一 「出会い」
いねむりが 招き寄せたる 縁(えにし)かな 隣国の彼女(ひと)と 出会いたる日
その彼女(ひと)は 母の若き日 思わせる 髪長くして えくぼかわゆし
憧れの 国訪れた 喜びと よき出会いとに 心弾ませ
二 「遠ざかる、近づく」
突然の 距離が想いを 気づかせる あなたのいない 心許(もと)さよ
便りあり はやる心を 抑えつつ 開く喜び 急ぎ返信
彼の人も 心にかけて くれていた その事がただ ただ嬉しくて
三 「過去?@」
きっとくる そんな予感に ときめいて 学校への距離 遠く感じる
『初めて』の 調べはとても 切なくて 彼の横顔 淋しげに見ゆ
なにげなく 尋ねた父の 生い立ちが 悲しい『過去』の 扉を開く
四 「過去?A」
論い(あげつらい) 罵る(ののしる)ことは 安くとも 先行く道を 示すは難し(かたし)
すでに亡き 人を想いて 思い出を 語る辛さと 懐かしさと
五 「過去?B」
もう少し 素直になれば 唇を 噛むこともなく いられるものを
届かぬと 諦めかけた この想い 叶う幸せ かみしめている
六 「過去?C」
できるなら あの時へ戻り もう一度 やり直したい こうなる前に
幸せが 指の隙間から はらはらと 零れ落ちるを じっと見つめる
彼の人を 愛したことが 罪ならば 許せとは言わぬ 背負って生きる
七 「過去?D」
清らかな 花嫁姿の あの人を 祝う人々 我のみ…孤独
偽りに 縋って(すがって)生きる 危うさに 気づく現実 恨みのみ残し
子の笑顔 奪ってしまった その理由(わけ)は 今なら分かる 母の生き様
八 「信じる?@」
「生きる」とは 「信じる」事と 穢れなき 小鹿の瞳 見つめて気づく
傷ついた 大地もいつか 逞しく 新しくなる 止まることなく
憂し(うし)気色 見せる友が 気になりて 我の心も 晴れ晴れとせず
九 「信じる?A」
あれこれと あなたの笑顔 見たいから たわいもないこと 話し続ける
父はなぜ 全てのつらさ 乗り越えて 感謝して逝く それができたか
父が逝き 我も生まれし その島へ 連れて行きたい そうすればきっと…
十 「生きること、死ぬこと」
命とは 生きることも 死ぬことも おおもとなる宇宙(そら)と 一体なるか
くずれない 幸せ求め 彷徨(さまよ)えど それは自身の 内にありしか
勇気だし 試練乗り越え 鍛えなん その時にこそ 命輝く
十一 「すれ違い」
彼の人を 想うがゆえに 傷ついて 涙を流し もがき苦しむ
先人(せんじん)も 生きんがために せしことが 若い二人を 引き裂いてゆく
いつの日か この壁壊し 手を結び ともに輝く 国を創(つく)らん
十二 「夢見る力」
もうだめと 諦める心 励まして ほら、もう一度 頑張ってみる
「何のため」 ふと立ち止まり 確かめる 弱気な心 たたき出すため
勇気だし でもあせらずに 弛み(たゆみ)なく 進む先には 道があるはず
十三 「私にできること?@」
従兄弟(おとうと)も 友も心を 痛めつつ 二人の姿 見守りてあり
きっかけを 互いにさぐり たゆたいて はにかみながら 距離を縮める
十四 「私にできること?A」
向きあいて 互いのつらさ 分かち合い 同苦するとき 心通づる
彼もまた 苦しむ時を 過ごすこと 思い出しつつ わが身を恥じる
ポラリスは 動かぬ証 我だけは 君と共にある 忘れないで
十五 「償うということ」
同じ時 それぞれの枷(かせ) 認め(したため)る 想い届けと 祈りを込めて
起きたこと 後戻りすは できぬこと ならば償い いかにすべきか
命をば 愛する人と 国のため 捧げた人を 忘れてならじ
十六 「コンクール」
晴れ舞台 心を合わせ 声合わせ 心に響く 歌を歌わん
一人でも 一人ではない 私は みんなの想い 背中に感じて
諍(いさか)いも 共に乗り越えた その後は 心も通じ かたく結ばる
十七 「外島 1 」
生と死の 思い出遺す(のこす) 『島の家』 心を癒し 安らげる場所
哀しみも 時というろ過 通り越し よき思い出に 昇華してゆく
愛してる 愛して欲しい それなのに 憎むつらさを 人にはさせまじ
十八 「外島 2 」
出会いには 別れがいつも ついてくる でも、悲しくて うろたえてしまう
もう一度 きちんと君と 向き合える 自分になりたい だから、行くのだ
手を取りて その温もりを 確かめる 握り返して 心伝える
十九 「それぞれの旅立ち」
「現在」は 「過去の因」が つくりたる 「未来」をつくるは 我らがこの瞬間(とき)
幸せは 待つものではなく 掴むもの 内に秘めたる 力信じて
離れても 互いを信じ 励まなむ ラピスラズリに 想いを込めて |
No.7770 2006/02/15(Wed) 11:31:28
|
『ユソンの恋』、blogの方でも最初から拝読いたしました。 3つずつの短歌を読むだけで、ユソン君と裕子ちゃんの想いが思い浮かびます。
『手を取りて その温もりを 確かめる 握り返して 心伝える』
たった26文字なのに、奥が深いなぁ。 あたたかくて想いの詰まった短歌ですね。 |
No.7773 2006/02/16(Thu) 23:17:07
|
|
きよたんさん、こんばんは。
いつもコメントありがとうございます。 「ユソンの恋」読み返してくださったのですね。
ネタ切れで始めた「ユソンの恋 短歌」でしたが、自分でも読み返すことが出来てよかったなと思っています。
小説もいいですが、川柳や短歌は、その場面を切り取ることが出来るのがとても気に入っています。 |
No.7775 2006/02/16(Thu) 23:53:51
|
|