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行訴法10条 / あおむし
とっぱ先生

質問です。

問題に、「取消訴訟の原告が自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めた場合、裁判所は、棄却判決をすることになる。」とあり、解説で、10条1項は訴訟要件ではなく本案審理における原告の主張の制限に
ついて定めたものであるから、却下判決ではなく棄却判決がなされる。
とありました。

そう言われるとそうかな、と思うのですが。原告適格に当たるかで判断され、却下かな、と思ったもので・・しっくりきません。

よろしくお願いします。
No.9896 - 2018/04/14(Sat) 14:51:00

Re: 行訴法10条 / とっぱ
あおむしさん、こんにちは。
行政法の講座も、順調にこなしていっているようですね。感心です。

さて、ご質問の件ですが、
たしかに、原告が「法律上の利益」を有する者とはいえないとなれば、9条によって却下判決を下されることになりますね。

10条1項もよく似たことを定めてはいるのですが、こちらは、原告適格としての「法律上の利益」は有するとされた者でも、本案審理の段階で、「自己の法律上の利益に関係のない違法」を述べることはできないということを定めたと解されているのですね。

例えば、国税の滞納者は、滞納処分を争う原告適格を有しますが、本案審理において「公売する際の抵当権者への通知が無かった」という違法を主張することはできず、この違法事由のみでは棄却判決が下されてしまうのですね。
抵当権者への通知がないというのは、滞納者とは直接関係のない違法ですから、「自己の法律上の利益に関係のない違法」となってしまうわけです。

原告適格というのは、あくまで訴訟要件ですから、訴えを提起する人が処分等の違法を争う適格があるかを抽象的に判断するにすぎないのですね。処分等の根拠となっている法律で、その処分を通してその人の利益が保護されていれば原告適格はみたしますので、この段階でのフィルターは比較的緩いわけです。

ですから、個別具体的な主張について、本当にその人の法律上の利益に関係があるかどうかについては、本案審理において検討されるわけです。
そしてその結果、「自己の法律上の利益に関係のない違法」と判断された場合には、すでに訴訟要件はみたして本案の問題となっていますから、棄却判決が下されるわけですね。

このように、原告適格の段階では「法律上の利益があるのに」本案審理においては「法律上の利益がない」という場合が生じうるわけで、それを定めているのが10条1項と考えられるわけです。


というわけで納得いただけたでしょうか。また書き込んでくださいね。
No.9897 - 2018/04/14(Sat) 19:51:57

Re: 行訴法10条 / あおむし
とっぱ先生、ありがとうございます。

なるほど、こちらは本案審理の話なんですね。よくわかりました。
No.9898 - 2018/04/19(Thu) 06:39:05
取り消し後の第三者 / サトル
とっぱ先生、民法テキスト法解釈編P.11の例題について質問です。
選択肢アの「売主と取消後の第三者との関係は、取消原因が詐欺でも強迫でも同じある」というのは、善意の第三者ならば詐欺でも強迫でも保護されるという意味でB説と矛盾しないということなのでしょうか?
よろしくご教授ください。
No.9893 - 2018/02/05(Mon) 00:48:26

Re: 取り消し後の第三者 / とっぱ
サトルさん、こんにちは。

これはおっしゃるとおりの理解でOKですね。
A説・B説は、取消後の第三者について177条や94条2項類推で処理する考え方ですので、96条3項は、取消前の第三者の場合に限定して適用されると考えるわけですね。講義でもこうした考え方を教えてきましたが、ごく少数説としては、96条3項は取消前か取消後を問わず適用されるという考え方もあります。こうした少数説に立つと、取消後の第三者の処理について、詐欺と強迫とで違いが生じることになります(詐欺の場合は96条3項、強迫の場合は177条や94条2項類推といった具合です)。

しかし、A説B説は、いずれも取消後の第三者について、96条3項を適用しませんので、そうなると、詐欺であろうと強迫であろうと、取り消された後に第三者が現れたケースという点で同じですので、A説は、取消後の第三者であれば、詐欺であろうと強迫であろうと177条で処理するべきと考えることになりますし、B説であれば、ともに94条2項類推で処理すべきと考えることになるわけですね。

学説は、このように詐欺も強迫もできるだけ同様に扱おうとしています。ただ、96条3項が詐欺と強迫とで扱いを分けますので、これが適用される場合は、詐欺と強迫に違いが生じることになるわけですね。


というわけで納得いただけたでしょうか。また書き込んでくださいね。
No.9894 - 2018/02/05(Mon) 13:43:35

Re: 取り消し後の第三者 / サトル
とっぱ先生、わかりやすい解説ありがとうございました。自分の理解が合っていて安心しました。またよろしくお願いします。
No.9895 - 2018/02/06(Tue) 21:38:57
憲法82条 / あおむし
とっぱ先生

お世話になります。はじめて質問します。

憲法82条第2項の 『この憲法第3章で保障する国民の権利が問題となっている事件』とは、どんなものなのでしょうか?なんでもこじつければ国民の権利が問題になっている事件になるような気がして質問しました。

よろしくお願いします。
No.9889 - 2017/12/24(Sun) 07:38:18

Re: 憲法82条 / とっぱ
あおむしさん、こんにちは。
初質問ということで、これからもよろしくお願いいたします。

さて、ご質問の件ですが、これはやはり、限定しないと広く「〜国民の権利が問題となっている事件」に当たってしまいますので、限定的に解釈すべきと解されているのですね。

そこで、この部分については、憲法が保障する国民の権利に対して法律が制限を加えており、その制限に違反したことが犯罪とされている刑事事件のことを指すと解するのが一般的なのですね。

例えば、表現の自由に対する制限に違反することが内容となっている罪である、名誉毀損罪で起訴された刑事事件が挙げられます。

このような場合は、その犯罪自体が人権を制限するものですので、犯罪の合憲性自体も問題となります。ですから、特に裁判の公正を確保する必要性が大きいと考えられるのですね。そこで、こうしたものがおっしゃっている部分の「事件」にあたると解されているわけです。


というわけで納得いただけたでしょうか。やや細かい知識ですので、受験上はそれほど気にしなくてもよいところですが、参考になさってみてください。また書き込んでくださいね。
No.9890 - 2017/12/24(Sun) 22:39:26

Re: 憲法82条 / あおむし
とっぱ先生、わかりやすい解説ありがとうございました。

まだ勉強をはじめて間がありませんが、いろいろわかってきて楽しいです。

また質問すると思いますので、よろしくお願いします。 
No.9891 - 2017/12/25(Mon) 20:56:46
行政事件訴訟 / ニガマル
こんにちは。テキスト90Pの13条について質問です。
どちらかの訴訟が高等裁判所に係属していると移送できずとあります。例えば、処分取消の訴えが地方裁判所で、国家賠償が高等裁判所の場合、国家賠償が地方裁判所に移送できずと言う意味ですか?
No.9887 - 2017/07/19(Wed) 10:37:26

Re: 行政事件訴訟 / とっぱ
ニガマルさん、こんにちは。

これはおっしゃる通りの理解で良いですね。

関連請求が高裁に係属している場合に、それを地裁に移送するのであれば、原告にとっては、争える機会が増え、審級の利益を害するわけでもないのではないか、というご質問だと思います。

しかし、法律上、関連請求の第一審が高裁と定められている場合は地裁に移送できないのはもちろん、関連請求の第一審が地裁で、控訴審の高裁に係属している場合も、やはり地裁に移送できないとされているのですね。

もしこれを認めると、関連請求については、一旦地裁で判断が下されているにもかかわらず、重ねて判断されることになりかねず、また、万一、異なる判断が下されたような場合には、いずれの判断が優先するのか等、困難な問題が生じてしまいますね。

そこで、関連請求が高裁に係属している場合も、同条但し書で移送できないと解されているのですね。


というわけで納得いただけたでしょうか。また書き込んでくださいね。
No.9888 - 2017/07/19(Wed) 20:30:29
委任契約 / ニガマル
質問です。受任者の利益のためにも委任がされた場合、委任者は、原則とし651条により一方的に委任契約を解除することはできない。しかし、@受任者が著しく不誠実な行動にでる等、やむを得ない事由があるとき、Aやむを得ない事由がなくても、委任者が解除権自体を放棄したものとは解されない事情があるときは、解除権が認められる。この判例のAについて理解できません。説明お願いします。
No.9884 - 2017/05/11(Thu) 18:55:24

Re: 委任契約 / とっぱ
ニガマルさん、こんにちは。

これは、「委任者が解除権自体を放棄した場合」の意味についてのご質問だと思われますね。

一つは、委任契約を締結する際などに、委任者が、明示の意思表示によって、「この委任契約の解除はしません」と表明した場合ですね。
これは明示の意思表示によって、解除権を放棄していますから、委任者は委任契約を解除できなくなります。

もう一つ考えられるのが、委任契約が、もっぱら受任者の利益のために締結された場合です。
例えば、AがBに対して100万円の債権を有しており、BはCに対して100万円の債権を有しているという場合に、Bが委任者となって、受任者AにCからの債権の取り立てを委任する委任契約を結び、AがCから取り立てたお金は、BのAに対する債務の弁済に充てると約束した場合を考えてみましょう。
こうした取立委任は、実際にもよく行われるのですが、実質的には、BのCに対する債権を、BのAに対する借金の支払いに充てているわけです。
つまり、BのCに対する債権を、BのAに対する借金の担保に入れているのと同じことになるわけです。この場合に、もし、Bが651条に基づいて解除できるとすると、Aは一方的に担保を奪われるような状況となり、Aに酷なのですね。担保物権を設定したり、保証契約を結んだ場合は、主債務者はこれらを簡単には解除できないこととのバランスを図るためにも、解除権を制限する必要があるわけです。

そこで、こうしたもっぱら受任者の利益のために結ばれている委任契約の場合は、受任者(例ではA)の利益を守るために、委任者は解除権を放棄したものと解されているのですね。

以上、「委任者が解除権自体を放棄した」場合としては、委任者による解除権放棄の明示的意思表示があった場合と、もっぱら受任者の利益のために委任契約が結ばれた場合が考えられるわけです。

そして、これらに当たらない場合が、「委任者が解除権自体を放棄したものとは解されない事情があるとき」であって、解除権が認められるのですね。

結局、多くの場合は、651条の文言通り、解除権が認められることになります。


というわけで納得いただけたでしょうか。また書き込んでくださいね。
No.9885 - 2017/05/11(Thu) 21:09:19

Re: 委任契約 / ニガマル
いつも具体的説明ありがとうございます。理解できました。
No.9886 - 2017/05/12(Fri) 16:45:44
担保責任 / ニガマル
民法572条について。担保責任を免除する特約を結ぶことはできるが、その場合も、目的物について売主が自分で第三者のために設定した権利があったときは、売主は、責任を免れない。とあります。例えば、建物に抵当権を売主が設定した場合、買い主は抵当権消滅請求を免れると言うことですか?577条は、買い主が抵当権消滅請求をするようですが。良くわかりません。教えて下さい。
No.9881 - 2017/05/06(Sat) 11:29:18

Re: 担保責任 / とっぱ
ニガマルさん、こんにちは。
順を追って説明していきますね。

まず、建物に、売主が設定した抵当権がある場合の売主の担保責任は、567条に規定がありますね。すなわち、抵当権の実行により、買主が所有権を失った場合の売買契約の解除(1項)や、買主が費用を支出して所有権を保存したときの費用償還責任(2項)、さらに損害賠償責任(3項)となりますね。

そして、担保責任を免除する特約に関する572条は、「560条から前条までの規定による」担保責任を負わない旨の特約を結んだ場合、としますから、目的物に抵当権がついている場合は、567条の解除や費用償還責任、損害賠償責任を免れる特約を指すわけですね(577条は、572条より後の規定ですから、ここでの特約の話には直接関係しません)。

そして、抵当権を売主が設定した場合は、こうした特約があっても、572条により、売主は上述のような担保責任(解除、費用償還責任、損害賠償責任)を免れないわけですね。これは、売主が自ら抵当権を設定して、買主に損害を与えても、特約を結んでいれば責任を免れるとしたのでは、信義則に反すると考えられたからです。

この売主の担保責任のうち、抵当権消滅請求権と関係があるのは、567条2項の費用償還責任です。買主が抵当権消滅請求権を行使して、抵当権の実行を阻止した場合は、2項の「費用を支出してその所有権を保存したとき」にあたるわけですね。

具体例で説明しますね。例えば、Aがその所有する建物をBに1000万円で売却する売買契約を締結したところ、その建物には、AのXに対する借金(1200万円)を担保するための抵当権がついていたとします。
抵当権が実行されると、Bは建物の所有権を失いますので、Bは、Xに対して「1000万円支払うから、抵当権を消滅させて欲しい」と抵当権消滅請求をし、Xもその請求を了承した、という例で考えてみましょう。

この場合、BはXに1000万円を支払って、抵当権を消滅させます。ただ、その費用(1000万円)は、567条2項に基づいて、Aに請求できるわけです。もともと、抵当権を設定して、買主に余計な手間をかけさせたのはAですからね。よって、BからAに対して、売主の担保責任としての1000万円の費用償還請求権が発生します。

他方で、もともとAはBにこの建物を1000万円で売る契約を結んでいたので、AからBに対して、1000万円の売買代金債権が発生していますね。

この、BからAに対する費用償還請求権と、AからBに対する代金債権とを相殺できるとすれば、AB間の法律関係を簡便に済ませることができますね。

そこで、577条は、これら両債権の弁済期を合わせることで、相殺をしやすくしているわけです。

そして、この両債権が相殺により消滅すれば、結局、Bは、Xに1000万円を支払うことで、この建物を取得できることになり、まるく収まるわけですね。


以上を前提に、ご質問に回答しますね。

>建物に抵当権を売主が設定した場合、買い主は抵当権消滅請求を免れると言うことですか?

建物に抵当権を売主が設定した場合、特約により免除されるかどうか問題になる担保責任は、567条の責任(解除、費用償還責任、損害賠償責任)ですね。
抵当権消滅請求権は、売主の担保責任として認められるものではありませんので、特約の有無に関係なく、行使できます。
なお、567条2項の売主の費用償還責任は、免除の対象となり得ますが、売主が自ら抵当権を設定したのであれば、572条により責任を免除されません。売主は、費用償還責任を負うことになります。
そして、577条により、売主の費用償還責任と、買主の代金支払い債務は、弁済期をあわされますので、相殺により、簡易な決済が可能となります。

>577条は、買い主が抵当権消滅請求をするようですが。

577条の抵当権消滅請求権も、379条にいう抵当権消滅請求と同じものです。民法の物権編での規定は、抵当不動産の第三取得者が行使するとなるわけですが、民法の債権編の契約の章で規定されれば、(抵当不動産の)買主が行使するとなるわけですね。
同じ抵当権消滅請求ですが、物権編と債権編で規定の仕方が異なるわけです。


というわけで納得いただけたでしょうか。いきなり572条や577条を読むと、混乱するかもしれませんね。まずは、売主の担保責任や、抵当権消滅請求といった基本概念のイメージをしっかり持ちましょう。これらの基本が頭の中に定着した上で、あらためて572条や577条を見ると、スムーズに理解できると思います。また書き込んでくださいね。
No.9882 - 2017/05/07(Sun) 17:44:17

Re: 担保責任 / ニガマル
丁寧な回答ありがとうございます。
法的思考力が鍛えられるようです。
No.9883 - 2017/05/08(Mon) 13:34:42
弁済の提供の方法 / ニガマル
債権者が弁済を受領しない意思が明確である場合について、債務者は口頭の提供をしなくても債務不履行責任を免れる。この場合に、判例は、債権者が契約そのものの存在を否定するなどとしています。しかし、債務者が弁済の準備ができない経済状態にあるため口頭の提供もできない場合は、債務不履行責任を免れないとあります。債務者に落ち度がある場合は、許さないということですか?
No.9878 - 2017/04/24(Mon) 12:11:15

Re: 弁済の提供の方法 / とっぱ
ニガマルさん、こんにちは。

これはおっしゃるとおりの理解で良いですね。

債務者に弁済の能力はあるのだけども、債権者があらかじめ受領を拒絶し、受領の意思がないことが明白な場合は、弁済できないのは債権者の落ち度ですし、口頭の提供をしても無駄ですから、口頭の提供も不要とされるわけですね。

これに対して、債権者の受領拒絶の意思が明白な場合でも、同時に、債務者が弁済の準備もできないほど経済状態が不良な場合は、弁済できないのは債権者だけの落ち度ではありませんね。このような場合にまで口頭の提供を免除することは信義則に反します。ですから、このような場合は口頭の提供の免除はされず、口頭の提供をしなければ、債務不履行責任を負うと解されています。

結局、債権者と債務者の落ち度の度合いを比べて、口頭の提供を免除するべきかどうかの判断がなされているわけですね。


というわけで納得いただけたでしょうか。また書き込んでくださいね。
No.9879 - 2017/04/24(Mon) 20:41:49

Re: 弁済の提供の方法 / ニガマル
いつもありがとうございます。信義則に反するからですね。
No.9880 - 2017/04/24(Mon) 21:16:31
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