■2006.03.21(Tue) 『旅の仲間』の3バカが微笑ましい(らこ)
実はこっそり気に入っていますヨ、否毛殿(*´▽`)
ええと、先日大統領殿からお叱りを受けました。
『呪い』の僧侶が優しすぎる。と。
どうも、久々に書いたものでうっかり人畜有害さが足りなかったようです。
<以下、思いつきで僧侶練習用小話>
「荷物、重たいでしょう?半分持って差し上げますよ」
隣を歩く知人の僧侶が、やさしくその手を差し伸べる。
「残念だが、遠慮する。そのまま永久に軽量化されそうだから」
荷物の重みにうんざりしながら、しかし差し伸べられた手に目を向けることすらなく、術師は歩き飽きた街道を淡々と進む。
「極度の人間不信ですか貴方。
では、軽くして差し上げましょうか」
さして気にした風もなく、再び変わらない調子で届く慈愛の声。
「それも却下だ。
アンタが荷物触ると金目の物から減っていくんだよ、何故だかなっ」
ちいさく舌打ちのような音が聞こえた後、三度響く変わらないやさしい声。
人通りの少ない湖畔の街道には、相変わらず術師と僧侶以外の旅人の姿は見えなかった。
「では、その袋の中身をその価値分の貨幣に換えて差し上げますよ」
「『その価値分』ってのが微妙にセコイ基準だったから却下だ。
アンタ極秘の換金ルートで妙に高値で売り払って、儲けの大半横取りした上で、微妙に文句言えない絶妙の安値だけ返しやがって」
てか、その換金ルートだけ教えやがれ。と僧侶を睨みつける。
ようやくその日はじめて目を合わせてくれた旅の連れに微笑みながら、僧侶は更に言った。
「我がままですねぇ。
仕方のない。ではその荷物を全部……」
言おうとして、僧侶はふと連れの顔を見て、満面の笑みを浮かべ続くはずだった言葉を入れ替えた。
「持つのは流石に面倒なので、諦めます。
大変そうですけれど、頑張ってくださいね」
途端、今まであれだけ持つな触るなと言っていた術師が「う」っと呻いた。
そして聞こえないと思ってか、ちいさく一言呟いた。
「なんで今日だけ…」
「こんな会話も今日で3日目ですからね。
流石にそろそろ貴方が何かしてくるかと思ったのですよ」
あたりでした?と、言葉では尋ねながらも、絶対の自信をもって僧侶はとても優しそうに微笑んだ。
「道具袋いっぱいの砂って重そうですねぇ。
残念ながら私は持ったことがないですけれど」
しかも中身までしっかりと言い当てられた。
術師はひきつりまくった表情で道具袋から砂を出そうとして、
それすら馬鹿馬鹿しくなって、道具袋ごと道に投げ捨てた。
ひたすら腑に落ちない表情で、軽くなった体で、しかし投げやりな動作で伸びをする術師。
それを見ながら、僧侶はそれは楽しそうに目を細めた。
「砂袋担ぐために本物の荷物は預けてしまっているでしょうから、
次はここから東の町に行って、山賊退治で資金調達ですよねぇ?」
術師はぴたりと歩みを止め、不機嫌極まった表情で僧侶を振り返った。
「なんで、アンタは俺よりも言ってないはずの俺の予定に詳しいんだ…」
人畜無害な笑顔を浮かべ、答える声こそ穏やかに。
「お告げというやつですよ。
黒装束と覆面の、少々地味な御使いが定期的に届けてくれる、ね」
そして次の町の門を潜ると、受け取るはずだった術師の本物の荷物を手に、無表情に歓迎する剣士の姿が見えた。
...φ(´・ω・` )