とある本より抜粋です。 俺はスブリさんがこれから作ろうとしている本当の みちくさ園を応援しています。なので、今日はこの一文を 紹介したいと考えました(神様に与えられたうんぬんは俺はどうでもいいと考えますが)。 こどもにとって、そして職員にとっても最善の環境とみちくさ園がなるよう、 願っていますよ。
はじめての職員会が持たれた。園子さんは若い保母たちを前にしていった。 「ありがとう。みなさんがここへ来てくださったというだけで、わたしはうれしいの。たくさんの子どもたちといっしょの生活ですので、いつもいつも仲良くやっていけるわけでも、楽しいことばかりでもないでしょうけれど、わたしは生まれつきの極楽とんぼで、人といっしょにいるだけで、もうそれだけで素敵って思ってしまうような人間です」 若い先生たちはほほ笑んだ。 あんちゃんも頬づえをつき 「つまり生まれつきおめでたいというわけ」 と毒づいて、まわりの若い人たちを笑わせている。 「わたしも半人前ですが、倫太郎ちゃんという子に、あんちゃんと呼ばれている人も、みなさんのごやっかいにしかなれない人のようですので、どうぞよろしゅうにお願いしますね」 園子さんはあんちゃんに一矢報いた。
「この保育園をどうやっていくかということですが、わたしはみなさんにこうしてください、ああしてくださいといわないと思います。ちょっと分りにくい言い方かもしれませんが、みなさんはこの保育園で何をなさっても自由だし、何をなさらなくても自由です。」 若い先生たちは目を見合わせた。ものを考える目になっている。 「自由です。というのは、わたしがそういってるのではなくて、もともと人はそのように生きる自由を神様から与えられていると思うのです。子どもは自由にのびのび生きる権利があるといいますね。あたりまえのことですが、子どもにそう生きてもらうためには、まわりの大人、つまり保母や教師、親たちが、本当に自由でなくてはならないと思うのね」 先生たちの目が少し光った。 「ちょっといっておきますけど・・・・・」 園子さんは若い人たちのそんな目を見ていった。 「・・・・・わたしは今申し上げたそんな理屈を人サマの前でいえるような人間ではないのよ。そこをどうか誤解しないでちょうだいね。この園で子どもたちがのびのび生活できるように、みなさんにお願いしようと一晩考えてやっと浮かんだ一生で一度の理屈なのね・・・・・」 保母たちの顔が緩んだ。 「ほんと。いっしょうけんめい考えたの」 園子さんのそんな言い方に保母たちが思わず笑った。 「あの・・・・」 シノブ先生が手を挙げた。若い保母のうち彼女だけ、いくらか年上なのである。 「この園では何かをする自由も、何もしない自由もあるとおっしゃいましたけど、それは人に頼るなということでしょうか」 「そういうところも含まれるのかしら」 ほほ笑みながら園子さんは答えた。 「わたし・・・・・いろいろ教えてもらいたい、学びたいと思ってこの園に来たのですが、その考えはよくないのですか」 「はい」 やっぱりほほ笑みながら園子さんは返事を返した。シノブ先生はびっくりしたような顔をした。 「よくないのですか」 強い声になった。 「良くないと言い切るのは言い過ぎかもしれないのですが、教えてもらいたい、学びたいと思う心は子どもに沿う仕事をしている人にとって、次に教えてやりたい、学ばせてやりたいという心に変わっていく心配はないですか」 「・・・・・・」 シノブ先生は首をかしげ考え込んだ。しばらくして彼女はいった。 「じゃ、どうすればいいんですか」 「それをみんなで考えていきません?」 園子さんはにこにこしている。 「わたしの知っていることでシノブ先生の知らないことがあるでしょうし、シノブ先生の知っていることでわたしの知らないことはもちろんあるわけです。そんなときは物惜しみしないでお互い教え合ったり、学び合ったりしましょうよ。そんな園だったらいいナと、わたし思うの」 何人かの若い人がうなずいた。 |
No.1985 - 2004/02/14(Sat) 10:00:32
| ☆ Re: いい園って? / スブリ | | | IRIASさん、いらっしゃい。
「天の瞳」の一文でしょうか・・ 僕もしっかり読んだことはないけど、園によっては採用した新人さんに必ず読ませるところもあるそうですね。 一部TVでドラマ化しましたよね。その頃うちの園に主人公の倫太郎に何もかもそっくりの子が居て、今でも重なって思えてしまいます。
僕のほうはいよいよ4月からスタートするわけですが、僕も含めて職員ひとりひとりに、子どもに沿うという意味が正しく理解され、それが日々の関わりに生かされていくまでの道のりは平坦ではないけれど、慎重に方向だけは見失わないように歩んでいきたいと思っています。応援ありがとう。 |
No.1986 - 2004/02/14(Sat) 11:41:13 |
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