[ 掲示板に戻る ]

過去ログ閲覧モード


読了直後の『アブダクション』評 - Name: カナメ No.821 - 2004/12/20(Mon) 00:12:43
思いっきりマイペースに『アブダクション』を読み、そして読み終えました。
読後の感想をひと言でいうなら、『時空暴走 気まぐれバス』って、結局「読み切り」だったのね〜、ということでしょうか。あまりにも、未説明なところが多いだけで。
「ラムダって何者よ?」「青首運転手の改悛は何故?」「砂漠の悪魔ってカニかよ!」...といった、諸々の疑問、ツッコミに対する「説明」が、あの長い長いアブダクションシリーズだったと言えるかもしれません。

「つまらない」と評したこともありましたが、最後まで読み切ってみたトータルの評価は、『インフィニティ・ブルー』がシングルヒットなら、二塁ベースは踏んでるかな、てとこですね。面白いところは、しっかり面白かった。
二塁打どまりなのは、ダレ場が多すぎるから。またそれが、面白くなる展開のために不可欠な前振りとも思えない。ワタシがプロデューサーなら、バッサリ切るところは切り、もっと短くさせるでしょう。もっとも、他人にバッサリ切らせるぐらいなら、ダレても退屈でも構わないから、とりあえず書いたぶん全部読ませてくれと言うかもしれません。そういう平井和正読者、なんか多そうですね。
(ノーカット版をeブックでリリースし、ディレクターズカット版を書籍で出版する。という方法もアリかもしれない)

もしワタシが、この作品に一片の面白さも感じることがなかったとしたら、その理由を説明するのは簡単です。こんな物語、面白いハズがないのです。主人公は一見普通の少年だが、実は犬神明も東丈も四騎忍も遠く及ばない最強の呪術師であって、窮地に立たされたり、強力な敵が現れたりすると、「不思議な力」が顕れて、解決して(されて)しまう。作戦もない。実力を身につけるための努力もない。どうかすると、能動的な意志すらない。ナオヤ当人は概して成り行きまかせで、のほほーんとしており、またそれで事がうまく運んでしまう。愛する人の死さえ、取り返しのつかぬことではなく、「不思議な力」で元通りに戻っていたりする。こんな物語に、スリルがあるだろうか? そりゃあ物語なんだから、なんだって描けちゃうよねー。とでも言うしかない。
ところが、これが面白いところはけっこう面白いから困ったもんなんだよね〜。その理由が説明できなくって。それが物語の呪術師・平井和正の「不思議な力」なのか。あるいは、平井和正作品と長年つき合ってきた読者の「不思議な脳内回路」なのか。

ラヴストーリーとしての『アブダクション』は、まさに恋愛シミュレーションゲーム。主人公は魅力的な女性キャラに囲まれ、1プレイ(1作品)ごとに違う女性と恋をする。一度に複数の女性達に手を出すわけではないから、俗世間的な「不実」「浮気者」というには当たらない。だが、プレーヤーはリセットするごとに、恋の対象をほかの女性へと移し、現実には赦されない放縦な願望をかなえる。
恋愛シミュレーションのノベライズ作家が『アブダクション』を読んだならば、「この手があったか」と手を打つことでしょう。物語は、ただひとつの時間軸しかないのではない。何通りの(よく似た、しかし微妙に異なる)物語があってもいいのだと。その意味では、物語のエポックを数々生み出してきた平井和正の天才は、いまも健在だと言えるでしょう。
しかしこれは、ラヴストーリーとして「リアル」ではありません。それは平行宇宙をまたにかけているからでなく、ナオヤと恋をした女性達が、前の世界の記憶を取り戻したにも拘わらず、いまは違う女性と恋をしているナオヤを責める素振りも見せないからです。秘めた葛藤はあるでしょうし、その描写もありますが、現在進行形のナオヤの恋をブチ壊す所行に及ぶことはありません。ナオヤ=プレーヤーにとっては、まことに都合のいい女性達です。その好都合をストレートに甘受して愉しめるか、そこにこそ違和感を覚えるかは、評価の分かれるところでしょう。ワタシは後者です。男が気が多いのは当たり前。それを咎めるほど、ご清潔な人間ではありません。しかし、多くの男がその願望を現実のものとしない・できないのは、女はそれを赦さないからです。自分の男にそれを赦してしまう女は、リアルではありません。絵空事です。
作品世界的に解釈するなら、ナオヤとの恋は、世界を支える女神達を覚醒させるための、プロセスだったのでしょう。覚醒し、己れの使命を自覚したならば、それはナオヤへの想いより優先されるがゆえに、リアルな女性のように嫉妬し醜態を示すことはない。しかし、それは言わば神人の恋です。美紀さんも、ヘレナさんも、メグも、タケムラさんも、稲垣志穂も、みな神人。ワタシにとって切実な、凡俗の徒の恋物語ではありえない。
ワタシは短編集「ストレンジ・ランデヴー」収載の『待っている』を激賞するものですが、それは自分にとり切実な、凡俗の徒の恋物語であり、それでいて凡俗の徒の恋と友情のジレンマを清涼感あふれる筆致で描いてみせ、作家としてストーリーテリングの凄味まで魅せつけてくれたからです。
『アブダクション』はラヴストーリーとしては論外と言わざるを得ません。というより、そもそもラヴストーリーとは違うものなんでしょう。既成のSFともオカルトともファンタジーとも違う、平井和正独特の不思議な小説とでも評するほかありません。


思いついたら舌禍の道を ゆくがオタクのド根性 - Name: カナメ No.820 - 2004/12/20(Mon) 00:00:49
まずは、エノクさんの度量の広さに感謝いたします。
思いついたら、黙っていられない困った性分でして。

本の原価がページ数で決まるように、eブックの原価がバイト数で決まるとしたら、『ウルフガイ』の一話(約2MB)200円も、それほど法外な価格ではありません。というのは冗談ですが、実際もとがデジタルの活字(小説)と、アナログの絵(漫画)とでは、デジタル化に要するコストは(スキャンした画像の補正ひとつ考えても)比較になりませんでしょう。
e漫画が高くなるのは当たり前。ただ、繰り返しになりますが、同じ作品が紙のコミックスが安く売られている一方で、高いe漫画が商売として成り立つかは別問題。eブック版『ウルフガイ』は売れても、eブック版『8マン』は売れませんでしょう。
既刊本をeブック化しても、ペイはしない。にも拘わらず、各出版社が次々と自社本をeブック化するのは、やはり既成事実を作っておきたいのでしょうね。


斬られちまったい - Name: エノク No.819 - 2004/12/16(Thu) 21:35:02
あう!まさかこんな所で斬られて居ようとは(苦笑)
『狼の紋章』は3,500円、『〜怨歌』は2,700円、そういえばそんなのも有りましたけ(遠い目)
小説はPCでも全く抵抗無く読めるのに、漫画は読む気にならない事もあり、すっかり忘れておりました(苦笑)
でも、「ぼくらマガシン」に載ってそれっ斬り が2700円なら高くないと思いますけどね、っと一寸抵抗してみる。


斬り返そうかとイロイロ考えたがネタが纏まらねー!(泣)


「最終版」がどうなのかは、判りませんが... - Name: カナメ No.818 - 2004/12/15(Wed) 12:59:59
>東京丈さん
今日から明日にかけてアクセスができなくなるので、いまのうちに。
アスペクト版が途中までしか出なかったので、依編がDELETEされたのか、それとも本編の先のほう、またはアナザーストーリーにMOVEする予定だったのかは、判らないわけです。
ワタシはそれよりも、インタヴューが本編からハズされたのが残念でね。なんと無粋なと。あれはストーリーの中にあるからいいのであって。

> ↓のカナメさんの書き込み、全然意味わからん(^^;)
とりあえず、「エンタの神様」でも見てください(笑)。


依編削除とは暴挙だ! - Name: 東京丈 No.817 - 2004/12/15(Wed) 12:26:03
 いや、知りませんでした。ボクは地球樹は単行本を持っていましたし、読みたくなったら
その単行本を繰り返し読むだけ。もう6回は読み返したかな?
 というわけで、重い単行本を持ち歩くことになんら違和感ないボクとしては、アスペクト
版とかe文庫版にはまったく食指が動かなかったわけであります。だ・か・ら。知りません
でした。まさか依編が削除されていたなんて。するとあれですか? 必死に写経する修行
シーンとか、おかしなロザリオに惑わされるクラスメートとの確執とか、そのあたりまる
っきり削除されていたのですか? う〜むだとしたらそれは改悪としか言いようがないな。

 なんだか最近依がお気に入りなんです。どうしてでしょう。特に美少女でもなくて、特
別な力も定められた運命とかもない。あえていえば千枝様と親戚だっただけ。
 おそらく、普通の少女が「努力」と主人公の少年への想いというただそれだけで、特別
な才能や容姿あるいはぶっ飛んだ性格に恵まれた(それって恵まれたことになるのか?)
存在である「メインキャラ」達と対等に相対する平井ワールドからすると希有なキャラク
ターだったからではないでしょうか。
 空気読めない奴で済みません。↓のカナメさんの書き込み、全然意味わからん(^^;)


凄く高いですから! - Name: カナメ No.816 - 2004/12/15(Wed) 00:53:31
わ・た・し、ヒライスト
ヒラヒラヒラヒラヒライスト
パピレスの、8マン、千二百、六十円
「おまけに値段が随分高いですね。e文庫の凄さがよく判ります」
って言うじゃな〜い

けどアンタ、『ウルフガイ』の紋章編は3,500円、怨歌編は2,700円ですから!!!
残念!!!

「ぼくらマガシン」に載ってそれっ斬り

……拙者、御大からも、ねらーからも、嫌われてますから
切腹ぅぅぅッ


レス+次発言のエクスキューズ - Name: カナメ No.815 - 2004/12/15(Wed) 00:50:09
>Sa−Qさん
はからずも、いろんな連載とかリリースとか脱稿とかが重なったようですね。波乱含みの物件もありますが(苦笑)。
「最終版」と銘打ったのは、結局アスペクトノベルズ版でやった、しょーもないアレンジ(インタヴューをあとがき扱いにしたり、依編をどっかにやっちゃったり)を元の鞘に戻したからではないかと思っております。7巻まで出てる現e文庫版は、徳間と同じ構成ですので。
そういや、こっちの1〜7巻も買ってたんだよなあ。我ながら人の良い読者だと思いますよ。ま、悪口言い賃かな(笑)。もちろん、ことさら悪口を言いたいわけではなくて、素直な感想を言い続けてきただけなんですがね。昔からずっと。

↑次の発言でも、ウケとウラミを買いそうなことを言ってるわけですが、あくまでもネタですので、2004/12/09付「近況+」の28番の一言レスを書かれたエノクさんにおかれましては、笑って赦していただけると幸甚です。
e漫画の価格については、素人感覚でもコスト的にe小説よりは高くならざるを得ないでしょう。しかし現実問題として、ペーパーコミックスより高いe漫画が商売になるのか、という疑問がある。結局、ペーパー本では存在しない、オリジナルeブックしかまともに売れない。という点では、漫画も小説も事情は同じなのかもしれませんね。


時代は平井の方に流れてる(?) - Name: Sa−Q No.814 - 2004/12/11(Sat) 22:44:55
 どうもですぅ。

 情報、サンクスです>カナメさん

 あんましリアルタイムで追い切れてないんで、感じが良く分からないんです
けど、ひょっとして出版ラッシュなんでしょうか(笑)。

『地球樹の女神』は、「またe文庫さんから、振り込み用紙と共にお知らせが
来るだろ〜」と油断してたら、既に受け付け始まってるんですね。
 危うく知らずに年を越すところでした(笑)。

 にしても、「最終版」と付くのは、どーゆー経緯でそーなったのでしょう
(^_^;)。


『超犬リープ』! これは長年、某まん○らけとかで見て「読みて〜ッ。で
も高け〜ッ」ッと葛藤を続けて来たワタシには朗報です。

 さっそく『地球樹の女神』も『超犬リープ』も申し込みました(笑)。


サンプルは表紙を含め9頁まで。 - Name: カナメ No.813 - 2004/12/11(Sat) 17:17:20
リム出版新社から「完全復刻版 8マン」が、PDFで発売になりました。
販売サイトは、パピレスだけではないようです。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/indexp.cgi?KEYWORD=%95%BD%88%E4%98%61%90%B3&ODF=1

ところが、近況+「deep脱稿!」(2004/12/09)の平井和正のコメントによると、「許可を与えた覚えなし」だそうで。
http://www.wolfguy.com/cgi-bin/diary/upboard.cgi
版元に版権があれば、増刷や新装判の刊行に作者の許可は不要のはずですし、電子出版もこれに準ずると思うのですが、リム出版ではねえ。PDF判「8マン」、価格1,260円。正直、あまり食指の動く物件ではないですが。


学研に干されて、「中一時代」に連載。差し金入りの問題作。 - Name: カナメ No.812 - 2004/12/09(Thu) 23:19:55
『超犬リープ』上下巻(バンローリング)を買いました。もう出てたんですねえ。すっかり忘れとりましたよ。復刊本って、復刊されることは話題になっても、復刊された作品の中身ことは話題にならないものですね。『スパイダーマン』祭りなんて、起きたためしないですし。巻末に「超犬リープのテーマソング」が付録についているぐらいで、特筆すべきことはないです。ちょっとお高いですし(\1,890×2)、サンワイド版を既に読まれた方は無理して買う必要もないかと。

リープを買った本屋さんで、「ライトノベル☆めった斬り!」(太田出版)を立ち読みしました。平井和正のことにも、ちょっと触れてます。
ライトノベル第一号は、「超革中」なんですと。言われてみれば、確かにそうかも。

…てなことをお知らせするまでもなく、紹介文に書いてありましたことよ。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4872339045/hatena-22/ref%3Dnosim/250-0946552-8817807

全443件 [ ページ : << 1 ... 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 ... 45 >> ]

- HOME - お知らせ(3/8) - 記事検索 - 携帯用URL - フィード - ヘルプ - メール - 環境設定 -

Rocket Board Type-X (Free) Rocket BBS