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eブックにまつわるエトセトラ - Name: カナメ No.1392 - 2016/04/09(Sat) 03:00:08
『ハルマゲドン』が読みたい……そうだ、e文庫へいこう
『幻魔大戦 Rebirth』をきっかけに小説『幻魔大戦』を通して読み切ったら、どうしてもその続きである『ハルマゲドン』が読みたくなる。でも、いま手元にその単行本はなく、古書店でもおいそれとは手に入らない。それを現在、確実に購入できるショップがあります。そう、e文庫です。

凄いぜ、Kinoppy!
問題はドットブックをどうやってスマホで読むか、ということでした。本家ボイジャーのビューアであるVoyager Booksは、専用(?)販売サイトからダウンロードしたコンテンツにしか対応しておらず、よそで購入したファイルを読むことはできません。
ところが、これを読めるスマホアプリがあるのです。紀伊國屋書店が提供しているKinoppyです。これがドットブック、XMDF、PDF、EPUBに対応しているうえに、購入元を問わずにファイルを読み込んでくれる太っ腹。スマホへの転送方法は、クラウドサービスのDropboxにコピーしておき、それをKinoppyでインポートするだけ。Kinoppy上でスワイプ(指でなぞる動作)すると、PDFが「ぺろりん」と紙をめくるイメージで改ページするのは、ちょっと感動ものですよ。
キンドルをはじめとするデバイスならびにスマホ対応フォーマットのeブックが続々と配信を始めているいま、これを取り上げるのは、ちょっと遅きに失したかもしれません。でも、所持しているeブックをスマホで読む方法があるということを、おかもとさんに教えていただくまでワタシも知りませんでしたし、このことは広く紹介しておきたいと思います。

逃した珠玉の掌編・BLUEシリーズ
悔やまれてならないのは、PDABOOK.jpで販売していた『BLUE HIGHWAY』『BLUE LADY』を購入していなかったことです。ハードディスクやCD-Rを散々探しましたが、ありませんでした。『メガビタミン・ショック』は見つかったんですけどね。ここで何度も話題にしてたのになぁ。
ガラケーで購入してたし、いつでも買えると思ったんでしょうね。それで販売していることそのものをキレイさっぱり忘れてたんだから世話はない。キッチリしいの完璧主義者のくせして、一度緊張の糸が切れるとズボラになるのは、いまだに矯められない悪い癖です。それで何度後悔したことか。
PDABOOK.jpが終了したのは、昨年の11月末(下記URL参照)。ついこの間じゃないですか。当たり前のようにそこにあると思っているものは、実はかけがいのないものなんだ。というのは朝ドラ「とと姉ちゃん」の西島秀俊のセリフ(大意)ですが、本当にその通りですよ。たかが小説のことで大袈裟と思われるかもしれませんが、これは重要な示唆を孕んでいます。この過ち、繰り返すまいぞ。
https://web.archive.org/web/20160101225716/http://pdabook.jp/pdabook/

角川、徳間の装丁で電子版が出る奇跡
携帯端末で本をダウンロードして読む、そのスタイルも音楽配信と同様に当たり前のものになりつつあるようです。では電子書籍の先駆者であった平井和正の活動が、現状にどの程度の影響、寄与があったかと云えば、ほとんどなかったと云わざるを得ません。平井和正がなにもしなくても、eブック界の現在に変わりはなかったでしょう。
ただ、これだけは云えます。平井和正がもし自らの愛読者である編集者をパートナーにして、作品の電子化に取り組んでいなければ、いま現在、平井和正著作のeブックは、ひとつとして存在しなかったでしょう。
生頼範義表紙挿絵の幻魔やウルフガイが再刊され、在庫切れの心配もなく販売され続ける。これは本当に慶賀すべき奇跡ですよ。なにしろ角川とも徳間とも、ケンカ別れしたのですから。

作家が版元と諍う是非
脱線しますが、ここで章題の件について、私見を述べておきます。
作品を勝手に書き換えられて、それで版元と喧嘩をするのは、作家として正しいことだと思っています。多くの作家は、己れの作家生命を賭けてまで正しいことをする勇気を持たないだけです。平井和正がそういう勇気ある作家であったことをワタシは読者として誇らしく思い、称讃するものです。そのことで読者として被る多少の不便や出費など、些事です。
俗世間で食い扶持を稼いでいると、なかなか正しい筋道だけで生きていくことはできません。それは仕方がない。しかし、あまりにそれが常態化し、習い性になると、価値観が倒錯してしまい、損をしてでも正しいことをする人間をバカにしたり、あまつさえは非難したりするようになってしまう。
誰もが彼のように英雄的な人物として生きられるわけではありません。ワタシもそうです。けれども少なくとも、ワタシはそういう人や行為を尊敬する心を忘れたくはありません。

シャレではない「平井丸」
とは云え、出版社をコロコロ移られ、(一部好事家の高価なオモチャであった時代に)パソコンまで買わされ(笑)、振り回される世間一般の読者の身になれば、頼むからもうちょっと普通の世渡りとか妥協ってもんを学んでくれ、という嘆き、腹立ちもわからないではありません。
ワタシが読者として幸福であったのは、かくのごとき狂信者であるのはさておき、そのように振り回されるのをまるでジェットコースターをライドするように愉しめたことでしょう。リブリエを買った出費だって(中古ですが)、その愉しみ賃です。平井和正の作家人生そのものが、まさに「平井丸」というドラマなんですよ。
NHK大河ドラマ「真田丸」の昌幸(草刈正雄)を見てると、あの方がオーバーラップしてしょうがない。二転三転する果断な決断。それがまたたいていは裏目に出る。挙句、口にしたセリフが「わしは勘だけで生きてきた」
読者として作家として仰ぎ見るぶんにはいいですが、家臣として主君には持ちたくない方ですね。


WD Cloudで"書斎を携帯する" - Name: カナメ No.1386 - 2016/03/27(Sun) 15:36:07
ハードディスクを新調したのを機に、CD-Rなどバラバラに散在していた平井和正のeブックの数々を集約、一元管理しました。アスキー時代の(言霊が下りながら作者自ら没にした特別シークエンス付き)『月光魔術團』特別先行版とか、PDFで配信されたリアル犬神明インタヴューとか、平井和正の肉声が発せられるPDF版『幻魔大戦』とか、懐かしいという以上に超貴重ですね、いまとなっては。

新調したハードディスクはWD Cloudというウェスタンデジタル社のLANに接続するタイプで、WD社のサイトにログインして遠隔地から読み書きができる、その名のとおり自宅のハードディスクをクラウドにしてしまうというシロモノで、ちょっといまこれにハマっています。ようやくガラケーから乗り換えたiPhone 6ですら、機能盛り沢山の携帯電話ぐらいにしか思えなかったワタシが、イジるのが面白いと思える久々のITデバイスですよ。

テラバイト単位の実質的ストレージをスマホが持ってしまうんですよ、すごくないですか。まあでも、それは使用料さえ払えば普通にクラウドでもできる。やっぱりなんといっても、自宅と同じデータ環境をどこにいても、ネットにアクセスするデバイスさえあれば再現できるということでしょう。部屋いっぱいの蔵書、CD、ビデオを何の苦労もなく持ち運びできるとしたらどうでしょう? パソコンデータに関しては、それはもう手を伸ばせば掴める現実そのものです。

ただ、スマホに関してはパソコンと同じというわけにはいかないようです。ドットブックを読むiOSアプリはあるのですが、残念ながら特定サイトからダウンロードしたファイルしか読めないようなのです。そんなみみっちぃことしてたら、天下とれへんぞ。
このあたりのシームレス、汎用性ではやはりPDFは強い。レイアウト固定はスマホ向きではないが、PC画面に合わせた横長のページレイアウトは、スマホでも縦の画面を横スクロールするだけで意外とストレスなく読める。

ところで、「コミックオン」を覚えていますか。まつもと泉が手がけたデジタルコミックCD-ROMマガジンなのですが。VOL.1には平井和正との対談ムービーも収録されていて、それでこのたびの関係ファイルの収集にあたって、久々にドライブにセットしてみたのですがね……実行できませんでした、Windows 10では。アップグレードを考えているひと、観れるうちに観といてください。少なくとも、XPではプレイできました。
幸い平井和正の映像はQuickTimeのムービーファイルなので、これだけコピー・鑑賞することは可能です。場所は隠しフォルダになっているので、ご注意ください。

あるのはわかっているのに、収集はできなかったファイルがあります。パソコン通信で配信された『ボヘミアンガラス・ストリート』のテキストデータです。保存してるメディアが、フラッシュディスクなんですよね。覚えていますか、というかご存じですか? 昔のノートパソコンには、普通に装備されてたんですがね。
超久々にHP200LXの電源を入れましたよ。間違いなく十年越し。起動したLXちゃん、エラいぞ。あるのは確認できた。けど、ワタシの現在所有するハードウェアで、これをコピーする手段がない。USBなんてなかった時代のマシンなのよ、わかって。そのフラッシュディスクの容量、どれくらいだと思います? 笑うよ、10MBですよ、10メガバイト(笑)。これでも当時は結構、高かったんですよ。「これひとつでフロッピーディスク約10枚分か、スゲーな!」って思ってた。二十年前はね。げに恐ろしきは人間の欲望ですよ。

メールすれば、なんて簡単に仰らないでください。LXでメールを送ろうと思ったら、まずボヘガラのテキストを本体メモリにコピーし、スロットにモデムカード(どこへやったかな?)を差し、グレ電(グレーの公衆電話)に繋いでパソ通にログインしなければなりません。それはそうと、いまパソコン通信ってできるの?

e文庫のPDF、ドットブックって、販売を終了した作品("コンテンツ"という呼び方はしたくない)があるんですね。キンドルなどに対応したフォーマットが登場して、お役御免ということでしょうか。
ショックだったのは、『BLUE HIGHWAY』『BLUE LADY』にPDF版、ドットブック版があったということですよ。知ってたら、ゼッタイ買ってた。PDABOOK.jpという販売サイトで配信されてたようなのですが、いまはサイト自体が店じまいしてます。ワタシとしたことが、一生の不覚。
ちなみにガラケー向けフォーマットのファイルも、いまは配信されていません。ダウンロードしてあるガラケー、大切に保管しなくちゃ(笑)。これも約一年ぶりに電源をいれました(笑)。

つらつらと書き連ねました。eブックはハード・ソフトにいつガラリと変革が訪れるか知れたものじゃなく、読みたくなったときが買いどきだと思っていました。でも、こうして整理・管理していくと、収集癖、コンプリート熱に火がついてしまって(笑)、手に入れ損なったファイルがあるのが悔しくてならない。いつまでもあると思うなeブック。所持していない作品、フォーマットは、いまのうちに買っておこうかな。

最後にアップした画像について解説しておきます。『ボヘミアンガラス・ストリート』がパソコン通信ネット10局から配信された際、唯一、PC-VANのみで発売された「NEC電子ブック形式」です。「NEC電子ブック」という専用ハードとNEC PC-9800用のビューワで読むことができました。その後者のスクリーンショットがこれ。ウルフガイ・ドットコムの画像掲示板に投稿したものです。
ルビの機能はなく、テキスト形式同様、括弧書きで表現されています。数字を半角2桁で1文字分にする、いわゆる「縦中横」の機能もない。挿し絵は無論のこと、表紙画もなし。まるでページレイアウト固定のテキストファイル。eブックはこんなところから船出をしたのです。

当時、「パソコンで読書なんてできるか」「読書のためにパソコンなんて買えるか」「本はどこでも読める。ウォークマンみたいな読書の専用ハードなんて誰が買うんだ?」といった声は本当に根強かった。
時代は変わる。いまや駅のホームも電車内も、スマホやタブレットに目を通している人だらけです。もちろんそのすべてが読書をしているわけではありませんが、それで読書もできるようになりましたし、フェイスブックやツイッターはできても読書はムリ、といった声も聞かれなくなりました。
本なんて一度読んだら捨てるもの。そう思ってるひとにとっては、"書斎を携帯する"ことの素晴らしさは理解できないでしょう。でも、ひとりの作家を、ひとつの作品をこよなく愛し、繰り返し何度も何度も読み返す、そういう人間にとって、それら携え、それらとともに生活をするということは、これはもう夢のような世界なのですよ。そしてそれは、もう夢ではないのです。


Re: WD Cloudで"書斎を携帯する" - Name: カナメ No.1387 - 2016/03/27(Sun) 18:27:59
PDABOOK.jpの『BLUE HIGHWAYS』については、ここでも触れてましたね。さすが、おれ(笑)。

■まさに「e文庫」のJ1昇格。 - Name: カナメ No.1007 - 2005/11/29(Tue) 18:24:36
http://www1.rocketbbs.com/612/bbs.cgi?id=t_kaname&mode=pickup&no=1007

さすがに十年前ですからね。勘弁してつかーさい。
ということは、どっかにダウンロードしてんだな。とりあえず、よかった。探してみることにしましょう。『メガビタミン・ショック』もダウンロードしてないかな?


Re: WD Cloudで"書斎を携帯する" - Name: カナメ No.1389 - 2016/03/31(Thu) 22:51:33
>おかもとさん
すごいワザを教えていただき、ありがとうございます!!!
ドックブックの『ハルマゲドン』がスマホで表示できました!!! 感激!!!

NEC電子ブックのボヘガラですが、ワタシもダウンロードしたのは1巻だけで、それ以降は把握してません。それにしても、おかもとさんでさえ所持していない電子ブック版ボヘガラ、全巻購入して専用ハードで読んだひとは全国でどのくらいいるのでしょうか?


出版戦国大河ドラマ 平井丸 - Name: カナメ No.1390 - 2016/03/31(Thu) 23:30:11
「決めたぞ、徳間とは手を切る。わしはリム出版につくぞ」
「これからは電子出版ぞ。わしはアスキーと手を組む」
「わしはもう、どの出版社にもつかん。電子出版でわしだけの国をつくるのじゃ。大博打の始まりじゃァァァァッ」
――目まぐるしく変転する平井片瀬江ノ島守和正の差配に、家臣一同は翻弄されるのだった。(声・有働由美子)

電子出版戦国時代をアマゾン・Kindleが天下統一を果たした、というフレーズとともに、イモヅル式に草刈正雄の声で上記のようなセリフが脳内を駆け巡りましたので、書き留めてみました。


おれ的アダルトウルフのベストチョイス - Name: カナメ No.1385 - 2016/03/21(Mon) 21:04:11
指摘をされて思い出したのですが、電子版『ボヘミアンガラス・ストリート』の以前の表紙って、全巻まつもと泉のイラスト1種類だったのですね。そりゃあ入れ替えになって当然ですね。
泉谷あゆみの表紙のアダルト・ウルフガイも全巻同じイラストなのですが、こちらが生頼範義バージョンと入れ替わらないのは、各巻の収録エピソードの構成が違うからでしょう。
シリーズ構成とタイトルで、ルナテックオリジナル版はベストです。ノンノベルと角川文庫のいいとこ取り、さらに独自の編集も加えた上で、出版社がつけたと思しいイマイチなタイトルを収録エピソードのそれに変更するという、まことにファン感涙の心づくしなのですよ。
ただ惜しむらくは、挿絵がない。それと泉谷さんには申し訳ないんだけど、アダルトウルフのビジュアルは生頼画伯をおいていない、それ以外の絵師は考えられないのです。
生頼範義バージョンの配信開始は福音ですが、こちらは当然っちゃ当然なんですがノンノベル構成、これが悩ましい。泉谷あゆみと生頼範義、双方のバージョンを買えばいいんですが、そんなアイドルオタみたいなことはしたくない、小説は1種類あれば充分、というアナタのために、ヒライスト界の遠峰一青、平井和正ソムリエのカナメさんが、重複ナシのベストなウルフ買いを提言させていただきましょう。(……一応云っときますけど、冗談ですからね? お……おお……おおぉ……)

1.『狼男だよ』(生頼範義版)
こちらは迷わず、生頼範義版を選ぶ。

2.『狼よ、故郷を見よ』(泉谷あゆみ版)
タイトルと構成を重視するなら、生頼範義版の『狼のバラード』ではなく、こちらを選ぶ。理由その一、タイトルがもう断然こっちに軍配。その二、シリーズ2巻目のラストはこの表題作で締めたい。その三、「人狼、暁に死す」を外すことが、のちに意味を持つ。

3.『魔境の狼男』(生頼範義版)
タイトルだけなら『リオの狼男』(泉谷あゆみ版)のほうがいい。角川の『人狼地獄』もそうだが、出版社考案のタイトルはどうもピンと来ない。ピンと来ないのはまだいいほうで、角川文庫のシリーズ後半ときたら、悪意でもあるのかと疑いたくなるぐらい、センスの欠片もないタイトルに成り果ててゆく。小説の中身は同じなので、ここは生頼範義版を選ぶ。

4.『人狼、暁に死す』(泉谷あゆみ版)
角川文庫の構成で、唯一ほめられるのが本書。表題作と「虎よ! 虎よ!」はともに平井和正がストーリーを書いた日本版『スパイダーマン』のエピソードをもとにした小編。

5.『人狼戦線』(生頼範義版)
迷わず生頼範義版を選ぶ。

6.『人狼白書』(泉谷あゆみ版)
ここから先は選ぼうにも2016年3月現在、泉谷あゆみ版しか存在しない。しかし仮に、生頼範義版があったとしても、泉谷あゆみ版を選ぶ。なぜなら本書はノンノベルの同名書とは中身が異なる、かつてペーパー本では出ていないルナテックオリジナルだからだ。しいて云えば角川文庫の『ウルフガイ不死の血脈』『ウルフガイ凶霊の罠』(それにしても、このタイトル……ないわぁ)を1冊にしたもの。この編集とこのタイトル、グッジョブ!

7.『人狼天使 第I部 憑霊都市』『人狼天使 第II部 魔天楼』(泉谷あゆみ版)
いま現在、泉谷あゆみ版しかなく、選択の余地はない。生頼範義版が出たならそちらを選ぶ。ちなみに第?V部は泉谷あゆみ版にもいまだ存在しない。一日も早い配信が待たれる。

P.S.『狼の世界(ウルフランド)』
生頼範義版の配信が待ち切れず、ウルフ買いしちゃいました。「のりしろ」の答えは……買って確かめてください。


あらためて電子書籍をチェックしてみた。 - Name: カナメ No.1384 - 2016/03/20(Sun) 13:08:07
『ボヘミアンガラス・ストリート』全9巻が装いも新たに《新装版》で、主要各電子書店から配信されました。いよいよ小説も異なるジャケットを選べる時代がやって来たかと思っていたら、どうも完全に入れ替えらしく、旧バージョンは電子書店から姿を消していました。
正直云うと、前のまつもと泉の表紙画は、かつてのきまオレのような神懸かり的魅力が感じられず、食指が動きませんでした。でも、こうなってしまうと現金なもので、無料サンプルだけでもダウンロードしとけばよかったなと、ちょっぴり悔やんでいます。
まつもと泉版を継続して販売できない事情でもあったんでしょうか? だからこその《新装版》なのか。答えの出ない勘繰りをしてもしょうがないですが。

一方でアダルトウルフガイには、生頼範義版と泉谷あゆみ版が2種類存在します。これがまたややこしくて、生頼範義版は当然ノンノベルの構成であるのに対し、泉谷あゆみ版の構成はこれまでにないオリジナルで、『狼男だよ』→『狼よ、故郷を見よ』→『リオの狼男』『人狼、暁に死す』→『人狼戦線』→『人狼白書』→『人狼天使 第I部』→『人狼天使 第II部』……となっています。
ここでワタシと同じような中高年の読者はアレレ? となると思います。ここでの『リオの狼男』は早川文庫でのそれとは異なり、ノンノベルでの『魔境の狼男』、角川文庫・ハルキ文庫での『人狼地獄』にあたります。
シリーズ後半のダサい角川文庫タイトルが、ノンノベルと同じにあらたまったのは素直によろこばしいですが。ただ、どちらも全部は出ていないんですよね。リリースの期間が空いちゃってるのが気になります。全巻配信を待っております。個人的には挿絵もある生頼範義バージョンで揃えたい。

高橋有紀バージョンのボヘガラには、残念ながら挿絵はありませんでした。諸事情はあるのでしょう。作った本人が一番そうしたかったに違いないと思うので、文句は云いません。
ボヘガラには特別な思い入れも、スマホでこの作品を読む感慨もあるのですが、いずれあらためて書きたいと思います。

ところで、電子版の『狼の世界(ウルフランド)』にも「のりしろ」はあるのかな?(笑) 答えは購入して確かめましょう。


幻魔が来なくても幻魔大戦は起こる。 - Name: カナメ No.1383 - 2016/03/19(Sat) 22:06:04
三十億から選ばれた 正義と悪のエリートが
『エリート』のソノシートに収録された歌の一節だが、当時の世界の人口に愕然とする。歴史的レンジで云えば、それほど昔の作品ではない。ワタシはもう生まれていた。その頃の人口が、もう倍以上に膨れ上がっている。2050年頃には100億に達するという。
縄文時代はユートピアだったと云われるが、それは当然で世界の人口は現在の日本人より少なかった。だから狩猟と採集の生活ができたので、ライフスタイルを変えればいいという問題ではない。守村大がモーニングで連載しているような暮らしができるのは、彼の能力や体力以前に、ああいうことをしようという人間がごくごく少数だからである。みんなが同じことをやろうとすれば、森林原野の奪い合いが始まる。
これだけの人類の胃袋を満たすには、大規模農業が不可欠だが、現状でも公平に分配したとしたら足りないだろう。その大規模農業が地下塩類が上昇する塩害によって、存続が危ぶまれている。近い将来、世界は水と食料の争奪戦になるだろう。TPPで国際分業など、能天気にも程があると思うのだが。
この一事だけをとってみても、人類の明日は相当に危機的である。これはリアルな問題であって、ムー的、戦士症候群的に語る必要はないし、それはかえって話をややこしくする。アニメ幻魔の頃には「接近」していたアレがついに上陸、などと云ったらディスられるもとだ。やめたほうがいいよ。

おそらく平井和正も、大宇宙の破壊者が地球を侵略しにやってくる、とは思っていなかっただろう。それはあくまで物語としてのフィクションだ。それでも人類の終末についてはマジでガチで信じていて、作品を通じて、ときにストレートな言説で、読者に警告を発していた。
小説『幻魔大戦』で東丈は、全ては演習(エクササイズ)だと説いた。それは何にそなえての演習だったのか。もちろん作品上では幻魔との戦いなのだが、そこに込められた作者の想いは、もっと広範な人類存亡の危機だったのではないか。それは温暖化などの環境変化や自然災害かもしれないし、戦争かもしれない。それはまさに今日のような時代の訪れではなかっただろうか。

故人を悪く云うのは気が引けるが、平井和正はトルテック信仰に引き籠ったと思っている。カスタネダの言説を否定する気はないが(というか、ろくに知らない)、現実の問題は現実的に対処しなければどうしようもない。救世主は幻想で、宗教は何の役にも立たないどころか有害、ならばどうする?
この時代に、どう考え、どう動き、そしてどう生きるか。そのことを真剣に問われている。


「演習」は何度出てくる? - Name: カナメ No.1380 - 2016/03/13(Sun) 19:01:55
キンドルの検索結果を信じるなら、小説『幻魔大戦』において「演習」という言葉が使われているのは12箇所です。たったそれだけ? というのがワタシの率直な印象です。もっと頻繁に使われているものと思い込んでいました。

自身、退屈を抑えきれず、時間潰しだと思わないでもない。しかし、全ては演習だ。組織がどんな代ものか、最初からじっくりと知るには絶好の機会であろう。そうとでも思わなければ、愚劣な応酬に耳を傾けていられるものではない。
(幻魔大戦(5) ※演習には「エクササイズ」のルビ)

その多くはこうした東丈視点のト書き(地の文)として書かれ、東丈に限ればカギ括弧付きのセリフとしては、「全ては演習です」などとは驚くほど物語上では口にしていません。「我々は演習問題を与えられているんです」という笛川医師に云ったものが一度あるのみです。

全ては演習――それが東丈の口癖であった。 (幻魔大戦(15))

丈が口癖のようにいっていた通り、全ては演習なのだ。 (幻魔大戦(17))

こう書かれているので、東丈が頻繁に口にしていたのは確かなようです。それがあたかも物語上にも描かれていたかのような印象につながったのでしょう。機動戦士ガンダムにおける「アムロ行きまーす」に似ているかもしれませんね。

あるテキストを書くために調べていたら、意外感のある事実がわかったので、これだけで一本アップしてみました。


Re: 「演習」は何度出てくる? - Name: 奈津 No.1381 - 2016/03/13(Sun) 23:31:15
カナメさん、お久しぶりです。
もう自分が何を名乗っていたのか忘れてしまうくらいのご無沙汰ですが、一応奈津です。
覚えていらっしゃらないかも。。でも、こんばんは。

「全てはエクササイズ」
これは、自分の人生において指針になる一つの言葉でもあって、久しぶりに頭の中で文字にしただけで何だかちょっと涙が出そうになるくらい懐かしさと深さを覚えてしまうのですが、たったの12回と聞いて「うそ〜ん!」て感じです。
しかも丈君が口に出してしゃべってるのはたった1回だとか!
頻繁に私自身が諭されていたような気がするので思い込みとはおもしろいですね。
ちょっと久しぶりに見た言葉にいい意味でどきどきしています。
どうもありがとうございました。


Re: 「演習」は何度出てくる? - Name: カナメ No.1382 - 2016/03/19(Sat) 12:10:10
奈津さん、おひさしぶりです。
ここでは時の流れが穏やかですからね。前回登場の奈津さんにも、次のページでお目にかかれます。
kobo TouchはEPUB版を配信していたメールマガジンを読むのに多用して、隠居されました。リブリエよりは活躍したかな(笑)。


サンテンイチニ - Name: カナメ No.1379 - 2016/03/12(Sat) 22:20:20
そういえば映画『幻魔大戦』って、公開されたの3月12日だったんですよねえ。3.12に「ハルマゲドン接近」って、シャレにならないにも程がある。
幻魔大戦 予告編

良識ある方からお叱りをいただきそうですが、アタマをよぎったら云わずにはいられないのが、ワタシの悪いクセ。ゆるしてチョンマゲドン。

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