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記事No.1453に関するスレッドです


日下三蔵の昭和SF&ミステリ秘宝館 平井和正編 Part.2 - Name: カナメ No.1453 - 2017/02/14(Tue) 00:05:10
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=112204602

ワタシ的に一番印象に残っているのは、トークライブ後の懇親会でグイン・サーガの話になり、七月鏡一さんが五大ゆうさんらの後継続編を好評価されていたことですね。ワタシの評価は真逆なので、面白いものだなと思いました。いや、ワタシからはその場で何もコメントしなかったんですけどね。
グインの後継続編は、文章はきれいだと思うし、ストーリーの展開にも納得できる。それなのに、栗本薫本人のそれのように、胸躍るワクワク感を感じられない。ひたすら苦行のように文章を追うだけで愉悦というものを味わえず、「グイン・サーガ・ワールド」の連載だけで、読むのをやめてしまいました。こればっかりは相性とでも云うほかありません。いずれリトライしようとは思いますが。
栗本薫もツッコミどころの多い作家です。平井和正に比べれば可愛いものですが。やはりストーリーテラーとしてのスケールの大きさと、ディティールの大雑把さはセットなのだと思う。スキのない緻密な小説を書く作家にグイン・サーガは書けなかったし、幻魔大戦も書けなかった。
考えてみれば、『幻魔大戦Rebirth』と通じる試みですね。欠点も多い天才型の作家の大作を、それに学び、育てられた秀才型の作家が受け継ぐ。……これをなんで、その場で思いついて、口にできないかなぁ。まったく頭と口先の反射神経の鈍さよ。自己嫌悪を禁じ得ませんね。
ライブ本編ももちろん愉しいものでしたが、レポートをお求めの方には申し訳ありませんが、特にワタシが書いておきたいと思うことはありません。平井和正の思想や信仰の変遷、物語の中身にまで突っ込んだ話にはならなかったし、またそれは当然で、そこまでやるには二時間では少なすぎる。
もしかなうなら、一作品、一シリーズごとに、こういう企画をやってもらいたいところではあります。まあ、自分が探し求める答えは、自分で探すしかないということでしょう。
いずれグランドライン後半の平井和正作品の大海原へ、再び漕ぎ出してみようではないかと思っております。なかなかの大冒険ですよ。とは云え、スケジュール的に向こう数カ月は、幻魔大戦の再読で押さえられてるんですけどね。その話はまたあらためて。

【おまけ】
画像は会場で即売していた『幻魔大戦Rebirth』4巻にいただいたサイン。下が空いているのは、早瀬マサト先生用のスペースだそうですが、そういうチャンスに都合よく持ち合わせているだろうか。とっくにコミックスは買って所持しているのですが、アイドルヲタをやっていると、こういう出費がまったく惜しくなくなる。なにしろ、好きなアイドルのCDを1枚しか買わないとは何事だ、と云われる世界ですから。これが小説界にも常識になれば、少しは出版業界も潤うんでしょうけどね。


Re: 日下三蔵の昭和SF&ミステリ秘宝館 平井和正編 Part.2 - Name: 実は各駅停車で二駅下ったところに住んでいた幻魔大戦ジプシー No.1469 - 2017/02/19(Sun) 13:23:04
カナメさん、申し訳ありません。
小太りだとは思いませんでしたが、皮ジャンを着ていた方がいらっしゃったので、
たぶんカナメさんなのかなと思いつつも、
名乗り出たらインタビュー・タイムリーパーをエッセイ・タイムリープと間違えたことを咎められるのではないかと思い、名乗り出られませんでした。
ほとぼりが冷めた頃に機会があれば名乗りでたいと思います。
ところで、私、とある方がご近所様だったことがわかってしまいました。
「カナメ君はトルテックを読んで戻ってきたみたいだよ」と仰っていたので、
カナメさんもご存知の方だと思います。
ネットで読んだことのないお話を電車の中で伺ってしまったり、
私が如何にして石ノ森章太郎ファンになってしまったのかなどを
お話しさせて頂きました。
昔お盆と正月にやっていた映画とか去年の9月に長期連載が終了したジャンプの漫画で町おこしをしている辺りなのですが、
まさか、平井和正ゆかりの場所だったとは露とも知りませんでした。
ご近所迷惑になるので、今後、ネタバレはできるだけ控えるように致します。

ライブの内容や懇親会のお話を伺い、自分は平井和正とかSF作家というものに対して思い違いをしていたことを知りました。
累計2000万部以上を売上げたという幻魔大戦の読者はどこに行ってしまったのかと思っていましたが、
生き残っているファンや関係者を実際にみて、
逆についていけなくなって離れた人のブログの内容を読み比べてみると、
今のような状態になっているのは自然な成り行きだということがわかりました。

私が感心してしまったのが七月鏡一先生の素直さですね。
私もハルマゲドンの少女を昔読みましたが、未完の帝王の異名を知った状態で読んだので、
思い付きを書きなぐっているのだと気にせず読み飛ばしていました。
先生の御解釈でRebirthの展開がどうなるのか、旧作との辻褄チェックをしながら楽しんでいきたいと思います。

さて、せっかくライブで聞いた裏話があるので、レポートを書かせて頂きました。
それなりに推敲したつもりですが、書き間違いなどあると思います。
その時は、ご容赦のほど何卒宜しくお願い致します。

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【1】.角川幻魔について
角川幻魔大戦は、無印幻魔大戦/ハルマゲドンで完結はしなかったものの、
ハルマゲドンの少女のビッグアップ壊滅で描かれている顛末が、初期の構想としては正しいと思われる。
ハルマゲドンの少女で角川幻魔は決着を得たと考えている。

ハルマゲドンの少女には、平井和正は幾つかアイディアの投入を行っていて、
他の幻魔大戦シリーズにはまだ出ていないキーワードがチラチラ出てくる。
七月鏡一先生としてはそれをどうするかが悩ましいと感じている。

【2】.地球樹の女神以降の平井和正
平井和正が終生こだわり、平井和正の作品で共通して描かれているテーマの重要なキーワードは母親。
母親とうまくいっていなかったので、平井和正の中では、「自分には実は本当の母親がいるのではないだろうか」と思っていて、
母親を探すとか母親が敵に回るとか実は本当の母親がいるとかいう話が目立つ。
地球樹の女神を書く前に、伊邪那美神(イザナミ)と火之迦具土神(ヒノカグツチ) を祀る神社に参詣して、構想を練っていた。
大手出版社と揉めて、地球樹の女神は角川では6巻で終わり、徳間で出しなおして13巻(実質14巻分)まで行って、
アスキー(アスペクトノベルス)で出し直すも6冊で中断。幻魔大戦も同様だった。

過去で出たシリーズものを出版社を変えて出し直すというのは難しい。
出版社を変えてしまうと、ファンが既に持っているため買ってくれないため、
出版社の体力が持たない(<=平井和正の作品が一般の書店で置かれなくなっていったことの原因の一つ)。
大手でない出版社からもいくつか出していて、リム出版の平井和正全集も途中で頓挫してしまっている。

これ以降、地球樹の女神クラスの長さの物が多い。
ボヘミアンガラス・ストリート:パソコン通信の電子書籍。秘密結社も特殊部隊も襲ってこないラブコメだった。全9巻。
パソコン通信ニフティサーブでの初出の際、著者名が「MASK−MAN」と伏せられていて「作者は誰でしょう?」という作者当てクイズをやっていた。
七月鏡一先生はそれを読んで「文体や文章の癖やウルフ様というセリフが出てくるので、どう考えても平井和正だよなあ?」と思って解答した。それが平井和正と直に会うきっかけとなり、後々の8マン・インフィニティにつながる。

月光魔術團:ウルフガイシリーズに属する作品。とても長い。ラノベを意識してかわいいキャラを泉谷あゆみに描かせていた。全30巻。
時空暴走気まぐれバス/ABDUCTION 拉致:同じ時空を繰り返すというテーマを突き詰めていったもの。これが後々に幻魔大戦に合流していく。全20冊

インフィニティ・ブルー:エイトマンアフターの話だが、色々と伏せれたカードが多い作品だった。あれは本当のさち子さんなのかという謎は多かった。駿台曜曜社で4巻。集英社では上下巻で出た。
フルーハイウェイとブルーレディ:アメリカに帰ったエイトマンの話。
どちらもマシナリーというテーマだが、話のつながりが明確でない。
ブルーレディは、魔女エスパーなどの魔女キャラに蹴りをつけた。

その日の午後、砲台山で:幻魔大戦deepの序曲となる作品。
四騎忍と化した平井和正が東三千子に東丈を探してくださいと依頼される。
平井和正宇宙に行って、無印幻魔大戦で矢頭に襲われる杉村由紀を助けて、ボヘミアンガラス・ストリートの世界に行って、
最後に東丈が一言も発しない三歳児となって現れる。

カスタネダの話が合流した幻魔大戦deepトルテックは、ウルフガイのキャラも出てくる非常に集大成的な作品となっている。
最後にとあるラスボスを登場させて石森幻魔大戦にグルっとくっつけてしまった(実はそのラスボスは幻魔大戦Rebirthに既に登場している)。
振り返るとハルマゲドンの少女あたりで、少年マガジンの内容を踏襲したセリフのやり取りがあり、
deepとトルテックでその展開を踏まえている(幻魔大戦3最初の戦闘でも丈・ルナ・ソニーがドク・タイガーに見覚えがあると思うシーンがある)。

平井和正のご長男に他に未発表の作品はないかを聞いたが、
2DDの5インチフロッピーに保存されているため、いまどき読める機械がない。
実際にどうやったら読めるかわからないが、たぶん、OASIS 専用機でPlain Textファイルとして読み込ませるか、エクスポートすることから始めないといけないと思う。
フロッピーはカビでダメになりやすいので、早くサルベージ出来ると良いなと思っている。



【3】.8マン・インフィニティの中断について
エイケンが記念作品として8マンのリメイクの引き合いを内田勝に打診し企画が始まった。
この時に平井和正から七月先生に声が掛かり、月刊マガジンZでの連載に至る(あまり人気が出ず第一部で終わってしまう)。
ウルフガイや幻魔大戦のブームの読者を連れてこようと思って80年代の小説のキャラを出した。
アニメ化を意識していたが、結局、アニメ化は実現しなかった。

形にならなかったアニメ化や映像化の話は多かったが、平井和正がこれだと思わない企画が多かった。
戦後の3大ロボットアニメと言えば、鉄腕アトム、鉄人28号、8マン。
しかし、8マンにはすごい弱点があった。鉄腕アトムも鉄人28号も80年代にリメイクされている。
8マンも80年代にアニメ化の話があったが、平井和正が承認せずに実現に至らなかった。
鉄腕アトム、鉄人28号は80年代のアニメ化により世代に渡る記憶が継承されたが、
8マンはそれがなされなかった。

8マンのそれ以外の映像化
8マン・すべての寂しい夜のために:あまりのチャチさで伝説となった東京ドームでのイベント公開映画。ほとんど一般客はおらず、椅子がパイプ椅子だったらしい。その後、リム出版は倒産。
OVAのエイトマンAFTER:ライブでは特にコメントはなかった。




【4】.幻魔大戦 裏話

1989年の地球樹の女神・改竄発覚で平井和正は角川から引き上げていたが、
2005年ごろには平井和正と角川書店は和解に合意していた。

コミックチャージから漫画作品として幻魔大戦の引き合いがあり、
平井和正と七月鏡一先生が打ち合わせをして企画を練っていたが、
コミックチャージが休載したため、話が立ち消えになった。

【5】.幻魔大戦 Rebirth 裏話
2004年ごろ某テレビ局で石森プロに幻魔大戦のアニメ化の企画話が持ち上がった
(具体的にどこのテレビ局かは、次のURLのインターネットラジオの17:35 - 18:30を聴くと、大体わかります。
http://sokoani.com/archives/9459.html


平井和正の声がけで七月鏡一先生が参加し、
石森プロに通ってシリーズ構成案を出した(月が落ちてきたところまでやろうとしていた)。

石森プロからも東丈とプリンセス・ルナのキャラデザが2パターン上がってきた。
七月鏡一先生は早瀬マサト先生とその時に知り合った。
某テレビ局のプロデューサーが「これで行きましょう。ただし来月うちの局で異動がありまして、私が現在の部署に残っておりましたらGOということで」と言ったが、
示唆された可能性が現実のものとなり、そのプロデューサーは異動してしまい、話が立ち消えになった。

石森プロは小学館でサイボーグ009conclusion GOD'S WARをやっていたが、
完結したので、009の次に幻魔大戦をすることになり、七月鏡一先生に声が掛かり脚本を担当することになった。

同じ漫画家(石森プロ)の絵だと、同じ漫画(石森章太郎の1967年の少年マガジン版)の書き直しになるから、
同じような話を書きながら、小説幻魔大戦と漫画幻魔大戦の宇宙をつなげようということになった
(但し、現時点ではリュウ版のルーフとジンは顔見世程度しか動いていない)。
リュウ誌で、永井豪司会で平井和正と石森章太郎の対談があり、
その中で「いつか合流するかもね」という話は出ていた。
七月鏡一先生は「いつかそれを見たいな」と思いつつ、その案は果たされていなかったため、
幻魔大戦Rebirthは石森大戦(クロスオーバー)としてやっている。

Rebirthで東丈の立ち位置に悩んだ。未熟なんだけど、現代風な子供にした。
悟りきらない東丈で行こうと考えている。

次から異世界編に入る。異世界編から帰ってきてから最終的な戦いになる予定。

石ノ森章太郎の作品からどのキャラをカメオ出演やゲスト出演させるか
スターシステム的にレギュラー出演させるかは、早瀬マサト先生に寄りかかってやっている。

石森章太郎がエスパーを描く時、超能力を得る代償に何か失い、不幸な運命を背負わされる(醜い姿になるとか大切な肉親や恋人を失うなど)。
「超能力と引き換えに背負わされる不幸な運命」というのは幻魔大戦Rebirthでもキーワードだと考えている。

石森プロから幻魔大戦Rebirthにゲストとして出してよいとOKをもらっているのは、
・イワン・ウィスキー
・ミュータント・サブ
・さるとびエッちゃん
の3キャラクター。
(少年マガジン版幻魔大戦のラストにはボンボンも出てくるが、ゲスト出演の許可は未確認)

石森章太郎はエスパーエッちゃん(読売水曜日版)で、
未来からやってきたエスパーのリーダーを東丈にすごくそっくりにキャラデザしている。しかも学ランを着ている。
東丈が未来から来た超能力者という設定にはしないが、そのうち、ベストなタイミングでエッちゃんは出す予定。

小説幻魔大戦の補完が、七月鏡一先生自身の解釈による補完になってしまうところが悩みどころ。

Rebirthのオリジナル・キャラで成功したと思っているのはスミス。
このキャラを登場させて、ザメディに繋げられたのは嬉しかった。
ただ、早瀬マサト先生はニューヨークを描くのは大変だった。
異世界編で戦艦を描いてもらうのだけれども、これも大変そう(ちょっと心配そうなトーンで仰っていました)。

ライブ客席からの質問?@:3巻でスカールの名前が伏せられているのはなぜ。
回答:
伏せることで、読者自身がスカールという名前を想像してほしかった。
版権の事情でそうしているわけではない。
Rebirthではブラックゴーストのサイボーグ計画は初期段階で潰えて、
002から009の8人は拉致・改造手術されずに、それぞれの人生を歩んだということになっている。

ライブ客席からの質問?A:少年マガジン版のフロイは犬の姿をした異星人の超能力者だが、小説版では高次元意識。Rebirthのフロイはどのような位置づけになっているのか。
回答:
漫画と小説の差異を洗い出したときに一番大きかった差異がフロイだった。
Rebirthではニューヨークのザメディ戦でステラの前に、犬のフロイがイワンを跨らせて既に登場している。
野生時代版幻魔大戦7(浄化の時代)で、江田四朗にさらわれた久保陽子を探す東三千子が霊体として現れる巨大なセントバーナード犬から「あなたは私とここで看視してはどうか?あなたは看視者になるのだ」と啓示を受けるシーンがある。
それを踏まえて、Rebirth流に統合した設定でフロイがいずれ登場する予定。

ライブ客席からの質問?B:Web公開だが作品の評価はどうなされているのか。
作品へのアクセス数をカウントして、ランキングを出している。
Web連載では応援として感想をSubmitしてもらえると、読者の反応がわかりやすいから助かる。
応援は七月鏡一先生も早瀬マサト先生も担当の編集者も一通り全て目を通している。

今月末のリリースから犬の帝国編になる。
真幻魔大戦第三部には「7つの地底都市」、“雲の人”、“悪しき者”などキーワードはいっぱいある。
生頼範義は平井和正から作品の先の展開を聞いてからイラストを描いていたが、
SFアドベンチャー増刊のムック「平井和正の幻魔宇宙?W」の表紙イラストでは、
失神しているクロノスの右手首を、磔にされているはずのジョージドナーが右頬に充ててしゃがんでいて、
黄金の獣神がツルイ・ヘフスイ率いる戦艦を迎え撃とうとしている。
このイラストを画集で見ると、上空には月が2つある。
「地下帝国に幻魔はいそうだけど、結局いるのか?いないのか?」など
どうしようかと悩みながら書いている。


平井和正が亡くなられて
2014年の第35回日本SF大賞で功績賞を贈ることには誰も反対せず満場一致で決定した。
2015年の第36回の生頼範義 功績賞も同様。


そして今年とうとう30年ぶりの雪解けに至りそう。

以上。
=====================================================================
私も余白ページの下半分のところに早瀬マサト先生のサインがほしいです。
サイン会が開かれると良いですね。


Re: 日下三蔵の昭和SF&ミステリ秘宝館 平井和正編 Part.2 - Name: カナメ No.1470 - 2017/02/19(Sun) 19:24:43
幻魔大戦ジプシーさん、めっちゃ詳細なレポート、ありがとうございます。ワタシはこういうのができないんですよねえ、面倒くさがりで。
小太りに見えませんでしたか。それは嬉しいなあ、ダイエットに励んだ甲斐がありました。タイムリープの件は全然気にしてませんよ。あれは普通に考えて、筒井さんに軍配だと思います。ワタシもこのひとじゃないかという見当はあったのですが、シャイが出てしまってお声がけできませんでした、すみません。
ワタシの知人と知り合われたのですね。また、お会いする機会でもあれば、お話しを聞かせてください。


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