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クラシック映画BBS2

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元掲示板 http://www1.rocketbbs.com/313/cla_bbs.html
再掲:ノワール50選(51ありますけど) / B&W
*** 以下は2011年9月18日のB&Wの投稿です ***


皆様おはようございます。連休ですが、休んでる場合じゃないB&Wです(泣)。
などどいいつつ、gapperさんが「緑の50本」(緑は“安全”ってこと?)をあげられた以上、前後の行きがかりからも(どんな行きがかりだ…)「黒の50本」を挙げないわけにいかないでしょうね。
不肖わたくしめが挙げますが、加筆訂正願います、モノズキな方は(笑)。

■深夜0時の映画祭−黒の50本 ノワール中毒のあなたに捧ぐ

1、マルタの鷹 (The Maltese Falcon ,1941 : ジョン・ヒューストン 8.3)
2、拳銃貸します (This Gun for Hire ,1942 : フランク・タトル 7.6)
3、ブロンドの殺人者 (Murder My Sweet ,1944 : エドワード・ドミトリク 7.7)
4、ローラ殺人事件 (Laura ,1944 : オットー・プレミンジャー 8.2)
5、深夜の告白 (Double Indemnity ,1944 : ビリー・ワイルダー 8.6)

6、スカーレット・ストリート (Scarlet Street ,1945 : フリッツ・ラング 7.9)
7、ミルドレッド・ピアース (Mildred Pierce ,1945 : マイケル・カーティス 8)
8、哀愁の湖 (Leave Her to Heaven ,1945 : ジョン・M・スタール 7.7)
9、恐怖のまわり道 (Detour ,1945 : エドガー・G・ウルマー 7.4)
10、恐怖省 (Ministry of Fear ,1944 : フリッツ・ラング 7.2)

11、ギルダ (Gilda ,1946 : チャールズ・ヴィダー 7.8)
12、汚名 (Notorious ,1946 : アルフレッド・ヒッチコック 8.2)
13、殺人者 (The Killers ,1946 : ロバート・シオドマク 8)
14、三つ数えろ (The Big Sleep ,1946 : ハワード・ホークス 8.2)
15、高い壁 (High Wall ,1947 : カーティス・バーンハート 6.9)

16、悪魔の往く町 (Nightmare Alley ,1947 : エドマンド・グールディング 7.8)
17、過去を逃れて (Out of the Past ,1947 : ジャック・ターナー 8.1)
18、十字砲火 (Crossfire ,1947 : エドワード・ドミトリク 7.4)
19、悪の力/苦い報酬 (Force of Evil ,1948 : エイブラハム・ポロンスキー 7.5)
20、私は殺される (Sorry, Wrong Number ,1948 : アナトール・リトヴァク 7.5)

21、上海から来た女 (The Lady from Shanghai ,1948 : オーソン・ウェルズ 7.8)
22、大時計 (The Big Clock ,1948 : ジョン・ファロー 7.7)
23、キー・ラーゴ (Key Largo,1948 : ジョン・ヒューストン 8)
24、暴力行為 (Act of Violence,1948 : フレッド・ジンネマン 7.5)
25、第三の男 (The Third Man ,1949 : キャロル・リード 8.5)

26、涙は手遅れ (Too Late for Tears ,1949 : バイロン・ハスキン 7.2)
27、白熱 (White Heat ,1949 : ラオール・ウォルシュ 8.2)
28、罠 (The Set-Up ,1949 : ロバート・ワイズ 7.9)
29、アスファルト・ジャングル (The Asphalt Jungle ,1950 : ジョン・ヒューストン 7.9)
30、街の野獣 (Night and the City ,1950 : ジュールス・ダッシン 8)

31、拳銃魔 (Gun Crazy ,1950 : ジョセフ・H・ルイス 7.8)
32、孤独な場所で (In a Lonely Place ,1950 : ニコラス・レイ 8)
33、見知らぬ乗客 (Strangers on a Train ,1951 : アルフレッド・ヒッチコック 8.3)
34、探偵物語 (Detective Story ,1951 : ウィリアム・ワイラー 7.7)
35、その女を殺せ (The Narrow Margin ,1952 : リチャード・フライシャー 7.8)

36、危険な場所で (On Dangerous Ground ,1952 : ニコラス・レイ 7.4)
37、拾った女 (Pickup on South Street ,1953 : サミュエル・フラー 7.9)
38、天使の顔 (Angel Face ,1953 : オットー・プレミンジャー 7.3)
39、狩人の夜 (Night of the Hunter ,1955 : チャールズ・ロートン 8.2)
40、キッスで殺せ (Kiss Me Deadly ,1955 : ロバート・アルドリッチ 7.7)

41、現金に体を張れ (The Killing ,1956 : スタンリー・キューブリック 8.2)
42、成功の甘き香り (Sweet Smell of Success ,1957 : アレクサンダー・マッケンドリック 8.2)
43、死刑台のエレベーター (Elevator to the Gallows ,1958 : ルイ・マル 8)
44、黒い罠 (Touch of Evil ,1958 : オーソン・ウェルズ 8.3)
45、拳銃の報酬 (Odds Against Tomorrow ,1959 : ロバート・ワイズ 7.4)

46、サイコ (Psycho,1960 : アルフレッド・ヒッチコック 8.7)
47、影なき狙撃者 (The Manchurian Candidate ,1962 : ジョン・フランケンハイマー 8.2)
48、恐怖の岬 (Cape Fear ,1962 : J・リー・トンプソン 7.8)
49、裸のキッス (The Naked Kiss ,1964 : サミュエル・フラー 7.4)
50、ロング・グッドバイ (The Long Goodbye ,1973 : ロバート・アルトマン 7.6)
51、タクシードライバー (Taxi Driver ,1976 : マーティン・スコセッシ 8.5)

44-40様 お褒めに預かり光栄です。
私は『暴力行為』観てないんですよね…。でも44-40さまお薦めでかつジンネマンなら間違いないだろうということで入れさせていただきました。
ダッシンは『街の野獣』もあるので、『深夜復讐便』(7.8)ははずしました。
『三つ数えろ』は、私はコンテニュイテイにツギハギな感じを受けるので、入れるのに迷ったのですが、名セリフが多いし邦題の素晴らしさを評価して残しました。

『生まれながらの殺し屋』(7.3)は個人的な思い入れで選んだ――私はこの作品でRKOという映画会社の名前とフィルム・ノワールというものを知った――のですが、ワイズは他にもあるのではずしました。

このリストで個人的思い入れが濃いものというと
15、高い壁 (High Wall ,1947 : カーティス・バーンハート 6.9)
16、悪魔の往く町 (Nightmare Alley ,1947 : エドマンド・グールディング 7.8)
26、涙は手遅れ (Too Late for Tears ,1949 : バイロン・ハスキン 7.2)
36、危険な場所で (On Dangerous Ground ,1952 : ニコラス・レイ 7.4)

といったところでしょうか。『危険な場所で』はメロドラマであってノワールではないとは思うのですが、この作品のロバート・ライアンがすきなのです。アイダ・ルピノも素晴らしい。

『高い壁』は誰もほめない作品ですが、私はこれでロバート・テイラーを見直したところが有り、二枚目である以上に誠実な俳優だったんだなと感じています。クラーク・ゲーブルのあと、MGMの「第二のキング」扱いされましたが、むしろそれは彼にとって不幸なことだったのかもしれない。赤狩りの証人喚問での振舞いも最終的に彼にとっては災いとなりました。「彼も被害者だった」とまではいえませんが。主演の『Undercurrent』(1946 ビンセント・ミネリ 6.4)が観たいです。『悪徳警官』(1954 ロイ・ローランド 6.8)でも、良い演技でした。

『Undercurrent』 のトレイラー(リンクは張りなおしました 2013/12/21記)
ttp://www.youtube.com/watch?v=mACJEHFTVa4

『高い壁』 のトレイラー
http://www.youtube.com/watch?v=VPvaURHXE50&list=PLC31C2C184819A280&index=4


ぼんやりと考えるのですが、「色悪」という言葉がありますが、マチネー・アイドルだったタイロン・パワーが長命だったとして、ロバート・テイラーのような域に達しただろうかと思うのです。そうはならなかったんじゃないかななどと、どうでもいいことを想ったりもします。

あと『ミルドレッド・ピアース』よりも『突然の恐怖』(1952 デヴィッド・ミラー 7.6)を私は評価します。でも、世評が高いので残しました。『突然の恐怖』はジャック・パランスの風貌にあわない声のよさ(逆のパターンがアラン・ラッドですね)もあいまって、「紳士風女たらし」のジャック・パランスが見られるという意味でも貴重な作品です(笑)。

>今度暇があったら『追跡』『大砂塵』『無頼の谷』などが入った西部劇ノワール50、『突撃隊』『影の軍隊』『ブルーマックス』などが入った戦争映画ノワール50でも作ってみようかとも思いましたが、永遠に完成しないでしょう…。

ぜひぜひ、お願いします!期待してます。44-40さま以外にもわれこそはという方はぜひ!
『無頼の谷』は世評も高いですねぇ。新井達夫氏もほめてました。ラング&ディートリッヒですからね…面白そうですが私は未見なんですよ。

gapperさま
三原色だったんですか。エコとかじゃなくて(笑)。
gapperさんは実際に上演するなら、とリアルに考えられたリストなんですね。私はこれだけ観ればあなたも立派なノワール廃人になれますというリストです。最初から志がひくいです…。

*** 今になって見直すと、あれもなおしたいこれもなおしたい、のリストです… ***
No.93 - 2013/12/21(Sat) 00:33:01
Re: 再掲:ノワール50選(51ありますけど) / マグカップ
B&Wさん、ありがとうございました。
少し前につまらない映画ばかり観ていたので、このノワール50選から観ようかなと思ったら、BBSから消えていました。
「恐怖のまわり道」「高い壁」「十字砲火」 「悪の力/苦い報酬」「天使の顔」は未見なので探してみたいと思います。
No.96 - 2013/12/21(Sat) 09:38:54
Re: 再掲:ノワール50選(51ありますけど) / Ismael
B&Wさん

私は、51本中47本観ていますね、立派な中毒ですか?

"Film Noir: An Encyclopedic Reference to the American Style"という本には、300本リストアップされているとか。

『暴力行為』は、ジネマン作品としては珍しく面白いですね。
音の使い方が繊細です。
No.98 - 2013/12/21(Sat) 12:18:15
Re: 再掲:ノワール50選(51ありますけど) / gapper
 ”完全に負けた”と言う感じです。

 「タクシードライバー(1976)」も入っているとすると”「ノーカントリー(2007)」なんかは?”とか思ってしまいます。
 ついでに「ブレードランナー (1982)」もとか。
 フィルム・ノワールは、やっぱり1960年代の初めぐらいまででないと混乱します。

 「ロング・グッドバイ(1973)」も入れていますが、日本映画学会の第6号(2011年)の論文はお読みでしょうか。
 今年の第8号が出ましたね。(未読)
http://jscs.h.kyoto-u.ac.jp/
No.99 - 2013/12/21(Sat) 19:52:13
Re: 再掲:ノワール50選(51ありますけど) / B&W
■Ismaelさま

>私は、51本中47本観ていますね、立派な中毒ですか?
いえ、廃人です。っていうか観てない4本が気になる…。

>『暴力行為』は、ジンネマン作品としては珍しく面白いですね。
私はいまだに『暴力行為』、観てないんですよねぇ…(ああっ、44-40様すみません!)
おまけにあろうことかあらまいことか、『無頼の谷』すらまだ観ていません!(もはや開き直り)。…というか、買うのをためらっているというか。そんなこと言ってたらいつまで経っても観れないって言うのはわかっているんですけど。

>"Film Noir: An Encyclopedic Reference to the American Style"という本には、300本リストアップされているとか。
改めて当時の作業を見ると、私はこのリストを“Film Noir of the Week master list”を基に作っていました。当時で351本リストアップされていました。
http://www.noiroftheweek.com/#!/2005/01/noir-of-week-list.html

監督名などは手打ちしたのか?覚えていません。51本については、監督名のほかに、撮影、主演、助演があがっています。せっかく再掲載したんだから、それらの情報が入ったリストに変えましょうか?でも長くなるなー。

■gapperさま

>”完全に負けた”と言う感じです。
えっ、誰に?

Ismaelさんにでしょうか?廃人レースに勝ってもあまりシアワセじゃないような…。いや、Ismaelさんを不幸とかそういうつもりじゃなくて…むにゃむにゃ。

>「ロング・グッドバイ(1973)」も入れていますが、日本映画学会の第6号(2011年)の論文はお読みでしょうか。
こ、こ、これから読みます!


■マグカップ様

どういたしまして。

ノワールで何か、お探しでしたら、私は『不審者』(1951 ロージー)をオススメします。(はい、リストに入っていません。)私はようやく今年になって初めてこの映画を見て、非常に感心しました。傑作ですねぇ。唸りましたよ(オヤジくさくて済みません)。2013年観た映画の私的ベスト10を考えていて、ベスト1を『不審者』にするか、『ステラ・ダラス』(1925 ヘンリー・キング)にするか迷っています。

あと、『天使の顔』をご覧になったら、お暇なときに感想をお聞かせくださったら嬉しいです。私はネットでこの映画のことを調べていて、主人公のモデルはシドニー・フォックスなんじゃないかなと考えているんです。
No.102 - 2013/12/21(Sat) 23:35:21
Re: 再掲:ノワール50選(51ありますけど) / マグカップ
B&Wさん、こんにちは。

>私はいまだに『暴力行為』、観てないんですよねぇ…
すみません、これも未見でした。

>『不審者』(1951 ロージー)
これは観ました。元掲示板に感想を書いた気がしますが消えているので。ヴァン・ヘフリンと「幽霊紐育を歩く」「ジョルスン物語」のイヴリン・キースの組み合わせが意外でした。特にヴァン・ヘフリンは「シェーン」の善人とは全く異なる悪役なので、見ごたえがありました。

>『ステラ・ダラス』(1925 ヘンリー・キング)
これは1937年版も観ました。大変評価の高い作品のようですが、私には良さがあまり分かりませんでした。
No.103 - 2013/12/22(Sun) 07:47:46
カーティーズのノワール / 44-40
B&Wさん、みなさん、

最近新たに見たノワール作品では、ブロードウェイからなぜか『トゥルー・クライム殺人事件』というダサダサの邦題で発売された、『The Unsuspected』(クロード・レインズ主演、マイケル・カーティーズ監督)がお勧めです。
なんとも不健康で、ヨーロッパ的で、魅力たっぷりのこの映画は、ファースト・ショットからラストカットまでカーティーズの映像美学が横溢しています。配給はワーナーだが、カーティーズの独立プロで作ったこの映画では、いろんな意味で彼の美意識が保持され、『ミルドレッド・ピアース』などよりずっとまとまりがあります。

冒頭の殺人シーンは陰影に満ちてとても美しく、これ以降の映画がまったく退屈でも許せてしまうほどの魅力があります。そしてまったく退屈ではないのです。通俗的な安心感とは無縁の不可解な人間関係の設定も、わかりやすい説明の排除も、一般的なアメリカ映画の観客には背を向けているかのようですが、その分この映画はヨーロッパの息(それもやや東欧的なテイスト)が強くかかったフィルム・ノワールとして、今でも輝きを失っていません。

オードリー・トッターやジャック・ランバートがアメリカ映画であることを思い出させますが、映画の中では二人ともひどい目にあっています。原作は、P・ハイスミス同様ヨーロッパで人気の高いアメリカ人作家シャーロット・アームストロング。
No.104 - 2013/12/22(Sun) 08:58:26
Re: 再掲:ノワール50選(51ありますけど) / gapper
 B&W さん、こんばんは。

>”完全に負けた”と言う感じです。
えっ、誰に?

 私が1年間に見た本数は、2010年は516本、2011年は483本、2012年は362本と更生の道を歩んでいます。
 ノワール50選には、未見作も多く”廃人道”に負けたと言う感じです。

 ここでは評価が低いと思われる「ギルダ(1946)」が、リストにありますね。
 私は、結構いいと思います。
 作品の質だけでなく映画界に与えた影響を考えると尚更です。
 ブルーレイも出るようですし。
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AE%E3%83%AB%E3%83%80-Blu-ray-%E3%83%AA%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%83%98%E3%82%A4%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%B9/dp/B00H95C2Q4/ref=sr_1_1?s=dvd&ie=UTF8&qid=1387368186&sr=1-1&keywords=Blu-ray%E3%80%80%E3%82%AE%E3%83%AB%E3%83%80
No.107 - 2013/12/23(Mon) 01:50:42
Re: 再掲:ノワール50選(51ありますけど) / Ismael
B&Wさん

2005年頃から元の掲示板でもフィルムノワールに関する討論が何回か繰り返されています。

私も何回か発言しており、昔の書き込みを見ると赤面するようなことも書いております。

最近は書き込みされませんが間宮周吉という方が「映像/言説の文化社会学 フィルム・ノワールとモダニティ」(中村秀之、岩波書店、2003年初版)の要約を投稿されて以降(No.2032 - 2005/11/26(Sat) 03:31:30)しばらくして、大まかな合意が形成されたような気がしていますが、細かな点では各自異論をお持ちです。

私の持論は、下記です(異論反論が多数あるのは承知しています)
フィルムノワールはアメリカ映画のある種のジャンル(『第三の男』は、ノワールではないし、メルヴィルの諸作品もノワールではない)。
時期的には、
製作者が『フィルムノワール』を意識していなかった1930年代から1958年あたりまで、と
製作者が『フィルムノワール』を意識している時代(アメリカにフィルムノワールという概念が導入されて以降、作品としては『チャイナタウン』『ロング・グッドバイ』以降)。に分かれる。私がより興味があるのは前者。
内容は、基本的に「犯罪メロドラマ」である(従って『狩人の夜』は、ノワールではない)。
ニコラス・レイの作品は、メロドラマの新たな系譜としてとらえるべきなのでそのほとんどの作品は、ノワールではない(特に『夜の人々』と『危険な場所で』)。
とはいえ、私にとってのフィルムノワールの重要な点は、「異性愛の不可能性」ですから、ある意味メロドラマの否定なんですね。
異性愛肯定派のヒッチコック作品は、どんなにノワールに近づいてもノワールではない。
時代は、現代。
ドン・シーゲルとリチャード・フライシャーはアクション映画作家であり、特に60年代以降の作品はノワールではない(特にシーゲル)。
基本的にスリラーは、ノワールに入れない(『私は殺される』は、ノワールではない)。
フリッツ・ラングは基本的にノワール的な作家ですが、『熱い夜の疼き』(Clash by Night)は、クリフォード・オデッツの戯曲が原作ですし、作品を見ればわかりますがこれもノワールではないし、『恐怖省』や『マン・ハント』もスリラーであってノワールではない。


自らの戒めの為に加藤幹郎の上記中村の著書に対する書評の一部を引用します。
引用初め
「定義」はパラダイム変換にともない、つねに書き換えられつづけるものであり、恒久不変の「定義」など存在しない。「観察される事実」としての「現象」はパラダイムを離れて、それじたい客観的に存在するものではない。それゆえフィルム・ノワールにかぎらず、悲劇であれウェスタンであれメロドラマであれ、いかなるジャンルの「定義」もジャンルがそれ自身に内包しているはずの個々の要素を十全に汲み取れたためしなどない。もしジャンルの定義とそこに内包されるべき作品とが歴史的変遷をこえて完璧に対応する一定不変の「定義」が存在してしかるべきだと主張するのならば、それは形而上的要請にすぎない。ジャンルの定義はその内包によってたえず変化するものである。
引用終わり
http://www.cmn.hs.h.kyoto-u.ac.jp/CMN6/kato-nakamura.html
No.108 - 2013/12/23(Mon) 18:01:32
Re: 再掲:ノワール50選(51ありますけど) / B&W
■マグカップ様

*** 『不審者』(1951 ロージー)についてのネタばれ有り ***

おっしゃるとおり、マグカップ様の『不審者』の投稿を、私も見た記憶があります。控えを残してたかも、と思い探しましたが、ありませんでした(泣。

>特にヴァン・ヘフリンは「シェーン」の善人とは全く異なる悪役なので、見ごたえがありました。

『シェーン』は『不審者』の2年後ですね。年齢も雰囲気も全く変わって見えますね。1910年生まれですから、『不審者』当時は41歳だったんですね。役作りだとは思いますが、若く見えます。

「悪役」というか、微妙なグレーな役ですね、ウェブ・ガーウッドって。警官だから本当は「悪」の対岸にいるべき人物なんですけどね。警官らしく、家捜ししたり、人の机の文箱を勝手に見たりする動作が自然で、無駄がないんですよね。犯罪も要領よく、警察官がこんな風に段取りしたら完全犯罪なんていくらでもできてしまうという「ありそうな話」なところが、見ていて不気味ですね。

スーザンに妊娠を告げられて、一時喜ぶでしょ。で、「まてよ…」って思い直して…。そういうところがいかにも「いい人そう」な「悪人」で、普遍性があってやりきれない感じがします。すぐ隣にいる「悪」、“あなたに似た人”である「悪」という印象を受けました。同僚警官役のジョン・マックスウェルは、いろんな映画で検死官やら医師役などで見かける人ですが、この作品が代表作なんじゃないでしょうか?やりきれないほど平凡で、退屈で、小市民的な人物を鮮やかに演じていますが、これは役者の力量というよりロージーの狙いと演出だと思います。

後半になって、ウェブが妊娠したスーザンをモハーベ砂漠のあばら家に隠しますよね。その部屋の壁が破れていて、その景色がシュールで、私は完全に魅了されました。あのあばら家はウェブの荒廃した精神の具象化のように感じました。映画ならではの、映画でしか体感できない感覚です。

>>『ステラ・ダラス』(1925 ヘンリー・キング)
>これは1937年版も観ました。大変評価の高い作品のようですが、私には良さがあまり分かりませんでした。

これについては別にスレッドを立てますね。


■44-40様
こんばんは ご無沙汰してるわ、観てないわで、ちょっと後ろめたいB&Wです。かまってくださってありがとうございます(汗。

>最近新たに見たノワール作品では、ブロードウェイからなぜか『トゥルー・クライム殺人事件』というダサダサの邦題で発売された、『The Unsuspected』(クロード・レインズ主演、マイケル・カーティーズ監督)がお勧めです。

この邦題ねぇ…。何でこういうタイトルになっちゃうんでしょうね?悪名高い『ブロンドの〜(全部書きたくない)』(1944 ドミトリク)とか。普通に邦訳すればいいと思うんですけどね。「疑いもせず」とか。

>冒頭の殺人シーンは陰影に満ちてとても美しく、これ以降の映画がまったく退屈でも許せてしまうほどの魅力があります。そしてまったく退屈ではないのです。

確かに退屈はしないんですけど、いささか観ていて疲れました。私の知識といってもIMDbとTCMで知るぐらいですが、カーティーズ/カーティス本人の弁にあるとおり("It looks as though I tried to make a great picture out of a story that wasn't basically a great story.")荘厳な趣すら漂う映像美に比べて、釣合うようなテーマではなかったなと感じています。ただ、その映像、画面構成やらアングルやらは素晴らしく、たっぷりカーティーズ美学を堪能できますね。モノクロ映像美の極めつけ・頂点、という感じがします。

今年なくなられましたオードリー・トッターの役は、ジェニファー・ジョーンズやジョーン・フォンテインも候補に挙がっていたんですね。クロード・レインズの役は、オーソン・ウェルズも候補に挙がっていたとか。この時期、ウェルズはお金に困っていましたよね。カーティーズ監督の映画に出てみてほしかったな…。チャップリンの『殺人狂時代』でも思うのですが、監督&主演の二大巨匠のカップリングを観てみたかったなと思います。

>原作は、P・ハイスミス同様ヨーロッパで人気の高いアメリカ人作家シャーロット・アームストロング。
私は原作者のことは全く頭の外にありました。調べてみると、『毒薬の小壜』など面白そうですね。今度読んで見ますね。

■gapperさま
>私が1年間に見た本数は、2010年は516本、2011年は483本、2012年は362本と更生の道を歩んでいます。
ウケました(笑)。

>ここでは評価が低いと思われる「ギルダ(1946)」が、リストにありますね。
>私は、結構いいと思います。


『ギルダ』が入っていないノワール選なんて、うそでしょ、と思いますが、どこにも天邪鬼というのはいるもので…。『サウンド・オブ・ミュージック』は必見じゃないとか、もう勝手に言っててよってカンジですね(笑)。

製作当時、イヴリン・キースがチャールズ・ヴィダーの奥さんだったんですが、“ノワールの帝王”を自称するエディー・ムラー氏(フィルム・アルケオロジスト)がキースと『ギルダ』を観ていて、「観てよ!あのタバコの吸い方!あの杖!…CENSOREDのほのめかしよ!」とうるさくってしょうがなかったそうです。この映画には性的ほのめかしが横溢していると。『ギルダ』についてはいつもハリー・コーンがリタ・ヘイワースにお熱で…と語られるが、実はプロデューサーは女性のヴァージニア・ヴァン・アップで、『ギルダ』というCENSOREDシンボルが形作られた背後には女性の存在があったと語っています(英語弱者なんで間違いをご指摘いただけたら幸いです。>ALL)。
http://www.youtube.com/watch?v=9EZXy4pT_TU&list=PL826D8A407BF9F89A&index=17

ところで私は『ギルダ』を“残念映画”に分類しています、個人的に。“残念映画”とは「あそこをああしていれば…ここをこうしていれば…もっともっと傑作になったのに〜(涙)」と自分で勝手に思っている映画です。『ギルダ』については、やっぱりストーリーでしょうか…。撮影がルドルフ・マテで、とても立派だし、ヘイワースは美の頂点だし、Put the Blame on Mameは素晴らしいし、いままでに何度も観ていますが、観るたびに、もうちょっとストーリーがなんとかなっていればなぁ、といつも思いますね。ヘイワースはこのとき妊娠していたんですよねぇ(驚。
No.110 - 2013/12/24(Tue) 01:25:24
Re: 再掲:ノワール50選(51ありますけど) / 44-40
> 確かに退屈はしないんですけど、いささか観ていて疲れました。私の知識といってもIMDbとTCMで知るぐらいですが、カーティーズ/カーティス本人の弁にあるとおり("It looks as though I tried to make a great picture out of a story that wasn't basically a great story.")荘厳な趣すら漂う映像美に比べて、釣合うようなテーマではなかったなと感じています。ただ、その映像、画面構成やらアングルやらは素晴らしく、たっぷりカーティーズ美学を堪能できますね。モノクロ映像美の極めつけ・頂点、という感じがします。
>


まさにここだと思うのです。この本人の弁は、彼の半ばへそ曲がりな監督哲学を語っているように思うのです。「俺には芸術的野心などひとかけらもない」などというようなことを言っておきながら、ワンショットもないがしろにしない気迫を、むしろさしたる内容のない映画に展開しようとするところが、ビジュアル派の彼の真骨頂なのかもしれません。
ここでも何度か書いているのに反応らしい反応がない、プレスリーの『闇に響く声』のような映画にも、50年代以降は落ちぶれたとされる彼の美学の結晶があると思うのです。

> 今年なくなられましたオードリー・トッターの役は、ジェニファー・ジョーンズやジョーン・フォンテインも候補に挙がっていたんですね。クロード・レインズの役は、オーソン・ウェルズも候補に挙がっていたとか。この時期、ウェルズはお金に困っていましたよね。カーティーズ監督の映画に出てみてほしかったな…。チャップリンの『殺人狂時代』でも思うのですが、監督&主演の二大巨匠のカップリングを観てみたかったなと思います。
>


ウェルズはどこかでエイゼンシュタインのことを聞かれた時、「ああ、ソ連のマイケル・カーティーズのことだな」と言ったとか。彼もカーティーズに一目置いていたということが察せられます。ドン・シーゲル(カーティーズの時代のワーナーの編集係)や、サム・ペキンパー(ドン・シーゲルに編集を学んだ)もカーティーズを尊敬していたとか。

最後に『渡洋爆撃隊』をご覧になりましたか? これも私にとってはカーティーズ・ノワールです。主演のボガートはフランス人役なのに相変わらずシマの背広にソフトだし、戦争中なのでほとんどハリウッドで撮ったのでしょうが、なぜかとてもヨーロッパを感じます。書きわりのパリの街角からこれほどフランスを感じたことはありません。
ストーリーもプロパガンダ映画なのに陰鬱で、ボガートのキャラクターもひと癖もふた癖あるものです。クロード・レインズも出ていますが、相変わらずエレガントで、『トゥルー・クライム〜』はやはり彼でよかったと思います。
No.112 - 2013/12/24(Tue) 10:51:29
Re: 再掲:ノワール50選(51ありますけど) / gapper
>『ギルダ』が入っていないノワール選なんて

 「ギルダ(1946)」は、中身を抜きにしてもリタ・ヘイワースとグレン・フォードにとって決定的な作品ですし色々と影響を与えていると思います。
 「大いなる別れ(1947)」の18分ごろと「上海から来た女(1947)」の35分ごろにあのメロディが流れます。
 邦画でも「美女と液体人間(1958)」や「帰郷(1950)」などで影響だと思うシーンがありました。
 「ショーシャンクの空に(1994)」では、「ギルダ(1946)」への思いれがかなり感じられます。

 フィルム・ノワールで日本版ブルーレイがあるものって「ギルダ(1946)」、「第三の男(1949)」、「死刑台のエレベーター(1958)」、「サイコ(1960)」位の様に思います。
 少ないです。(「タクシードライバー(1976)」は、年代はずれで個人的に除く)
 「サイコ(1960)」は、IMDb では”ホラー”に成ってましたが。


 「成功の甘き香り(1957)」って、イーリング・コメディのアレクサンダー・マッケンドリック監督作品なんですよね。
 最近買った「マダムと泥棒(1955)」のブルーレイの特典映像で、初めて意識しました。
 見直さないとダメな感じです。
No.117 - 2013/12/24(Tue) 20:11:36
Re: 再掲:ノワール50選/Slumber My Darling / B&W
Ismaelさま

去年のちょうど今頃やり取りさせていただいた事柄のお返事を、一年かけていただいたように感じて、恐縮しております。私のようなもののために、時間をかけて丁寧なお返事をくださり、ありがとうございます。

>しばらくして、大まかな合意が形成されたような気がしていますが、細かな点では各自異論をお持ちです

当時の「大まかな合意」とはどういったものだったんでしょうか?検索したのですが見つけきれませんでした。該当レスナンバーでも結構ですが、お分かりになりますか?

>自らの戒めの為に加藤幹郎の上記中村の著書に対する書評の一部を引用します。
私は当該の中村氏のご本は読んでいません。ただご紹介いただいた加藤幹郎氏の書評は、折に触れ読み返してきました。

この書評の一番の読みどころは、中村氏が「『黒い罠』には存在しない」といっているボイスオーバーを、加藤氏が鮮やかに提示して見せているところだろうと感じます。中村氏が真率に映画に対峙しながらも、このような見方をしてしまった原因を、その硬直した「静態的態度」(「フィルム・ノワール」のヴォイスオーヴァとは『深夜の銃声』にあらわれるようなものに限定されるべきであるとする静態的な立場)にあるとし、目の前にある映画を見ないで、言葉の上だけの形而上的虚構にふけっている様子を嘆いておられますね。
加藤氏としては、類概念であるジャンルのひとつであるフィルム・ノワールを定義することは、二千年前から存在する悲劇を定義することと同様に「できない」ことであり、にもかかわらず悲劇もフィルム・ノワールも存在し続けてきたのだから、我々は諸処のフィルムの肌理にあたって、「フィルム・ノワールと名指すことのできる映画群の歴史的ダイナミズムの再構築」にこそ向かうべきであると考えておられると思います。
加藤氏は中村氏の仕事を「本書はフィルム・ノワールをめぐって書かれた過去六十年ほどの錯綜した言説の歴史を、粘り強いリサーチと明晰なレトリックによって解きほぐしてくれる稀有な書物である」と労わりつつも、結局それが「二流の言説にしか逢着」しなかった結果を見て「なんでこーなるの!」と悲憤慷慨しておられるようにお見受けしました。

間宮周吉氏も投稿No.2032 - 2005/11/26において、「8、そもそもこういう本(映像/言説の文化社会学)が、「批評」や「コラム」の本としてではなく、1冊を通して、映画を見ることそのものよりも資料を漁って(研究者にありがちですが。とくに社会学派は)、「フィルム・ノワールとはなにか」ということについて、書かれなければならないことが、この名称がいかに混乱して流通し、各々が勝手に選別し、紋切り型の定義に毒されているかを示している。」とし、「フィルム・ノワールの光と影」(エスクワァイア・ジャパン)や紀伊国屋書店のDVDリーフレットのほうを「映画好きにはこっちのほうがお勧め」とされていますね。

私が今考えていることは二つ。ひとつは以上のことを了解しておられるIsmaelさんが、にもかかわらずここでフィルム・ノワールの定義と称する「形而上的虚構」を開陳されるのはなぜなのだろう、ということです。

中村氏のようにフィルム・ノワールを理念型にしてしまって、ボイスオーバーがあるとかないとか言うのとは違って、Ismaelさまの場合は、差異を包摂する便宜的容器としてのジャンルの定義というスタンスなので、素直というかまだ筋がいいという印象ですが。時代と地域と内容をざっくり決めて、その上で論陣を張るということであれば、それも機能するであろうとは思います。

ご本人の意図はともかく
・ ニコラス・レイの作品は、メロドラマの新たな系譜としてとらえるべきなのでそのほとんどの作品は、ノワールではない。
・ 異性愛肯定派のヒッチコック作品は、どんなにノワールに近づいてもノワールではない。
・ ドン・シーゲルとリチャード・フライシャーはアクション映画作家であり、特に60年代以降の作品はノワールではない。
などといった言説は、intrigueでcontroversialで、人目を引くというか悪目立ちして、賛成するにせよ反対するにせよ、不毛な議論に陥ってしまいそうな気がします。ただ、こちらの掲示板に投稿される方も少なくなりましたし、本当に投稿していただきたい間宮さんとか、渡辺さんなどもこられなくなりましたので、異論も反論も論争自体が生じないとは思いますけれども。

もうひとつは、実は私は「映画を見ることそのものよりも資料を漁る」“社会学派”タイプなんですね。もともと自発的興味の源泉が映画ではなく社会現象であるからでしょう。フィルム・ノワールの場合だと、その定義は、私の場合44-40様が度々書かれているような内容に概ね賛成なんです。第一次、第二次の二つの戦争と、その間に挟まっているスペイン内戦と東欧諸国の民族自決と…。戦争が民族にもたらした精神的外傷とか、共産主義的価値観・文化の変遷などの面からフィルム・ノワールを考えたいというタイプです。

そういう私の目には加藤幹郎氏の『深夜の銃声』をめぐる論考など、読み物としては面白いけどフワフワしてあやういなあ、と感じてしまいます。エビデンス――ったって、そんなものは発明でもしないとないんだけど――が欲しいなあ、と思ってしまうんですね。でも「映画好き」の方たちにとっては、こちらが本筋なんですね。勉強になりました。

http://www.youtube.com/watch?v=xrPa9ZYgdo0
No.119 - 2013/12/25(Wed) 03:42:17
Re: 再掲:ノワール50選(51ありますけど) / B&W
■44-40様
>最後に『渡洋爆撃隊』をご覧になりましたか?
すいません、未見です〜。単品DVDが出ているんですね。新井達夫氏はカーティーズ/カーティス/カーチスのノワールとして『カサブランカ(1942)』『渡洋爆撃隊(1944)』『Mildred Pierce(深夜の銃声 1945)』を挙げていますね(『フィルム・ノワールの光と影』(2002 鳥影社)より)。よくできた映画で公開当時はヒットしたが今(2002年当時)では完全に忘れ去られている、と。こういう方々の掘り起こしで、埋もれた良作が日の目を見ることになったのは喜ばしいことです。

>まさにここだと思うのです。この本人の弁は、彼の半ばへそ曲がりな監督哲学を語っているように思うのです。「俺には芸術的野心などひとかけらもない」などというようなことを言っておきながら、ワンショットもないがしろにしない気迫を、むしろさしたる内容のない映画に展開しようとするところが、ビジュアル派の彼の真骨頂なのかもしれません。

>ここでも何度か書いているのに反応らしい反応がない、プレスリーの『闇に響く声』のような映画にも、50年代以降は落ちぶれたとされる彼の美学の結晶があると思うのです。

>(『渡洋爆撃隊』について)主演のボガートはフランス人役なのに相変わらずシマの背広にソフトだし、戦争中なのでほとんどハリウッドで撮ったのでしょうが、なぜかとてもヨーロッパを感じます。書きわりのパリの街角からこれほどフランスを感じたことはありません。

私が比較的最近見たカーティーズの映画でセットが印象深いものというと『British Agent』(1934 レスリー・ハワード、ケイ・フランシス、そしてウィリアム・ガーガン)でしょうか…ロシアの二月革命〜十月革命〜レーニン暗殺未遂まで(1917-1918)を舞台に、恋と使命の狭間で揺れ動くイギリス人諜報員の活劇です。41ものセットを組んだそうですが、80分の上映時間の中で、場面がくるくると入れ替わり、数カットしか使われないので贅沢な絵作りだなあと思いました。

第一次世界大戦下ですし、非常に錯綜したロシア第二次革命の時代を扱っていますので、手際よく観客に状況を説明しなければならないんですが、非常にわかりやすく盛り上がりもあって、いまさらながらカーティーズの物語る才能を堪能しました。

ケイ・フランシスは英国諜報員と恋に落ちるレーニンの秘書の役で、Moura Budberg(モウラ・バドバーグ?男爵夫人)がモデルです。モウラはダブル・エージェントだったそうです。ケイ・フランシスは、はまり役で、とてもよかったです。ケイ・フランシスって鳳蘭さんに似ていますね…ダイナミックな役が似合います。

New Statesmanの関連記事
ttp://www.newstatesman.com/politics/2007/11/moura-budberg-british-gorky

伝記も出版されています。NYREVの書評
ttp://www.nybooks.com/books/imprints/classics/moura/

“ビジュアル派としてのカーティーズ”ですか…。上記の新井達夫氏の本の中で、新井氏はシオドマクについて「ひょっとするとシオドマクには自分の映像に酔うところがあるのかもしれない。私は長所だと思うのだが、欠点だという人もいるだろう。」と評しておられます。この文章はシオドマクをジョン・ヒューストンやハワード・ホークスと比較して考える中で出てきた評なんですが、私はふとこの言葉が思い浮かびました。カーティーズは自分の映像に酔うようなところはないなあと思って。ワーカホリックで、二六時中せかせかして仕事が頭から離れず、寝言でも撮影しているという人ですが、そういう「余裕のなさ」が、なんとなく映画の場面転換の早さ、要領のいい語り口に現れていて、映像をじっくり見せようというゆとりがないように感じました。もっとも私は見ている本数が少ないので、この印象は今後変わっていくと思います。

>ウェルズはどこかでエイゼンシュタインのことを聞かれた時、「ああ、ソ連のマイケル・カーティーズのことだな」と言ったとか。彼もカーティーズに一目置いていたということが察せられます。

このエピソードの、元ねたはどこなんでしょうか?カーティーズはハンガリー時代の映画だけでも何十作もありますよね。ウェルズはそれは見ていたのかどうか、見た上での批評なのかどうかが気になります。カーティーズのハンガリー時代の映画にも興味があります。

■gapper様

>「大いなる別れ(1947)」の18分ごろと「上海から来た女(1947)」の35分ごろにあのメロディが流れます。
『大いなる別れ』(未見/1947 ジョン・クロムウェル)は密林の該当ページを眺めては買うか買うまいか迷い続けて4年ぐらい経っているタイトルです。そんなこと言ってたらいつまで経っても見られないんですけどね…。

『上海から来た女』のメロディーとは♪“Please Don't Kiss Me”のことでしょうか? 歌は吹き替えですけどね
http://www.youtube.com/watch?v=Q3j6sWAJ45Y


>「成功の甘き香り(1957)」って、イーリング・コメディのアレクサンダー・マッケンドリック監督作品なんですよね。

『マッケンドリックが教える映画の本当の作り方』(フィルムアート社 2009)という著書がありますけどねぇ。私はこれを借りて読んで、全部読めないままに返してしまって…借りて読むのは辛い本ですね。大部ですし。買うか買うまいか、密林の該当ページを(略。

『成功の甘き香り』には『マダムと泥棒』のような乾いたユーモアは感じられませんね。Ikedaさまのレビューに「あくどい」という表現が使われていますが、まさに「あくどさ」を描いた映画ですね。マッケンドリックにもう少し主導権があったら、もっとイギリス風な軽妙な(そして地味な)作品になっていたかもしれない。バート・ランカスターの重さ(そして派手さ)が出ているように感じました。

モデルになったウォルター・ウィンチェルが原案でロウエル・シャーマンが監督し、コンスタンス・カミングスが主演した『キャバレーの鍵穴』(Broadway Through a Keyhole 1933)というミュージカル(!)のクリップを見たのですが、面白そう…
No.140 - 2013/12/28(Sat) 00:13:35
Re: 再掲:ノワール50選(51ありますけど) / gapper
>『上海から来た女』のメロディーとは♪“Please Don't Kiss Me”のことでしょうか?

 これは、

>> 「ギルダ(1946)」は、中身を抜きにしてもリタ・ヘイワースとグレン・フォードにとって決定的な作品ですし色々と影響を与えていると思います。

 の流れから来ていますから、”ギルダのタイトル・メロディ”です。
 ただ、リタがレストランから去るシーンに流れるので影響と言うよりも”宣伝”ですね。


>『成功の甘き香り』には『マダムと泥棒』のような乾いたユーモアは感じられませんね。

 マッケンドリック監督のことは良く分からないのでこういってよいのかわかりませんが、”屈折した”人の様に感じます。
 あくまでも「マダムと泥棒(1955)」の特典映像にあったインタビューからのイメージですが。

 よく物事を”斜に構えてみる”と表現される人がいますが、少なくとも今私が持っているイメージはそんな感じです。
 その辺のこともあって、もう一度見直すべきだと思っているのですが。
 予定通りに見ていきたいと言うのもあり、実際見直すのは先になると思います。
No.144 - 2013/12/28(Sat) 23:33:45
別にマイケル・カーティーズばかりが好きなのではないけれど / 44-40
B&Wさん、

> “ビジュアル派としてのカーティーズ”ですか…。上記の新井達夫氏の本の中で、新井氏はシオドマクについて「ひょっとするとシオドマクには自分の映像に酔うところがあるのかもしれない。私は長所だと思うのだが、欠点だという人もいるだろう。」と評しておられます。この文章はシオドマクをジョン・ヒューストンやハワード・ホークスと比較して考える中で出てきた評なんですが、私はふとこの言葉が思い浮かびました。カーティーズは自分の映像に酔うようなところはないなあと思って。ワーカホリックで、二六時中せかせかして仕事が頭から離れず、寝言でも撮影しているという人ですが、そういう「余裕のなさ」が、なんとなく映画の場面転換の早さ、要領のいい語り口に現れていて、映像をじっくり見せようというゆとりがないように感じました。もっとも私は見ている本数が少ないので、この印象は今後変わっていくと思います。

シオドマクもやはり映像が魅力ですが、カーティーズはひょっとしたら映像以外のことにはあまり興味がないのではないか、とさえ思えます。ですから脚本の中身やジャンル、および俳優の演技をあまり重要視していなかったのではないでしょうか。彼は終生英語が不得意で、「脚本もよく読まず、勘で演出していた」とか、俳優たちを家畜のように扱う、などと陰口をたたかれています。
彼には時として映像のために脚本や演技を犠牲にしているように感じられるところがあります。私はB&Wさんとは逆に、説話的な巧みさよりも、計算された奥行きのあるコンポジションや、壮麗な画面展開を最優先にしているように思えるのです。したがって彼の映画は、概して内容のわりに短くありません。説話に多少時間がかかっても、俳優の演技がまずくても、映像のつじつまを譲らないような気がします。

このことは同じようにビジュアル派だと思うヘンリー・ハザウェイにも言えると思います。ただハザウェイは役者には厳しく当たっても脚本は尊重(自分でもそう言っています)したようで、そのため大胆さに欠けしばしばダラダラする印象を与えてしまうのではないでしょうか。

まあ、全部想像ですが…。サイレント時代からの経験があるカーティーズのほうが、B&Wさんの言うような説話の効率を巧みに追うことができたということでしょうか。

> このエピソードの、元ねたはどこなんでしょうか?カーティーズはハンガリー時代の映画だけでも何十作もありますよね。ウェルズはそれは見ていたのかどうか、見た上での批評なのかどうかが気になります。カーティーズのハンガリー時代の映画にも興味があります。

ウェルズのことばの出所がどこだか忘れてしまいました。かなり最近目にしたような気がするのに…。ただ私が感じたのは、ウェルズがいかにもインテリ好みのエイゼンシュタインをクサしながら、インテリには見向きもされなかったカーティーズを少し持ち上げようとしたのだろうな、ということです。それが彼の性格には合っていると思います。
ご存知だと思いますが、彼は別のところで「俺にはベルイマンの映画と日本人だけはよくわからない」とも言っています。

カーティーズにはハンガリーでもドイツでもフランスでも作品があるようですが、このことも、彼がことばに頼らない映像派であることの傍証であるような気がします。
No.145 - 2013/12/29(Sun) 00:11:15
Re: 再掲:ノワール50選(51ありますけど) / Ismael
B&Wさん

> 私が今考えていることは二つ。ひとつは以上のことを了解しておられるIsmaelさんが、にもかかわらずここでフィルム・ノワールの定義と称する「形而上的虚構」を開陳されるのはなぜなのだろう、ということです。
>

単純に、私にとって、これ「も」フィルムノワールだ、とすることで見えてくるものと、これ「は」フィルムノワールではない、とすることで見えてくるものが違う、というだけです。

この考えを押し付けたり、ノワールに関しては、最も正しい解釈だなどと主張する気は毛頭有りません。
No.147 - 2013/12/29(Sun) 11:09:03
殺しのダンディー(1968) アンソニー・マン / マグカップ
別スレの「殺しのダンディー」を観ました。これは相当面白い映画だと思いました。
英国諜報員のローレンス・ハーヴェイはソ連の2重スパイというストーリーです。
アンソニー・マン監督の作品としては、意外に緊張感あふれる展開だと感じました。しかし、ネットで調べたら、彼は撮影中に交通事故死し、代わりに主演のハーヴェイが仕上げたそうです。
ロンドンとベルリンの撮影はスクリーン・プロセスもなく、名所を美しくロケしています。カーレース・シーンも見事でした。
ただ、恋人のミア・ファローが実はスパイ?と期待していたら、何でもなかったのが残念です。
音楽はクインシー・ジョーンズ、衣装をピエール・カルダンが担当しました。
No.120 - 2013/12/25(Wed) 09:46:23
Re: 殺しのダンディー(1968) アンソニー・マン / Ismael
マグカップさん

原題のA DANDY IN ASPICってどういう意味だと思われますか?

この作品にはマンらしからぬショットがあると思います。
超クローズアップや無駄ではないかと思われるズームなどです。
こういった画面はマンが撮らせたのかハーヴェイが撮らせたのか?
時代的にはこういうショットが流行してはいましたが・・・。
No.121 - 2013/12/25(Wed) 10:15:20
Re: 殺しのダンディー(1968) アンソニー・マン / 44-40
マグカップさん、

そうでしょ。面白いでしょ。以前マグカップさんが『裏切りのサーカス』のことを書きこまれた時、何も書かなかったのは、私には『殺しのダンディー』のような映画のほうがずっとおもしろいと思えたからです。
『裏切りのサーカス』も実にしっかりまじめに作られた力作だと思いますが、『殺しのダンディー』のような映画のほうが忘れられない作品となるのです。
ジャンルは全然違いますが、『殺しのダンディー』のようにいつまでも個々のシーンともども記憶に残っている「魅力的な映画」には、『ブラス・ターゲット』『ブラック・サンデー』『サブウェイ・パニック』などがあります。なんか全部カタカナですが。

Ismaelさん、

>原題のA DANDY IN ASPICってどういう意味だと思われますか?

私もかねがねどういう意味かわからずにいます。ご教示いただければ幸いです。
No.123 - 2013/12/25(Wed) 15:12:07
Re: 殺しのダンディー(1968) アンソニー・マン / マグカップ
Ismaelさん、44-40さん、こんにちは。

>原題のA DANDY IN ASPICってどういう意味だと思われますか?
ASPICの意味は「ゼリー寄せ。ゼラチンや肉汁の蛋白質(煮こごり)で固めたもの」なので、ぐじゃぐじゃになった2重スパイを表しているのだと思います。

>『裏切りのサーカス』も実にしっかりまじめに作られた力作だと思いますが、『殺しのダンディー』のような映画のほうが忘れられない作品となるのです。
同じ2重スパイの作品として『殺しのダンディー』の方が正攻法で作られているでしょう。『裏切りのサーカス』は時間軸を動かしているので分かりにくいです。でも私はラストの「ビヨンド・ザ・シー」の狙撃シーンが大変気に入っています。
No.124 - 2013/12/25(Wed) 16:11:52
Re: 殺しのダンディー(1968) アンソニー・マン / Ismael
44-40さん
マグカップさん

私も『裏切りのサーカス』よりは『殺しのダンディー』の方が好きです。
ショットの力と言えば良いのでしょうか、そのようなものが『ダンディー』の方が強いとおもいます。

> >原題のA DANDY IN ASPICってどういう意味だと思われますか?
> ASPICの意味は「ゼリー寄せ。ゼラチンや肉汁の蛋白質(煮こごり)で固めたもの」なので、ぐじゃぐじゃになった2重スパイを表しているのだと思います。


私も最初はそうかなと思っていたのですがどうもすっきりせず、多分in aspicという慣用表現があるのだろうと思っていろんな辞書をしらべていたらLONGMAN DICTIONARY OF CONTEMPORARY ENGLISHに
preserve something in aspic British English
if something has been preserved in aspic, it has not changed for a very long time:
という説明がありました。
ハーベイがモスクワに帰りたいとよく口にしますが、帰るに帰れない状況、膠着状態、立ちすくんだ状態を意味するのではないかと考えています(100%の確信はありませんが)。
No.125 - 2013/12/25(Wed) 19:51:54
Re: 殺しのダンディー(1968) アンソニー・マン / Ismael
マグカップさん

たびたび失礼。

> アンソニー・マン監督の作品としては、意外に緊張感あふれる展開だと感じました。しかし、ネットで調べたら、彼は撮影中に交通事故死し、代わりに主演のハーヴェイが仕上げたそうです。

死因は心臓発作だったと思いますが?
He filmed one more picture, “The Heroes of Telemark” (1965), before working on his final production, “A Dandy in Aspic” (1968). Unfortunately, during production of the latter in Berlin, Germany, the director passed away from a heart attack.
http://www.matineeclassics.com/celebrities/directors/anthony_mann/details/
No.126 - 2013/12/25(Wed) 20:07:49
Re: 殺しのダンディー(1968) アンソニー・マン / 44-40
マグカップさん、
Ismaelさん、

今やローレンス・ハーヴェイも死んでしまったので、正確には知る由もないのかもしれませんが、イギリスでのシーンはすべてマンが撮り終え、ベルリンで一部取り残したシーンをハーヴェイが撮った、という話をどこかで読んだことがあります。その「一部」がどのくらいの分量なのかはわかりませんが、監督はあくまでアンソニー・マン名義になっているし、全体としてまとまりを欠いているような印象はないので、トラブルを乗り越えた成功作と言えるでしょう。

in aspicにはイギリス英語で、もっとエロチックな比喩でもあるのかとも勘繰っていました。Ismaelさんの言うように、(ゼリーは透明なので)目には見えても閉じ込められて出られない、とでも解釈しておきましょうか。
No.127 - 2013/12/25(Wed) 21:15:56
Re: 殺しのダンディー(1968) アンソニー・マン / マグカップ
Ismaelさん、

>死因は心臓発作だったと思いますが?
「アンソニー・マン」のallcinemaとWikipediaには交通事故と書いてあります。

67年「殺しのダンディー」の演出中に交通事故で死亡 (allcinema)

1967年4月29日、ベルリンで『殺しのダンディー』の撮影中に交通事故で急死。(Wikipedia)
No.128 - 2013/12/25(Wed) 21:16:58
Re: 殺しのダンディー(1968) アンソニー・マン / マグカップ
44-40さん、同時投稿でした。
私はアンソニー・マン監督の作品で好きなものは「グレン・ミラー物語」だけです。J・スチュアートの西部劇で有名なものがいくつもありますが、それほど気に入ってません。しかし、この「殺しのダンディー」の殺人シーンやラストの決闘シーンは大変迫力があり、他の作品とは全く違った印象を受けました。

>in aspicにはイギリス英語で、もっとエロチックな比喩
aspicには女性性器という意味があるようですね。しかし、ミア・ファローとのベッド・シーンは大したことがないと思いました。

(追記)aspicは女性性器で、dandyは男性のアレですね。manではなくdandyですから、「dandy in aspic」は正にエロな比喩です。原作はエロ小説だったかもしれません。
No.129 - 2013/12/25(Wed) 21:30:38
Re: 殺しのダンディー(1968) アンソニー・マン / Ismael
マグカップさん

ネットで英語で調べると、死因は、heart attackとしているのが圧倒的に多いですが日本語だと心臓発作と交通事故が混在していますね。

吉田広明の『B級ノワール論』では、心臓発作となっています。
No.130 - 2013/12/25(Wed) 21:49:51
Re: 殺しのダンディー(1968) アンソニー・マン / Ismael
マグカップさん

『裸の拍車』『西部の人』もあまりお気に召さないですか?

> 私はアンソニー・マン監督の作品で好きなものは「グレン・ミラー物語」だけです。J・スチュアートの西部劇で有名なものがいくつもありますが、それほど気に入ってません。しかし、この「殺しのダンディー」の殺人シーンやラストの決闘シーンは大変迫力があり、他の作品とは全く違った印象を受けました。
No.131 - 2013/12/25(Wed) 21:53:07
Re: 殺しのダンディー(1968) アンソニー・マン / マグカップ
Ismaelさん、
>『裸の拍車』『西部の人』もあまりお気に召さないですか?
悪口は書きたくないので、やめときます。『裸の拍車』『西部の人』のどこが素晴らしいのか、別スレで教えていただけると幸いです。
No.132 - 2013/12/25(Wed) 22:01:30
Re: 殺しのダンディー(1968) アンソニー・マン / Ismael
マグカップさん
> >『裸の拍車』『西部の人』もあまりお気に召さないですか?
> 悪口は書きたくないので、やめときます。『裸の拍車』『西部の人』のどこが素晴らしいのか、別スレで教えていただけると幸いです。


『裸の拍車』は、ジュネス企画の画質に問題のあるDVDしかありませんし、『西部の人』は、日本では、DVDすら、発売されていませんので別スレを立てるのはやめておきます。

私は両方ともアメリカ版を持っていますがこれまた画質があまりよくありません。
No.133 - 2013/12/26(Thu) 10:03:29
Re: 殺しのダンディー(1968) アンソニー・マン / 44-40
マグカップさん、

> 『裸の拍車』は、ジュネス企画の画質に問題のあるDVDしかありませんし、『西部の人』は、日本では、DVDすら、発売されていません

ジュネス企画の『裸の拍車』のDVDは持っていますが、画質は特に問題ありません。ふつうのソフトと同等です。
『西部の人』は中古のVHSしか持っていませんが、画質以前に画面サイズが違う(シネスコ→4:3)ので困ったものです。

マンの作品は、特にその西部劇において、時に暑苦しく、最後まですべてが迫りくる余白のなさのようなものが、気に入らなければ気に入らないかもしれません。多くの人が西部劇に求める「スカッとした感じ」が、ドラマにも画面にも無いことがあります。一般的に「好ましい人物」が登場しないことも多いですし。マンが好きな私とて、彼の西部劇は、気楽に見ようという気になかなかなりません。

そう考えると、彼の映画はみな基本的にin aspicを描いているのかもしれませんね。

『西部の人』は『殺しのダンディー』と同様カラーシネスコなので、舞台となる荒涼とした大地やゴーストタウンが、広々とした画面の中で独特の乾いた寂寥感をたたえているはずなので、国内盤DVDの発売を強く願っているところです。
No.134 - 2013/12/26(Thu) 10:23:32
Re: 殺しのダンディー(1968) アンソニー・マン / マグカップ
44-40さん、こんにちは。今日から冬休みで暇なので返答します。

>そう考えると、彼の映画はみな基本的にin aspicを描いているのかもしれませんね。
No.129にaspicの追記をしました。

>『裸の拍車』『西部の人』
44-40さんもコメントしたので、少し書きます。どちらも3年ぐらい前に観ました、
『裸の拍車』はジュネス企画のDVDを、『西部の人』はザ・シネマでワイド画面でした。
どちらも画質は悪くなかったと思います。気に入らないのはストーリーとアクションシーンで、私は全く緊張感とか迫力を感じられませんでした。しかし、allcinemaのコメントの評価は高いですね。gapperさんのコメントも両方ともありました。
ただ、『西部の人』の冒頭の景色と音楽は良かったです。また、ラストでジュリー・ロンドンがクーパーに恋を打ち明けるシーンも好きでした。

>ここでも何度か書いているのに反応らしい反応がない、プレスリーの『闇に響く声』のような映画にも、50年代以降は落ちぶれたとされる彼の美学の結晶があると思うのです。
これは観ました。見どころはプレスリーの歌でしょう。黒人の中で歌っても、すんなりと溶け込んでしまうのが素晴らしい。でも、ストーリーは私はあまり面白くありませんでした。
No.135 - 2013/12/26(Thu) 13:34:32
Re:西部の人&裸の拍車 / gapper
 マグカップ さん、失礼します。

 私もどちらも3年ほど前に見ているので、同じころ見たと言う事ですね。
 allcinema に書いてありますが「西部の人(1958)」はゲイリー・クーパーの年齢のギャップに引っかかって、これが後まで後を引いていて正当な評価が出来ないと言う感じが今でも残っています。

>私は全く緊張感とか迫力を感じられませんでした。
 「裸の拍車(1953)」の評価ですが、”緊張感とか迫力”ですが、一般的な西部劇で期待するものは確かにないと思います。
 とは言っても緊張感を焦燥感、迫力を人生での重大性と置き換えると違ってくると思います。

 農場を取り戻したいハワード・ケンプ(ジェームズ・スチュワート)には、両方があるし他の人達も色々とあったと思います。
 こういったことを考えると西部劇としては面白くないが、ドラマとしては十分面白いと言う見方もあると思います。
No.137 - 2013/12/26(Thu) 20:32:58
Re: 殺しのダンディー(1968) アンソニー・マン / マグカップ
gapperさん、こんにちは。

>私が1年間に見た本数は、2010年は516本、2011年は483本、2012年は362本と更生の道を歩んでいます。
この数年間は私としては映画を観てる方ですが、年間150本ぐらいです。ノワール50選では私の勝ちかもしれませんが、この本数では完敗です。
No.138 - 2013/12/26(Thu) 21:20:05
Re: 殺しのダンディー(1968) アンソニー・マン / gapper
 ずっと前にも書きましたが、私は社会人になってから10年位前まで映画の積極的でない時期でした。
 10年位前から学生時代の様に積極的に見るようになりました。

 そういったことから数多く見ると言う事を重要視しています。
 減ったのには、必要と思われるものを”ある程度”見たからと言う側面があります。
No.139 - 2013/12/26(Thu) 23:05:50
アンダーカヴァー(2007) / Ismael
みなさま、
ホアキン・フェニックス、マーク・ウォールバーグ、ロバート・デュヴァル共演というのでレンタルしてみました。

ある警察一家の物語。
姓からするとロシア系もしくは東欧系と思われますのでこの3人が父子という設定にはやや無理があるとは思いますが・・・。
フェニックスとウォールバーグが製作、ジェームズ・グレイ監督。
グレイは『リトル・オデッサ』で名前は知っていましたが、作品を見たのは初めてです。

ちょっと中だるみするところがありますが、なかなか面白かったです。
主演はフェニックスですね。
いつもは暴れん坊のウォールバーグは、途中でロシアンマフィアの殺し屋に撃たれて重傷を負いあまり活躍しません。

このエピソードは、必然性があまり感じられないのですが、何か事情があってウォールバーグの出番を減らしたのか?
No.136 - 2013/12/26(Thu) 20:11:36
ノワール西部劇 / Ismael
ご参考まで

http://www.imdb.com/list/n6JLVjalqos/
No.122 - 2013/12/25(Wed) 10:25:37
LBさま gapperさまへのお返事です / B&W
*** 追悼 ジョーン・フォンテイン スレの??94 ??95 へのご返信です。スレッドタイトルから離れた内容なので、分けました。***

LBさま 
直接やり取りさせていただきますのは初めてかもしれません。今後もよろしくお願い致します。実は別の投稿でウィキのアリス・フェイのフィルモの一部を使わせていただきました。

>加藤氏のウィキペディア記事の編集履歴を覗いてみましたが、どうも一人の人が編集し続けているようですよ。
私も「いったい誰が?」と思って覗いてみたんですが、数字の羅列で、私にはわかりませんでした。見る人が見たら、そういうことがわかるんですね。

> >『フランス映画どこへ行く』
>この本は私も持ってます。

これ、面白いですよねぇ?お時間あればご感想を…。

gapperさま

>消し方を変えたという所で、彼の転機であることを示しているシーンのようにも思います。
私はこのシーンがずっと気になっていまして…。紛争の「火消し」役ということなんでしょうかね?

>『フランス映画どこへ行く』については興味がありますが、私が気にしているのは分散していき”日本では成り立たなくなっていく洋画”です。
この本はフランスにおける映画を取り巻く状況に焦点が当たっていますが、翻って日本はどうだ!という、比較文化論的視点があるので、面白いと思いますよ。それに文章がうまい人なので読みやすいです。インタビュー部分もあります。

>2012年の Remembers には「アラバマ物語(1962)」の映像が使われていますが、何か関係があるんでしょうか?
3:08ごろの子供の手がマジックボックスを開くところの事ですか?タイトルデザインを担当した、ステファン・フランクフルト追悼(3:01あたり)からの流れではないでしょうか?

>『グリーンマイル』(1999)のマイケル・クラーク・ダンカンが、もう亡くなっていたんですね。
ちょっと話題がずれますが、『グリーンマイル』と『The Last Mile 』(1932 サミュエル・ビスコフ) ――アーカイヴで観られます――って何かつながりがあるんでしょうか?リメイクは同題名で1959年にありますが…どなたかご存知の方はいませんか?
No.101 - 2013/12/21(Sat) 23:24:13
Re: LBさま gapperさまへのお返事です / gapper
  B&W さん、こんにちは。 あれやこれやで分け分からん状態ですが。

>私はこのシーンがずっと気になっていまして…。紛争の「火消し」役ということなんでしょうかね?

 私の解釈だと手でつまんで消すと言う所は、彼の非常性ひいては英雄としての資質と個人の悩みを表す演出だと思っています。
 派遣を命じられそれに従うと言うのは普通で、吹き消すことで普通の対応をしますよと言う意味合いがあるのだと思います。
 見る方には、またつまんで消すのかとかと言う期待を裏切る演出と言う事もあるでしょう。
 そして、普通になってしまう言う事ではなく自らの望みが叶うので、それ相応の返礼的な意味なのだと思います。
 つまん消すのと吹き消しと2つセットで重要な意味が生まれるのではないでしょうか。

 「ロレンス」の真骨頂は、今までにない英雄象とその描き方だと思います。
 吹き消した後の砂漠の風景がロレンスの展望と展開を示唆し、場面転換としても印象的で素晴らしいシーンだと思います。


>タイトルデザインを担当した、ステファン・フランクフルト追悼(3:01あたり)からの流れではないでしょうか?

 allcinema に乗っていないタイトルデザインのステファン・フランクフルトでしたか。
 年末で実際は対して忙しくないですが、気ばかりが焦りがちでそこまで見てませんでした。


 『フランス映画どこへ行く』は機会があれば読みたいと思っていますが、図書館にはないし「ロレンス」を買う方が先だし他にもあるので、そのうちにと言う事で。
 本は、ブルーレイより高いんですよね。
No.105 - 2013/12/22(Sun) 13:41:03
Re: LBさま gapperさまへのお返事です / LB
> B&Wさん

ご挨拶が遅れてすみませんでした。
『フランス映画どこへ行く』フランスでもテレビと映画の結びつきは強いようですね。どこか日本の状況と重なり合って見えるような気もしました。リュック・ベッソンについての論考も興味深かったです。著者の林さんの文章はいくつかネットでも読めますね。

> アリス・フェイのフィルモグラフィ

あれはとりあえず日本未公開作も含めてまとめてみたものですが、お役に立てたなら幸いです。この人の戦中のカラー作品は日本ではまったく公開されていませんね。
No.106 - 2013/12/22(Sun) 21:38:12
Re: LBさま gapperさまへのお返事です / B&W
gapperさま
>私の解釈だと手でつまんで消すと言う所は、彼の非常性ひいては英雄としての資質と個人の悩みを表す演出だと思っています。
>(中略)つまんで消すのと吹き消しと2つセットで重要な意味が生まれるのではないでしょうか。


私の解釈も大体同じです。ロレンスという人が本来もっているエキセントリックなところと、生まれた時代・環境他から要請された体制順応的なところと、その両面を表しているのかなと思いました。

>「ロレンス」の真骨頂は、今までにない英雄像とその描き方だと思います。
>吹き消した後の砂漠の風景がロレンスの展望と展開を示唆し、場面転換としても印象的で素晴らしいシーンだと思います。


全く同感です。

少女漫画なのでgapperさまはご興味ないかもしれませんが、萩尾望都の漫画『11人いる!―― 東の地平 西の永遠』に「火種と火消し」と呼ばれる工作員が登場します。「火種」は他国に紛争を引き起こし、政治介入するきっかけを作り、「火消し」は紛争を未然に防いで他勢力の介入を防ぐ、そういった役目を持った諜報員ということになっています。ロレンスはその両方の役目を果たし、二つの世界(生国イギリスとアラブ)のどちらにも属すことができず、引き裂かれた人物として描かれているように感じます。

LBさま
>フランスでもテレビと映画の結びつきは強いようですね。どこか日本の状況と重なり合って見えるような気もしました。

*** 以下はどうでもいいような雑感なので、適当に流してお読みください ***

著者の林さんは、テレビ資本による映画制作が盛んな状況については、やや(かなり?)批判的に観ていらっしゃるように感じました。そういったスタンスは現在の日本でも主流の見識なのかな?と思います。少なくとも批評家やシネフィルと呼ばれる方たちの間では。しかし私はAlikiMyLoveさんの旧掲示板??7563の投稿記事「例えば”昼メロ”に於いても、”映画”よりも再見したい作品があります」(2013/12/15)を拝読して、しみじみと考えてしまいました。

かつては「映画は銀幕で見るもの、ビデオで観た映画をしたり顔で語るのはみっともない」みたいな意見も有ったように思います。ビデオやDVD、BLでは見たうちに入らない、という…。ところで私の現状の視聴状況を考えると、ほとんどが「ネットでただ見」です。まだDVDなど買ってみておられる方は(皆さんそうですけど)ましですよ、私なんか小さい画面で、「タダ」ですからね。英語弱者ですし、ストーリーや台詞も大体解った気になっているだけで。

Amazonの人気レビュワーにs_watanabeさんという方がいて(笑)、常に優れたレビューで導いていただけるので助かっているのですが、レビューの結語が「映画ファンなら正規版を買うべき」的なものが多いんです。ご存知と思いますけど。わたしなんか、それを拝読すると、身が縮む思いがするし、自分は映画ファンじゃないよなあ、といつも思うんですね。

でもコラボ企画や、動画サイトの充実、新作映画のYoutubeでの連動広報など、メディア間での相互乗り入れや利用がどんどん進んでいる現況を見ると、AlikiMyLoveさんのスタンスに時代が追いついたという感じがするんですね。

その一方で、良い映画ではなく宣伝のうまい映画に客が集まり、公開後急速に客足が落ちていく現象とか、大衆迎合的というか資本迎合的な映画が量産されるとか、危惧することも多いんですけどね。

とはいえ、フランスの映画政策は日本よりもずっと先進的で、フランスのような料金制度や補助金など、日本では絶対実施されないだろうなとも思いましたが。

どうでもいいようなことをぐだぐだと、失礼しました。
No.109 - 2013/12/24(Tue) 01:17:27
Re: LBさま gapperさまへのお返事です / gapper
>少女漫画なのでgapperさまはご興味ないかもしれませんが、萩尾望都の漫画『11人いる!

 何かでちらっと見たことはあると思うのですが、興味がないと言うよりは”そこまで手が出せない”と言う感じです。
 邦画も見たいと思っていますが、ほとんど見ていません。


>かつては「映画は銀幕で見るもの、ビデオで観た映画をしたり顔で語るのはみっともない」

 私の場合、映画館で見るには片道2〜3時間かかるし、1本見るのに結局5千円はかかるので”なし”にしています。


>ほとんどが「ネットでただ見」

 YouTube で資料、調査と言った感じで頻繁に見ますが通して見ることはめったにないです。
 「フランケンシュタインの復活(1939)」を見て「ヤング・フランケンシュタイン(1974)」の元ネタだと分かり良かったのですが、疲れすぎました。
No.116 - 2013/12/24(Tue) 19:38:15
'70 年代のフライシャー / Ismael
みなさま、

最近、60年代から70年代のアメリカのアクション映画の見直しをしています。
私が一番映画を見たのは70年代ですが、この時期のリチャード・フライシャー作品は、実に充実していると思います。
名作レスキュー隊にも彼の作品が何本も有りますね。

レスキュー隊とは別のところから『ザ・ファミリー』『センチュリアン』『スパイクス・ギャング』『10番街の殺人』を入手しました。
まだ『ザ・ファミリー』しか見ていませんが、やっぱり面白いです。

レスキュー隊からみで言えば『条理ある疑いの彼方に』も入手しました。
これは、画質があまり良くないです。
名作レスキュー隊も同じ素材だと思いますのでご注意を。
No.64 - 2013/12/17(Tue) 10:47:40
Re: '70 年代のフライシャー / 映画虫
Ismaelさま

 こんにちは。
 タイトルを列記していただいた中で、好きだったのは
『センチュリアン』です。原作も面白かったのですが、
脚色、キャスト、演出がどれもうまくいってたと記憶
しています。

 ステーシー・キーチは、この作品の制服警官と、
『ロイ・ビーン』のどてっ腹の風通しがいい殺し屋
の役で、ぼくにとって忘れられないスターになりました。
No.77 - 2013/12/19(Thu) 16:58:18
Re: '70 年代のフライシャー / Ismael
映画虫さん

>  タイトルを列記していただいた中で、好きだったのは
> 『センチュリアン』です。原作も面白かったのですが、
> 脚色、キャスト、演出がどれもうまくいってたと記憶
> しています。

そうですね、好きという点では、私も『センチュリアン』が一番好きかもしれません。
スコット、キーチ、ウィルソンの3人はそれぞれ良かったですね。
今回は予算の関係上諦めましたが、『ラスト・ラン 殺しの一匹狼』もいずれ入手するつもりです。

>  ステーシー・キーチは、この作品の制服警官と、
> 『ロイ・ビーン』のどてっ腹の風通しがいい殺し屋
> の役で、ぼくにとって忘れられないスターになりました。


ああ、『ロイ・ビーン』のキーチも良かったですね。
日本未公開ですが(ビデオ発売はされたようですが)同じヒューストンのFAT CITYのキーチも良かったですよ。
No.78 - 2013/12/19(Thu) 20:05:29
Re: '70 年代のフライシャー / 44-40
Ismaelさん、映画虫さん、

『ラスト・ラン/殺しの一匹狼』と『マジェスティック』もお忘れなく。
前者は、ジョン・ヒューストンで撮り始めてフライシャーで撮り終わったいわくつきですが…。同時にティナ・オーモンもトリッシュ・ヴァン・ディーバーに変わったそうです。ジョージ・C・スコットはこの作品がきっかけで、もうひとりの共演女優コリーン・デューハーストと結婚したのですから、スコットにとっては重大な作品でしょう。

『マジェスティック』もブロンソン対アル・レッティエリの半ば子供じみた戦いが、フライシャーの大人の演出でばかばかしくならずきっちり楽しめます。ブロンソン扮するスイカ畑のオヤジが、なんでこんなにも強いのか、最後までほとんど説明されないところも粋な感じです。見りゃわかるだろ、奴はチャールズ・ブロンソンなんだぜ、ってな感じ。脚本はエルモア・レナード。
No.79 - 2013/12/19(Thu) 20:10:44
Re: '70 年代のフライシャー / 44-40
訂正です。

ジョージ・C・スコットはこの作品がきっかけで、もうひとりの共演女優コリーン・デューハーストと結婚したのですから、スコットにとっては重大な作品でしょう。

「コリーン・デューハーストと離婚し、ヴァン・ディーバーと結婚したのですから」の間違いです。
No.80 - 2013/12/19(Thu) 20:13:18
Re: '70 年代のフライシャー / マグカップ
皆様、こんにちは。
「センチュリアン」はいいですね。
「ラスト・ラン」はユニークなストーリーだと思います。
「マジェスティック」は遥か昔に観たので忘れてしまいました。
「10番街の殺人」はベンチャーズと全く関係ありませんでした。
しかし、私のフライシャーのベストは「その女を殺せ」です。
No.82 - 2013/12/19(Thu) 22:17:42
Re: '70 年代のフライシャー / 映画虫
44−40さま
マグカップさま

 こんばんは。
 『ラスト・ラン』は、見る機会を逸して今日まできましたが、
『マジェスティック』は、TV放映で未了されて、名画座まで
追いかけた作品です。長い間、DVD化されなかったと思います。
しばらく同名のフランク・ダラボン作品ばかりが話題になっていましたが
数年前、やっと出たDVDを入手して堪能しました。

 確か、音声解説があって、ブロンソンの撮影中の失敗談などが
紹介されていたと思います。
No.84 - 2013/12/19(Thu) 22:56:56
Re: '70 年代のフライシャー / 44-40
映画虫さん、

『ラスト・ラン』は、醒めた頭で見ればどうってことのない話ですが、最後まで面白く見られます。そもそもフライシャーは、「どうってことのない話」を見ごたえのある映画に仕立て上げることに大きな才能があるように思えます。話はくだらなくても、映画として全くくだらなくないのです。


マグカップさん、

フォンテーンのスレのコメントに対するレスですが、『アシャンティ』も、私はラブストーリーだと思いますよ。この映画は現代にも存在する奴隷ないしは人身売買の実態を告発する映画であるかのように始まり、男くさい冒険活劇のように展開しますが、ラストの海中でのキスシーンたった一つで、すべてが大いなるラブストーリーであったことが明らかになります。これもまた大きな映画的喜びです。さすがはフライシャー、男前の演出だ、と思いました。
No.87 - 2013/12/20(Fri) 09:02:05
Re: '70 年代のフライシャー / Ismael
44-40さん

> 『ラスト・ラン/殺しの一匹狼』と『マジェスティック』もお忘れなく。
『マジェスティック』は、『軍用列車』と2枚組パックを見かけて購入しています。
『軍用列車』は、不要なのですが、1000円だったので買いました。

私は70年代のブロンソンは好きではないのですが、『マジェスティック』は、例外です。

> 『マジェスティック』もブロンソン対アル・レッティエリの半ば子供じみた戦いが、フライシャーの大人の演出でばかばかしくならずきっちり楽しめます。

まさに仰るとおりです。
No.90 - 2013/12/20(Fri) 14:10:23
Re: '70 年代のフライシャー / 映画虫
44―40さま

 こんにちは。

> 『ラスト・ラン』は、醒めた頭で見ればどうってことのない話ですが、
> 最後まで面白く見られます。


 好きなジャンルです。ただ、公開当時、TVの予告や紹介番組を何度も見るうち
「食欲」が減退しちゃったということがありました。
 今の封切り作品やビデオディスクの紹介に比べれば、まだ奥ゆかしいものだった
と思いまいます。
No.114 - 2013/12/24(Tue) 14:57:04
Re: '70 年代のフライシャー / Ismael
映画虫さん

私も当時のTVCMを何となく覚えていますが、あまり感じは良くなかったような気がします。
スコットの『パットン』でのアカデミー主演男優賞の辞退騒ぎがあった翌年の作品だったことも原因でしょうか?
>  好きなジャンルです。ただ、公開当時、TVの予告や紹介番組を何度も見るうち
> 「食欲」が減退しちゃったということがありました。
No.115 - 2013/12/24(Tue) 19:27:40
『猟犬たちの夜』と『トレーニングデイ』 / Ismael
みなさま、

両方とも警官の腐敗を描いた作品ですが、腐敗に至る過程が違うのが興味深いところです。

前者は、オリビエ・マルシャル脚本のフランスのTVMです。

どちらが面白いかというとなかなか甲乙は付けがたいのですが、デンゼル・ワシントンの悪役ぶりが見事な後者に軍配をあげたくなります。

マルシャルのテーマは、「実力伯仲の二人の男の友情(とその破綻)」ということでしょうか。
フランス映画ってやはりどこかセンチメンタルなんですね。
No.111 - 2013/12/24(Tue) 10:03:47
訂正とお返事と(マグカップ様へ)旧掲示板からの転載 / B&W
***以下 引用です(『脅迫者』についてねたばれ有り)****

ノワール3作 / マグカップ No.7173 - 2013/04/04(Thu)

別スレに出た作品で、私の気に入ったものを紹介させていただきます。

>マグカップ様は『脅迫者』(The Enforcer/1951 ブレティン・ウィンダスト/R・ウォルシュ)はご存知ですか?ボガートが検事役―Available Ferguson−で、出てくるゴロツキがみんないいです。素晴らしい映画で、びっくりしました

周りのゴロツキも良かったかもしれませが、やはりボガートの魅力に感動しました。1人で1本の映画を支えるだけの力があるでしょう。ラストの殺し屋との決闘も爽快でした。

>(やっぱりヒッチ親父は信用できない)。

これは何のことでしょうか。ヒッチコック?

>femme fataleは字義通りに訳すと主人公を破滅(=死)に導く運命の女であって、悪女ではない。、、、、『街の野獣』(1950 ジュールズ・ダッシン)ではジーン・ティアニーがfemme fでグーギー・ウィザーズではないですね。

このサイトの過去ログで何回も書かれてますが、私も佳作だと思います。ロンドンのロケも効果的でした。ただ、ジーン・ティアニーの出番が少ないのが残念です。

>" Fallen Angel"の方は”堕ちた天使”の検索で『合計 2 件の記事が見つかりました』と出ますね。オットー・プレミンジャー氏の威光でしょうか。

確かに2件ヒットしましたが、良いとも悪いとも書いてありません。allcinemaの感想2件も好き嫌いが分かれてました。さて、私は大変気に入りました。何人もの男を狂わすリンダ・ダーネルにダナ・アンドリュースが虜になるというストーリーです。この3作の中で1番好きです。

*********引用おわり************

>これは何のことでしょうか。ヒッチコック?
そうです。撮影が『めまい』(1958)とおなじ、ロバート・バークスなんです。で、テッド・デ・コルシアの墜落シーンがまんま『めまい』です。ということはあのシーンのアイデアはロバート・バークスなんだなと。『めまい』の主人公、引退した刑事がジェームズ・スチュワート演じる「スコティ・ファーガソン」です。「Available Ferguson」は『めまい』冒頭でスコティが大学時代に婚約していたミッチ(バーバラ・ベル・ゲデス)に「今でも結婚できるよ」という意味で繰り返すせりふなんですが、『脅迫者』(1951)の主人公の名前がファーガソンなので、これは名前も「いただき」だったのかなと…私が勝手にそう思っているだけですが。ただ、『脅迫者』で、自動車が沼から引き上げられるシーンやその後の気味悪い検視のシーン(「被害者は20代後半で身長○○フィート、目はブルー…」などなど)は、『サイコ』(1961)のテイストだなぁと。これもいただきかなぁと思って、「ヒッチ親父はインタビューじゃ、全部自分のアイデアみたいないい方してるけど、全部イタダキじゃん」と思ったしだいです。

>…やはりボガートの魅力に感動しました。1人で1本の映画を支えるだけの力があるでしょう。
マグカップ様のおっしゃるとおり、ボガートの存在感は圧倒的ですが、私はこのノワールには「戦後」を感じました。具体的には沼から引き上げた多数の被害者の検死をしているらしい(画面にははっきりでてこない)シーンで、警察の検死室にずらりとあらゆる種類の靴が並べられているシーンがありました。私はここを見ていて「ああ、これはアウシュビッツだ」と、感じました。 また、役者で言うと私はボガートよりも、デューク・マロイ役のマイケル・トーランが印象に残っています。どことなく「新世代」を感じます。

他にエヴェレット・スローンが出ているせいかもしれませんが、私はこの映画にも『上海から来た女』(1947)のイメージ…水面下で殺し合い共食いするサメ…の挿話を思い出しました。「戦争」における「殺人」、必然性もなく殺しあう運命…そういうものを想いました。チャップリンの『殺人狂時代』(1947)をもう一度見直したいです。

この映画についてネットで調べて知ったのですが、これは実際にあった事件の映画化なんですね。殺人会社というものがあったそうです。そして密告者が実際に警察の建物から墜落死したらしいです。会社組織であるためか、現代の経済関係が内包している「支配」と「服従」の関係が「殺人会社」という犯罪組織においても普遍的に存在すること…、たとえば最初にリコがビッグ・ベイブに「つかまったら弁護士をつけてやる。家族の面倒は見る」なんて説明するシーンがありますね。 そういう事務的なシーンにも良く顕われているように感じます。「殺人」という倫理に反した行為ですら、経済の原則に従い事務的に処理される様子が良く描かれているなと感じました。

すこし時代が下って『契約殺人』(Murder by Contract 1958 アーヴィング・ラーナー)という映画がありますが、これでも殺人者がビジネスとして事務的にリクルートされる様子がドライに描かれていて、倫理観の根本的な変質を感じます。いずれもドライで淡々とした描写が特徴的だと感じました。『契約殺人』でヴィンス・エドワーズが演じた若者クロードの面影は、さらに時代が下って『タクシードライバー』(1976)のトラヴィスに受け継がれているとか。

>" Fallen Angel"の方は”堕ちた天使”の検索で『合計 2 件の記事が見つかりました』と出ますね。オットー・プレミンジャー氏の威光でしょうか。

>…さて、私は大変気に入りました。何人もの男を狂わすリンダ・ダーネルにダナ・アンドリュースが虜になるというストーリーです。この3作の中で1番好きです。

プレミンジャー監督自身もダーネルの虜になっていたそうですよ。

この映画でいつも思い出すのは、アリス・フェイとダナ・アンドリュースの道行きで、宿泊するホテルのわびしい情景です。主人公二人の海岸での逢瀬も、わびしく、あまりに安っぽいセットで、いくらなんでもあんまりではないかと。アリス・フェイがリンダ・ダーネルと比べてスターである自分があまりにもないがしろにされていると怒った気持ちもわかります。

プレミンジャー監督の白鳥の歌『ヒューマン・ファクター』(1979)のラストシーンも、モスクワの寒々とした安アパートで、何千マイルも離れた妻からかかってくる1本の電話を待ちわびるというシーンで終わるのですが、こちらはカラーのため、安っぽさが隠しようもなくて、哀れさがいや増すという体でした。監督は資金が集まらなくて、私財をなげうちこの映画を製作したそうですが、プレミンジャー監督らしい、最後まで「敗れざる者− The Undefeated」 なエピソードだなとおもいます。
No.91 - 2013/12/21(Sat) 00:08:08
Re: 訂正とお返事と(マグカップ様へ)旧掲示板からの転載 / マグカップ
B&Wさん、こちらにも書いていただき、ありがとうございました。今日「脅迫者」を部分的に観て少し思い出しました。

>テッド・デ・コルシアの墜落シーンがまんま『めまい』です。

>、『脅迫者』で、自動車が沼から引き上げられるシーンやその後の気味悪い検視のシーン(「被害者は20代後半で身長○○フィート、目はブルー…」などなど)は、『サイコ』(1961)のテイストだなぁと。これもいただきかなぁと思って、「ヒッチ親父はインタビューじゃ、全部自分のアイデアみたいないい方してるけど、全部イタダキじゃん」と思ったしだいです。

なるほど。ヒッチ親父が「脅迫者」をパクって「サイコ」や「めまい」を作った、というのがB&Wさんの説ですね。
私はやはり、ヒッチコックは他のノワール映画とは違った独特の魅力がある、と今でも感じてます。

>アリス・フェイがリンダ・ダーネルと比べてスターである自分があまりにもないがしろにされていると怒った気持ちもわかります。

アリス・フェイが主演で格上なのに、リンダ・ダーネルの印象が強い映画でした。彼女の色気がムンムン感じられます。

>「敗れざる者− The Undefeated」

これは分かりませんでした。
No.97 - 2013/12/21(Sat) 10:20:49
Re: 訂正とお返事と(マグカップ様へ)旧掲示板からの転載 / B&W
マグカップ様 わざわざ見直しまでさせてしまって済みません。

>私はやはり、ヒッチコックは他のノワール映画とは違った独特の魅力がある、と今でも感じてます。

私はヒッチコック映画が出発点で、ヒッチ映画を見て「映画について考えること」をはじめたので、感覚がすれてしまってだめなんですが、他にも広く映画を見ておられる方が、そのようにお感じなると云う事が興味深いです。

>アリス・フェイが主演で格上なのに、リンダ・ダーネルの印象が強い映画でした。彼女の色気がムンムン感じられます。

アリス・フェイがFalling Sun、リンダ・ダーネルがRising Star という感じですね。
1940年代のアリス・フェイのフィルモグラフィに、ライフイベントを重ねると、生活形態の変化と人気の絶頂期が重なって大変だったろう様子が伺えます。

●1940年 3本の映画に出演
大紐育 Little Old New York (1940) / Lillian Russell (1940) / Tin Pan Alley (1940)

●1941年 3本の映画に出演 3月に離婚 5月にフィル・ハリスと再婚
That Night in Rio (1941) / The Great American Broadcast (1941) / Week-End in Havana (1941)

●1942年 長女アリス出産 映画出演なし

●1943年 2本の映画に出演
Hello Frisco, Hello (1943) / バスビー・バークリーの集まれ!仲間たち The Gang's All Here (1943)

●1944年 次女フィリス出産 映画出演なし FOXとの契約変更、1年1作の出演となる。

●1945年 1本の映画に出演
堕ちた天使 Fallen Angel (1945)

ハリウッドスターですから、仕事と家事の両立なんぞは人を雇っていたでしょうが、出産は本人しかできないことだし、体力を使いますからね。それにアリス・フェイは家政も自分でやりたいというタイプだったようです。

>>「敗れざる者− The Undefeated」
>これは分かりませんでした。


すみません〜。勿体つけてしまった…。ヘミングウェイの短編タイトルです。プレミンジャーは『月蒼くして』(1953)で性的な台詞を通したり、黒人オールキャストの『カルメン』(1954)を撮ったり、ダルトン・トランボのクレジットを復活させたりと、不屈のファイターなイメージがあって、この短編の老マタドールを思い出したのです。良い小説ですので短編ですし、読んでみてください。
No.100 - 2013/12/21(Sat) 23:15:18
追悼、ジョーン・フォンテイン / ピーター・ポッター
 ジョーン・フォンテインが亡くなりましたね。特に彼女のファンというわけではありませんでしたが、東京生まれということで、そこはかとなく親近感は抱いておりました。ご冥福をお祈り致します。

 姉のオリヴィア・デ・ハヴィランドとは、必ずしも仲がよくなかったようで、「私は結婚するのも、オスカーを頂くのもオリヴィアより早かったわ。これで私の方が先に死んだりしたら、彼女、また先を越されたってカンカンになるでしょうね」といっていたそうだから、オリヴィアはカンカンになっているかも知れません。オリヴィア嬢にはもっともっと長生きして欲しいですね。
No.65 - 2013/12/17(Tue) 11:42:53
追悼、ピーター・オトゥール / gapper
 ピーター・ポッターさん、失礼します。

 エリノア・パーカーさんが、9日。
 ピーター・オトゥールさんが、14日。
 ジョーン・フォンテインさんが、15日と今月は亡くなる人が多いですね。

 私にとってピーター・オトゥールさんは、なんといっても「アラビアのロレンス (1962)」の人で「アラビアのロレンス (1962)」は大好きな作品です。
 ただ、ピーター・オトゥールさんはとっつきにくい感じがあり、特段のファンと言う感じではなかったりします。
 役どころのロレンスとかぶって感じているのかもしれません。

 ジョーン・フォンテインさんは、東京・虎ノ門で生まれたそうで東京に住んでいる人はかなり親近感があると思います。
 私は、生まれも育ちも田舎ですが。


 DNAには、テロメアと言う部分がありどんなに健康でも人間は150歳くらいまでしか生きられないそうです。
 つまり、”死”は必然、必要で仕組まれたものであるわけで、その意味では悲しいものではないのかもしれません。

 ただ、日本における洋画の衰退は気になります。
 必然でもなく必要もないと思いますが、衰退ではと思わせる事柄が気になって仕方ありません。
 ツタヤの洋画部分の縮小、インディーズ作品の多さ、ファンの好みの細分化、内向きなファンなどなどです。
No.66 - 2013/12/17(Tue) 18:29:12
Re: 追悼、ジョーン・フォンテイン / ママデューク
ポッターさま、

ジョーン・フォンティーンさん、亡くなりましたね。「ガンガ・ディン」でフェアバンクス・Jrとダンスを踊る若き日のフォンティーン嬢は気品溢れる美しさでした。

訃報が確かに多い、何方もお書きにならないが10日にはロッサナ・ボデスタさんもお亡くなりになっておる。この人も新聞では「黄金の七人」云々だったけど、確かに妖艶だが、若き日の「トロイのヘレン」の彼女もホントに美しかったな。 R.I.P。
No.67 - 2013/12/17(Tue) 20:54:29
Re: 追悼、ジョーン・フォンテイン / 映画虫
ピーター・ポッターさま
みなさま

こんばんは

 ちょっと脱線しますがお許し下さい。

ママデュークさま

> 訃報が確かに多い、何方もお書きにならないが

 『明日の壁をぶち破れ』(1971)という作品でビリー・ジャックという
キャラクターを演じたトム・ローリンも12日に亡くなりました。
 『明日の……』は、スプラッシュ公開(ロードショウなしで、いきなり
2本立ての添え物となる)だったと記憶していますが、原題「ビリー・ジャック」
のタイトルロールを演じ、ファンも多かったということです。

 アメリカ人の知人とこの話をしてたら、「発音はトム・ラフリンだ」と言われ
ました。Tom Laughlinだから、言われてみれば…… という気もします。ホントなら
今さらだけど、映画ジャーナリズムはこれを機に訂正してあげたらいいと思います。
No.68 - 2013/12/17(Tue) 23:43:14
Re: 追悼、ジョーン・フォンテイン / ママデューク
映画虫さま、 お知らせ ありがとうございます。

IMDbを見たら、晩年の好々爺然としたローリン→ラフリンの写真が載っておりました。 R.I.P。
No.69 - 2013/12/18(Wed) 09:22:33
Re: 追悼、ジョーン・フォンテイン / Ismael
ピーター・ポッターさん
みなさま

私が見たフォンテインの一番古い作品は、『踊る騎士』ですが、彼女は、歌えないし踊れないので、なんだか木偶の坊みたいでした。

ある映画批評家は、彼女の魅力はその繊細な表情に有り、特に泣き顔が絶品であると書いており、私も同感です。

『忘れじの面影』は、そうした彼女の魅力が十分に発揮された一本でしょうか。

姉のハビランドは、30年代のお姫様的な役の印象が強いのかもしれませんが『暗い鏡』以降の方が映画史的には興味深いですね。
最初にアカデミー主演女優賞候補になったHOLD BACK DAWN(1941)が見られないのが残念です。
No.70 - 2013/12/18(Wed) 09:36:14
Re: 追悼、ジョーン・フォンテイン / マグカップ
皆さま、こんにちは。
>ジョーン・フォンテインが..... 東京生まれということで
これは知りませんでした。

私の彼女のベストは「忘れじの面影」です。これを観た時、彼女に恋してしまいました。
彼女のニュースは今朝のTVで知りましたが、他の方たちのことは知りませんでした。

>私にとってピーター・オトゥールさんは、なんといっても「アラビアのロレンス (1962)」
私もロレンスは3回ぐらい観ましたが、何回観ても最高の映画だと思います。
「忘れじの面影」は1度しか観てません。もう1度観て感動するかどうか心配です。

>最初にアカデミー主演女優賞候補になったHOLD BACK DAWN(1941)が見られないのが残念です。
「Hold Back the Dawn」(1941)はとても面白いです。ラストで感動しました。ジュネス企画さん、お願いします。
No.71 - 2013/12/18(Wed) 12:42:53
Re: 追悼、ジョーン・フォンテイン / 44-40
みなさま、

私も『忘れじの面影』が好きです。ある女の女子高生から50才を越えるまでの期間を、彼女一人で演じるという奇跡の作品ですね。
監督のマックス・オパルスことマクシミリアン・オプヒュルスはユダヤ系のウィーン人で、ハリウッドのセットを本物のウィーンの街かどに見せる魔力を持っていました。これこそ映画的な喜びだと思います。音楽もリストの「ため息」を全編に使っており、まるでオリジナルの劇音楽かとも思われるほどマッチしています。本当にヨーロッパを感じるメロ・ドラマでした。原作はシュテファン・ツヴァイク。

フォンテーンは、どこか「サスペンス顔」だと思います。ヒッチコックの『断崖』や『レベッカ』に出演していたからということだけでなく、美しく冷たくかつセクシーで、どこかしら本心が推し量りにくい面持ちを持った彼女のような女優は、サスペンスに向いているような気がします。日本でいえば、古くは新珠三千代、今時では池上季美子あたりでしょうか。

そう言えばフォンテーンは、ラングの『条理ある疑いの彼方に』にも出ていました。最後の最後で恋人を裏切る役です。
No.81 - 2013/12/19(Thu) 20:28:42
Re: 追悼、ジョーン・フォンテイン / マグカップ
皆様、こんにちは。

>私も『忘れじの面影』が好きです。
44-40さんが恋愛映画についてコメントするのは初めてではありませんか。ちょっと意外です。

>音楽もリストの「ため息」を全編に使っており、
そうなんです、私のリストのベストは「ため息」です。この曲をオリジナルのピアノ演奏で使っているのが良いと思いました。リストの伝記映画「わが恋は終りぬ」はオーケストラ演奏なので魅力がありません。
しかし、この「ため息」は両腕を交差させる難しい演奏なので、ルイ・ジュールダンはピアノの指を見せることができませんでした。他の簡単な曲を弾く時は見せています。
No.83 - 2013/12/19(Thu) 22:29:57
Re: 追悼、ジョーン・フォンテイン / B&W
今年もRemembersの季節になりました。
ジョーン・フォンティーンさんが、とうとうなくなってしまいました。小学生の子供の頃から一番好きな女優さんでした。

>私も『忘れじの面影』が好きです。
>44-40さんが恋愛映画についてコメントするのは初めてではありませんか。ちょっと意外です。


実はジョーン・フォンティーンが好きっていう日本人男性は多いような気がします。密かに加藤幹郎氏もファンなんじゃないかなと感じています。なんか文章に抑えた「萌え」が感じられて…
ttp://www.cmn.hs.h.kyoto-u.ac.jp/CMN4/katohactress2.html#anchor209826

>ある映画批評家は、彼女の魅力はその繊細な表情に有り、特に泣き顔が絶品であると書いており、私も同感です。
私は片頬上げた密やかなほほえみが好きでした。

>私も『忘れじの面影』が好きです。ある女の女子高生から50才を越えるまでの期間を、彼女一人で演じるという奇跡の作品ですね。…原作はシュテファン・ツヴァイク。

こちらでさわりが紹介されています。
ttp://shisly.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_6ba9.html

ところで、この原作は、実は3度、映画化されています。
『昨日』(Only Yesterday 1933 ジョン・M・スタール)が最初の映画化ですね。こちらには、もう一人私の大好きな、マーガレット・サラヴァンが主演しています。ビリー・バークが助演していて、“Shine on Harvest Moon”を歌うんだけどこれがヘタッピなのよね…

ルース・エティングの元歌はこちら
ttp://www.youtube.com/watch?v=D7Mu9fh23dY
良い曲です。

>日本でいえば、古くは新珠三千代、今時では池上季美子あたりでしょうか。
私は『暴れ者』(Kiss the Blood Off My Hands 1948 ノーマン・フォスター)を見ていて、『東京物語』の原節子の質素なアパート暮らしのシーン(隣と味噌とか借り合いしている)を思い出しました。どことなく古風な感じがする女優さんで、「忍従」という言葉が似合うような気がします。『暴れ者』は戦後で復興しつつあるロンドンが舞台で、爆撃を受けた建物が修復されている途中だったりして、時代を感じます。

TCMのRemembersをぼんやり見ていると、ああ、あの方も…と寂しい気持ちになります。
http://www.youtube.com/watch?v=P6gXi67ueD0

Joan Fontaine
ttp://www.youtube.com/watch?v=KEGoH5QcnEg

Peter O'Toole
ttp://www.youtube.com/watch?v=lRjITqahTbA

去年はアーネスト・ボーグナイン、一昨年はエリザベス・テイラーがトリでしたか…。今年はエスター・ウィリアムズでしたが、ピーター・オトゥールに“ビリング”が変わりました。

ラストのマッチを消すシーンは…『ロレンス』?
No.85 - 2013/12/20(Fri) 00:31:25
Re: 追悼、ジョーン・フォンテイン / gapper
 B&W さん、こんばんは。

 ロド・ローターやカレン・ブラック、レイ・ハリーハウゼンなど、紹介された TCMのRemenbers を見て初めて知った次第です。
 ありがとうございます。

>ラストのマッチを消すシーンは…『ロレンス』?

 後ろに猫の様な像が映っていますし「アラビアのロレンス (1962)」の17分40秒頃の映像だと思います。
No.86 - 2013/12/20(Fri) 02:08:42
Re: 追悼、ジョーン・フォンテイン / Ismael
44-40さん、
みなさま、

> 監督のマックス・オパルスことマクシミリアン・オプヒュルスはユダヤ系のウィーン人で、
私もオフュルスは、オースリア人と思っていましたがドイツ人のようですね。
IMDbもそうなっていますし、私の持っている他の資料でもそうなっています。

>
> フォンテーンは、どこか「サスペンス顔」だと思います。ヒッチコックの『断崖』や『レベッカ』に出演していたからということだけでなく、美しく冷たくかつセクシーで、どこかしら本心が推し量りにくい面持ちを持った彼女のような女優は、サスペンスに向いているような気がします。日本でいえば、古くは新珠三千代、今時では池上季美子あたりでしょうか。
>
> そう言えばフォンテーンは、ラングの『条理ある疑いの彼方に』にも出ていました。最後の最後で恋人を裏切る役です。


彼女の経歴の後期になるとちょっと意外な監督作に出ていますね。
ラングもそうですがニコラス・レイの『生まれながらの悪女』にも出演しています。
両方共「不実な女」ですね。

B&Wさんが加藤幹郎の名前を出されたので私も彼の文献を紹介します。

『映画のメロドラマ的想像力』(フィルムアート社)の「メロドラマは泣き顔を要請する」というフォンテインへのオマージュは一読の価値があると思います。
No.89 - 2013/12/20(Fri) 11:30:37
Re: 追悼、ジョーン・フォンテイン / B&W
gapperさま ご無沙汰しましてすみませんでした。

>ロド・ローターやカレン・ブラック、レイ・ハリーハウゼンなど、紹介された TCMのRemembers を見て初めて知った次第です。ありがとうございます。

いえいえ、とんでもない。gapperさまは、2012年のRemembersはごらんになりましたか?ドライブインシアターが舞台になっていて、故人をしのぶほかに、失われていくフィルム(セルロイド)への惜別の感じがあって、ひときわ愛惜の感が強いものだと思います。近年では出色かなと。

http://www.youtube.com/watch?v=3D_xbU5re-o

>後ろに猫の様な像が映っていますし「アラビアのロレンス (1962)」の17分40秒頃の映像だと思います。

わざわざお調べいただき、ありがとうございます。私もDVD持ってるんですけれど、埋もれてしまっていて…。ロレンスが指でつまんでマッチの火を消すシーンでしたっけ?

>ただ、ピーター・オトゥールさんはとっつきにくい感じがあり、特段のファンと言う感じではなかったりします。役どころのロレンスとかぶって感じているのかもしれません。

故伊丹十三監督がオトゥールのことをエッセイで語っていて、彼は同性愛者だと思っていたのだが、そうではなかったと。ロレンスは同性愛者なので、それを演じるオトゥールも同性愛者だと思っていたのにそうではなかったと書いています。『ヨーロッパ退屈日記』だったか…。同性愛者のことは“クイア”と呼ぶとも書いています。ロレンスはマッチを指でつまんで消して、クイアだといわれているんでしたっけ、映画の中で。(ちょっと記憶があいまいです。)

ちょっと話題が変わりますが、gapperさまは映画や映画ファンを取り巻く社会状況などにご興味がおありの様子(違っていたらごめんなさい)。すでにご存知かもしれませんが、私が読んでとても面白かった本をご紹介します。

>■『フランス映画どこへ行く―ヌーヴェル・ヴァーグから遠く離れて』(2011 花伝社 林 瑞絵著)
「栄光のヌーヴェル・ヴァーグ以降、フランス映画はどのような運命を辿ってきたのか?映画に浸食する数の論理、業界の力学、押しつけられた価値観―日本人の知らない現代フランス映画の状況と展望。気鋭のパリ在住日本人ライターが迫る、芸術大国の苦悩と模索、そして光明。」(Amazonより引用)という内容の本です。文章は軽妙ですぐに読めますよ。吉田広明氏が書評でほめていました。

************

Ismaelさま
ご無沙汰してしまいました。迷い猫しておりまして。

>B&Wさんが加藤幹郎の名前を出されたので私も彼の文献を紹介します。
>『映画のメロドラマ的想像力』(フィルムアート社)の「メロドラマは泣き顔を要請する」というフォンテインへのオマージュは一読の価値があると思います。


密林で¥13,650-の高値がついていてビックリ!どうしたらこんな値付けになるの…。

この本を読んだとき、おせっかいおばさんの私は、「誰か英訳してジョーン・フォンテインご自身に贈ってあげたらいいのに。ご存命なんだから」と思ったもんです。つまるところ恋文だもんね〜。自分じゃ贈りにくいだろうし。

「ジョーン・フォンテインのファンなら」一読の価値有り、と、私なら薦めます。つまるところフォンテインが好きじゃない人には何がなにやらさっぱり…なんじゃないかなと。

それはさておき、何気にウィキの「加藤幹郎」を検索してみてますますビックリ!「この記事は広告宣伝活動のような記述内容になっています。」って!本文読むと…確かにその通りだ!

9月にニコラス・レイについて講演なさったんですね。ウィキにもリンクありますけど。

ttp://www.youtube.com/watch?v=R8kTPGclBtA

まあ、ご健勝で何よりです。『ニックス・ムービー/水上の稲妻』(1980 ヴィム・ベンダース)がもう一度見たくなりました。昔見たときは何がなんだかわからなかった記憶しかありません…。
No.92 - 2013/12/21(Sat) 00:19:45
Re: 追悼、ジョーン・フォンテイン / LB
B&Wさん

加藤氏のウィキペディア記事の編集履歴を覗いてみましたが、どうも一人の人が編集し続けているようですよ。

> 『フランス映画どこへ行く』

この本は私も持ってます。
No.94 - 2013/12/21(Sat) 01:22:49
Re: 追悼、ジョーン・フォンテイン / gapper
 B&W さん、こんばんは。
 B&W さんの熱の入った No.93 の書き込みのレスは、また今度と言う事で。

>ロレンスが指でつまんでマッチの火を消すシーンでしたっけ?

 思い出したのはこのシーンでしたが、映像は吹き消しているので違います。
 つまんで消すシーンから将校クラブを通って将軍に会い派遣の命令を受けた後、クロード・レインズの部屋で会話をしながら”また?”と思わせての吹き消しシーンです。
 消し方を変えたという所で、彼の転機であることを示しているシーンのようにも思います。

 「ロレンス」のブルーレイは高価な記念盤は変えないのでレンタルを待っていましたが、かなり安くなっているので、そろそろ買えそうです。
 1,300円切りは、安い。


  『フランス映画どこへ行く』については興味がありますが、私が気にしているのは分散していき”日本では成り立たなくなっていく洋画”です。
 今は、大型TVやプロジェクターの普及でDVD化も進んでいて一見良いですが、この先が気になっています。


 2012年の Remembers には「アラバマ物語(1962)」の映像が使われていますが、何か関係があるんでしょうか?
 「グリーンマイル (1999)」のマイケル・クラーク・ダンカンが、もう亡くなっていたんですね。

 今年の Remembers は、ビリングとしては逆の大物が後になった感じがありますが、もう追加はなく終わってほしいですね。
No.95 - 2013/12/21(Sat) 02:04:03
サイレント映画の悲劇 / 比和昇
 著名人の死去が相次ぐ今日この頃で、何かコメントも出さなければならないのは山々なのですが、ご勘弁を。

 最近になって、「やっと」ハリウッドのサイレント時代のフィルムの残存率の研究結果が出されました。
 以下、米国ギズモードによる記事の翻訳です。
 原題は"Most of Hollywood's Silent Films Are Lost and Gone Forever"
  http://gizmodo.com/most-of-hollywoods-silent-films-are-lost-and-gone-fore-1476381251

 「失われた作品はもう取り戻せません。

 昨年のアカデミー賞受賞作『アーティスト』が記憶に新しいサイレント映画。制作されていたのはトーキー映画が出てくるまでの数十年でしたが、それでもハリウッドで作られた作品は1万1000本近くに及ぶとか。当時の作品が現代まできちんと保存されていたら、膨大なコレクションになっていたことでしょう。しかし残念ながら、そのうちたった3割しかこの世に残っていないことが発覚しました。しかも、オリジナルの35mmフィルムで存在するのは全体のたったの14%、数にして1,575本しかないそうです。

 アメリカ議会図書館の2年に渡る研究で明らかになったこの事実。原因は、製作スタジオの管理の問題でした。当時、多くのスタジオが作品を保管するという発想に至らなかったそうで、サイレント全盛期にフィルム・アーカイブを作っていたのはMGMだけでした。(ちなみに一番酷かったのがパラマウントで、30年前になってようやく自社のタイトル保存に乗り出したそうです。)もちろん、スタジオだけが悪いわけではなく、火事などの自然災害が原因で失われた作品もあります。原因がどうであれ、当時作られた映画の大多数を見れないということは、文化と芸術において計り知れない損失でしょう。

 サイレント映画の魅力について、研究に携わった歴史家で公文書保管人のデービッド・ピアースさんはABCニュースにこのように語っていました。

‘’(サイレント映画は)ストーリーを伝える手法としては過去のものだけど、当時の名作が観客に与える感動は現代でも色褪せない。映画からセリフを抜くと、その物語を視覚的要素だけで伝えることになるため、携わるクリエーター陣はあらゆる工夫をする必要があった。そんな表現上の制約があったからこそ、名作ができたと思っている。”

 アメリカ議会図書館の次なる取り組みは、失われたとされる作品を修復すべく、海外や個人のコレクションの保存団体を調査すること。しかし、ハリウッドでその7割が消えてしまっていたという事実を踏まえると、あまり多くを期待できなさそうです。

 サイレント映画の全盛期は短かったものの、チャップリンやD.W.グリフィスといった後世に残る名監督の作品が輩出された時期でした。それらに並ぶ名作があったかも…と考えるととても残念ですね。」
No.72 - 2013/12/18(Wed) 17:09:53
Re: サイレント映画の悲劇 / 比和昇
【関連記事】
 ○英国ガーディアン紙 ”Vast majority of Hollywood silent films lost forever, study confirms”
   http://www.theguardian.com/film/2013/dec/04/american-silent-films-lost-forever
No.73 - 2013/12/18(Wed) 17:11:32
Re: サイレント映画の悲劇 / 比和昇
【関連記事】
 ○米国ザ・ハリウッド・レポーター誌 ”'Alarming' Study Shows Just How Few Silent Films Have Survived”
   http://www.hollywoodreporter.com/news/alarming-study-shows-just-how-661810
No.74 - 2013/12/18(Wed) 17:12:55
Re: サイレント映画の悲劇 / Ismael
比和昇さん

何とも残念な結果ですね。

アレキサンドル図書館にあった蔵書とかマヤの古文書なども失われて戻ってこない文化的遺産ですね。

リュミエールの「映画に未来はない」という言葉は一部正鵠を射ていたということでしょうか。

現在の光学的記録媒体も永遠不滅ではありませんし。

多分まだ整理されていないアーカイブというのが世界のあちこちに存在していると思います。

私の経験からすると例えば、モンゴルの国営放送局の映像資料室には何か埋もれているのではないかという気がします。
No.76 - 2013/12/18(Wed) 18:56:43
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