泉谷あゆみは平井和正作品の挿絵師としては、長らくリリーフエースでした。「幻魔」「ウルフガイ」は生頼範義のリリーフで、「地球樹の女神」は山田章博のリリーフ。決して悪くはないし、頑張ってはいたんですが、いかんせん前任のイメージが強烈すぎました。先発での登板は、実に『月光魔術團』まで待たねばなりませんでした。『月光魔術團』もウルフガイの続編と云えなくもありませんが、まあこれはアダルト、少年に並ぶ第三の少女ウルフガイというべきでしょう。初めから自分のイメージで描けることに加え、それまで積み上げ鍛え抜かれた画力も相まって、まさに本領発揮、才能が爆発した作品でした。しかも、電子出版の先駆けとして、オールカラー!(本人は大変だったでしょうが)小説としての『月光魔術團』の評価は読者によって分かれるでしょうが、挿絵のパートナーとしてベストマッチであることは誰もが認めるところではないでしょうか。生頼範義がいいという人はあまりいないでしょう。あらためてPCのモニターでイラストを眺めてみましたが、惚れぼれしますね。ただ、変則サイズのイラストも一頁(画面)で大きく余白を空けて表示され、文章が同じページにレイアウトされない点は、以前のPDFやドットブックに一歩ゆずるところではありますね。じゃあ、ドットブックがベストなのかというと、特にスマホでの表示については、そうとも云えず、そこのところの詳細は、いずれあらためて触れてみたいと思います。 言霊を引用