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さみしい男 諸富祥彦著 ちくま新書 NEW / たかし
さみしい男 諸富祥彦著 ちくま新書

さみしいの原因はコミュニケーション能力の不足にあるそうです。
背後には価値観の変化があります。
以前だと仕事一筋で立派に評価されたのに、それでは定年後駄目だとか言われます。
家に居るだけで邪魔にされます。
地域社会との関わりも不足します。
定年以前でも
年代の違う同僚、部下との付き合い方が分かりません。

最初、読み出したときにはあまり面白くなく途中でやめようかと思いました。
「労働至上主義からの開放」あたりから面白くなりました。
労働至上主義とは「男とは、限界まで働くことがよきことだ」とのイデオロギーです。
他にも日本人を苦しめるイデオロギーはあります。
若者だと「友達至上主義」
「恋愛至上主義」
中年だと
「家族至上主義」

本書は労働至上主義と家族至上主義、恋愛至上主義とを取り上げています。
労働至上主義は高度成長期に暗黙の前提とされた考えですが、この不況期にまた現れているそうです。
No.251 - 2009/07/03(Fri) 23:26:14
バカのための読書術 小谷野敦著 ちくま新書 / たかし
バカのための読書術 小谷野敦著 ちくま新書

猫猫先生小谷野敦さんの本です。
バカとは哲学とか数学とか抽象的なことが苦手な人のことです。 
どのような本が入門書としてふさわしいか、読書指導です。
呉智英著の「読書家の新技術」や渡辺昇一「知的生活の方法」の小谷野番です。

ここでは、どの本が入門書にふさわしいか紹介しているのが特徴です。
新書版なら入門書として買いやすいし定評もあるのではないかとも思いがちですが、そうでない
と小谷野さんは言います。玉石混交である。
専門家に聞こうとしてもこれは間違い。自著を挙げるかあまりに初歩的な本を紹介するのを恥じる怖れ
がある。
そこで夏目漱石などを例にとり入門書を紹介しています。
経済、心理学、宗教、政治なども紹介しています。
重点は歴史です。ここでは司馬遼太郎の小説が全体を掴むのに最適としています。

感想
バカのためとあるが、ごく一般的な人が対象。むしろ知的な人が対象でしょう。
小谷野さんの専門とも関係するが経済などは手薄な印象。
文学などはこの本を紹介しても誰も読まないのではないかと思う本が紹介されている。
これに比べると歴史になると対象は、知的ではない人という印象。
とにかく小谷野さんの危機感は強く、司馬遼太郎の小説でも読んで歴史の流れを掴んで貰いたい
との思いが伝わってくる。
でも是非ともこうして欲しいとの思いを持っている人がこの本を読むのか疑問である。

インテリはバカと思われたくないインテリ病にかかっている。
だから対談などはともすれば知識量の競い合いになる。
これは小谷野さんの対談などを思い出せば納得がいく。
No.250 - 2009/06/18(Thu) 23:11:42
読書 / たかし
小谷野敦のブログを見ていて、読書量の多さに驚く。またネットもかなり見ている。どうすればそれだけ読めるのか、書けるのか不思議である。
小谷野のブログに引用された医師の宮崎純さんのブログも見た。小谷野の読書量に驚いていたが、宮崎さんもすごい。ブログの内容もよくこれだけ大量に書けると驚く。
http://d.hatena.ne.jp/jmiyaza/
No.249 - 2009/05/09(Sat) 00:45:39
読書 / たかし
この掲示板への投稿もご無沙汰している。
本を読んでないことは無いのだが忘れてしまって書けないことが多い。
福田和也さんは、一月百冊とか言ってるらしいがすごいと思う。
No.248 - 2009/04/04(Sat) 00:20:52
手紙 東野圭吾著 文春文庫 / takashimtjp
手紙 東野圭吾著 文春文庫

弟の大学進学費用を稼ぐために強盗殺人を犯した兄。
家族に強盗殺人犯が居ることで差別される弟。

兄から来る手紙が無邪気とも思える内容です。自分の犯した罪のために弟がどれほどの差別を受けているか何も感じてないようです。兄に対する愛情を感じながらも弟にとり手紙は迷惑です。

犯罪加害者の家族を正面から描いた作品です。

兄の手紙は悲しいですね。
就職した会社の社長の言い分は、納得できない物もありますが、そのような見方もあるだろうし本音かもしれないとも思います。

映画も良かったです。少し設定が変わっています。小説を読みながら映画の場面を連想しました。
No.247 - 2008/10/05(Sun) 23:12:19
総理大臣とメディア 石澤靖治著 文春新書 / takashimtjp
総理大臣とメディア 石澤靖治著 文春新書

メディアを使うことが支持率上昇に必要との認識は今では当たり前でしょう。
本書によると古くは三木武夫は少し認識していたらしいが、やはり細川が初代メディア首相、次が小泉となるそうでこれは納得できます。

本書の最初はメディアと政治家との関係、わかりやすいところで田中真紀子を例に挙げています。
取り上げる対象を善玉、悪玉で割り切るとわかりやすいので
小泉の選挙中の田中真紀子の善玉扱い、外務大臣に乗り込んだ所での伏魔殿に乗り込む善玉扱い、外務大臣としての資質が問題視されてから悪玉扱い、鈴木宗男との対立を巡っての善玉扱いと二転三転します。

また政治家とメディアだけでなく政党のテレビ宣伝短いコマーシャルですがこれを巡る各党の対応が面白い。
社民党が放送禁止になりそうな宣伝を企画し、テレビ放送を拒否されるとニュースで採り上げることで政党の資金を使わず結果として宣伝効果を高めたこと、これはむしろそれを狙ったのでは無いかとの黄泉も面白かったです。
No.246 - 2008/10/01(Wed) 00:18:27
阿片王 満州の夜と霧 佐野眞一著 新潮文庫 / takashimtjp
阿片王 満州の夜と霧 佐野眞一著 新潮文庫

1932年満州建国、幻の王座に「阿片王」がいた。と帯に書いてあります。
主人公は里見甫(さとみはじめ)。
話は戦後から始まります。里見はまじめな印象だったが周りはいかにもうさんくさそうな連中です。
これは満州時代の名残です。
その後里見の経歴を追って話は進みます。

里見は中国中で阿片を売りさばきます。その利益を関東軍、そして敵側の国民党にも与えます。
里見の魅力は金に綺麗なことでした。

読んだ印象はやはり里見は怪物だということです。
里見自身はあまり学業は優秀ではなく東亜同文書院でも成績は下位です。その後新聞記者時代に中国人との人脈を形成し、それを駆使して地位を築きます。この点、勝ち組云々で言われたことが当てはまります。
金に綺麗だったことで軍の信頼を得ます。

もっとも金に綺麗と言っても愛人は無数にいたしその金は使ったでしょうし、誰彼構わず金を無心すれば与えていました。蓄財しなかった程度の意味です。

ノンフィクションですから文献だけでなく人物が中心になります。
最初は里見の秘書だった伊達なる人物に焦点を当てます。
また男装の麗人梅村淳、梅村うた、等それぞれの人生がミステリーです。
その点でミステリー小説を読んでいるわくわく感があります。
里見がハムエッグしか食べないとは驚きでした。
No.245 - 2008/09/28(Sun) 23:28:56
セ・パ分裂 プロ野球を支えた男たち 鈴木明著 新潮社文庫 / takashimtjp
セ・パ分裂 プロ野球を支えた男たち 鈴木明著 新潮社文庫

若林忠志というピッチャーの日本シリーズ第一戦での投球が縦糸です。横糸は日本のプロ野球の歩みです。

若林はハワイ育ちの日系二世です。日本の法政大学に入学して戦前のプロ野球界に入ります。
タイガースを経て戦後オリオンズに入り、第一回の日本シリーズに先発します。
そこでの投球が縦糸です。
横糸は本書の題名通りセパ分裂を描いたとも言えますが、私には曖昧模糊とした戦前のプロ野球界そして混乱の中にある戦後プロ野球界が興味深かったです。

若林は日系二世ですから考え方などはすべてアメリカ流です。若林の苦労した様子はそれなりに触れられています。でも重くはありません。綿密に取材しながらもちょっと対象と距離をとっています。

ノンフィクションですから本当のことかもしれません。若林の配偶者は地方の資産家の娘さんです。戦争中に若林は大きな荷物を持って妻の居る妻の実家に疎開します。大きな荷物は鏡台です。12年前の結婚時の「鏡は女の心」という妻の言葉を忘れていなかったのです。
No.244 - 2008/08/02(Sat) 00:17:22
鈴木明著 維新前夜 スフィンクスと34人のサムライ 小学館ライブラリー / takashimtjp
鈴木明著 維新前夜 スフィンクスと34人のサムライ 小学館ライブラリー

幕末にエジプトのスフィンクスで日本の侍が集合写真を撮っています。
その一行とくに三宅復一(後の東京大学教授三宅秀)に焦点をあてて
います。
幕末明治維新にかけての人間模様です。

この一行はフランスを目指します。理由は既に海港した横浜港を再び鎖国する交渉です。
到底実現不可能です。これにはそのときの攘夷論に配慮してしばらくうろうろして時間稼ぎをする意図だった様です。団員の多くが西洋の優れた所を取り入れることを考えていたのですが、一人名倉は西洋と組むよりも歴史的にもつながりの深い中国と結ぶ考えを持っています。

この名倉の日中同盟的な考え方は明治時代になってからも重きを置かれません。老齢になり台湾の顧問になり念願が少し叶いますが、そのあとは日清戦争で名倉にとり無念だったでしょう。

主人公はやはり秀才です。人柄も控えめで一行の中での若年の立場をわきまえています。一生を医学者として学問から離れることなく大成します。

ただ正直に言えば面白い題材でありもっと興味深く読めたかもしれ無いなあとの感想を持ちました。
No.243 - 2008/07/12(Sat) 00:12:15
13階段 高野和明著 講談社文庫 / takashimtjp
13階段 高野和明著 講談社文庫

死刑囚にとって何時自分の刑が執行されるかが一番の関心です。その場面から始まります。
主人公は死刑囚ではなく、傷害致死で今は仮釈放中の三上純一。刑務官の南郷正二。

刑務官は死刑の執行にもあたり南郷は長い刑務官生活の間に二度執行に関与しています。そのこともあり死刑に疑問を持つようになります。
その南郷が死刑囚の冤罪をはらす仕事を見つけ転職します。もっとも転職自体は物語の最後であり多くは刑務官の身分のまま話は進みます。
その仕事で助手を務めるのが三上です。

話は二転三転します。さすがは江戸川乱歩賞受賞作です。

もっとも死刑制度の話はもっと短くて良いでしょうし、三上に罰を加えようとする手段はいかにも無理な感じがしました。
No.242 - 2008/06/25(Wed) 23:34:00
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