、木造の宿の一室で。

この城、もって半日程度か。と。
術師は、無駄に疲れた気分でため息ながらに見積もりながら。

警察が無駄な時間の浪費に気づいて諦めるのが早いか、
それとも、やはり無駄な説得を諦めて、この薄い扉をぶち破るのが早いか、
はたまた、おまわりさんの職務怠慢を周囲が咎めるのが早いか。

そんな、この茶番の結末と。

今のうちに退路を探してみるか、
自分は無関係で、人質として巻き込まれたんだと訴えてみるか、
今の内にこの馬鹿おまわりさんに突き出すか。

どれが一番自分にリスクが少ないだろうかを、
馬鹿ばかしさにまともに動いてはくれない頭で考え。

何はともあれ。

全部この馬鹿黙らせてからだな。

と一応の結論に、術師は心中で頷いたのだった。


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術師で何かドタバタしたくだらない話を書こう!
と思ってもまったくネタが浮かばず、
苦し紛れに配役を剣士に譲ったところ、
一発で固まったネタ。
何か、大切な事を忘れていたようです…
...φ(・ω・` )



■2008.08.15(Fri) はるとりょ

一つ下の話、術師はきっと剣士と僧侶の発言に

「お前らと話した俺がバカだった、もーいいから黙ってくれ」

と投げやりな言葉を発したのでしょうね。


むしろ職業安定させてくれるならいいじゃないか。
...φ(・∀・ )



■2008.08.14(Thu) 超小ネタ投下2:らこ

言葉には魂が宿ります。

善意を持って発する言葉は相手を癒やし、悪意を持って発する言葉は相手を傷つけます。

しかし、投げやりに放たれた言葉は、何も成しません。

近年、こういった何も成さない言葉が年々増加し、我々の国で大きな問題となっています。

よって、根本的な原因の改善の為、近年最も投げやりな言葉を発していると判断された貴方を、指導・矯正の為、当方で拘束致します。

【言葉の国 職業安定委員会】



「と言う内容の手紙が俺宛に届いた訳だが…近頃のイタズラは発想が斬新だと感心するところだろうか」

術師は、そう憂鬱極まった表情で呻いた。

「しかし、質の悪い冗談にしろ、なんで名指しで俺宛なんだ。アンタらの方が余程無意味な言葉量産している気がするがな。聞かされる側として、切実に」

向かいに座る剣士は、それは心外だ。と、しかし無表情のまま返した。

「私は常に、お前との会話を楽しんでいる」

向かいに座る僧侶は、それは心外です。と、しかし笑顔で返した。

「私が何の意図も無く、無意味な言葉を発しているとお思いですか?」



数日後、「言葉の国の職安社員」を名乗る人々に襲われるなどとは、この時術師は考えもしなかった。


20080814 手紙
(・ω・)



■2008.08.03(Sun) 超小ネタ投下:らこ

「今まで隠していたのだが、ついに知ってしまったのか…私が、実は最強の勇者の家系で、魔法大国の王子で、大地主で、最近大ブームのドーナツ屋の店長だと言うことを」

「出来れば秘密にしておきたかったのですけどね…私が、実は世界一の総合企業の筆頭株主で、昨年の印税王で、大陸最大手の銀行の社長で、財界の第六天魔王と呼ばれていると言うことは」

願いが叶う場所。そんな伝承の地を見つけ出し、足を踏み入れた瞬間、旅の連れの剣士と僧侶は、上記の如く宣った。

勇者の子孫は、どんな迷走の歴史を辿ったのだろうか。とか、どれだけ稼げば満足する気だ。とか。

たくさんの言いたい言葉を胸に仕舞い、術師は心底うんざりと呟いた。

「全く、とんだ悪夢だ」

朝、術師が目を覚ますと、見慣れた安宿の天井があった。

願いが叶う場所。結局、おとぎ話の真偽は誰も知らぬまま、寝覚めの悪い珍妙な夢だけが、朝の光に溶け消えていった。



20080802 願いが叶う場所
...



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