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掲示板 DC

こちらは、陸内(くがない)なるみのDeepCollectionの掲示板です。
2022年4月から作品発表をピクシブに移行しておりますので、この掲示板では近況や更新情報などを載せていくことになります。
 pixiv:80426221 です。

宣告 / なるみ
SSには全然関係ないですが、ずいぶん昔に読んだ加賀乙彦の「宣告」という作品はたいそう興味深かったです。






 宣告



 若島津が好きでたまらない。
 男だけど抱きたい。
 そうはっきりと意識したのは、高校三年を迎えた最近のことだった。
 友人としてずっと好きだったのだが、進路を考える時期になって、違う意味で若島津を欲していることに気がついたのだ。
 このまま分かれて行くのか、そう思ったら居ても立っても居られなくなった。
 だから『お前が欲しい』と言った。
 『抱きたい』と伝えた
 それを聞いて若島津は目に見えるほど震えた。
「本気だ。お前が欲しい」
 尊大な日向は、自分の気持ちが当然受け入れられると思っていた。
 それくらい若島津に甘やかされていたからだ。
 少なくとも特別視されているのは間違いなかった。
 そしてそれはまわりの誰もが知るところだった。
「俺は、男ですよ」
 辛うじて絞り出した声はかたかった。
 いつになく緊張した表情。
「そんなことは分かってる」
「だったらそんなこと言わないでください」
 言い捨てて背中を向けられた。
「日向さんを軽蔑します」
 そういう風に見られることを若島津は毛嫌いしていた。自慢の腕で何人も返り討ちにして来た。
 彼の気高さと男らしさとは、同性から向けられるそれらの好意を侮辱にすら感じていたのだ。
 そんなことは日向だって知っていた。
 なのに自分だけは受け入れられると思っていた。
 滑稽だ。
「お前が俺を否定するのか」
 今度は日向の声のほうがかたくなった。
 若島津は振り返る。
 そして日向の形相を見て息を飲んだ。
 後ろに一歩下がる。
 日向はその分間合いを詰めた。
 俺を否定するなんて許さない。
 お前は俺のものだ。
 異常なまでに高まった意志が、ぎらついた視線となって若島津に襲い掛かる。
 日向の手は彼の肩を強く掴んだ。
 以前怪我をしたその箇所は彼の弱点だ。
「日向さん…」
 怯えた声が日向の耳には心地いい。
「お前に俺が倒せるか」
 実質的には武道家の若島津のほうが強いはずだと思えた。
 だが日向には勝算があった。
「お前は俺には敵わない」
 そう言い切る傲岸さに若島津はくちびるを噛んだ。
 壁際に追いやられて彼は逃げ場を失う。
 身体だけでなく心までが逃げ場を失う。
「お前を抱くぜ。お前の身体に俺の印を刻んでやる。そうしてお前を俺だけのものしてやる」
 日向の声は重く狂おしい宣告だった。
No.1096 - 2020/05/16(Sat) 00:23:39
ゼスプリ / なるみ


4/30の書き込みで、のんびりとか言ってたのに……。
嘘つくつもりなどなかったのですが、結果的にいいペースでSS更新しておりましたね。休日だったからだと思うんですけども。
書くって言ってて書けないよりはいいですよね。ね。


全然関係ないけど、ゼスプリのキウイフルーツを買ったらキウイ・ブラザーズのシールが入れ物の底に隠れてついてたっ。全部についてる訳じゃない。ラッキー。うれしい。
世の中的に着ぐるみと言われてるものとか、2等身くらいのものとかに弱いんです。
ケロロ軍曹とかタママ二等兵とか。
ぐんまちゃんとかブーナちゃんとか。
古くはパペットマペットとか。
どういう審美眼なのかは自分でも分からない。


世の中がコロナのせいで閉塞感に満ちているので、誰もが不安になってますよね。
みなさまも、健康面でも、精神面でも、経済的な面でも、なるべく安定した状態でいられますように。
コロナに負けるな。
No.1095 - 2020/05/10(Sun) 21:25:26
変なこと / なるみ



 日向は対面座位が好きだ。がっつり愛し合える。
 対して若島津はそれが苦手だった。
 乗ってるから蕾の中に日向が深すぎるほど深く入って来るし、自分から求めて動く感じだし、淫らな顔を間近に見られてしまうし、繋がりながら息も出来ないくらいの激しいくちづけをされて苦しくなるし……もう、何というか、赤裸々すぎて恥ずかしくてたまらないのだ。
 だから、誘われた時彼は躊躇した。
「その体勢、苦手なんですけど」
「はあ、何言ってんだ」
「無茶苦茶恥ずかしくて」
 察して欲しいと言いたげにぐずぐずしていると、日向はさっさと起き上がりベッドの上で胡坐をかいた。
 彼の控えめな逡巡にまったく頓着しない。
 顎を動かして彼を誘う。
「なんでだよ、俺はこれ大好きだぜ」
「それは知ってますけど」
「ほら、とっとと来いよ」
 上に乗れと命じて若島津のことを待つ日向の陰茎は、もうはちきれんばかりだ。
『はやく来い』とそれ自身が誘っているかのようだった。
「お前の好きな俺様のちんこだぜ。欲しくないのか」
「うっ」
 あんまりな言い様に若島津の喉が詰まった。
 この男はどうしてこうストレートな物言いをするのだろう。
「お前なぁ。ほんとはお前も対面座位が好きなくせに、なにぐずぐずしてるんだよ」
「好きだなんて……」
 彼にはいまだ認めたくない気持ちがあるのだ。
 男なのに抱かれる立場であることに、強いこだわりを持っているのだった。
 日向にもう少しデリカシーがあったらことはもう少し違ったのだろう。しかし、デリカシーがあったらあったで、彼らはこんなに深くて淫らな関係にはなれなかったはずだ。
「対面座位だとお前も興が乗って、夢中になって俺を貪ってるんだぜ。俺の肩にしがみついて自分から腰上げ下げしてよ。よだれ垂らしてよがりまくってさ。意識してないのか」
「そんなっ」
 もの凄い描写だった。
 若島津のうなじを嫌な汗が流れる。
「お前が能動的にならざるを得ないから、対面座位とか騎乗位とか俺は大好物だぜ」
「勘弁して……」
 彼は耐え切れず顔を下げてうずくまってしまった。
 最中のことをつぶさに言われて、彼の中でおぼろな記憶が渦巻いて来る。
 自分はそんな風になっているのだろうか。
 確かに、しているうちにどんどん日向を欲しくなっていくけど。
 訳が分からなくなってしまうけど。
 法悦というものだろうか、身体が浮き上がるような感じさえ覚えるのだ。
「若島津」
 日向の手が彼の頬に触れて上を向くよう促した。
「日向さん」
「はやく乗ってくれ。そろそろ限界だ」
 唇を湿らせて煽って来る。
 彼は逆らえない。
「乗るけど……。お願いですから、変なこと言わないでください」
「変なこと?」
「恥ずかしいことです」
「分かったよ」
 日向があっさり承諾したのは、早く乗ってもらわなければイってしまいそうだったからだ。
 若島津はそっと足を開いて逞しい陰茎の上に身体を乗せ込む。
「ああっ……」
 じゅぷりと音をさせて自分から日向を飲み込む。
 割かれる感触が辛い。
 辛いのにイイ。
「日向さん、すご…い……」
 官能的な声が漏れた。 
 日向は機嫌を良くする。
「お前の腰、やらしいな」
「やだ」
「中もきゅうきゅう締め付けて、物欲しげだ」
 約束を反故にして、生々しい言葉で彼を辱める。
「きっとお前みたいのを名器って言うんだろうな」
「変なこと言わないでっ」
「変なことじゃねえよ。感動して褒めてるんだよ」
「馬鹿!」
 日向は怒っている彼の腰を抱くと乱暴に揺さぶった。
「や、やだ、やめて……あ、あ、あああぁ」
「お前も自分の好きなように動けよ」
「だめぇ……」
 否定しながらも、彼の淫肉は見事な蠢きで日向を解放に導いていく。
 しがみつく手が熱い。
「ひっ……いやああああ!」
 甲高い悲鳴をあげて悶える彼の意識はすでに混濁していた。
 日向の思惑通りによがっている。
「あ、そこ、いい……いい」
 声のトーンが猥褻な変化を遂げていた。
 日向が愛おしそうに眼を細める。
「いい。気持ち……い…い」
 若島津は、日向に言われた通りの淫らさで、自分から雄を咥え込んだ腰を上下させていた。
No.1094 - 2020/05/06(Wed) 23:55:03
くちづけ / なるみ



 長いくちづけで蕩けてしまった彼の耳元で、日向は甘く囁いた。
「かわいいな」
 指先を喉元から胸へと何度も滑らせる。
 熱烈で優しい愛撫だ。
「気持ちいいか」
「ん……日向、さ…ん……」
 彼は儚い声で恋人の名前を呼ぶ。
 気持ちいい。
 気持ち良すぎる。
 目元を赤く染め、日向の唇に自分から唇を重ねる。
 触れるだけのくちづけ。
 ぎこちないそれが日向をこの上なく喜ばせた。
「お前からのくちづけは珍しいな」
 嬉しそうに言って、今度は日向から彼の唇を奪う。
「……う、あっ……ん……」
 慈しみ深いくちづけに若島津はますます蕩けた。
 いつも激しい好意で彼を乱すのに、こうしてたまにとても優しい刻をくれる。不意打ちのそれは彼を戸惑わせ、そして言いようのない濃い官能を味わわせてくれた。
「日向さ…ん」
 猫のように身体を丸めて日向の胸に頬を擦りつける。
 顔を合わせるのが恥ずかしくて縮こまった彼の顎に、日向は指を添えた。
 もう一度くちづけたいという気持ちを態度で示す。
 指で顎を持ち上げられた彼の瞳は、快楽に溺れて濡れていた。
「日向さん……。好き…で…す……」
 素直な声はさらに日向を調子づかせる。
「好きだぜ、若島津」
 愛の言葉は情熱的に掠れていた。
 求める気持ちが溢れて止まらないのだ。
「お前、ほんとにかわいいな」
 そして彼の頬に手を添える。
 今度のくちづけは、貪るような激しい激しいくちづけだった。
No.1093 - 2020/05/05(Tue) 23:04:53
視姦 / なるみ


 日向に犯されて、苦痛と快楽とは紙一重なのだと若島津は知った。
 逃げないと訴えたのに日向は彼の手首を紐で拘束してしまう。
 そのままベッドに放置され、無力感と屈辱感とを味わわされた。
「なんなんだよ、あんた」
 腕を背中に回した不自由な格好で、彼は毒づく。
 抵抗出来ない彼の上半身は全て剥かれており、白い胸に乳首が立っているのがまる分かりだった。
 身をよじる様は不憫で、日向は満足の笑みを見せている。
「これ、ほどけよ」
 威勢のいい台詞とは裏腹に声は震えていた。
 無残だ。
 日向は近寄っては来ず、ベッドサイドに置いた椅子に腰かけたまま彼を見守っている。
 焦らしているのだ。
「日向さん、あんたなにがしたいんだ」
 不気味な沈黙に感化されて彼の喉が干上がる。
 直接なにもされていないのに、息が淫らに熱くなってきた。
 もぞりと足先が不穏に蠢く。
「視姦してるんだよ」
「な」
「見られて感じてるって、突っ込んで欲しくてたまらなくなったって、そうお前から誘ってもらおうと思ってな」
 残酷な要望に若島津はめまいのようなものを覚えた。
「馬鹿なこと言ってるな。そんなこと言う訳ないだろ」
 睨みつける瞳が黒くきらめく。
 どんな眼にあわされても決して汚されない高貴さ。
 それは日向をいら立たせ、また魅了した。
「そうか。強気だな。縛られただけで乳首立ててるくせに」
「それは……」
 隠しようもない事実だ。羞恥が彼の頬を赤く彩る。
「簡単だ。今まで俺に犯された時のことを思い出せよ。いつもお前『いかせてくれ』って泣きながら頼むだろ。かわいいぜ」
 かわいいなどと言われて恥辱を感じた。しかし、日向の眼には彼はそう見えているのだろう。
「お前の身体はやらしいからな。『痛い』って騒いだ舌の根も乾かないうちから『抜かないで』って泣きつきやがる」
 若島津は唇を噛んだ。
 確かにそんな風な場面もあったと、おぼろげながらも記憶している。
 日向にいろいろ施されると、彼はいつも自分を失ってしまうのだ。
 日向のいい様にされて、身体中舐められ、キスされ、咬みつかれて、特に挿入されると恥ずかしいほど乱れてしまう。
「お前みたいのをほんとの淫乱って言うんだよ」
 酷い声に彼は涙を滲ませた。
 なのに同時に下腹に熱を感じてもいる。
 虐げられて感じるいびつな性。
 彼の真面で真面目な性格をそれは簡単に壊してしまう。
 日向は彼の怯えと絶望とを見守りながら、世にも楽し気に言い放ったのだ。
「若島津、俺に見られて勃起しろよ」
No.1092 - 2020/05/04(Mon) 22:52:20
/ なるみ




「そういう眼で見られることはなにも始めてじゃない」
 硬い声で若島津は言った。
「だけど、あんたは違う。他の奴らとは違う。あんたはあいつらと同じような眼で俺を見ちゃいけないんだ」
「どんな眼だよ」
 彼の本気をあざ笑うように日向は挑発する。
「お前は俺を買いかぶってる。俺にお前の理想を押し付けるな」
 重い声のトーンに若島津は驚いた。
 日向らしくないと思う。そしてそう思うこと自体が日向に理想を押し付けている証明なのだと気づかされた。
「俺が、奴らと同じようにお前を犯したいと思っているとしたら、許せないか」
「!……冗談はやめろ。やめてくれ」
 声は少しづつ弱くなってしまう。
 衝撃が大きかった。
「とぼけるなよ。気づいてたんだろ」
 雄のフェロモンを振りまきながら、日向の手は彼の腕を掴む。
 性的なそれを彼は振り払えない。
「俺がどんなふうにお前を見てたか。犯りてえって思ってたか。みんな分かってて、お前はすっとぼけてた」
 日向は顔を突き出して彼の唇を奪った。
 容赦のないかかわり。
 凶悪な支配。
 震えて動けない肩を押さえつけ、逃さぬ意志を伝える。
 若島津の口内を犯してたっぷりと楽しんだ日向は、くちづけを終えると絶対的で絶望的な宣告を下した。
「若島津、悪いのはお前のほうだ」
 滅茶苦茶な論理に雁字搦めにされて、彼は激しく息を乱していた。
No.1089 - 2020/05/03(Sun) 23:00:27
Re: 眼 / ぽん
はじめまして。いつもなるみさんのお話、楽しませて頂いています。健ちゃんの日向さんへの理想が高すぎるのが常々気の毒だと思っていたので、がんばれ日向さん!という気持ちで読みました。抵抗しつつ追い詰められる健ちゃんがかわいいです。次のお話も楽しみにしています。大変な時期ですが、ご自愛ください。
No.1090 - 2020/05/04(Mon) 00:14:56
ぽん様 / なるみ
ぽん様、はじめまして。SS楽しんでいただけてるようでうれしいです。
「日向さんへの理想が高すぎる」……確かにそうですよね。同じ年なのに敬語だもの。尊敬してるっていうか、神格化してるっていうか。そこは小次健の美味しいポイントですね。だからドラマも生まれます。書いてて楽しいです。
これからも日向さんを応援してやってください。
書き込みありがとうございました〜。
No.1091 - 2020/05/04(Mon) 21:40:39
狂愛 / なるみ



 彼は強い。
 強くて健やかでしなやかだ。
 男のくせに美しく、その顔は整って綺麗だった。
 ずっと目が離せなかった。
 魅了されていた。
 彼の魅力はきっと周りの誰にも伝わっていたと思う。
 日向は焦った。
 早くしなければ彼は誰かに奪われてしまう。
 誰かを選んでしまう。
 そんなことは許せない。
 彼は日向のものでなければならない。
 手に入れて、そして二度と離してはならない大切な存在なのだ。
 ふたりきりの寮の部屋で、突然の行為を若島津は静かに受け入れた。
 焦燥と欲望とを感じ取ってか、わずかに視線を揺らしながらもおとなしく日向の唇を迎え入れる。
 触れ合うのははじめてだというのに二人の呼吸は合っていた。
 エスカレートし、探求し、絡み合う舌と舌。
 唾液で煽情的に濡れる唇。
 それは罪深いほどに赤い。
 きつく抱きしめる日向の腕を、迂闊にも彼は許してしまっていた。
「いいのか。調子に乗るぜ」
 伺う台詞にも小さく頷く。
 この先の行為を想像してか、なんとも言えない不安そうな表情をしていた。
 こんな彼を見たことはない。
 おそらく、今まで誰にも見せたことがないであろう気弱な顔。
 自分の施しが彼を怯えさせているのだ。
 そう考えたら、恍惚としたものが日向の背筋を這い上った。
 なぜだか罪を犯しているような気持になり、大きく胸が高鳴る。
「これからお前を俺のものにする。身体使って、お前を汚す」
 宣言する凶悪さに彼の可憐な唇が震えた。
「お前みたいに綺麗な奴はそのまま野放しにはしておけない。俺みたいに下卑た誰かがお前を狙ってるに決まってる。だから一番に俺のものにして、それを示して、他の奴らにはあきらめさせるんだ」
 横暴な声に、そしてその内容に、若島津は息を飲む。
「お前を俺の女にしてやる」
「日向さん」
 あまりな言い様に、彼は反抗のこころを露わにした。
 手で日向の胸を押し返す。
 それが当然のことであると決めつけてかかる日向の傲慢さに、戸惑いが生まれていた。
 しかしその一瞬の戸惑いも暴君は許さなかった。
 肩を鷲掴んで彼を引き倒す。
 弱点を乱暴に掴まれたことで反応が遅れた。
 ベッドに転がされた憐れな身体を、日向は自身の身体の重みで威圧する。
「これからなにをするか、いくらお綺麗なお前でも見当がついてるんだろ」
 顔を背ける彼の頬に唇を押し当て、日向はさらに口汚く思いを形にした。
「おとなしくケツ出せよ。犯して、泣かせて、お前を俺のもんにするんだ」
「やめて……」
 竦んでいる彼の唇は強欲な唇によってふさがれる。
 あまりにも深い狂愛。
 乱暴に扱う手に、憐れな彼はもう抵抗出来なかった。
No.1088 - 2020/05/02(Sat) 23:55:29
/ なるみ


 日向の肌は熱い。
 抱かれれば蕩けてしまうほどに熱い。
 男同士のSEXなんて不毛なはずだと思っていたのに、若島津はその強欲な腕から逃げ出せなかった。
 戸惑い、怯え、そしてその陰には歪んだ興奮が存在した。
 日向の愛撫は彼をダメにする。
 まずいと分かっているのに拒否できない。
 喰らわれる獲物のように、指一本動かせない。
「なんだ、おとなしいな。もっと抵抗されると思ってたんだが……」
 挑発する声が彼の耳朶を打つ。
 彼は日向に押し倒されてベッドに仰向けになっていた。その上に浅黒い身体がのしかかっているのだ。
 不利な体勢だった。
 若島津は必死になって強気な視線を返す。
 それ位のことしか出来ない。
 みじめだ。
「睨むなよ」
 日向はいびつに口元を曲げると、さも楽しそうに野卑に笑う。
「酷くしたくなる」
 怖いことを言って、その逆の優しさで彼の耳を食んだ。
「うっ…」
「耳、弱いよな」
 舌でねぶられ、唇で挟まれ、唾液に濡らされ、執拗な愛撫に若島津は息を乱す。
 日向の唇はくちゅっと卑猥な音を醸し出していた。
 耳を愛される音が、直接彼を刺激する。
 いやらしいことをされているのが、音になって耳という器官に注ぎ込まれる。
 ある種の辱めだと思う。
 だから、彼の唇は少しずつほどけてしまうのだ。
「あ、ああ……」
「興奮してきたか」
 添わせた身体の熱も若島津を淫らにさせている。
 逃げようがなかった。
 無意識に顎が上がり喉元がさらけ出される。
 満足そうな顔の日向が、彼のシャツの襟もとから指を滑り込ませた。
 肌をなぞられただけで腰がふるえる。
「正直な身体だ」
 どうして。
 こんなにも感じてしまうのだろう。
 どうして。
 この男なのだろう。
 そんな思考も日向の指の的確な動きには敵わない。
 乱されてしまう。
 壊されてしまう。
「若島津……」
 とびきりの低音の響きが彼の耳をじかに犯した。
No.1087 - 2020/05/02(Sat) 00:54:37
つれづれ / なるみ
つれづれ


皆さまお元気でしょうか。おかげさまで私は元気です。
全国的(全世界的)に大変な時期ですが、なんとか持ちこたえて乗り越えて行きたいですね。
コロナのおかげで、見に行こう思っていた何枚かのチケットが払い戻しになりまして、残念でした。
はやく沈静化しますように。


さて、先日、通販を処理しまして、サイトの通販ページが更新出来てないことを大変申し訳なく思いました。いえ、前から思ってたんですけども……。
載ってない本もあるし、載ってるのに売り切れてる本もある、というていたらくです。
でもページ直せないのでそのままで……すいません。
まずはメールでお問い合わせください。
このメールというのも、メーラーの調子が悪くて返信すると同じものが2つ送られちゃったりして、どうしたらいいか分からないです。届かないよりましだけども……。


話しは変わって、最近の私の癒しについて。
TBSのマスコット。ブーナちゃん。ピンク色がかわいい❤ 赤いレインコート着た姿とか、もうすごくかわいくて。動きも気が利いてるし、ダンスとかのキレが良くて注目してます。性格はお茶目でサービス精神旺盛。中の人最高! いい仕事してるよ。


ゴールデンウィークなので少し片付けをと思って開かずの間のダンボール箱を開けたら、大量のビデオテープとカセットテープが……。
ちょっとずつ捨ててます。
好きなバンドの昔の音源とか、もう二度と録れないと思うと捨てられないものもあって、悩みは深いです。
そこで手に入れたのがCDラジカセ&USBのデッキ。
カセットの音をUSBに落とせるので、それをパソコンにも取り込めるということで。なんて賢い機械。素晴らしい。
けどそれをする手間と時間がすごくかかるし、うっかり聞き入っちゃってまた大変……です。


録画というとですね。
2018のC翼のアニメをHDに撮っていたのですが、操作を誤ってさーーーっと削除されてしまいました。慌てて戻るを押したんだけど、もう間に合わず。
どうしてこうなのかな自分。
気持ちを切り替えて、うっかり消しちゃわないうちにと思って、再放送を撮っておいた「白い巨塔」を鑑賞中。全22話。休み中に見終わりたいです。


4月はSS2本でしたが、元来がこのくらいのペースでしたので、まあこんなものかなと。
ここ1年くらいが調子よすぎたのです。
あまり気負わずやっていきますので、のんびり見に来てやってください。
No.1086 - 2020/04/30(Thu) 22:15:01
執着 / なるみ
執着 

たぶんこういうタイトルも内容も過去に書いたことがあるとは思いますが……。




 日向は不機嫌さを隠しもしないで若島津に言った。
「お前は俺のものだって何度言ったら分かるんだ」
 今日彼がもらった手紙について日向は怒っているのだ。
 果敢に手紙を押し付けてバタバタと逃げて行ったのは、下級生らしい可愛らしい女子だった。
 日向は嫉妬深い。
 若島津だってまずいとは思っているのだ。だが、無理やり手に握り込まされた手紙を返すことが出来なかった。しかも最悪なタイミングなことに、バッチリ日向に見られていた。
「俺以外の人間に色目使いやがって」
「そんなことしてないです」
「なんで受け取るんだよ」
「それは……うまく対応できなくて……」
 彼だって受け取りたかった訳ではない。
 なぜなら彼は日向の恋人なのだから。
 操だてもなにも、彼の心にいるのは日向だけなのだから。
「返しますから」
 どうにか逃げ道を探す言葉は日向をさらに怒らせる。
「またあんな色ガキに会おうってのか。許さねえぞ」
「じゃあどうしたら」
「手紙なんか燃やしちまえ」
「それは」
 心のこもったラブレターだった。気持ちを慮ると無下に出来ない気がした。
 彼のそんな優しさはあだとなる。
 日向はチッと舌打ちをした。
 鋭い眼光で彼をねめつける。
 そして手を伸ばして肩を掴むと彼を強引に引き寄せた。
 奪う唇。
 咬みつくような勢いに若島津は抵抗出来ない。
 日向は舌をねじ込み彼の口内を犯す。
「ひゅ……っ…、ん、ぁ………」
 横暴な行為に彼は身体を竦ませる。
 こういう時は逆らわないほうがいいと、過去の経験から知っていた。
「お前は俺のものだ」
「日向さん……」
 繰り返される主張に心の奥が冷たくなる。
 日向の彼への執着は異常とも言えた。
「服ぬげよ。お前が誰のものか身体に教えてやる」
 彼は痛ましい息を漏らしながら日向の前でジャージの前を開ける。
 晒される喉元は淡く白い。
 日向を興奮させる白さだ。
 獣のような男は、欲望の赴くままに喉元に食いついた。
「痛いっ」
 思わずもれた悲鳴を無視して、日向はさらに位置を変えて所有の印を刻む。
「日向さん」
 見えるところにはつけないで欲しいと懇願しても許されない。
 むしろ彼の嫌がることをわざとするのだ。
 彼は日向のものだ。
 それが事実だった。
 諦めたようにおとなしくなった彼を抱いて、日向はそのままベッドに押し倒す。
「待ってください」
「逆らうなよ。酷くするぜ」
 腹の底から押し出す低音が彼を怯えさせた。
 怖い。
 逃げ出したい。
 けれどそんな真似は出来ない。
 彼は日向の怒りや欲望を受け止めざるを得ないのだ。
 ジャージも下着も剥かれ、容赦なく下も引き下ろされる。
 股間を押さえ力を込められた。
「つっ」
「よがって泣き狂うまでかわいがってやるよ」
 舌舐めずる宣言。
 そして開始される強烈で生々しい愛撫に、若島津は成す術もなく自身を任せるしかなかった。
No.1085 - 2020/04/20(Mon) 22:16:29
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