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掲示板 DC

こちらは、陸内(くがない)なるみのDeepCollectionの掲示板です。
2022年4月から作品発表をピクシブに移行しておりますので、この掲示板では近況や更新情報などを載せていくことになります。
 pixiv:80426221 です。

誇示 / なるみ



 俺の手は魔法の手だ。
 他の誰でもなく若島津にだけ作用するスーパーマジックハンド。
 そのエロさ、いやらしさは、触られる若島津だけが知っている。
 身体の中心を直に手でまさぐると、太腿が戦慄いた。
 白い肌に汗が光る。
 俺はさっきからずっと、虐めるような愛撫で若島津を翻弄していた。
 イきそうになると手を放し、じっと視線で犯す。
 息の乱れが落ち着きそうになると、また握り込む。
 人差し指の先で鈴口を嬲る。
 先走りの蜜でそこはぬるぬるする。
「あぁ」
 程よい筋肉の付いた胸が派手にのけ反った。
 美しい眺めだ。
 俺の眼はその扇情的な光景に釘付けだった。
「日向さん、もう……」
 若島津は恥ずかしそうな視線で俺を見上げて来る。もじもじと肩を揺らす。
「もう、……いい加減に…して……」
「なにを」
 意地悪な問いかけに非難の視線が返ってくる。
「放したかと思うと……、また……触ってくる」
 切ない声。かわいらしくて甘くって、俺の欲情を引きずり出す最高の音階。
「けっこう素直だな」
「だって、だって今日は……」
 恋人の綺麗な瞳は涙でうっすらと濡れていた。
 ベッドの中で、こいつは本当にいい顔をする。
 喰らいついて骨までしゃぶりつくしたくなる。
 そんな猥褻な顔を晒しておいて、構うなというほうが無理なのだ。
 俺は若島津の性器を一度きつく揉み上げてから、無造作に放した。
「あ」
 また突き放される。
 そのことに絶望したのだろうか。
 若島津の息が荒かった。
 もういい加減高まり放出したいのだろうが、今日の俺は新たな試みに燃えている。
 いつも俺のほうが急いて前のめりな行為になりがちなのだ。だからたまには若島津のほうから生々しく誘って、乱れて欲しかった。
 だから煽っては引いて、引いては煽って、ということを繰り返していた。
 勃起しているのにイかせない。
 生殺しの愛撫。
「まだイかせねぇよ」
 今度はソフトなタッチで一撫で。愛撫というには優しすぎる感触で若島津を焦らす。
 簡単にはイかせない。
 快楽を引き延ばしてやる。
 お前が切羽詰まって乱れ狂うのを見るまで、自分からいやらしく腰を押し付けて誘ってくるまで、たっぷりと、手酷く優しい愛撫を繰り返してやる。
「あっ……日向さん。いつにも増して、……ん。凄く……しつこくて……。俺、腰が…っ」
「腰がなんだよ」
「………動いちゃう」
 キュッと眼を閉じて白状する。
 なんとも言えない風情に俺の胸は高鳴った。
「動かしてみろよ。見ててやるから」
「やだ」
「足開いて、腰浮かせて、俺を誘ってみろよ」
「誘うなんて……、できないっ」
 つつましやかな言葉を裏切る濡れた声。
 俺は唾を飲み込んだ。
 眼下の身体は小刻みに震えている。
 艶めかしい。
 ここまで出来上がってたら、もうマジックハンドなんて必要ないだろう。
「このままひとりでイけよ」
「そんなの、やだ」
 放っておかれて、一人で勝手にイけだなんて、酷い話だ。
「日向さん……」 
 涙声。これもそそる。
 俺は慈悲ぶかそうな声を出した。
「もう触んねぇよ。見てるだけだ」
「見てるだけ…って、……あっ、ああ……」
 熱くねっとりとした視線が若島津を追い込む。
 俺のマジックアイズが引き金となって、若島津は腰を突っ張らせて性器を前に突き出した。
「あ、ああ、……あああ」
「いい眺めだぜ」
「ああ……見ないで!」
「見せつけてるのはお前だろ」
「……」
 まるで自分の恥ずかしい格好を誇示したいかのように、腰を浮かせて激しく前後させている。
 そして俺を無視して若島津は一人で達した。
「イく、イちゃう………ああああ!」
 若島津のそれは誰も触れていないというのにピクピクと震えて白濁液を滴らせる。
 みっともなさそうにうずくまった身体を抱いて、俺は興奮しきったCENSOREDを身体の奥の小穴に押し付けた。
No.1163 - 2021/10/11(Mon) 00:24:55
キスマーク / なるみ





 風呂上がりの一杯。日向は腰に手をあててコーラを飲んでいる。まだ熱いらしく上半身は裸だ。
「おう、お前も風呂入っちまえよ」
「はい」
 若島津は着替えを持って立ち上がる。
 最近彼は何かにつけて日向と距離を取ろうと努力している。
 どうしても意識してしまうからだ。
 いけない妄想。
 消せない欲情。
 彼は同性の日向が大好きだった。
 でもその気持ちを押しCENSOREDいたのだ。
 いま、目の前の日向のあらわな姿は、彼を苦しめさえする。
 目を逸らしたい。でも逸らしたくない。
「……日向さんの肌はよく陽に焼けてますね。褐色っていうのかな。男らしくてうらやましいです」
 あえて自分から話を振って、こんなの全然大丈夫なのだと思おうとする。
 実際には胸が早鐘を打っていた。
「そうか」
「俺もそういう風になりたいです」
 コンプレックスが言わせた言葉に、日向は目をぎょろっと動かした。
「お前が? お前はそのままでいいぜ」
「でも……」
「そのままでいろよ。俺はお前の白い肌が好きだ」
「好きって……」
 意外な反応に若島津の言葉が詰まる。
 彼の肌は白い。日に焼けても、赤くなった後ですぐ冷めてしまうのだ。
 日向は近寄って来ると彼の腕をきつく掴んだ。
 そして自分のほうへと抱き寄せる。
 尊大な態度。
 しかし似合っていた。
 嫌味な感じもしない。
 当然の行動と言えた。
 若島津はびっくりして固まってしまう。
 なんだ、これは。
 顔が間近過ぎてなんだか怖い。
「白いと目立つだろうな」
『なにが』と聞こうとして、眼前の日向が顔を傾けるのを彼は見た。
 耳下に鼻先が突っ込んできて首筋に妙な感触を覚える。
「やっぱ似合うな」
 悦に入った笑顔を見せ日向は満足の声をあげる。
 視線が意味深だ。
「な、なんですか今の」
 とっさに意味が分からず聞き返すのに、日向は上機嫌のくちぶえを吹いて彼を促す。
「風呂場で見てみろよ」
「……」
「お前の白い肌は卑猥で赤が似合う。俺は好きだぜ」
「な、」
 なんて言いようだ。
 けれど怒ることも出来ない。
 だってこの首筋の感触は……。
 若島津はこの後、洗面所で声にならない悲鳴を上げたのだった。
No.1162 - 2021/09/30(Thu) 22:39:08
二本同時更新 / なるみ
「洗面台」と「ボクサーパンツ」二本同時更新です。
どちらもシモのほうのお話でなんかごめんなさいですが、振り返って見ればうちはいつもこんな風でした。
進歩がないというか。極めてるというか。
楽しんでもらえればと思います。
No.1159 - 2021/08/21(Sat) 00:07:43
ご馳走様です! / S
2本同時更新ありがとうございます!
「洗面台」こういう神経質な若島津、大好きです。そして日向ってきっとこうだよな〜と納得(笑)
どちらも楽しく拝見させていただきました(^^)
No.1160 - 2021/08/21(Sat) 14:40:04
S様 / なるみ
S様こんにちは。書き込みありがとうございます。
なにげに下品な内容かもと思いながらのアップでしたので、好意的な感想に救われました。神経質な若島津には無頓着な日向が似合ってますね。
S様も日向誕頑張ってらして楽しませていただきましたよ。先日はプレッシャーかけちゃってごめんなさい。こちらこそ素敵な萌えをありがとうございました。
これからもお互い無理せずこじけんを楽しんでいきましょう。
No.1161 - 2021/08/22(Sun) 21:41:00
ボクサーパンツ / なるみ




 日向さんはブリーフ派だ。
 履き込みの大きい、プロレスラーのパンツを想像させる形が好みらしい。
 そりゃあでっかい一物を持っているのだから、おさまりがいいほうがいいに決まってる。
 でもちょっと色気がない。
 それで俺は日向さんにパンツをプレゼントすることにしたのだ。
 タイプはボクサータイプ。
 色は黒。
 きっと日向さんの肌の色と同化してワイルドな雰囲気を感じさせてくれるだろう。
 今日は日向さんの誕生日。喜んでくれるだろうか。
「誕生日おめでとうございます。プレゼントです」
「おう、すまねぇな」
 さっそくガサガサと袋を開け中身を手に取り出す。
 顔の前に翳し、しげしげと眺めて日向さんは言った。
「小さいな」
 さすが、自分の性器の大きさに自信のある男。
 でもこの俺がサイズを間違えるはずがないのだ。
 なにしろ俺は日向さんと懇意の仲だから。
 つまり恋人なのだから。
「はいたら伸びますから」
 きっとちょうどいいはずだ。俺は自信を持って進めた。
 日向さんはばばーんと思い切りよく下肢の衣服を脱ぎ捨てる。そして目の前でボクサーパンツをはき込んだ。
 このてらいのなさがかっこいい。
「よく似合ってます」
 にこにこしながら見つめる俺の視線の前で、日向さんはなぜだか困ったような、照れくさそうな顔をした。
「お前さ、着るものをプレゼントに送る男には下心があるって、聞いたことあるか」
「え」
「送ったものを脱がしてことに至ろうって心づもりだってことだ」
 日向さんの股間が眼に見えるほど大きくなっていく。
 まさか。
「お前からそんな熱烈なプレゼントがもらえるなんてな。男冥利に尽きるぜ」
 嬉々として笑顔を見せるのに俺は自分の失敗に気づく。
 まるで自分から欲しがったみたいじゃないか。
 恥ずかしい。
 身の内が熱くなって声も出せなかった。
「『今日は俺がプレゼントです』なんてはっきり誘えばいいものを。ホントまだるっこしいな」
「そんなつもりじゃ」
「いいから、いいから。取り繕わなくてもお前の気持は分かってるぜ」
 ほら、と腰を前に出し股間を誇示する。
 さっきよりも大きい。
 見ている俺の顔は真っ赤だ。
 自問する。はたしてプレゼントに下着を選んだのは無意識だったのだろうか。
 日向さんの衣服を脱がしたい願望?
 あられもない行為をしたいという欲望?
 だっていつもせっかちな日向さんは自分で脱いでしまうし。
 器用な夜のストライカーは俺の衣服もするりと脱がせてしまうのだ。
 かなわない。
「ほら、早くしろよ」
「なにをですか」
「脱がせてくれよ。きつくなってきた」
 脱いだらなにをするかは明白だ。これでは日向の思う通りではないか。
 俺だって日向さんとしたくない訳じゃない。ただ、いつも突然で強引で、気持ちが整ってないままはじまることが多いのだ。
 それに自分から欲望を晒すのは苦手だった。
「日向さん。あくまでプレゼントはパンツであって……」
『俺じゃない』と言いかけた鼻先に軽いキスが触れる。
「誕生日のプレゼントには相手の欲しがってるものを送るもんだろ」
 そう言われて見れば逃げ場はなかった。
「お前が脱がせろよ」
 堂々と権利を行使されて、とうとう俺は跪いて日向さんのパンツに手をかけた。
No.1158 - 2021/08/21(Sat) 00:03:50
洗面台 / なるみ



 
「そんな恰好でなにやってんですか」
 どこか不愉快そうな掠れ声が俺の背後からかかった。
 素肌にガウンを羽織った若島津が洗面所の入口に立って俺を見ている。
「いやちょっと歯磨きを……」
 左の奥歯がちょっと痛むのだ。ずっと気になっていた。昨夜は食事の後すぐにSEXになだれ込んでいたので、暇がなかった。今さら遅いかもしれないが磨いておこうと思ったのだ。
「俺が気になっているのはその格好ですよ。鏡の前でフルチンだなんて余程自信があるんですね。ナルシストですか。それとも俺に見せたいんですか」
「おお、見せてやるぜ。自慢のちんちんをよ」
 笑って言ったが、鏡に映る若島津の不機嫌は変わらない。
「洗面台」
「へ」
「洗面台についてます」
「なにが」
「だからそれが」
 若島津の視線は俺の股間に向かっている。
 洗面台の角についているのは俺のちんちんだった。
「汚いですよ」
「なにおうっ」
「こすりつけてないでください」
 若島津は俺の大事な息子を汚いと言ってるのだ。
 腹が立つ。
「しょうがねえだろ。高さ的にちょうど当たるんだから。第一お前、昨夜は俺のこれでアンアン啼いてたくせによ。汚いとはなんだ」
「すいません。ベッドの上と洗面台の側面じゃ事情が違うんです」
 神経質そうに眉を顰めて若島津は言った。
 洗濯機の横から雑巾を手に取る。
 今にも掃除を始めそうだ。
「細かいこと気にするなよ」
「気になります」
「すぐに風呂入るからさ」
「順番が逆でしょう」
 ああ言えばこう言う。
 俺は頭をひねって切り返した。
「お前さっき言ったよな。ベッドの上と洗面台じゃ事情が違うって」
「言いましたけど」
「ベッドの上での俺のちんちんはお前にとってはどうなんだよ」
「え」
 虚を突かれたように若島津がひるむ。
「どうって」
「ベッドの上じゃ汚くはないんだろ」
「あの、それは……」
 言いよどみ、黒い視線を魅力的に揺らした。
「どうなんだよ」
 鋭い追及にしどろもどろになる。
「た……大切です」
 気恥ずかしそうな顔だ。
「ふん、いいこと言うな。他には?」
 俺は若島津をどんどん追い込んでいく。いつだって、どんな場面だって、強気で図々しいほうが勝ちなのだ。
 俺は顎をくいっと上げて促した。
 若島津は観念して唇を噛む。
 その顔は、昨夜の行為の際に見たものと重なった。
 声を殺そうと閉ざす唇。
 俺は逆にお前の声を聞きたいってのに。
「どうなんだよ」
 尊大な俺の態度に押されて、若島津は吐息のような儚さで白状した。 
「……すごく大事で、愛おしいです」
 誠実で心のこもった答えだった。
 素直にうれしいと感じる。
「そうだよな。昨夜はサービスして咥えてくれたもんな」
 調子に乗り過ぎた。口が滑った。
 若島津は顔色を変えて震えている。
 あんまり赤裸々なのは好きじゃないらしいのだ。
 でも俺はいつも言ってしまう。
 だって事実なんだからさ。
 言い訳を考える短い間に、俊敏に若島津は動いた。
 雑巾で俺のちんちんを包んで上から力を込めて来る。
「痛いぞ!」
 汚れを拭うというよりは鉄槌のような一撃。
 俺は洗面台の前で激しく悶絶した。
No.1156 - 2021/08/20(Fri) 23:03:36
我慢できない / なるみ


 若島津は俺の恋人だ。
 かっこよくて、かわいくて、本当によくできた奴だ。
 頭もいい。
 顔もいい。
 性格もいい。
 感度もいい。
 およそパーフェクトと言っていい人間だ。
 そんな奴がサッカーしか能のない俺の恋人になってくれてはや数か月。蜜月は続いている。
「若島津。今夜SEXどうだ?」
 夕飯後の自由時間。はっきりと行為を求める俺の声に若島津は顔を赤くした。
 部屋の外からは消灯前の騒ぎが漏れ聞こえてくる。
「えっと……」
 言いよどむ唇が艶やかで俺は喉を鳴らす。
 もっとさりげなく誘って欲しいといつも若島津は言うのだが、俺はそんなの無視してどうどうと求めている。
 まどろっこしいことはしてられない。
 酷い時は力技だ。
 たまにやり過ぎてへとへとにさせてしまうこともある。
 悪いとは思っているが、光り輝くような素晴らしい恋人を前にしては我慢できないのだ。
「こう、なんて言うか……もっとムードってものを……」
 すでに夫婦のような関係になっているというのに、かわらず恥じらいのようなものを見せるのが、かえって溜まらない。そこも俺の好みだった。
「いいだろ。我慢できねぇよ」
「いつもそんなことばかり言って」
 ちょっと膨れて見せるのもかわいくて俺のエロ心は高鳴る。
 結局のところどんな顔したってどんなことを言ったって、とにかく若島津はかわいいのだ。俺を興奮させるのだ。
 俺はいつだって一直線。欲望の塊と言うなら言え。
 そこで俺はふと思った。
 若島津には、我慢できないほど俺を欲しいと思うことがあるのだろうか。
 まさかすべてが俺の空回りなんてことは……。
 複雑な表情になった俺の顔を不思議そうにのぞき込んで、若島津は言った。
「どうかしたんですか」
「いや、ちょっとな」
「日向さんらしくないですよ。はっきり言ってください」
 真剣な瞳。真っすぐすぎてごまかすことも出来ない。
「俺は毎日お前が欲しいのに、お前は全然欲しくないのかと思ってさ」
「え」
「俺、お前のほうから求められたことないんじゃないか」
 口にしてから絶望した。
 初めての時から今まで、常に俺の欲望ばかりが突っ走って来た気がする。
「俺さ。お前から求められたいんだ」
 寂しさを演出して背中を向ける。
 心配そうな声が俺を呼んだ。
「日向さん」
「ほんとはお前俺のこと好きじゃないんじゃないか。馬鹿みたいに毎日求められてほだされているだけでさ……」
 俺はいじけた振りをして背後の気配を伺った。
 若島津は深刻な沈黙を置いて白状してくれる。
「俺だって日向さんを欲しいに決まってるじゃないですか。でも多分日向さんのほうが欲望に忠実って言うか、正直って言うか、せっかちって言うか……」
 たぶんこの件に至っては俺は我慢強くないのだ。身勝手なのだ。
 俺は落ち込んだ声を作って言う。
「我慢できないほど俺が欲しい時って、今まで一度もなかったのかよ」
 隠せない不安と怒気が若島津を責める。
「日向さん。ない訳ないじゃないですか。俺だって凄く日向さんが欲しいです。愛してるんですから」
 おお、なんてありがたい言葉だ。
 シリアスな場面だというのにウキウキしてきたぞ。
「だったらお前のほうから誘ってくれよ」
「誘うって」
 俺の誘導に素直な若島津は導かれて行く。
「宣言してくれよ。『今日SEXしましょう』って」
 生々しい言いように若島津は固まった。そしてしばらくその場で佇んでいる。
 俺はやり過ぎを悟った。図々しすぎるお願いに引いているのだ。
「いや、若島津。それは、なんだ、その……」
 しどろもどろでごまかそうとする俺の背後から、若島津の手が肩を押さえて来る。
「前向いててください」
「え」
「日向さん。俺、我慢できません。日向さんとSEXしたいです」
 はきはきした活舌の良い声で、とんでもない言葉を発してくれる。
 そんなことを言ってもらえるなんて男冥利に尽きるというものだ。
 そして若島津の腕は俺の背中を抱いてくれる。腕は胸元でしっかりとクロスした。
「若島津」
 どんな顔をしているかを見たくて振り返ろうとするのだが、拘束はびくともしない。
「顔見ないでください」
 恥ずかしがっているのが分かって俺はなんだかうれしくなった。
「今夜しような」
「……はい」
 恥じらうちいさな声。俺の背中を温める若島津の胸のぬくもり。吐息が乱れていて、とてつもなく色っぽい。
 俺はしてやったりと満足して、恋人との熱い抱擁ににやにや笑っていたのだった。
No.1154 - 2021/07/29(Thu) 00:19:55
欠陥 / なるみ




 日向以外の人間と肌を合わせたことがない。
 好きな人とだけ触れ合えるのは幸せなことなのだが、どうしても、男としてどうなのかと思ってしまう時があった。
 男の身で男に抱かれている自分に引け目がある。
 恋しい男の腕の中で女のように扇情的な声を上げてしまう自分を、恥ずかしく思う時があった。
 彼はずっと女性に興味が湧かなかった。
 友人との戯れでグラビア誌などを見せられたりしても、どうこう思ったことがない。
 若島津はそれで悩んでいたのだ。
「俺どっか欠陥があるんじゃないかと思って……」
 暗い雰囲気でため息をついているのを、彼の恋人である日向の鋭い眼が見つめている。
「またなにかややこしいことで落ち込んでるのか」
 若島津は唇を噛んだ。
 自分の嫌なところが出てしまっていると思う。
 意外に察しのいい日向は彼の落ち込みの理由を正確にとらえている。
「お前の論理で言うと俺も欠陥人間か」
「え」
 彼の言った台詞は、男同士で好きあっている彼らが人としてどこか足らないと、そう意味してしまっているのだ。
 そして、日向も自分と同じだと巻き込んでしまっている。
 失礼なことを言ってしまった。そう気づいて若島津は謝ろうと口を開く。
「あの、日向さん。それは……」
 しかしあっさり遮られた。
「俺はお前意外抱きたいなんて思わないぜ」
 お前が好みなんだから仕方ない。そう続けてから日向は眼を細めた。
 品定めするような、欲情を隠しもしない強い眼光。
 彼は恋人のこの目に弱い。
 思えば最初からロックオンされていたのだ。
 逃げられなかった。
 もちろん逃げたい訳でもなかった。
 彼を見つめたまま、日向は言葉を選ぶようにゆっくりと話す。
「俺だって女に興味がなかった訳じゃない。ただ、こいつだと思った人間がいた。そいつが男だった。一番大事な人間が誰か、俺には分ちゃんと分かったんだ」
 日向は手を伸ばし彼の頬に堂々と触れてくる。
 若島津は身動き出来なくなった。
「そいつ以外を抱きたいなんて思わない。俺はお前が好きだ」
 瞳を煌めかせて日向は言う。
 なんのためらいもない熱い告白。
 日向はいつもまっすぐだ。
「日向さん」
「そりゃあ、細かいところは違う。同じ男でも俺はお前に無茶を強いているからな」
 それは、彼が男の身で抱かれる側を担っていることを指している。
「俺に自分を譲ってくれたお前は、懐が深くてよっぽど男らしいと思うぜ」
 囁いた唇が彼の唇を掠め取った。
「感謝してる」
 そしてもう一度キス。それは濃厚さを帯びる。
 若島津は頬を染めたまま日向の舌技に翻弄された。
「お前は、いろいろ不満で不安な時があるんだろうが、俺はそれを許さない。落ち込むな。堂々としていろ。お前は強くて立派なひとりの男だ」
 励まし支える言葉に若島津は感謝の涙を零す。
 恋人の唇がその真珠の涙を吸い取った。
「それからな。お前俺を愛してるんだろ。お前は俺のためになら無理をしろよ」
 そこでニヤリと笑って見せる。
 若島津は日向の言う意味を悟った。
 日向は、自分が我儘で強引だからそのせいで受け攻めのポジションが決定されたのだと、同義づけているのだ。
 彼が雄を受け入れる立場なのは日向が強いたことなのだ。
 悪いのは自分だと日向本人が言っている。
 若島津にはなんの非もないことを示してくれる。
 シンプルなようで複雑な思考回路が若島津の心を救う。
「日向さん……」
「お前はずっと俺のものでいろよ。他の人間なんてその眼に映そうものなら許さないぞ」
 日向は彼の為に、嫉妬深い夫の役目を甘んじて演じてくれているのだ。
 さらに強欲な唇が彼のそれをふさいでくる。
 彼は蕩ける。
 日向の手が彼のジャージをたくし上げて素肌に触れてきた。
 抵抗出来ない。
 否、抵抗なんかしなくていい。
 日向に求められる幸せを嚙みしめていよう。
 唇だけでなく心も身体も極限までむさぼられ、若島津は満ち足りた幸せを感じていた。
No.1153 - 2021/07/19(Mon) 00:38:53
私信 / なるみ
私信 

S様。ご無沙汰しております。
たくましい日向の背中を拝見しました。いいっす。素敵っす。若島津が惚れるのも無理のないいい男ですね〜。
イラストの更新とってもうれしかったです。ありがとうございました。
No.1149 - 2021/06/21(Mon) 22:14:42
ありがとうございます! / S
ご無沙汰してます!
Twitter見て下さってありがとうございます(^^)
なるみさんのSSから勝手にイメージ拝借させていただきました。喜んでもらえて良かった〜w

本日更新の新作、二人が幸せすぎて朝からニコニコが止まりません。大人になって離れてから気持ちに気付くパターンもいいですよね。気付かずに過ごしてきた時間を取り戻すようにお互いを大切に思うところにキュンとなります…
こちらこそいつも萌えをありがとうございます!
どうぞお体に気を付けて(^^)
No.1151 - 2021/06/23(Wed) 09:46:35
S様 / なるみ
こんにちは。勝手に掲示板での私信ですいませんでした。
私Twitterをしてないものですから、そちらでの書き込みが出来ず失礼しました。
お返事ありがとうございます。
イラストかっこよかったです。鋭い視線も魅力的。
私もS様に萌えていただけるようにこれからも頑張ります。S様も無理はなさらず、でも煩悩が溢れたらぜひ形にしてみてくださいね。ちなみに日向誕の用意はいかがなものでしょうか。楽しみにしてます。
それでは失礼いたします。
No.1152 - 2021/06/23(Wed) 21:43:02
お見合い / なるみ

 カーテンの隙間からさす朝の光が柔らかい。
 心地よい目覚めだ。
 そこで俺は隣りに人の気配がないことに気づいた。
 昨日睦み合ったベッドには俺だけが取り残されていた。
 若島津のことだから、昨夜の余韻をいまごろこっそりシャワーで洗い流しているのだろう。
 そしてすぐに、洗濯をするからとシーツをはがしにくるに違いない。
 それから朝食も完璧に用意して俺をねぎらってくれる。
 適当でいいと言っても妥協はない。
 きちんとしていると思う。
 時間とか約束とかにも細かい。
 真面目だし、お堅い。頭が固い。
 そこがいい所でもあるのだが、俺にはちょっとややこしかった。
 たまには殻を破って欲しい。
 もっと自分を解放して欲しい。
 俺の腕の中でももっと素直に乱れて欲しい。
 せっかく恋人同士になったのだから、俺と同じくらい激しく我を失くすくらい求めて欲しいのだ。
 今のままじゃ俺の気持ちだけが空回りしているようだった。
 学生時代はまったくそういう雰囲気ではなかったのに、成人してから俺たちは互いを恋焦がれるようになった。
 実は昔から互いに心憎く思っていたらしいのだけれど、二人とも鈍いのか馬鹿なのか、そういう事態にはならずに過ごしてしまっていた。
 恵まれた環境にいすぎて現状維持で時が過ぎてしまった。
一緒にいることが当たり前すぎて、離れてから思いに気づいたようなものだ。
 俺はイタリアに旅立ち、若島津は国内でプロとして活躍している。それぞれが独立して戦っている。
 強くなったものだ。誇らしくさえ感じられた。
 そして距離がある分愛情も深くなるようだと俺は感じていた。
「日向さん」
 寝室のドアが開かれ自慢の恋人が顔を出す。綺麗な黒い眼が真っすぐに俺を見つめた。
「おはようございます」
「おう、おはよう」
「もう起きてください」
 洗濯機を回したらすぐに食事だと、出かける時間を考慮に入れた逆算の計画だった。無駄がない。
 そう言えば、買い物に行きたいと言っていたっけ。
「若島津、出かけるのはやめて一日ベッドにいないか」
 俺の予定変更の誘いは冴えた視線に流される。
「前から約束してたじゃないですか。はやく支度してくださいよ」
「なにが買いたいんだよ」
「特には決まってませんけど……」
「だったら取りやめてもいいだろ」
「でも」
「『でも』?」
「俺、日向さんと出かけたかったんです」
 はにかむような口調にいじらしさを感じた。
「俺と一緒にいたいってんならベッドでだっていいだろ」
 いつも通り強引な俺は恋人に向けて手を差し出す。若島津はおとなしく俺の元によってくると、それをしぶしぶ手に取った。
「あ、そうだ。今夜は帰るぜ。母ちゃんが大事な用があるってさ。時間決められてんだ」
 続けて「悪いな」と言おうとした俺の前で、突然若島津はぽろりと涙を零したのだ。
 驚いた。
「え、なんだよ。どうしたんだお前」
「どうしてそういうこと早く言わないんですか」
 怒って言う声が怒りに震えている。
「大事なことじゃないですか。今夜も一緒にいられると思ってたのに。今夜も日向さんの腕の中で眠れると思ったのに……」
 つぶらな瞳から涙が伝う。
 若島津。
 お前けっこう大胆なこと言ってくれてないか。
「いや、母ちゃんあの通りの人だから断れなくてな。なんか人と会って食事するとかって言ってたな。でもまたすぐ明日こっちに戻って来る気だから機嫌直せよ」
 とんぼ返りするという俺の無謀な計画に若島津は眼を見開いた。
 4日間の一時帰国なのにあまりに密なスケジュールだ。
「そんな無駄なこと……」
「無駄じゃねえだろ。お前となるべくたくさん一緒にいたいんだから努力もするさ」
 若島津は人差し指の関節を顎にあてて思案する。
 不安げな顔だ。
「お母さんの用って、……日向さんのお見合いかなんかじゃないんですか」
「え、見合い?」
「なんとなくそんな気がするんですけど」
 若島津は勘がいい。
 だから、落ち込んだような声音も相まって信ぴょう性がある気がした。
 確かに、ホテルのロビーで待ち合わせて誰かと食事だなんて、考えてみればあやしい。
 まさかな。
「だったら断るよ」
 俺はそういうことに鈍いから母ちゃんにうまく騙されたのかもしれない。
「いえ、なんとなくそう思っただけで……」
「いや、多分お前の言う通りだろう」
「日向さん」
 俺は若島津を誘うように手に力を込めて引いていた。ベッドに引きずり込む。
「あっ、……なにするんですか」
「母ちゃんには電話して確認しとく。もし見合いだったらさっさと断るさ。お前との時間は貴重で大切だから少しでも一緒にいたい」
「家族との時間だって凄く大事ですよ」
 このままなだれ込むのに抵抗感があるらしく、若島津は不機嫌そうに手を振りほどいて俺から逃げた。
「お前だってもう家族だよ。俺の伴侶だ」
 強引な宣言に俺の伴侶の身体の動きが止まる。
 若島津はベッド脇に佇み、困ったようなどきどきしたような複雑な顔をしていた。
「それってどういう意味ですか」
「まあ、プロポーズってとこかな」
「家族、伴侶、プロポーズ……。どれもいい言葉ですね」
 思いのほか穏やかにそれらの言葉を噛みしめてくれている。
「受けてもらえるか」
「日向さん……」
「もう見合いなんて設定されないようにそうそうに一緒になっておこうぜ」
「俺なんかでいいんですか?」
「お前でなきゃだめなんだ」
 再び近寄って来てくれた若島津の身体に手を伸ばす。背中に手を回して信頼のハグとキスとを交わした。
「今日の買い物は決まったな」
「なに買うんですか」
「指輪に決まってんだろ」
 俺の言葉に若島津は一瞬息を飲み、それからまた清らかな涙を照れくさそうに零したのだった。
No.1150 - 2021/06/23(Wed) 06:32:26
素質 / なるみ




 俺は若島津を愛している。それなのに、意地悪とか、辱めとか、そういうもので縛ってしまう。
「お前の泣いてる顔、好きだぜ」
 耳たぶを噛み、繋がった腰を緩く動かす。若島津は眼をぎゅっとつぶった。
 噛みしめた唇が赤い。
 裸の胸が大きく上下する。
 見惚れるほど色っぽい。
 若島津という存在は、いつだって俺の欲情に火をつける。
 この強く清廉な男を手に入れることが出来た幸せを、いったい何に感謝しようか。
「痛いのか?違うよな。中が締め付けてきていい具合だぜ」
「やだっ」
 生々しい言い様に頬が赤く染まる。
 いい眺めだ。
「もう、我慢出来ねぇよ」
 俺は激しく腰を突きあげ始めた。
「あ、ああっ、いや…ぁ。ん、んっ……だめ、日向さん。そんなのだめだ。激し…い……」
「激しいほうが、好き、だろ」
 二人とも言葉が途切れがちになる。
「そんなことは……、う…っ、うう……ああぁ!」
 無慈悲な動きは緩めずに、俺は卑しい言葉を積み重ねた。
「こんなに…いやらしい身体してるとは……思わなかったぜ。お前、みたいなの……淫乱って言うんだな」
 俺はCENSOREDを引き出しまた突き入れた。その動きを何度も繰り返す。
 腸壁を擦り上げられる辛さがどんなものだか知らないが、若島津の身体はその卑猥な感触に身震いするほど興奮するらしかった。
 少しの時間を置いて、恥ずかしげもなく白い下腹がうねり出す。
「腰、動いてるぜ」
「……」
「欲しがってるくせに、遠慮するなよ」
 そして俺は若島津の耳元で『淫売』と囁いた。
「やめろよ……、やめて…くれ」
 俺はかわいそうな若島津の腹の中にスペルマを放つ。
 それから、荒い息のまま腰を引いた。
 恥部からはくぷっと精液が滲み出て来る。
「まだ欲しいんだろ。ケツの穴ひくひくさせて」
 そして赤みの増した肛門に指を沈めた。
「あ」
 前立腺を刺激されて若島津は逃げ場がない。
「触るな、よせよ。よしてくれ」
「お前ケツだけでイケるんだもんな。すげぇよ」
「言うな……、あ、あ、あああぁ」
 さほどの間もなく若島津はイッた。
 指の動きだけではなく言葉でも辱められて感じたのだ。
「誰が、誰が俺をこんな風に………」
「俺のせいだって?ふざけんなよ。お前、元から素質があったんだよ」
 若島津は傷ついた眼をしている。美しすぎるそれに俺は胸を突かれた。
 しかし正直にはなれない。
 弱さを見せてはならない。
 若島津を縛る執着の紐を緩めてはならない。
 俺は卑怯者でいい。悪者でいい。
 でなけりゃ男のお前を自分のものになんか出来ない。
 お前は俺を恨んでいろ。
「お前みたいな奴、相手にしてやるのは俺くらいなもんだぜ」
 卑怯な言葉で若島津を縛る。
 絶対に離さない。
 そのためにならどんな酷いことでもする。
「いい加減あきらめろ」
 再び兆したCENSOREDで濡れほころんだ箇所を裂く。
「ひっ」
 痛々しい声を漏らしたが、若島津の下肢は猥褻な動きをした。俺の腰に絡みつく脚。
 よくなってるのだ。いつもそうだ。最初は嫌がっているくせに一線を越えると呆れるほどいやらしい。
 本物の淫乱なのかもしれない。
 俺の息子は嬉々として温い腸内を突き進む。
 若島津は俺の欲望にかき乱されて淫らな声を上げた。
 密かで艶やかな歓喜の悲鳴。
「いや、や。………ああ、あ、あ、……いい。いい……よ、もっと……」
「気持ちいいのか」
 理性が飛んでしまったのか、無意識に頷く様子がいとけない。
「俺もだよ。気持ち……いい…ぜ」
 若島津の肉棒を俺は手に取る。残酷なほどの力を指に込めて扱き上げた。
「やっ、あ、そんな……に、しない……で。……ひぃ…っ!!」
 すすり泣くあまりのかわいさに俺は舌舐めずる。
 若島津を好きにしている実感が眼が眩むほどに楽しかった。
 俺は激しく腰を使って若島津の肉体の秘密をさらけ出させる。
「いくぜっ」
「あ、日向さん、………ああああ!」
 さっき放ったばかりのはずなのに、まだ残っていたらしい白濁液が若島津の震えるCENSOREDから滴った。
No.1148 - 2021/06/16(Wed) 00:27:15
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