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胸背部の可動域向上で15名の意識障害患者が人工呼吸器から離脱、静岡徳洲会病院 / 守田憲二
 「日本ヒューマン・ナーシング研究学会誌」が、同学会サイト内http://jann-1973.jp/nicd/journal/ で公開されています。
 2020年10月発行の9巻2号http://jann-1973.jp/nicd/journal/pdf/nicd_09_02.pdf 31〜p36に小川千代子氏(静岡徳洲会病院) らによる「意識障害を伴う人工呼吸器依存患者への看護の実態調査」が掲載されています。
 意識障害があり長期間人工呼吸器に依存している患者15名(平均年齢70歳、人工呼吸器装着から離脱の介入までの期間は平均834.9日、最長4446日〜最短0日)に看護介入によって胸背部の可動域を向上させ、介入期間は平均11.9日間(最長37日間〜最短3日間)で人工呼吸器からの離脱に成功していることを報告しています。

・看護介入の中身は、口腔機能の回復と清潔保持、体位の工夫、胸背部の骨格筋の拘縮の改善、肺コンプライアンスの拡大。
・人工呼吸器装着から離脱の介入までの期間が最も長かった事例は、脳挫傷で38年前から意識障害、15年前から人工呼吸器を装着していた60歳代前半の男性。看護介入を開始して2日後に人工呼吸器を離脱、表情変化や発声の出現はなかった。
・看護介入の期間が最も短かった0日の患者は、パーキンソン病で12年前から意識障害、1年前から人工呼吸器を装着していた80歳代後半の男性。看護介入を開始して6日間の介入で離脱した。離脱後は胆嚢炎を合併し191日間存命した。
・人工呼吸器からの離脱後の死亡者は10名。死因は肺炎4名、敗血症4名、臓器不全2名。離脱後からの死亡までの存命期間は310.2±196.6日であった。最長存命期間は657日間、最短存命期間は46日間。
・報告時点での存命の患者は5名、存命期間の平均は916±157.5日間、最長期間は1037日間、最短期間は707日間。
・2例に表情変化、追視など意識障害の改善効果あり。
No.1412 - 2022/09/25(Sun) 14:41:03
Re: 胸背部の可動域向上で15名の意識障害患者が人工呼吸器から離脱、静岡徳洲会病院 / 桑山
 守田さん、いつもありがとうございます。
 本来なら回復出来る人々がケアやリハビリの不足で、困難な状態のままに放置されているケースは決して少なくないと思います。事例を集めてリハビリの課題を前向きに取り組む必要性を実感しているのですが、保険医療制度の壁が厚いのも感じています。
No.1413 - 2022/09/26(Mon) 10:05:58
生命維持装置の停止を裁判所が認め、控訴を認めなかったため、両親は国連障害者権利委員会に苦情申し立て / 守田憲二
イギリスでアーチー・バータズビーさん(12歳男児)の生命維持装置の停止を裁判所が認め、両親が控訴したものの控訴審も生命維持装置の停止を認め、さらに最高裁判所への控訴が認められなかったため、両親は国連とその障害者の権利委員会に訴えました。

 AFP通信の記事https://www.afpbb.com/articles/-/3417368?cx_part=latest
は“同委員会は先月29日、アーチー君の件について検討中のため、延命治療を続けるよう要請した。
 一方、英政府は8月1日、控訴院にこの件について「早急に審理」するよう要請。控訴院は、国連の要請は法的根拠がないとしたものの、アーチー君の生命維持装置の停止を2日正午までに延期することを認めた。
 母親のダンスさんはスカイニューズ(Sky News)とのインタビューで、装置停止は「演出された息子の処刑」だと非難。「裁判に引きずり込まれ、共感も同情も得られないという状況はトラウマになる」と語った”。

 記事では「脳幹死」の状態にあると医師が考えている、とありますが、6月8日付のスカイニュースが掲載したArchie Battersbee: Family says boy 'gripping mum's fingers shows he is alive' - but doctors claim he is 'brain stem dead'
https://news.sky.com/story/archie-battersbee-family-says-boy-gripping-mums-fingers-shows-he-is-alive-but-doctors-claim-he-is-brain-stem-dead-12630263
は、脊髄損傷が疑われているため脳幹死を宣告するための検査ができないことを報じています。

 マイ・ロンドンの記事によると、母親は、息子が自発呼吸をしようとしていることを「証明している」と主張するビデオを公開した。(人工呼吸器に設定された呼吸数が14から15に一時的に上昇する。肺のモニターも点滅する)
Archie Battersbee: Mum of boy, 12, on life support says video 'proves' her son is trying to breathe on his own
https://www.mylondon.news/news/east-london-news/archie-battersbee-mum-boy-12-24606779
No.1411 - 2022/08/02(Tue) 23:53:51
「臓器提供を見据えた患者評価・管理」によって、意識障害患者が発生させられているのではないか? / 守田憲二
 日本臓器移植ネットワークと関連6学会が「臓器提供を見据えた患者評価・管理と術中管理のためのマニュアル」https://www.jotnw.or.jp/files/page/medical/manual/doc/manual202203.pdf を作成したので、
臓器移植法を問い直す市民ネットワークが6月29日付で撤回を求める文書を郵送し、ブログhttps://blog.goo.ne.jp/abdnet/e/1ba99a23fc1d8268fb120fc2ba72b5ac に掲載されました。

・臓器提供を見据えた処置は、脳保護とは真逆の「臓器移植法」に反する傷害行為です。
・これまでも死後の臓器提供が想定されながら、その後、植物状態となって生存している人がいます。
 「臓器提供を見据えた患者評価・管理」によって、医原性意識障害患者が発生させられているのではないか?

 

 以下はブログ掲載文の見出しです。
◆臓器提供を見据えた処置は、脳保護とは真逆の「臓器移植法」に反する傷害行為
◆患者家族の承諾なしに行われる臓器移植のための舞台裏
◆医師の見通しに間違いはないのか
◆医療費・介護費の不正請求や過大請求も起きる
◆死亡宣告前に臓器提供を目的とする処置を行うことによる、その他の不利益
◆臓器摘出時の麻酔禁止マニュアルは実態と乖離、臓器提供を減らさないための情報隠蔽
◆市民の理解、患者家族の承諾を得られない医療は存在してはならない
No.1409 - 2022/06/29(Wed) 23:31:00
Re: 「臓器提供を見据えた患者評価・管理」によって、意識障害患者が発生させられているのではないか? / 桑山
 守田さん、いつも情報提供ありがとうございます。マニュアルについては、かなりの分量があるので今は十分に読み込めておりませんが、市民ネットワークが主張される「医原性意識障害患者」については、確かにその可能性が考えられます。勉強させて下さい。
No.1410 - 2022/07/03(Sun) 09:57:10
【お尋ね】 / 参議院議員木村英子事務所入野田智也 [関東]
お世話になります。
参議院議員木村英子の秘書をしております入野田と申します。

家族の会様の連絡先がありませんでしたので、掲示板への投稿にて失礼します。
当事務所では、今国会で提出されている自賠法の審議に向けて準備をしており、その中でも被害者救済の部分について重点的に調査を行っております。

その中で、今回の法案では被害者救済が拡充される予定ではありますが、まだまだ不十分な面があると思っています。

家族の会の皆様からみて、自動車事故によって遷延性意識障害となってしまった方の被害者救済でこういったものがもっと必要であるご意見が有りましたら、ぜひ教えていただきたく存じます。
すべて取り上げることは難しいですが、できる限り皆様の声を国会に届けていきたいと思っておりますので、何卒宜しくお願い申し上げます。
No.1407 - 2022/03/30(Wed) 10:21:52
Re: 【お尋ね】 / 桑山
別メールで連絡させて頂きました。
No.1408 - 2022/03/31(Thu) 13:50:56
オランダ 意思疎通を図った患者を「意識がもどらず」、言語で応答できない患者を「昏睡状態」と表現 / 守田憲二
これは1つ前の投稿(黒字)と同文です。前の投稿の右端が表示されないため、立ち読みページのURLを省いて、今回は青字で再投稿します。

 サンマーク出版から「ある特別な患者 医師たちの人生を変えた患者たちの物語」が2021年12月に発行されています。
出版社サイト内のページはhttps://www.sunmark.co.jp/detail.php?csid=3912-2

 オランダの日刊紙『デ・フォルクスラント』の連載コラムを単行本化したもの。89人の医師や看護師、医療従事者が、「自分の人生を変えたひとりの患者」について語っています。
カトリックで中絶禁止の意見を持っていたが許容に変わった婦人科医、安楽死の経験と賛否、出生前診断を巡ること他が語られています。オランダならではの歴史性、旧植民地・発展途上国との関係や安楽死法制化以前の安楽死などが伺える記述もあり。

33 愛によって生きる では先天性心疾患の6歳児について人工呼吸器を切ったところ、自発呼吸をして23歳の誕生日を迎えたこと。
62 善と悪 では出生時体重が1キロに満たず肺の虚脱と脳出血の症状も呈したため両親に集中治療を中止することを提案したが両親は拒否。数年後に街で偶然、 (数年前に予想したとおりの障害を抱えている)車イスの載ったその子と両親に再会したこと。
87 頑固な女性 では心疾患の男性患者について、医師は患者の妻に人工呼吸器の装着や心停止後の蘇生に否定的な判断を伝えたが、妻は人工呼吸器をレンタルした。医師は家に返したら長くは生きられないと判断したが、9ヵ月間、オランダ国内の自宅で妻のケアにより生存。その後、人工呼吸器のレンタル費用を負担してくれるスコットランドに引っ越したこと。


 最も問題に思ったのはp280〜p283に掲載されている56 穏やかな表情 昏睡状態 です。以下の点線間に抜粋します。
・・・・・・・・・・・・・・
 ヤン・ラブレイセン(老年病専門医)は、40代前半の女性について「5年以上、意識を失ったまま療養施設のベッドで過ごしていた。(中略)日中、彼女の目は開いていたが、コミュニケーションはとれなかった。彼女はいつも神経がたかぶっていて、しょっちゅう発作的に泣き出した(中略)鼻に通したチューブから栄養剤を注入すると、よく痰や胃液、ときには血を吐きながら咳き込んだ。真っ青な顔で苦しそうにあえぐ彼女を見るたびに、この女性はいずれ窒息死してしまうのではないかと恐ろしくなったものだ。彼女が咳き込んだあと、ふたたび鼻に栄養チューブを通すのは非常につらい作業だった。私たちは、胃に直接栄養チューブを通すことを検討した。でもそのためには手術が必要だ。それが本当に彼女のためになるのか、私たちには確信が持てなかった。胃にチューブを通したところで、彼女の苦しみを引き延ばすだけかもしれない。そこで私たちは、彼女の家族とかかりつけ医にも相談することにした。彼らはきっぱりとこう言った。彼女は不必要な延命治療を望まないだろう、と。(中略)家族には、「次にまたチューブが外れた場合、新たなチューブの挿入は行わない」ことに同意してもらった(中略)(4ヵ月後チューブが外れてしまった)私は彼女のベッドサイドに腰を下ろし、できることなら治療を続けたかったと言った。彼女と意思疎通を図る最後の試みだった。(中略)「・・・・・・これが最善の選択です」。私は彼女にそう伝えた。そのとき、彼女はとつぜん穏やかな表情を浮かべた。その1週間後、彼女は安らかに息を引き取った。彼女が事故で意識を失ってから6年がたっていた。

(中略) あの女性にまつわる一連のできごとは、治療に対する私の見方を大きく変えた。(中略)私は最初、「治療を中止することが本当に正しいだろうか」と自問していた。でも、気づけばその問いは、「意識がもどらず、回復の見込みもない患者を、このまま治療するのが本当に正しいのだろうか?」というものに変わっていった。(中略)医師は、自分の行動が本当に価値のあることなのかを常に考えなければならない。 (中略)そして、ときには何もしないことが最善の決断になりえるのだと、私はあの女性に教わった。
・・・・・・・・・・・・・・

 以下は私の感想です。
・見出しに「昏睡状態」、本文中に「意識を失ったまま」「意識がもどらず」と書かれています。しかし医師は「次にまたチューブが外れた場合、新たなチューブの挿入は行わない」ことについて、彼女と意思疎通を図る最後の試みを行ったのであるから、意識がないとは本当は思っていなかったのではないか。意思疎通を図ることは、意識があることを前提とする行為だからです。
・さらに女性は医師の説明を聞いて「とつぜん穏やかな表情を浮かべた」のであるから、医療中止の提案について理解もできたと思われます。
・米国の新聞記事で脳死と植物状態、意識障害を混同している記事を見かけますが、オランダではさらに軽症な、言語で知的な応答できない患者についても「昏睡状態」「意識がもどらず」「意識を失ったまま」と実態とは異なり著しく重症な表現をしている医師・記者までいる実例と推測されます。
・医療を中止する提案だけを最善の選択として説明するのではなく、「胃瘻をつければ鼻からチューブを入れる必要は無くなり、それに関連するトラブルは無くなる」ことを説明すれば、女性は胃瘻を選択したのではないか。女性にとっては、まず苦痛・窒息死の恐怖から解放することが必要だったのではないか!
No.1405 - 2022/03/21(Mon) 14:39:03
Re: オランダ 意思疎通を図った患者を「意識がもどらず」、言語で応答できない患者を「昏睡状態」と表現 / 桑山
 守田さん、いつも情報提供ありがとうございます。私たちの家族会の中でも、「明確なコミュニケーション」とまではいかなくとも、いろいろなサインやシグナルを出す障害者はかなり多いと考えています。そのような中で栄養を切ったりすることの非合理性は明らかだろうと考えています。
 このエビデンスがまだ得られないケースばかりですが、(明確なコミュニケーションが出来れば意識障害から脱却したとされます)エビデンス化を目指している人は多く居ます。
No.1406 - 2022/03/26(Sat) 09:21:18
オランダ 意思疎通を図った患者を「意識がもどらず」、言語で応答できない患者を「昏睡状態」と表現 / 守田憲二
 サンマーク出版から「ある特別な患者 医師たちの人生を変えた患者たちの物語」が2021年12月に発行されています。
出版社サイト内のページはhttps://www.sunmark.co.jp/detail.php?csid=3912-2
p30まで立ち読みはhttp://www.sunmark.co.jp/view/index.html#cid=p3912&pid=pbsMkurH&title=%E3%81%82%E3%82%8B%E7%89%B9%E5%88%A5%E3%81%AA%E6%82%A3%E8%80%85

 オランダの日刊紙『デ・フォルクスラント』の連載コラムを単行本化したもの。89人の医師や看護師、医療従事者が、「自分の人生を変えたひとりの患者」について語っています。
カトリックで中絶禁止の意見を持っていたが許容に変わった婦人科医、安楽死の経験と賛否、出生前診断を巡ること他が語られています。オランダならではの歴史性、旧植民地・発展途上国との関係や安楽死法制化以前の安楽死などが伺える記述もあり。

33 愛によって生きる では先天性心疾患の6歳児について人工呼吸器を切ったところ、自発呼吸をして23歳の誕生日を迎えたこと。
62 善と悪 では出生時体重が1キロに満たず肺の虚脱と脳出血の症状も呈したため両親に集中治療を中止することを提案したが両親は拒否。数年後に街で偶然、 (数年前に予想したとおりの障害を抱えている)車イスの載ったその子と両親に再会したこと。
87 頑固な女性 では心疾患の男性患者について、医師は患者の妻に人工呼吸器の装着や心停止後の蘇生に否定的な判断を伝えたが、妻は人工呼吸器をレンタルした。医師は家に返したら長くは生きられないと判断したが、9ヵ月間、オランダ国内の自宅で妻のケアにより生存。その後、人工呼吸器のレンタル費用を負担してくれるスコットランドに引っ越したこと。


 最も問題に思ったのはp280〜p283に掲載されている56 穏やかな表情 昏睡状態 です。以下の点線間に抜粋します。
・・・・・・・・・・・・・・
 ヤン・ラブレイセン(老年病専門医)は、40代前半の女性について「5年以上、意識を失ったまま療養施設のベッドで過ごしていた。(中略)日中、彼女の目は開いていたが、コミュニケーションはとれなかった。彼女はいつも神経がたかぶっていて、しょっちゅう発作的に泣き出した(中略)鼻に通したチューブから栄養剤を注入すると、よく痰や胃液、ときには血を吐きながら咳き込んだ。真っ青な顔で苦しそうにあえぐ彼女を見るたびに、この女性はいずれ窒息死してしまうのではないかと恐ろしくなったものだ。彼女が咳き込んだあと、ふたたび鼻に栄養チューブを通すのは非常につらい作業だった。私たちは、胃に直接栄養チューブを通すことを検討した。でもそのためには手術が必要だ。それが本当に彼女のためになるのか、私たちには確信が持てなかった。胃にチューブを通したところで、彼女の苦しみを引き延ばすだけかもしれない。そこで私たちは、彼女の家族とかかりつけ医にも相談することにした。彼らはきっぱりとこう言った。彼女は不必要な延命治療を望まないだろう、と。(中略)家族には、「次にまたチューブが外れた場合、新たなチューブの挿入は行わない」ことに同意してもらった(中略)(4ヵ月後チューブが外れてしまった)私は彼女のベッドサイドに腰を下ろし、できることなら治療を続けたかったと言った。彼女と意思疎通を図る最後の試みだった。(中略)「・・・・・・これが最善の選択です」。私は彼女にそう伝えた。そのとき、彼女はとつぜん穏やかな表情を浮かべた。その1週間後、彼女は安らかに息を引き取った。彼女が事故で意識を失ってから6年がたっていた。

(中略) あの女性にまつわる一連のできごとは、治療に対する私の見方を大きく変えた。(中略)私は最初、「治療を中止することが本当に正しいだろうか」と自問していた。でも、気づけばその問いは、「意識がもどらず、回復の見込みもない患者を、このまま治療するのが本当に正しいのだろうか?」というものに変わっていった。(中略)医師は、自分の行動が本当に価値のあることなのかを常に考えなければならない。 (中略)そして、ときには何もしないことが最善の決断になりえるのだと、私はあの女性に教わった。
・・・・・・・・・・・・・・

 以下は私の感想です。
・見出しに「昏睡状態」、本文中に「意識を失ったまま」「意識がもどらず」と書かれています。しかし医師は「次にまたチューブが外れた場合、新たなチューブの挿入は行わない」ことについて、彼女と意思疎通を図る最後の試みを行ったのであるから、意識がないとは本当は思っていなかったのではないか。意思疎通を図ることは、意識があることを前提とする行為だからです。
・さらに女性は医師の説明を聞いて「とつぜん穏やかな表情を浮かべた」のであるから、医療中止の提案について理解もできたと思われます。
・米国の新聞記事で脳死と植物状態、意識障害を混同している記事を見かけますが、オランダではさらに軽症な、言語で知的な応答できない患者についても「昏睡状態」「意識がもどらず」「意識を失ったまま」と実態とは異なり著しく重症な表現をしている医師・記者までいる実例と推測されます。
・医療を中止する提案だけを最善の選択として説明するのではなく、「胃瘻をつければ鼻からチューブを入れる必要は無くなり、それに関連するトラブルは無くなる」ことを説明すれば、女性は胃瘻を選択したのではないか。女性にとっては、まず苦痛・窒息死の恐怖から解放することが必要だったのではないか!
No.1404 - 2022/03/21(Mon) 14:32:47
パンフレット=「脳死」って本当に死んでるの?「臓器移植推進」って本当にだいじょうぶ? / 守田憲二
 臓器移植法を問い直す市民ネットワークがパンフレット“「脳死」って本当に死んでるの?「臓器移植推進」って本当にだいじょうぶ?”を発行しました。同ネットワークのブログhttps://blog.goo.ne.jp/abdnet/e/e0270e7acd27ed637468f883f0785d93
からダウンロードが可能になっています。PDFファイルでデータ量は1428キロバイトあります。フルカラーでA5サイズ、24ページです。


 同パンフレットp9で
“このほかにも、脳死判定基準を満たしたとされた患者の中で、後に脳死判定時に無かったとされた自発呼吸が再開したり、反射が出現したり、脳波が測定されたなど多数あります。詳細は当ネットワークのブログ内「臓器提供の承諾後〜臓器摘出の手術中に脳死ではないことが発覚した症例、疑い例および統計 2-1」(下記 URL)
https://blog.goo.ne.jp/abdnet/e/7d5631bb5539bf19afcffb53544791f5 ほかを参照してください。”
と記載しています。上記URLもご覧ください。
No.1403 - 2021/10/31(Sun) 12:39:34
東大の赤林らが監訳した「間違った医療」の主張=〔人格を持つ〕人間だけが、生命を維持するための医学的介入の厳密な対象である / 守田憲二
 勁草書房から2021年5月20日付で「間違った医療 医学的無益性とは何か」が発行されています。
発行元サイトの紹介ページはhttps://www.keisoshobo.co.jp/book/b581915.html

 著者はローレンス・J・シュナイダーマン(カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部名誉教授)とナンシー・S・ジェッカー(ワシントン大学医学部生命倫理・人文科学科教授)
 監訳者は林 令奈(東京大学大学院医学系研究科医療倫理学分野助教)と赤林 朗(東京大学大学院医学系研究科医療倫理学分野教授)、赤林は2017年から2020年に日本生命倫理学会の第10期代表理事・会長でした。
 監訳者あとがき(p279〜p284)の文末で、林は「本書によって医学的無益性についての理解が進み、また日本における医学的無益性をめぐる国民的議論が進む契機となることを心から願っている」と書いていますので、本書の主張に林、赤林ともに賛同しているのでしょう。



 本書の第一章「これは医師がなすべきことになっているのか?」が
HTML形式https://keisobiblio.com/2021/05/31/atogakitachiyomi_machigattairyo/
と出版物と同体裁のPDFファイルhttps://keisobiblio.com/wp/wp-content/uploads/2021/05/machigattairyo_tachiyomi.pdf
で公開されています。
  私は、 第一章の中の第3節「医学的無益性を定義する」の文章が、著者そして監訳者の認識を端的に表現しているのではないか、と思いましたので以下に抜粋します。


p9 医療のゴールは明確にその人の利益になること─回復させること、癒すこと(「完全にする(make whole)」)─である。それゆえ、そのゴールに達することができない治療、すなわち無益な治療を提案することは医療のゴールに含まれない。

p11 ナンシー・クルーザンの例に戻ると、ミズーリ州に従えば、彼女の栄養チューブは彼女の身体を生かしているという理由で無益ではなかった。そのため私たちは、こう質問することからスタートしなくてはならない。医療のゴールというのは─どんな状態であっても、身体を生かしていくことなのだろうか?私たちが命(Life)という語を使うときに心に呼び起こされるものとは─不可逆的に意識のない体のことなのだろうか? 身体(a body)ではなくて人間(a person)を想像するとき、私たちはむしろ外界への意識がある人を、細胞と体液が一体となったものとしてではなく、感覚や思考、感情を持つある特定の人間存在として外界に触れる人を想定しないだろうか? ナンシー・クルーザンの身体が生きていたことに疑いはない。それは呼吸し、血液を拍出し、食べ物を消化し、排せつしていた。しかしその身体は、人間ナンシー・クルーザンだったのだろうか? 彼女独自の人生を経験できる人としての能力を持っていたのだろうか? つまり、彼女は人として、彼女が受けていた介入、たとえばチューブから体に運ばれてくる人工栄養と補液から、何らかの利益を得ていたのだろうか?
 注目すべきことに、無益性という概念を、より機械論的で生物学的で断片的なレベルにまで切り詰めようと試みてきた人がいる。医学というものが、身体のあらゆる部分、たとえば肺や心臓や腎臓に対して生理学的な効果を与えられる以上、心肺蘇生を試みるといった治療は無益ではない、と主張するのである。それであるならば、医療のゴールというのは─臓器系を維持し続けることなのだろうか? 単に空気や血や尿の流れを維持するためだけの治療が、医療における最後の望みとして私たちを満足させるのだろうか? 多くの研究は、圧倒的に、人々が違う考えを持つことを示している─生活の質(quality of life:QOL)が低下しつつある過去のある時点で、単に臓器を維持している状態よりもずっと前の段階で、死ぬのを許されたほうが良いと考えている。

p14 まずは、医学的無益性の予備的で一般的な定義から始める。医学的無益性とは、患者に利益を与えようとしても失敗する可能性が高いあらゆる試みのことで、そのまれな例外〔成功すること〕が体系的に発生することはありえないものである。最初に注意しておきたいのは、この定義には量的な要素(「失敗する可能性が高い」)と質的な要素(「患者への利益」)が含まれているということである。

p16 この議論の背景にある人間としての衝動には共感するが、たとえどんな形にせよ人の命には本質的に価値があると考えていたとしても、どんな形の人の命でも維持し続けようとすることが医療の仕事であることにはならないと応じたい。医療の焦点がそのような生物学的な有機体であったことはこれまで決してなく(今後もそうなるべきではないと私たちは主張する)、苦しんでいる人間(たとえば患者)を対象としてきた。したがって、たとえ医師に─受胎の初期段階から脳死まで─尊厳と敬意をもって人の命を扱う責任があるのだとしても、唯一〔人格を持つ〕人間だけが、生命を維持するための医学的介入の厳密な対象である。
 類推を行おう。ほぼすべての人が「脳死」の人(たとえば、全脳死基準によって死亡しているとされる人)はかつて〔人格を持つ〕人間だったということに同意するし、身体として残されたものは敬意をもって扱われるべきであることに同意する。しかし、「脳死」の人は、患者あるいは生命を維持する医学的な治療の適切な対象としてはもはや見なされない。言い換えれば、たとえ「脳死」の人はまだ生きている人体細胞を持ち続けているかもしれないけれども、生きている人間ではない。これは、医療者がこのことをどのように考えているかについての重大なターニングポイントを示す。一度、患者が全脳死基準による死亡の基準を満たせば、たとえば、呼吸器や人工脳脊髄液や補液といった医療器具は中止される。同様に、永続的植物状態の人はかつて人間であり、生物学的に残されたものは尊厳と敬意をもって扱われるべきであると私たちは主張する。しかしながら、無意識の人の生理学的な過程を要求に応じて延々と維持するために、使える手段を自由に使うことは、医療の役割ではありえない。
No.1401 - 2021/08/27(Fri) 10:27:56
Re: 東大の赤林らが監訳した「間違った医療」の主張=〔人格を持つ〕人間だけが、生命を維持するための医学的介入の厳密な対象である / 桑山
 守田さん、いつも情報提供ありがとうございます。
本書を読んでおらず何とも言いようがないのですが、頂いた情報からは、「意識がない」ということについての説明は無いような気がします。意識がない=応答がない、ということであれば根本的な誤りがあるように思います。
 この類の主張は昔から多く、脳波、CT、MRIなどでも「確認」しているのかもしれませんが、「意識」はまだまだ謎の中にあると思っています。
No.1402 - 2021/08/27(Fri) 12:13:18
損害賠償請求について / mami [近畿]
こんにちわ。損害賠償請求についてアドバイスをいただきたいです。昨年末に母が交通事故により遷延性意識障害に陥りました。現在のところ入院費等々は加害者側の保険会社から全て支払われていますが、今月初旬担当者から症状固定が認定された場合の話を聞きました。皆さんも同じかと思いますが、このような経験は初めてなので、損害賠償請求をする場合は保険会社から症状固定が認定される前に動いた方がいいのか、どうすれば信用でき良心的な対応をしてくださる弁護士さんを見つけられるのか、全くわかりません。私は関西在住ですが母は東海地区で入院しています。適切なアドバイスをいただけますよう、よろしくお願いいたします。
No.1398 - 2021/08/23(Mon) 14:47:25
Re: 損害賠償請求について / 桑山
 当会として、特に推薦している弁護士事務所がある訳ではありませんが、外部リンクに二つの家族と弁護士が協働している組織のことを紹介しています。
〇(NPO法人)交通事故後遺障害者家族の会
〇(一般社団法人)交通事故被害者家族ネットワーク
 いずれの組織も実績がある組織です。
No.1399 - 2021/08/24(Tue) 15:38:48
Re: 損害賠償請求について / mami [近畿]
ご返信をありがとうございました。
教えて下さった組織に問い合わせてみようと思います。
見ず知らずの者へのご親切に感謝いたします。
No.1400 - 2021/08/25(Wed) 13:03:22
「脳死になる、植物状態になる」とされた男性、医師は家族に生命維持装置の停止を提案。現在は後遺症あるも社会復帰 / 守田憲二
2021年7月31日付でSTUFFに掲載された
One text later: Doctors said he'd be brain-dead, now their son is back at work
https://www.stuff.co.nz/national/125769046/one-text-later-doctors-said-hed-be-braindead-now-their-son-is-back-at-work
によると、ニュージーランドで2018年11月21日に交通事故があり、マット・ケネディさん(27歳)はワイカト病院に入院。医師は家族に「脳死になる、植物状態になる」といい、3回、生命維持装置をオフにするようにいったそうですが家族は拒否。集中治療室に約6週間滞在し、うち4週間は生命が危ぶまれる状態だった。
 2019年1月にオークランド脳損傷ユニットに転院しリハビリテーションを開始、2019年2月に会話。現在は短期記憶などに後遺症はあるが歩行、運転、就労しているそうです。
 本人と母親のスーザン・ケネディさんの語り、入院〜リハビリの映像で構成された5分15秒間の動画あり(英語)。
No.1397 - 2021/07/31(Sat) 08:37:29
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