Texas Right To Lifeは10月7日付でThe Hospital Declared Him Brain Dead, Now He’s Home and Breathing on His Own https://texasrighttolife.com/the-hospital-declared-him-brain-dead-now-hes-home-and-breathing-on-his-own/ という記事を掲載して、2020年5月に無酸素性脳損傷を負ったライアンさんがテキサス州パサデナの病院に入院し、3か月後に病院の最高医療責任者がライアンさんの母親に、息子が決定的に脳死であると伝えたこと。しかし、脳幹が機能を保持していることを公然と認めたこと、Texas Right To Lifeが、その重大な誤りついて病院の注意を喚起したところ病院は脳死の診断を取り消したこと、2か月もたたないうちにライアンさんは退院し、人工呼吸器など必要な医療機器とともに両親の家に戻るのに十分なほどに改善したこと。2022年7月にライアンさんは人工呼吸器が不要になり酸素投与で生活できるようになったことを伝えました。 脳死と診断した医師が優勢だったら、両親は息子が2年後に自発呼吸をするのを見ることがなかったこと。そして「テキサス州法の下では、苦しんでいる患者が理想的な生活の質(医師によってなされた本質的に主観的な判断)を持っていない場合、彼または彼女は生きる権利がありません。ライアンは重度の脳損傷、早すぎる脳死の診断、そして生き続ける権利を支持したくない病院を生き延びました(Under Texas law, if a suffering patient does not have an ideal quality of life (an inherently subjective determination made by a physician), he or she has no right to live. Ryan survived a severe brain injury, a premature brain death diagnosis, and a hospital that was unwilling to uphold his right to continue living. )。と書いています。
記事のなかに2つの動画があります。 上の動画(3分19秒)はThe 3 Points You NEED to Know About Brain Death in Texas - AND - What to Ask the Doctors この動画はhttps://texasrighttolife.com/video-brain-death/ でも見ることができます。上記のURL内の記事でもテキサス州の脳死診断の実際、標準的なICUでは入院して5日以内に人工呼吸器を停止していること、脳損傷患者の予後が不明瞭なことを認識していないことなど、生命維持治療を早期にやめることの危険性が書かれています。
動画内ではテキサスの病院で脳死と説明された時に患者家族が知っておくべき3つのこと、そして家族が医師に尋ねるべき3つのことが話されています。 患者家族が知っておくべき3つのことは、 1,There is a difference between diagnosis and declaration. 2,Your only time to act is between a diagnosis and an actual declaration. 3,To legally declare brain death, there must be zero brain function in the patient.
脳死診断と脳死宣告は異なる。脳死宣告がされたら、病院は合法的に患者家族の希望を考慮することなく生命維持装置を外せるから、患者家族が行動できるのは脳死診断の前から実際の脳死宣告まで。この間にセカンドオピニオンや確実な検査の実施を求める。医師は、合法的に患者の人工呼吸器のプラグを抜けない時に、「脳機能が限定」「部分的脳死」などの言葉を使って家族を説得しようとすることがある、と解説しています。
医師に問う3つの質問は ・最初の質問、「彼または彼女の脳幹になにか活動か機能がありますか?」もしもイエスだったら、あなたの愛する人は法的また医学的に認められている脳死ではありません。すぐにこれを病院に知らせれば、多くの場合、脳死の診断を覆すことができます。 ・二番目の質問、「血流検査はしましたか?」。血流検査は、現在ゴールドスタンダード、用いることのできる最良の診断ツールです。特に農村地域の病院では他の検査を使って脳死診断を急ぐことがあります。テキサス・ライト・トゥ・ライフは、家族がこの検査を主張した後に、多数の脳死診断が取り消されて、これらの患者が生きていることを見ています。 ・三番目の質問、その検査結果は神経科医によって評価されましたか?テキサス州法は、脳死診断と脳死宣告に熟練した神経科医の評価を求めていません。病院により異なりますが、総合医に診断・宣告させている病院もあります。神経科医に評価させるよう主張すると、あなたの愛する人の命は守られるでしょう。
では要約します。これらの三つの質問を覚えてください。「彼または彼女の脳幹はなにか機能していますか?」「脳血流検査はしましたか?」「神経科医はどこにいるんですか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 以上で引用を終わり、以下は引用者の注記です。
・米国では相変わらず粗雑な脳死判定が横行しています。メディアの報道のなかでは、脳死と診断した後に「the patient is brain dead and vegetative state(その患者は脳死で植物状態だ)」と書いた記事もみられ、取材者のレベルでも医療者のレベルでも区別をしていない様子が見られます。粗雑な脳死判定のなかには、上記ライアンさんのように脳幹が機能していても脳死という病院があるのでしょう。 ・日本でも「脳死に近い」などの説明が行われる際に、同様の事態が起こりうるでしょう。 ・原理的には、脳死判定の各検査で脳機能の低下は診断できるが、脳機能の廃絶は診断できないため、粗雑であろうが厳密に行っても脳死判定は誤る可能性がある。 ・粗雑な脳死判定が横行している地域での脳血流検査は有効でしょう。しかしヒトの脳組織が壊死する血流量が不明のため、脳血流検査をしても脳死判定を誤ったケースがあることに注意願います。参照http://www6.plala.or.jp/brainx/yosi.htm#3 |
No.1419 - 2022/10/10(Mon) 09:21:00
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