いよいよ明日10日るしろうサードアルバム『け〜さ〜み〜の』の発売である!先行予約されていた方の一部はもう今日お聴きになれたかも知れない…別に頼まれた訳でもないのにその制作現場の一部始終を目撃した人間としてここに俺的ライナーノーツを記しレコ発のハナムケの言葉としたい。
本作レコーディングは厳寒の真冬、全国で一番豪雪地帯と言われている新潟南魚沼で行われた。ドラムの菅沼は夏期に来た事はあるが他の二人は全くの初めてである。「大雪の和室で厳寒レコーディング?」などのキーワードに随分不安?マークだらけだったに違いない。
到着早々雪の小山を乗り越え機材搬入を始めた。もうみんな大はしゃぎである。そう皆「この不思議な状況を楽しんでいる」のだ。実はこの様子を見て既に本作の成功を独り確信したのだった。
実は和室と言うのは非常に優れた音響環境でありわざわざ和室のスタジオを創る人こそ居ないが余り知られていない事実である。 オマケに雪と言うのはこの世で最強の防音材であり要するにスタジオ全体が水の中に入った様な状況なのである。これ以上デットな音響環境は無いと言える。
そんな中早速一曲を録音始めて驚いた。ドラムの菅沼がライヴと全く同様のパワープレーなのだ。俺はそっと菅沼を呼びヒソヒソと尋ねた「全編このタッチでいくのか?」菅沼の答えは「そうだ」であった。実は自分は繊細なダイナミクス、タッチをキャプチャーするジャズ、クラッシック系マイキングを施していたのだがこのままでは色々問題が起こりそうである。そこでこの曲はこの曲として録り切り「何かバラード的な曲はないのか?」尋ねた。「何曲かある」との事なのでその中の1曲を続けて録音した(つまり2曲だけドラムのマイキングが全く違うのだ!どの曲か判るかな?)うん!やはり繊細なタッチの曲は狙い通りの抜群の質感で録れた。ここでドラムマイキングを大幅に変更、代表的なロックドラムマイキングにした。そして3曲目。初日はここで終わった。
さて二日目、昼前から順調に録り進む。驚くかも知れないが本アルバム全曲その殆どがファーストテイクなのである!2テイク録らざるを得なかったのはイズちゃんのエクトプラズム事件と謎のMIDI回線への呪い降臨事件でミヤコちゃんだけリテイクしただけであった(どれがどの曲か判るかな?)
今回のレコーディングでの大発見は"るしろう”は一見ミヤコちゃんを中心にイズちゃん菅沼がコマイヌの様に両脇で支えるみたく感じるが現実は菅沼と言う隙あらば御柱を立てたがる様な諏訪式爆音暴れ太鼓をイズ、ミヤコ両氏が時には宥め、時には囃し立て大きなウネリ、ダイナミクス、グルーヴを生み出している構造なのだなと強く思った。全く面白いもんである。
本来この手のバンドは所謂コンプレッションを効かせたロックサウンドに仕立てるのが定番中の定番なのだがそんな訳で俺はジャズ、クラッシックのアルバムを創る様に録りからマスタリングに至るまで一切の圧縮、通常のコンプを使用しなかった。"るしろう"と言うバンドの持つ繊細で大胆なダイナミクス表現を台無しにしたくなかったのだ。是非本作品はこのバンドのそんな側面に注目してお楽しみ頂きたい。
本アルバムは各御家庭にある一番性能の良いオーディオ再生環境で是非聴いて貰いたい。どうでも良い話だがレコーディング使用機材はそんじょそこいらの業務スタジオなどとてもぢゃないが覚束ない極上イクイップメントのみ使用した。もし"るしろう"がまるで目の前で演奏している様な『息吹』を少しでも感じて下さったならエンジニアとしてコレに勝る喜びはありませぬ。尚、本アルバムは最上級ハイレゾ192K/24bit -DSDマスターで制作した。なので将来ハイレゾでの配信、発売もあるやも知れず…その際はそちらも何卒宜しく願いたい限りである。
最高の欧州公演の手土産が出来たと自負しております。今後共"るしろう"を何卒御贔屓の程、お願い申し上げて終わらせて頂きます。皆様長々の御清聴どうもありがとうございました。
狂豚庵主 片桐 久尚 |
No.2479 - 2014/09/09(Tue) 20:42:18
|