以下は日本臨床栄養代謝学会の「学会誌JSPEN」 4巻Supple2,p483に掲載されている抄録です。J-STAGE内https://www.jstage.jst.go.jp/article/ejspen/4/Supplement2/4_482/_pdf/-char/ja より。
第 52 回 筑後地区輸液栄養 NST 研究会 2022 年 11 月 17 日(木)18:30〜 久留米大学 筑水会館 2F イベントホール
「遷延性意識障害の新たな治療法!?マイオモニターによる咀嚼筋刺激〜もぐもぐ刺激で脳を活性化〜」 久留米大学病院 脳神経外科 ○藤森香奈 橋本 彩 梶原壮翔 折戸公彦 森岡基浩
咀嚼機能と脳機能は密接に関連しており、咀嚼不全が認知機能低下や空間認知機能障害を招くことが報告されている。また、咀嚼を行うことにより視床や一時感覚野、一次運動野、補足運動野、小脳、島皮質の局所脳血流量が上昇しワーキングメモリー機能も促進されることが知られている。
当科では、咀嚼による脳機能の活性化に着目しマイオモニターによる顎関節外部刺激の臨床研究をおこなっている。脳卒中、頭部外傷後の意識障害や高次脳機能障害患者を対象として、リハビリテーション時にマイオモニターによる外部刺激を行うことで擬似的な咀嚼運動を発生させ、意識障害の改善を図ることを目的としている。
現在までに 6 例の症例登録が行われ治療を行った。平均年齢は 76.5 歳で原因疾患は急性硬膜下血腫 2 例、脳梗塞 2 例、脳内出血 1 例、くも膜下出血 1 例である。急性期治療が終了してからの介入となるため各患者の介入時期は発症より平均 137 日(55-210 日)であり、刺激日数は回復期病院への転院が決定するまでの期間を行なうため 40.2 日(7-140 日)であった。介入前後での意識障害重症度(広南スコア、ナスバスコア)で効果を検討した。結果として意識障害に関しては平均 9 点(0-27 点の改善)の改善を認めており、6 名中 1 名は中等度意識障害の状態から経口摂取可能なレベルにまで回復した。
しかし、全例に著効するわけではなく、今後さらなる症例を蓄積し適応疾患や刺激の効果的なタイミングや頻度などを検討していく必要がある。 |
No.1427 - 2023/05/30(Tue) 09:57:25
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