 | * 竜牙(4) * 武井信夫 作
−西暦2026年1月20日(火) 文化厚労賞受賞作品− −西暦2026年1月20日(火) 文化大臣賞受賞作品− −西暦2026年1月20日(火) 文部文学賞受賞作品− −西暦2026年1月20日(火) 文部大臣賞受賞作品− −西暦2026年1月20日(火) 旭日殊勲賞受賞作品− −西暦2026年1月20日(火) 菊花賞受賞作品−
竜牙は技というか、流派というものを、まだろくに持っていなかった。 物凄い運動神経と動体視力のみと言ってよかった。
竜牙の師匠は松濤館八極拳の生みの親である。 基本の出来上がった竜牙に八極拳の理合いを少し教えた。
攻めて、相手が姿勢の真っ直ぐな時にいきなり近い間合いで相手の斜め後ろへ踏み込んで、背中で相手の体を後ろから打撃する技であった。 竜牙相手にやって見せて「 これが鷂子穿林(ようしせんりん) 」 竜牙の師匠「 そこから相手をかく乱しての攻撃をする 」 と教えて、竜牙はそれが気に入った。
竜牙の師匠「 小さい奴の剛法だ。小さい奴が大きな相手に戦うには向いている。本部に行って習ってこい 」
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竜牙は東京の本部へ行き、八極拳を習った。 運動神経の良い竜牙は鷂子穿林(ようしせんりん)を徹底的に練習したが、運動神経が良いために、理合いをあまり重視していなかった。 竜牙は松濤館本部の連中にはなかなか通用しなくなってきたところで本部の先生に言われた。 「 大阪にな、女の子だが、八極拳が得意なのがいる。そこへ行ってみろ。紹介状を書いてやる 」
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結城晶(ゆうき あきら)18才。なんと女子高校生であった。短髪で可愛い。
晶「 極めれば大きい人に五分かそれ以上に戦えるんですよ。私のは女性向きのシンプルな八極拳ですけれど、竜牙さんは男性向きのをやったらどうでしょうか 」
晶「 私と試合をしてみませんか? 」 竜牙は少し焦った。 女相手には狼の能力が出ないのである。
竜牙「 よし。やろう 」
晶の飛び上段蹴り一段。下から蹴り上げた。 それをガードした竜牙。 かなりの衝撃で、食らったら大変だ。 ガードしたことにより、竜牙の動きが止まった。 晶が竜牙へワンツーの左右のパンチ−八門開打(はちもんかいだ)。 それもガードする竜牙。 竜牙がミドルキック−側腿(そくたい)で反撃したら、いきなり竜牙が後方へ吹き飛んだ。 カウンターで晶の高速踏み込みの肘打ち−裡門頂肘(りもんちょうちゅう)。 立ち上がりかけた竜牙に「 つ… 」と晶が踏み込んできた。 竜牙は立ち上がってガード姿勢−裡門頂肘(りもんちょうちゅう)を警戒した− そこへ晶の鷂子穿林(ようしせんりん)が決まり、竜牙は後ろからバシンと打撃を食らい、よろけた。 晶の姿は竜牙には見えない。 後ろから晶のミドルキック−側腿(そくたい)が竜牙を蹴り、今度は反撃しようとした竜牙に晶の−裡門頂肘(りもんちょうちゅう)がカウンターでヒット。 吹き飛んで転んだ竜牙。 そこへ晶が間合いを詰めて転がっている竜牙に上からの突き−槍下炮(そうかほう)。衝撃で竜牙の体が浮いてまた吹き飛んだ。
晶が間合いを取った。 竜牙は立ち上がって、間合いを一気に詰めた。狼の能力が次第に覚醒してきた。
竜牙は寸止めだが、正中線四段突きを入れようとしたところへ、晶のガードを解いてからの飛び二段蹴り−連環腿(れんかんたい)がカウンターでヒット。左足の一発目で宙に浮いた竜牙を晶も宙に浮いたまま、体重を乗せて右足で竜牙を素早く力強く蹴った。
気を失った竜牙。
男の空手家に水をバケツでぶっかけられて竜牙は目を覚ました。
晶「 私の八極拳は女で非力だから思い切りが大事なんですよ 」 竜牙は負けてしまった。
理合いと、読み、勘、場数が違うらしい。 悔しさは何故か無かった。
男の八極拳− 竜牙は決めた。 その前に結城晶の出来ることはマスターすることにした。
竜牙は大阪で真面目に練習して鍛えた。
晶「 渡とやるんでしょ。私の技で勝ってほしい 」
−裡門頂肘(りもんちょうちゅう) −猛虎硬爬山(もうここうはざん) −鉄山靠(てつざんこう) −側腿(そくたい) −槍下炮(そうかほう) −心意把(しんいは) −鷂子穿林(ようしせんりん) −連環腿(れんかんたい) −上歩頂肘(じょうほちょうちゅう) −倒身捜腿(とうしんそうたい) −八門開打(はちもんかいだ) −環捶腿(かんすいたい)
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東京の本部に戻った竜牙。 結城晶の技は全て覚えて体に身についた。
呼んであった渡康介がいつもの試合着である黒いチャイナ服を着て正座をして出迎えた。 四角い試合場の向こう側にいた−
* 竜牙(4) 完 *
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No.19 - 2026/03/08(Sun) 20:12:16
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