■2006.01.03(Tue) 067 歌姫
また今年も 粉雪が舞い落ちる季節が来る
世界を白く染め上げる 何もかも
あなたは覚えているかしら
2人で見た この雪を
あなたの帰りを待つわ この雪を見ながら
あなたの帰りを待つわ いつまでも
私は唄う 愛の歌を・・・
私は唄う この歌声があなたに届くその日まで・・・
大きな港町の大聖堂で、一人の少女が悲しげに唄っていた。観客は誰もいない。
パチ・パチ・パチ。誰もいないはずの大聖堂から、突然小さな拍手が起こった。少女が振り返ってみるとそこには、歳をとり白髪交じりの神父が立っていた。
「メリッサ。いつも、この大聖堂で唄っているね。」
神父は優しく少女に問いかけた。
「人を待っているのです、神父様。」
少女は少し照れながら、しかしはっきりと呟いた。少女は戦争に行った恋人を待っているのだ。生きて帰ってこれるのか、帰ってこないのではないか。一抹の不安と戦いながら、毎日大聖堂で彼への思いを唄っていたのだ。
「メリッサ。明日のミサで唄ってはくれないか?君の歌声をみんなに聞かせてやってはくれないか。」
神父は少女に提案した。人前で歌うことによって、彼女の気が少しでも紛れれば。神父の親心だった。少女と少女の恋人には親はいない。大聖堂の孤児院で育ったのだ。神父にとっては、我が子同然だった。
続く・・・。byまなまな
...φ(・∀・ )