「キム次長の告白」 ※「キム次長の誤算」第8話の続き
ユジンとサンヒョクが帰り、後を追うようにミニョンも店を出て行った。 愛のキューピッドになれなかったキム次長とジョンアは天を仰いだ。 しばし光り輝くシャンデリアを眺めていたジョンアが突然意を決したように言葉を発した。 実は彼女には前からキム次長に聞いてみたいと思っていたことがあった。 それは次長の左手に時々光る指輪のことである。 いったいこの人は結婚してるのだろうか? 左手の薬指ということはふつうは結婚指輪よねえ・・・ でもこの人にはそういう生活くささが感じられないし・・・ 今日は指輪をしていないけれど、この際確かめてみよう、そう思い立ったのだ。 「ねえ次長、時々気になるんですけど、次長の左手・・・、差し支えなかったら教えてくれません?」 ジョンアはグラスを傾ける次長の左手を指して恐る恐る尋ねた。 「えっ?僕の左手?左手がどうかしましたか?別に左利きじゃありませんよ、どうしたんですか急にそんなこと・・・、ああそうか!私の彼は左利き〜♪なんて歌がありましたねぇ」 「混ぜっ返さないでくださいよ、真面目に聞いてるんですから・・・」 ジョンアの顔にはいつもと違う雰囲気が漂っている。 キム次長は自分の左手に視線を落とした。 「ああ!左手って指輪のこと?」 「そう・・・」 彼女の真剣な顔が幾分怒ったようにも見える。 そんな表情を見たのは初めてだった。 彼は一つ咳払いをした。 「そうですか、気になりましたか・・・、あなたのご想像の通りですよ」 「じゃあ・・・」 「そうです結婚指輪です。時々思い出しては嵌めてみるんです」 「思い出して?・・・」 「ええ、指輪だけが残ったものですから・・・」 「残った?・・・」 もう一度左手に視線を落とした彼は、ちょっと間を置いた後、おもむろに語り出した。 彼には学生時代から付き合っていた女性がいたこと。 その彼女が学生時代に骨髄性白血病を発病したこと。 この難病を二人で力を合わせて克服しようと、卒業後すぐに結婚したこと。 そして、病気との壮絶な闘いの後、今から十年前に彼女が逝ったこと、等々。 「いいやつでした。最後に『ありがとう、あなたに会えて幸せだったわ』と言ったあいつの言葉が忘れられなくてねぇ・・・、だから時々嵌めてみるんです。」 時に大きなため息を交えながらキム次長が語り終えた頃、ジョンアの潤んだ瞳からは大粒の涙があふれ出ていた。 「ごめんなさい、そんな事があったなんて知らなくて、辛いことを言わせてしまって・・・、ほんとにごめんなさい」 ジョンアのそんな姿を見るのは初めてだった。 ふと彼の心の中を熱い風が通り過ぎるのを感じた。 「いいんですよ、いつか他人に話すこともあるだろうと思っていましたから、 それに、いずれは吹っ切らなきゃいけないと思っていた所でした、十年はそんな節目だったのかもしれません。あなたに話すことになったのは運命だったのでしょう。」 「運命?・・・」 「ベートーヴェンは第5交響曲の冒頭で『運命がこのように扉を叩く』と表現しました、あなたが堅く閉ざしていた僕の心の扉を叩いてくれたのかもしれません」 「そう言っていただけると救われます。それじゃ私が運命の女(ひと)になるのかしら?」 あまりに真剣なジョンアの表情が彼には妙に可笑しかった。 「う〜ん、どうでしょうか、運命の人になるには料理がうんめい人でないと・・・」 「次長!!」 ジョンアの顔が泣き笑いに変わっていった。 |
No.8098 2007/03/12(Mon) 20:00:26
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さすが、フィガロさん。 ユジン・サンヒョク・ミニョンの3人が帰った後に、こんな会話が繰り広げられていたなんて! いいですね〜
阿波の局さまにしてもフィガロさんにしても、 何年経っても、冬ソナの世界にお話を創るくらい入り込めてしまうなんてすごいなあ〜と思います。
私の方は、暖冬のまま春になるのかと思いましたら、 ここ何日かで雪が降りつもりました。 久しぶりの雪景色にやっぱり、冬ソナを思い出します。 |
No.8099 2007/03/14(Wed) 18:23:46
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スピッツさんお久しぶりです。たまに東京へは帰っていますか? 春になったと思ったらまた冬に逆戻りで驚きましたね。玄関の雪囲いを外したとたんこの雪に吹き込まれて参りました。(笑)
今回の創作は2年半ぶりになりました。その続きなのでHNは「K次長」で載せました。 しかしなんか懐かしすぎて変な気分です。今更あまり慣れない事をするもんじゃないなという自分なりの感想です。 |
No.8100 2007/03/15(Thu) 07:03:03
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キム次長!こんにちはお久し振りです。 あのあとジョンアさんと、こんなエピソードがあったなんて流石です。 やはり魅力的な人の過去には計り知れないドラマが隠されているものなんですねっ。 私もあの二人の運命が今でも気になっているファンの独りです。 |
No.8116 2007/04/29(Sun) 12:56:04
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