私は時々職場の同僚と話をしていて、「昔、幻魔大戦にハマってしまったー」という話題になったときに、だいたい訊かれるのですよ、「最後に幻魔に勝つの?」って。私はそこで、「結局負けたままになって終わる」というと、なんじゃそりゃ?という感じで場の空気が沈んで話が盛り上がらずに気まずくなってしまいます。で、9年前の2008年に俗に完結編と言われているdeepトルテックが出たわけですが、ネットを見ていると「幻魔大戦は一応完結している」という旨の声が大きいように思います。http://oookaworks.seesaa.net/article/412678863.htmlhttp://oppincle.blog52.fc2.com/blog-entry-878.htmlhttp://katakoriyoutu.blogspot.jp/2015/01/blog-post_21.htmlhttp://www.thx-design.net/blog/?p=13153ざっくり読むと、・最後に少年マガジン版のラスボスである幻魔地球兵団の司令官シグが登場して、雛崎みちるに封印される。・東丈はついに帰還し、幻魔大王と最終決戦に入る。・東丈は幻魔大王だった。・幻魔と戦うことはそれ自体が幻魔と化す、と東丈が言って、幻魔大戦は終結を遂げた。と私は解釈しました。正直、これも、「なんじゃそりゃ?」という風に私は思いました。平井和正が鬼籍に入られ、週刊新潮で次のような記事が出ます。週刊新潮 2015年01月29日号 P35-36==============ココカラ================================================『平井和正 幻魔大戦2000万部作家が最後に書いた「ネット小説」』 地球を滅ぼそうとする魔物と超能力者の終わりなき戦いを描いた「幻魔大戦」シリーズは、累計2000万部以上という大ヒットを記録しただけでなく、多くの作家が影響を受けたものだ。その作者・平井和正氏が晩年、情熱を傾けたのは「ネット小説」だった。「父はここ3〜4年ほど、高齢のために気力が弱ってしまい、食もどんどん細くなっていました。どこかが悪いのではなく老衰というのでしょうか。心臓が弱くなり血圧が低くなると、体のあちこちが悪くなって昨年の夏から入退院を繰り返していたのです」 そう話すのは長女で漫画家の摩利さんだ。年明けには意識も朦朧とするようになった平井氏は、1月17日、鎌倉市内の病院で眠るように息を引き取ったという。享年76、心不全だった。 平井氏といえば、人気漫画「8マン」の原作を手掛けたことから一躍脚光を浴び、石ノ森章太郎氏との共著で生み出した「幻魔大戦」はあまりにも有名だ。「当初のストーリーは、人類の破滅を予告していったん結末を迎えるのですが、その後に続く作品は、いつの間にか平井さんの手による幻魔大戦(小説)、石ノ森さんによる幻魔大戦(漫画)と分裂し、そして再び平井さんの単独作品に戻るという不思議な展開になるのです」(SF雑誌関係者)「新幻魔大戦」、「真幻魔大戦」と続くうち、累計の発行部数は2000万部を超え、日本のSF小説を代表する大作となったが、大友克洋氏などその世界観に影響を受けた作家は少なくない。社会にも大きなインパクトを与えた。作品の中で語られた「ハルマゲドン(最終戦争)」は、流行語となり、オウム真理教などのカルト教団にも影響を与えたと言われている。 幻魔大戦は未完のまま 宗教学者の島田裕巳氏も言うのだ。「平井氏自身も、一時期、新興宗教のGLAの教えに影響を受けたことがあり、幻魔大戦の主人公も神格化してゆきます。それもあって、幻魔大戦の世界観は、新興宗教に帰依するような若者に大きな影響を与えたと言えるでしょう」 幻魔大戦をライフワークとして書き続ける一方、平井氏は、いち早くネットを通じての作品発表に乗り出すようになる。「もともとは80年代に、締め切りが重なって腱鞘炎にかかってしまい、ペンの代わりに、売り出されたばかりの富士通のワープロ(親指シフト)で原稿を書くようになったのがきっかけでした。まだ、誰もが原稿用紙を万年筆で書いていた時代からパソコン通信を使いこなし、94年に発表した『ボヘミアンガラス・ストリート』は日本で初めてのオンラインノベルと言えます」(前出のSF雑誌関係者) 10年ほど前から、平井氏は小説発表の場を主にネットに移すようになる。だが、2008年に書下ろしの続編「幻魔大戦deepトルテック」などをネット上で発表しているものの、近年は昔の作品をネットに掲載することが多かった。「最近は目の衰えもあり、パソコンの画面を見ることが辛くなっていたようです。それもあって、創作意欲も目に見えて落ちていました。元気だったら今も新しい物語を書き続けていたはず」(摩利さん) かくて、幻魔大戦は未完のままシリーズの幕を閉じるのである。==============ココマデ================================================それにかぶせて、ウルフガイ・ドットコムの公式Twitterで「ちなみに幻魔大戦は、『幻魔大戦deepトルテック』で完結しています。」と明言されました。http://www.bluelady.jp/post-12411/なんか、もやもやするので、図書館に行ってみたら、幻魔大戦deepトルテックが置いてあったので、読んでみました。期待を今まで裏切られ続けてきたので、面白くないことは織り込み済みのつもりで臨みましたが、想定以上に期待外れで面白く無い上に、ネットで声の大きめの人たちが小説に書いていないことを微妙に書いていることを知りショックでした。さらにネットサーフィン(死語だな・・・)していると、それに関しては、2009年に秋田書店から出版された秋田文庫版の幻魔大戦に平井和正があとがきを書いているという情報を入手しました。実は私、当時これ買ったのですが、読んでみて、宣伝文句の幻の未収録ページがたったの2ページでどうでも良いと思い捨ててしまいました。慌てて買いなおして確認しました。==============ココカラ================================================ 私は幸運な作家であり、「8マン」「ウルフガイ」「幻魔大戦」と立て続けに大ヒット作品に恵まれた。そして四十数年間にわたり、作品が「生き続けた」からだ。この三作品はいずれもコミック作品と深い縁がある。原作者として異常なほどの幸運に恵まれ、偉大な漫画家たちによって人々の記憶に残るほどのものとなった。 特に「幻魔大戦」は四十数年に至るも新作を生み続けている。最新の三千五百枚の「幻魔大戦deep トルテック」は奇しくも石森章太郎さんとのスタートラインに始まった『最初のコミック版「幻魔大戦」』に帰結を与えることになった。地球大戦となった恐るべき敵幻魔シグを東丈が彼の弟子にして娘であるみちるによって退けることに成功したからである。 しかし幻魔大戦はまだまだ終わりを告げる気配もない。==============ココマデ================================================作者、自らが公言していました!!!幻魔大戦は未完なのです。しかも、「まだまだ終わりを告げる気配もない。」と続編への色気を匂わせてまでいます。あと、このあとがきが、平井先生ウマいなーと思ったのは、シグのことを「幻魔司令官」と言わず「敵幻魔」という表現にとどめています。小説版の幻魔大戦シリーズが始まったときに、漫画幻魔大戦の設定は、「ルーナ」は「ルナ」になり、「サンボ」は「ソニー・リンクス」になり、「矢頭四朗」は「江田四朗」になり、「レオナード・タイガー」は「レオナード・タイガーマン」になり、「フロイ」は「犬のような姿をした異星人」でなく「高次元の宇宙意識」になり、「サメディ」は「ザメディ」になり、「ゾンビー」は「ザンビ」になり、という風にいくつか改訂されています。この後書きから読めるのは、その改訂の一つとして、シグは幻魔司令官という役職から幻魔偵察という役職に変更され、中年っぽいデザインから美しい若者に変更されていたことです。deepトルテックのエピローグでは、月が落ちてきた後に、東丈はその次元の記憶を保持したまま別の次元に移動したことも匂わせています(シグの封印は東丈がみちるにやらせたのではなくて、みちるが自発的にやったように読めたんだけど・・・)。ウルフガイ・ドットコムの人は、なぜ作者が公言したこととは逆の内容を明言したのでしょうか。私なりに考えてみました。ヒントはトルテックのハードカバーの奥付に書いてある住所です。葛飾柴又の近くです。一駅上れば亀有(こち亀は昨年きれいに終わりましたね)です。「男はつらいよ」は渥美清が鬼籍に入って、誰もが完結したと思っています。松竹も48作+特別篇で全てだと公式サイトに書いています。売る側として未完だと言ってしまうと、続きを書かせる人を見つけて来る義務が発生します。松竹が男はつらいよが未完だと言ってしまうと、誰かほかの役者を連れてきて、続編つくるんかい!?って話になります。だから松竹は特別篇作って、それでシリーズを締めている訳です。だから、幻魔大戦はもうこれで全てだ。完結している。と言わざるを得なかったのではないでしょうか。東丈は結局、幻魔のいない世界に生まれ変わったけど、ストーカーみたいな幻魔が趣味で執拗に追いかけてきたが、東丈の弟子が女トルテックの秘術で封じ込めてしまった。そして、その世界を終の棲家とした。でおしまい。でも七月鏡一先生と早瀬マサト先生が師の夢を果たすべく続編を紡いでいる。というのが、私のたどり着いた結論です。あと、若干、違うなと思ったのがみちるがシグに仕掛けた幻影城。脱出するのに何千年もかかると言っていますが、あれ、実はブラフで本当は無限に出られないようにつくっているのではないかと私は思います。もしコンピュータの世界で何千年もかかって壊せるほどの仮想インスタンスを入れ子に構成する技術が確立されたとしても、天文学的なメモリやCPUなどのリソースを食うことになるのではないかと思います。シグが閉じ込められたのは、仮想(幻)のたまねぎ宇宙を並列で連ねた巧妙な片方向循環リストなのではないでしょうか。シグがそれに認識できない限り、無限にその片方向循環リストをめぐり続けることになる。シグは不死身でもそのうち脱出できると思い込んでいるので、永遠に循環し続けるが何億回・何兆回か巡回するうちに精神的に参って考えることをやめさせて、永遠にそこに閉じ込めておくという策ではないかと私は勝手に推察した次第です。 言霊を引用 Re: 「幻魔大戦は完結している」という噂について考える - Name: カナメ No.1516 - 2017/05/21(Sun) 11:32:29 https://twitter.com/ebunko8/status/561000997057622016記述のページのなかに公式ツイッターの件の発言が埋め込まれていたのですね。読み進めるまでそのことがわからなくて、一瞬あれ? と思ってしまいました。あわてん坊の方が「個人サイトじゃないか」で読むのをやめてしまってもいけませんので、コメントしておきます。公式ツイッターの発言が重いのは確かですが、それでもあくまで本城さん個人の見解に過ぎません。「新」も「無印」も「真」も明らかな話の途中であって、包括的なエピソードをきれいに閉じることで「完結」というなら、『ハルマゲドンの少女』でも同じことが云えます。云わば解釈完結ですね。幻魔シリーズは発表されたエピソードに限っても、全てを完成させるのはまず不可能です。なにをもって「完結」というのか? その言葉のニュアンスをすり合わせる必要を感じますが、そう仰った皆さんは少なくとも「スッキリ」されたのだろうなと思います。 Re: 「幻魔大戦は完結している」という噂について考える - Name: 初めて50以上のリツイートを獲得した幻魔大戦ジプシー No.1518 - 2017/05/21(Sun) 22:20:09 >記述のページのなかに公式ツイッターの件の発言が埋め込まれていたのですね。読み進めるまでそのことがわからなくて、一瞬あれ? と思ってしまいました。あわてん坊の方が「個人サイトじゃないか」で読むのをやめてしまってもいけませんので、コメントしておきます。お手数おかけします。このBBSの制限に収まるように張り付けるURLを考えていたら紛らわしい感じになってしましました。私、この歳になっても、平成ライダー見ているのですが(戦隊は起きられません)、平成ライダーは結構、放りっぱなしにして未回収な伏線がいっぱいあります。平井和正/庵野秀明なみに広げた風呂敷を畳んでいません(クウガとアギトと龍騎と555と響鬼と鎧武は、こんなんでええーんか!?と思いました)。ただ、とりあえず、年度の変わり目にラスボスみたいなのを倒して、なんか無理やり終わらせています。石川賢の5000光年の虎みたいに「俺たちの戦いはこれからだッ!」でも良いと思います。ただ、テレビシリーズのエヴァンゲリオンとか、真のキールが異世界の断面に飲み込まれる所とか、そういう作者が袋小路にぶち当たって思いつかなくなって、何も思いつかなくなって、なんか、「俺知ーらないッ」という感じで放り投げられた感じが嫌なのです。なんかわかります。私プログラマなんですが、デスマーチという悪循環に陥って回らなくなった案件で、毎日矢継ぎ早にプログラム組んでて発狂しそうになることあります。もういっぱいいっぱいで疲れ果てていて、「どう実装してええんか、全然わからへん、逃げたい、寝たい、家帰りたい」と思ったときとかあります。そういうのわかるのですが、お金もらっている社会人として最低限の締めは区切りをつけるのがプロなのではないかと私は思います。
https://twitter.com/ebunko8/status/561000997057622016記述のページのなかに公式ツイッターの件の発言が埋め込まれていたのですね。読み進めるまでそのことがわからなくて、一瞬あれ? と思ってしまいました。あわてん坊の方が「個人サイトじゃないか」で読むのをやめてしまってもいけませんので、コメントしておきます。公式ツイッターの発言が重いのは確かですが、それでもあくまで本城さん個人の見解に過ぎません。「新」も「無印」も「真」も明らかな話の途中であって、包括的なエピソードをきれいに閉じることで「完結」というなら、『ハルマゲドンの少女』でも同じことが云えます。云わば解釈完結ですね。幻魔シリーズは発表されたエピソードに限っても、全てを完成させるのはまず不可能です。なにをもって「完結」というのか? その言葉のニュアンスをすり合わせる必要を感じますが、そう仰った皆さんは少なくとも「スッキリ」されたのだろうなと思います。
>記述のページのなかに公式ツイッターの件の発言が埋め込まれていたのですね。読み進めるまでそのことがわからなくて、一瞬あれ? と思ってしまいました。あわてん坊の方が「個人サイトじゃないか」で読むのをやめてしまってもいけませんので、コメントしておきます。お手数おかけします。このBBSの制限に収まるように張り付けるURLを考えていたら紛らわしい感じになってしましました。私、この歳になっても、平成ライダー見ているのですが(戦隊は起きられません)、平成ライダーは結構、放りっぱなしにして未回収な伏線がいっぱいあります。平井和正/庵野秀明なみに広げた風呂敷を畳んでいません(クウガとアギトと龍騎と555と響鬼と鎧武は、こんなんでええーんか!?と思いました)。ただ、とりあえず、年度の変わり目にラスボスみたいなのを倒して、なんか無理やり終わらせています。石川賢の5000光年の虎みたいに「俺たちの戦いはこれからだッ!」でも良いと思います。ただ、テレビシリーズのエヴァンゲリオンとか、真のキールが異世界の断面に飲み込まれる所とか、そういう作者が袋小路にぶち当たって思いつかなくなって、何も思いつかなくなって、なんか、「俺知ーらないッ」という感じで放り投げられた感じが嫌なのです。なんかわかります。私プログラマなんですが、デスマーチという悪循環に陥って回らなくなった案件で、毎日矢継ぎ早にプログラム組んでて発狂しそうになることあります。もういっぱいいっぱいで疲れ果てていて、「どう実装してええんか、全然わからへん、逃げたい、寝たい、家帰りたい」と思ったときとかあります。そういうのわかるのですが、お金もらっている社会人として最低限の締めは区切りをつけるのがプロなのではないかと私は思います。