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手紙 東野圭吾著 文春文庫 NEW / takashimtjp
手紙 東野圭吾著 文春文庫

弟の大学進学費用を稼ぐために強盗殺人を犯した兄。
家族に強盗殺人犯が居ることで差別される弟。

兄から来る手紙が無邪気とも思える内容です。自分の犯した罪のために弟がどれほどの差別を受けているか何も感じてないようです。兄に対する愛情を感じながらも弟にとり手紙は迷惑です。

犯罪加害者の家族を正面から描いた作品です。

兄の手紙は悲しいですね。
就職した会社の社長の言い分は、納得できない物もありますが、そのような見方もあるだろうし本音かもしれないとも思います。

映画も良かったです。少し設定が変わっています。小説を読みながら映画の場面を連想しました。
No.247 - 2008/10/05(Sun) 23:12:19
総理大臣とメディア 石澤靖治著 文春新書 / takashimtjp
総理大臣とメディア 石澤靖治著 文春新書

メディアを使うことが支持率上昇に必要との認識は今では当たり前でしょう。
本書によると古くは三木武夫は少し認識していたらしいが、やはり細川が初代メディア首相、次が小泉となるそうでこれは納得できます。

本書の最初はメディアと政治家との関係、わかりやすいところで田中真紀子を例に挙げています。
取り上げる対象を善玉、悪玉で割り切るとわかりやすいので
小泉の選挙中の田中真紀子の善玉扱い、外務大臣に乗り込んだ所での伏魔殿に乗り込む善玉扱い、外務大臣としての資質が問題視されてから悪玉扱い、鈴木宗男との対立を巡っての善玉扱いと二転三転します。

また政治家とメディアだけでなく政党のテレビ宣伝短いコマーシャルですがこれを巡る各党の対応が面白い。
社民党が放送禁止になりそうな宣伝を企画し、テレビ放送を拒否されるとニュースで採り上げることで政党の資金を使わず結果として宣伝効果を高めたこと、これはむしろそれを狙ったのでは無いかとの黄泉も面白かったです。
No.246 - 2008/10/01(Wed) 00:18:27
阿片王 満州の夜と霧 佐野眞一著 新潮文庫 / takashimtjp
阿片王 満州の夜と霧 佐野眞一著 新潮文庫

1932年満州建国、幻の王座に「阿片王」がいた。と帯に書いてあります。
主人公は里見甫(さとみはじめ)。
話は戦後から始まります。里見はまじめな印象だったが周りはいかにもうさんくさそうな連中です。
これは満州時代の名残です。
その後里見の経歴を追って話は進みます。

里見は中国中で阿片を売りさばきます。その利益を関東軍、そして敵側の国民党にも与えます。
里見の魅力は金に綺麗なことでした。

読んだ印象はやはり里見は怪物だということです。
里見自身はあまり学業は優秀ではなく東亜同文書院でも成績は下位です。その後新聞記者時代に中国人との人脈を形成し、それを駆使して地位を築きます。この点、勝ち組云々で言われたことが当てはまります。
金に綺麗だったことで軍の信頼を得ます。

もっとも金に綺麗と言っても愛人は無数にいたしその金は使ったでしょうし、誰彼構わず金を無心すれば与えていました。蓄財しなかった程度の意味です。

ノンフィクションですから文献だけでなく人物が中心になります。
最初は里見の秘書だった伊達なる人物に焦点を当てます。
また男装の麗人梅村淳、梅村うた、等それぞれの人生がミステリーです。
その点でミステリー小説を読んでいるわくわく感があります。
里見がハムエッグしか食べないとは驚きでした。
No.245 - 2008/09/28(Sun) 23:28:56
セ・パ分裂 プロ野球を支えた男たち 鈴木明著 新潮社文庫 / takashimtjp
セ・パ分裂 プロ野球を支えた男たち 鈴木明著 新潮社文庫

若林忠志というピッチャーの日本シリーズ第一戦での投球が縦糸です。横糸は日本のプロ野球の歩みです。

若林はハワイ育ちの日系二世です。日本の法政大学に入学して戦前のプロ野球界に入ります。
タイガースを経て戦後オリオンズに入り、第一回の日本シリーズに先発します。
そこでの投球が縦糸です。
横糸は本書の題名通りセパ分裂を描いたとも言えますが、私には曖昧模糊とした戦前のプロ野球界そして混乱の中にある戦後プロ野球界が興味深かったです。

若林は日系二世ですから考え方などはすべてアメリカ流です。若林の苦労した様子はそれなりに触れられています。でも重くはありません。綿密に取材しながらもちょっと対象と距離をとっています。

ノンフィクションですから本当のことかもしれません。若林の配偶者は地方の資産家の娘さんです。戦争中に若林は大きな荷物を持って妻の居る妻の実家に疎開します。大きな荷物は鏡台です。12年前の結婚時の「鏡は女の心」という妻の言葉を忘れていなかったのです。
No.244 - 2008/08/02(Sat) 00:17:22
鈴木明著 維新前夜 スフィンクスと34人のサムライ 小学館ライブラリー / takashimtjp
鈴木明著 維新前夜 スフィンクスと34人のサムライ 小学館ライブラリー

幕末にエジプトのスフィンクスで日本の侍が集合写真を撮っています。
その一行とくに三宅復一(後の東京大学教授三宅秀)に焦点をあてて
います。
幕末明治維新にかけての人間模様です。

この一行はフランスを目指します。理由は既に海港した横浜港を再び鎖国する交渉です。
到底実現不可能です。これにはそのときの攘夷論に配慮してしばらくうろうろして時間稼ぎをする意図だった様です。団員の多くが西洋の優れた所を取り入れることを考えていたのですが、一人名倉は西洋と組むよりも歴史的にもつながりの深い中国と結ぶ考えを持っています。

この名倉の日中同盟的な考え方は明治時代になってからも重きを置かれません。老齢になり台湾の顧問になり念願が少し叶いますが、そのあとは日清戦争で名倉にとり無念だったでしょう。

主人公はやはり秀才です。人柄も控えめで一行の中での若年の立場をわきまえています。一生を医学者として学問から離れることなく大成します。

ただ正直に言えば面白い題材でありもっと興味深く読めたかもしれ無いなあとの感想を持ちました。
No.243 - 2008/07/12(Sat) 00:12:15
13階段 高野和明著 講談社文庫 / takashimtjp
13階段 高野和明著 講談社文庫

死刑囚にとって何時自分の刑が執行されるかが一番の関心です。その場面から始まります。
主人公は死刑囚ではなく、傷害致死で今は仮釈放中の三上純一。刑務官の南郷正二。

刑務官は死刑の執行にもあたり南郷は長い刑務官生活の間に二度執行に関与しています。そのこともあり死刑に疑問を持つようになります。
その南郷が死刑囚の冤罪をはらす仕事を見つけ転職します。もっとも転職自体は物語の最後であり多くは刑務官の身分のまま話は進みます。
その仕事で助手を務めるのが三上です。

話は二転三転します。さすがは江戸川乱歩賞受賞作です。

もっとも死刑制度の話はもっと短くて良いでしょうし、三上に罰を加えようとする手段はいかにも無理な感じがしました。
No.242 - 2008/06/25(Wed) 23:34:00
真夜中のマーチ 奥田英郎著 集英社文庫 / takashimtjp
真夜中のマーチ 奥田英郎著 集英社文庫

主人公は三人。あまりまともな道を歩んでこなかった25歳の横山。集中力がありすぎ社会生活を営めない25歳の三田。クールな美女で25歳の黒川。

横山がやくざの賭博の売り上げを強奪する計画を立てる。いろいろあるというお話です。
解説の北上次郎によるとスラップスティック小説。ばたばたと起こるのが楽しめます。
奥田さんの守備範囲の広さが分かります。
No.241 - 2008/06/25(Wed) 23:33:06
空中ブランコ 奥田秀朗著 文春文庫 / takashimtjp
空中ブランコ 奥田秀朗著 文春文庫

精神科医伊良部の二作目です。
空中ブランコは飛べなくなったサーカスの空中ブランコ乗りの話です。
空中ブランコの受け手が変わったこともあり以前のように飛べなくなり家人に勧められて伊良部の元を訪れます。
何故か伊良部はサーカスを見に行き自分も空中ブランコをやりたいと言い出します。
普通なら体がこわばってうまく行かないところ子供と同じで怖い物がない伊良部は無心で受け手に自分をゆだねます。
伊良部の治療はビタミン注射をするだけの的はずれな物です。でも伊良部の行動が治療になります。

ハリネズミ
先端恐怖症のやくざが主人公です。
伊良部も看護士のまゆみもやくざを怖がりません。
自分を怖がらない人間をみてとまどうやくざとのやりとりが面白いです。

義父のヅラ
伊良部の大学時代の同期生で大学に残り今は精神科の講師になっている人が患者です。
この人は教授の娘と結婚しこれが義父に当たります。その義父は以前はつるつるだったのに今は一目でカツラとわかるカツラを着けています。これをはぎ取りたい衝動この衝動を抑える苦痛に患者は苦しんでいます。
学生時代は面白い人間だったのに医学部の講師という地位や配偶者の父が教授という事情など以前のようにお気楽に行動できません。
この当たりを伊良部は身をもって解決します。

ホットコーナー
一塁に球が投げられなくなったベテラン三塁手が患者です。
大学卒業後一年目からレギュラーでゴールデングラブ賞を何度も取っている選手です。
でも今年の三塁手の新人は見た目も良くマスコミでも騒がれています。
自分の座を奪われるのではないかと不安があります。

女流作家
自分の書こうとする部分が既に書いたのと同じではないかと悩む患者です。
No.239 - 2008/06/14(Sat) 00:47:42
八月のマルクス 新野剛志著 講談社文庫 / takashimtjp
八月のマルクス 新野剛志著 講談社文庫

45回江戸川乱歩賞受賞作です。
主人公は笠原雄二。今はアパートを経営しています。五年前までは売れっ子のお笑い芸人でした。毒舌を売り物にするセロリジャムを相方の立川と組んでいました。
事件に巻き込まれ笠原は引退します。その後相方の立川とは音信不通です。その彼が五年ぶりに訪ねて来ます
。その後立川の失踪が生じ笠原も巻き込まれていきます。
巻き込まれて行く課程で昔の芸能仲間と久しぶりに会います。この事件が五年前にさかのぼることなどが分かります。

最近お笑い芸人の人気は高く、その舞台裏を覗ける様な楽しみがあります。

でも発端となった金額は説得力を欠くように思いました。
No.238 - 2008/06/03(Tue) 01:04:51
開国ニッポン 清水義範著 集英社文庫 / takashimtjp
開国ニッポン 清水義範著 集英社文庫
日本は江戸時代に鎖国政策を採ったのですが、もし違っていればどうなったか。そういうSFです。
荒唐無稽とも思われますが、史実を織り交ぜているので案外真実みを感じます。
清水さんは元々SFの出身なのでこの分野もお得意の様です。

先日井上さんのリスクを読んで清水さんの作品を読みたくなりブックオフで探しました。思っていたのとは違う作品でしたが、まずまず楽しめました。
No.237 - 2008/06/03(Tue) 00:48:08
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